独断と偏見で選ぶ、2023年夏にベスト8へ進めなかったイチオシの好チーム 

2023年

履正社(大阪)

1 増田 11 高木
2 坂根 12 野上
3 小川 13 嶋田
4 只石 14
5 森田 15 鈴木
6 森澤 16 村田
7 西田 17 足立
8 西 18 渡邊
9 近澤 19
10 福田 20 藤原

V候補を追い詰めた西の横綱

名将・岡田監督が退き、多田新監督になってから初の甲子園をつかんだのが、この2023年の代であった。

犠打主体の手堅い野球だったところから、機動力を絡めた新しいカラーを打ち出し、2022年秋は近畿大会でベスト8に進出。報徳学園に打撃戦の末に6-9と惜敗したものの、攻撃力が高いところを見せた。また、投手陣は前年からエース格の左腕・増田に加えて、速球派左腕の福田(オリックス)も台頭。選抜ではその福田が終盤まで無安打投球という快投を見せ、高知に逆転負けを喫したものの、強力な左腕2枚看板であることを全国にアピールした。

迎えた夏の本戦。例年以上に手ごたえをつかんだチームは順調に府予選を勝ち上がる。迎えた大阪大会決勝はエース左腕・前田悠(ソフトバンク)が率いるライバル・大阪桐蔭。夏の大会で12連敗中とここまで相性が悪かった相手に対し、福田が最速150キロを誇る速球でねじ伏せにかかる。打っては、春までの4番だった坂根を負傷で欠く中、代打・野上が2点タイムリーを放ち、計3点を奪取。好リードオフマンの1番西近沢森田の新中軸コンビが機能し、優勝した2019年世代にも引けを取らない強力な陣容が完成した。

選抜では甲子園で同校史上初となる逆転負けを喫していたが、力を蓄えた夏、ついに因縁の相手を打倒して激戦区・大阪を勝ち上がってきた。大会前の予想では堂々優勝候補の一角に名乗りを上げ、本戦を迎えることとなる。

1回戦

履正社

1 2 3 4 5 6 7 8 9
3 0 0 0 0 0 3 0 0 6
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

鳥取商

夏の1回戦の相手は2年連続出場の鳥取商が相手。前年は優勝校の仙台育英の初戦で大敗を喫したが、中盤までは互角の展開を演じていた。その試合で先発した右腕・山根が最上級生となり、エースとして再び甲子園にチームを導いてきた。

その山根に対し、夏からの4番森田がさっそく結果を残す。1回表、ランナーを二人おいて、打席に。アウトコース一辺倒では抑えきれないと感じた鳥取商バッテリーが、意を決して投じたインハイの速球をフルスイング!打球は、レフトスタンドへ一直線に消える3ランホームランとなり、履正社が一気に主導権を奪った。ここまできれいにインハイをとらえたホームランとなると、私の中では2000年夏の徳島商・阿竹くらいまでさかのぼる感覚である。

このリードを有効に使ったのが、先発・増田。2年時から主戦を務めた男の経験値は伊達ではなく、内外を丁寧に、しかもキレのあるボールでついていくため、鳥取商打線もなかなか突破口を開けない。7回を4安打無失点の好投で後ろにつなぎ、先発の役目を果たした。増田福田高木とつないで鳥取商打線を0封し、履正社が4年前に続いての初戦突破を決めた。

2023年選手権1回戦 履正社vs鳥取商(2日目第2試合) | 世界一の甲子園ブログ

【23夏】初回から履正社の強打が炸裂!鳥取商の継投リレーで爆発を食い止めろ!【2023選手権記念大会 1回戦 履正社×鳥取商】

2回戦

高知中央

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 2 0 0 2 4
2 0 2 3 0 3 0 0 × 10

履正社

2回戦の相手は高知中央。高知大会で高知・明徳義塾と県内2強を下してきた実力派。初戦は川之江との四国対決で打線がつながって9-4と大勝してきており、履正社にとっては侮れない相手だ。

先発は、Wエースのもう一人・福田。初戦で増田が好投しただけに負けたくない気持ちも強かっただろう。初回から150キロに迫る速球を軸に高知中央打線を封じ込める。すると、この日も4番森田が快打を放つ。初回にアウトコースの速球を右中間最深部まで運ぶタイムリーを放つと、3回裏には左中間スタンドへ、2試合連続となるホームラン!その後も、右サイドのエース高橋を攻めつけ、卓越した選球眼もみせて、4回までに7点を奪った。

福田は飛ばしてきた6回に、高知中央打線につかまり、2点は失ったが、大量リードにも守られて上々の内容。選抜では終盤まで無安打ピッチングを見せながら勝てなかったが、この日は念願の甲子園初勝利を手にした。安定したディフェンスをベースに、先制点を奪うという、履正社の最も手堅い勝ちパターンで奪った甲子園2勝目だった。

2023年選手権2回戦 履正社vs高知中央(8日目第1試合) | 世界一の甲子園ブログ

【ダイジェスト】履正社vs高知中央

3回戦

仙台育英

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 2 0 1 0 0 0 1 0 4
0 2 1 0 0 0 0 0 0 3

履正社

3回戦で実現した、前年度優勝校とのV候補対決。おそらく組み合わせの山ができた時から3回戦でこのカードの成立を想定した高校野球ファンは多かったことだろう。試合前から、いわゆる「事実上の決勝」という雰囲気が球場全体を包み込んでいた。

試合は、2回表に仙台育英が7番鈴木の2ランで先制すれば、その裏に履正社は7番小川ら下位の左打者陣がコツコツ単打をつないで同点に追いつく。両チームの個性が出た攻防となる。

しかし、惜しむらくは履正社の3回裏の攻撃であった。前年覇者の仙台育英にとって、王者として挑戦者、それも大阪代表を迎えるのは初めての経験。今までは挑む立場だったのが、初めて強い相手がチャレンジャー精神で向かってくる立場になったのだ。そのプレッシャーたるや凄まじいものがあったのだろう。前年からのメンバーが多く残るチームが序盤戦で内野の送球エラーを連発し、1点の勝ち越しを許す。

ところが、さらに1アウト1,3塁となったところで、3塁ランナーが飛び出してしまい、タッチアウトに。これは履正社にいきかけた流れを仙台育英に戻してしまうプレーとなった。機動力野球を掲げる多田監督のスタイルではあったが、ベンチと打者、そして走者の呼吸がかみ合わなかったか。

直後の4回表に1番橋本のタイムリーで同点に追いつかれると、同店のまま試合は終盤戦へ。8回表、2番手の福田が1アウトランナー3塁から5番尾形にスクイズを決められて勝ち越しを許す。同じような状況を活かせた仙台育英と活かせなかった履正社という対比になってしまった。

履正社も8回裏にランナー二人を置いて、代打の切り札・坂根を送るが、仙台育英・高橋の速球の前に空振り三振。9回裏にもランナー一人を出すが、最後は2番主将の森澤が併殺に倒れて万事休した。

大会でも屈指の好ゲームであったが、その後の仙台育英の勝ち上がりを見ると、履正社も明らかに大会最上位(おそらくベスト5には入るだろう)の力を有していただけに、惜しい敗戦であった。

2023年選手権3回戦 仙台育英vs履正社(11日目第1試合) | 世界一の甲子園ブログ

昨夏王者の仙台育英と大阪代表強豪校の履正社が激突!緊迫の好ゲームダイジェスト(第105回全国高校野球選手権大会 仙台育英vs履正社)

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