V候補を追い詰めた、常連校の粘り
未曽有の大災害の前に苦しんだ2011年。高校野球も例外ではなく、特に東北地方の高校は夏になっても災害の影響が色濃く残っていた。そんな中、県民に勇気を与えるべく、この年も東北6県の代表校が甲子園に乗り込んできた。

前年夏に広陵、履正社と強豪を連破した斎内(阪神)が3年生になって夏再び甲子園に帰ってきた。東日本大震災の復興の象徴ともいえる存在だった男が、県大会で三振の山を築き、当然甲子園でも優勝候補の一角にあがっていた。

一方、日南学園は永年チームを率いていた小川監督に代わって、若い金川監督が就任して初めての甲子園。宮崎大会では1-0の投手戦や延長12回の死闘を粘り強い戦いで勝ち切り、決勝戦でも昨夏代表の延岡学園を逆転で下して優勝をつかみ取った。明るいチームカラーが光り、投打とも積極的な野球で甲子園1勝を狙っていた。
最後はエースのバットでサヨナラ勝ち!
2011年夏1回戦
日南学園
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
| 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1× | 5 |
聖光学院
日南学園 古市→村田
聖光学院 斎内

序盤、日南学園の先発左腕・古市が好投。内角を強気に突く投球で、緩急も織り交ぜて好投。毎回のようにヒットは打たれるが、得点は与えない。
一方、聖光学院の斎内に対して、日南学園の取った作戦は打席で捕手寄りに立つこと。斎内の決め球のスプリットを見極めるための作戦で、取りに来た真っすぐをたたく。
3回表、4番草清が高めのストレートを流してレフトオーバーの2塁打を放ち、先制点を奪取。5回表には再び草清のヒットを足がかりに得点を挙げ、聖光学院を突き放す。この日、聖光学院の捕手・福田が3度もバットがミットに当たって打撃妨害を取られたことがこの作戦を象徴していた。
ペースを握られた聖光学院だったが、5回裏に反撃開始。1番俊足巧打の斎藤のタイムリー3塁打で1点を返すと、7回には2番手の右サイド村田に襲い掛かる。上位打線がつながって同点に追いつくと、さらに満塁から福田の犠飛で逆転に成功。初めてこの試合リードを奪う。
だが、斎内を攻めつける日南学園はあきらめない。9回再び草清のヒットで1アウト1,3塁のチャンスを作ると、ここで斎内がまさかの暴投。土壇場で同点に追いつかれた。
試合はそのまま延長に突入。延長10回表を斎内が三者凡退に抑えると、その裏1アウト2塁で打席には斎内、村田のアウトコースのボールを逆らわずライト前へ。最後は、この日大活躍の草清の返球がそれて、サヨナラで幕を閉じた。
まとめ
斎内は10安打を浴びながらも16奪三振の力投。途中からスプリットの落とす場所を工夫するなど、粘り強く投げぬいた。だが、2回戦では金沢の本格派投手・釜田(楽天)と投げ合い2-4で惜敗。スプリットを捨てた日南学園に対して、金沢打線にはスプリットを狙い打たれた。聖光学院史上スケールの大きなチームだったが、その戦いは2回戦で幕を閉じた。
一方、日南学園はチーム全員で見事な戦いぶり。斎内から10安打を放つなど、互角の勝負に持ち込んだ。最後は惜敗したが、2007年の常葉菊川戦のように積極野球で優勝候補に食らいつく野球は観る者の胸を熱くさせた。
第93回夏の甲子園、聖光学院の歳内投手が日南学園戦に16奪三振


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