強力打線を封じ込めた琉球トルネード
大会No.1左腕・島袋(ソフトバンク)を擁する興南と大会No.1打者西川遥(日本ハム)擁する智辯和歌山の対戦。ともに初戦を突破し、これから上位をうかがおうという重要な一戦だった。
興南は昨年春夏連続で甲子園に出場するもともに初戦敗退。選抜では島袋が19奪三振を奪うも、打線が振るわず2-0と延長10回で完封負け。夏は今宮(ソフトバンク)擁する優勝候補の明豊相手に序盤3点奪うも、後半島袋が強力打線につかまって初戦敗退。打線が島袋を援護できない展開にもどかしさを覚えながら甲子園を去った。
2年生がスタメンの大半を占めていたため、新チームに期待がかかった。だが、九州大会では島袋が先発しない中で宮崎工の左腕・浜田(中日)を打てずに2-3と逆転負け。沖縄の決勝で破った嘉手納が九州を制し、忸怩たる思いで選抜を迎えていた。初戦は好左腕・堅田を擁する関西と対戦。打線が着実に加点し、島袋も関西の強力打線に10安打を浴びながらも1失点完投。島袋自身3度目でようやく甲子園の勝利を手にした。

一方の智辯和歌山も前年夏から連続出場。札幌第一戦では劇的な逆転勝利を飾るなど、2勝をマーク。高嶋監督の甲子園最多勝利タイ記録を達成した。その時の1~4番が全員残り、新チームは期待が高かった。
しかし、絶対的エース岡田(中日)の抜けた穴は大きく、投手陣のやりくりに苦労。秋の近畿大会では準々決勝で立命館宇治に6-7と打ち負けて戦いを終えた。冬を超えて甲子園の初戦は北信越覇者の高岡商と対戦。中盤に西川遥のタイムリーなど一挙5点で打線が高岡商の好投手・鍋田を攻略。投げては背番号10の藤井が好投。140キロに迫る速球とフォークで1失点完投勝利。見事高嶋監督の甲子園最多勝利を達成した。
守乱が響いた智辯和歌山
2010年選抜2回戦
智辯和歌山
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | × | 7 |
興南
智辯和歌山 吉元→藤井→宮川→上野山
興南 島袋

試合は島袋を智辯和歌山打線がいかに攻略するかに注目が集まった。
初回を0点で両チーム切り抜けての2回表、智辯和歌山は宮川・瀬戸・上野山が3連打。ストレートを逆らわず逆方向へはじき返して先制点を挙げる。その裏、興南も伊礼・大城(オリックス)ら下位打線の作ったチャンスに捕逸でランナーが生還して同点に追いつく。
島袋は3回にも満塁のピンチを招くなど序盤はランナーを背負うが、勝負所でコントロールを間違わない。昨年から成長した姿を見せて、スコアリングポジションに進んだ後を踏ん張る。
ところが、4回表2アウトから1番城山を四球で出すと、2番岩佐戸が高めのストレートを逃さずたたいてタイムリー2塁打。あっという間に勝ち越し点を奪う。さらにチャンスで打席には3番西川遥。注目の対戦となったが、ここで高めの速球を西川がミスショットでファール。結果球ではなかったが、思わず高嶋監督もジェスチャーが崩れるほど痛恨のファールでこの打席は四球でその後は得点ならず。
これが流れを変えたが、5回裏それまで踏ん張っていた昨秋のエース左腕・吉元が崩れる。2番慶田城、3番我如古が連打を放つと、智辯和歌山はここで初戦に完投勝利を挙げた藤井にスイッチ。しかし、続く4番真栄平の打球をつかむも、フィルダースチョイスで逆に無死満塁とピンチを広げて委s舞う。ここで畳みかけられるようになったのが、昨年からの興南打線の成長。この回犠飛などで3点を奪い、主導権を握ることに成功した。
リードをもらい、終盤に調子を上げた島袋の前に智辯和歌山打線は後半4イニングで無得点と沈黙。逆に、8回裏、興南は4番真栄平の2ランなどでダメ押しの3得点を奪い、興南が7-2と完勝でベスト8進出を決めた。
まとめ
ヒットは興南が13本、智辯和歌山が10本だったが、島袋は重要な場面でヒットを許さず。特に智辯和歌山のキーマンの3番西川遥、4番山本をノーヒットに抑えたのは大きく、山本に至っては5打席連続三振に抑えた。ダイヤのエースの稲城実の成宮のように、抑えると相手にショックになる打者を心得た投球だった。一方、興南は3番の我如古が5打数5安打と大当たり。4番の真栄平もホームランを放つなど、中心打者がしっかり活躍。この差が勝負を分けたと言えるだろう。
この後、興南は帝京、大垣日大、日大三を破って全国制覇を達成。夏の甲子園も制して、春夏連覇を達成した。初戦突破を果たしたとはいえ、本当の意味で波に乗ったのはこの智辯和歌山戦だったのではないだろうか。
一方、智辯和歌山も夏の甲子園に出場。強力打線を擁し、県大会では笠田戦であわやのところまで追い込まれるも奇跡的な逆転勝利で、全国への切符をつかんだ。しかし、大会ではこの夏の主役の一人となった成田のエース中川諒に苦戦。西川遥がノーヒットに抑え込まれるなど1得点に封じられて1-2で敗れた。これだけの好チームでも春夏合わせて1勝どまり。改めて全国で勝つ難しさを感じさせられた。


コメント