長崎日大vs日大三 1999年夏

1999年

初戦で実現した「日大ダービー」

優勝争いが混迷を極めていた1999年夏。前年夏の甲子園を沸かせた横浜やPL学園、神宮王者の日南学園や海星、市川と有力校が軒並み予選で姿を消した。そんな中で開幕した甲子園大会。その初戦で、日大三と長崎日大という、日大高同士の対戦が実現することとなった。

1999 夏甲子園一回戦 長崎日大vs日大三2 - YouTube

日大三は東京王者として臨んだ選抜で、水戸商を相手に2回戦でまさかの完封負け。夏の甲子園でのリベンジを期して臨んだでいた。西東京大会決勝では国学院久我山の好左腕・河内(広島)を打ち込んで夏の代表校の座をを奪取。それも0-4からの見事な逆転勝利である。3番杉本、4番小花に一発が飛び出し、力で試合をひっくり返した。2年生エース栗山も成長し、夏は選抜でできなかった上位進出も期待できた。

再三のピンチもバックに助けられ…そして - YouTube

その日大三の相手は奇しくも同じ日大系列の長崎日大。しかも、長崎日大は前年夏が帝京、選抜が駒大高といずれも東京勢に敗退していた。3季連続の東京勢との対戦となり、3度目の正直での初戦突破を狙っていた。この年は速球に角度と球威のある崎田、ナックルを操る野手兼任の山中と力のある右投手二人を擁し、打線も2年生捕手・山内を中心にミート力が高く、小技も使える面々がそろっていた。

投打がかみ合い、3度目の正直で東京勢撃破

1999年夏1回戦

日大三

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
0 0 1 1 1 0 1 1 × 5

長崎日大

日大三   栗山

長崎日大  崎田

試合は、栗山と長崎日大・崎田の両エースの先発で幕を開ける。1,2回と両エースが踏ん張り、0-0で試合は中盤戦へ。すると、3回、4回と長崎日大が1番的野、6番須江のタイムリーで先行。試合の主導権を握る。

ただ、そうは言っても日大三にとって2点のビハインドはさしたるものではない。小倉監督も「2周目からは捕まえます」と自信をのぞかせていた。だが、3回に迎えた1アウト1,2塁のチャンスでは3番杉本、4番小花が打ち取られて凡退。崎田のボールは角度があり、しかも右打者のインサイドにきっちり制球して投げてくるため、なかなか簡単に踏み込むこともできない。

1回、3回、4回、5回とヒットのランナーを出しながらも、無得点。すると、5回裏にも長崎日大は3番山中にタイムリーが飛び出す。チャンスで一本の出る長崎日大と出ない日大三。徐々にその明暗が分かれてくる。

試合は後半戦に突入。序盤の再三のピンチを乗り切った崎田は、6回から8回まで一人のランナーも出さないパーフェクトピッチングを展開する。選抜では自チームのミスもあって勝てる試合をサヨナラ負けで落としている。相当悔しい気持ちもあったのだろう。この夏は絶対に1勝をもぎ取るという強い気持ちを感じた。7回、8回にも1点ずつを加えて、5-0。うち4点はタイムリーであり、勝負強さが際立った。

日大三は最終回に粘りを発揮。1アウトから5番山下、6番高橋の連打で最後のチャンスを作るが、ここも崎田が踏ん張ってゲームセット!内外角を正確に突くコントロールが素晴らしく、6安打完封で東京勢へのリベンジを達成し、2回戦進出を決めた。小倉監督の日大三での甲子園初年度は力のあるチームだったが、春夏ともそれぞれタイプの違った好投手に行く手を阻まれる結果となった。

まとめ

長崎日大は、その後、2回戦では前年4強の明徳義塾に延長戦の末にサヨナラ勝ち。優勝候補に挙がっていたチームに対し、相手の倍以上のヒットを放って圧力をかけ続け、確かな強さを見せた。最後は3回戦で好投手・福沢(中日)を擁する滝川第二にサヨナラ負けを喫したが、この試合でも9安打を放って同じくV候補に挙がっていたチームを苦しめた。2季連続で初戦敗退に終わっていた苦汁を晴らす、見事な戦いぶりであった。

一方、日大三は特に打力に自信をもって臨んだ中での、春夏連続の完封負けはまさかの結果であった。小倉監督もこの時代は、なかなか結果を出せず、苦しい時代を過ごしていた。さらに、エース栗山が残ったチームも前評判は高かったが、春夏ともに甲子園には届かず。その悔しさを晴らしたのは、この試合をスタンドで観戦していた、原島・内田(ヤクルト)・都築(中日)ら1年生の世代であり、夏は初めてとなる全国制覇を果たすこととなる。

1999 夏甲子園一回戦 長崎日大vs日大三1

1999 夏甲子園一回戦 長崎日大vs日大三2

 

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