剛腕vs強打、実力伯仲の好勝負!
21世紀最初の選抜となった第73回大会は初出場校と伝統校が入り乱れ、新しい時代の到来を予感させるとともに本命不在の大会でもあった。準々決勝にも多彩な顔触れがそろい、第1試合ではV候補本命と目された東福岡が常総学院に神宮大会のリベンジを食らう格好で2-4と敗退。V争いが混とんとする中、第2試合で大会前から評価の高かった西の強豪同士の対戦が実現した。

関西創価は大阪から初出場。当時は、東海大仰星や上宮太子など大阪からの初出場校が相次いでいたが、いずれもなかなか甲子園では結果を残せていなかった。しかし、この年の関西創価には本格派右腕・野間口(巨人)があり、140キロ台中盤の速球にスライダー、フォークを織り交ぜる投球は近畿No.1の存在として注目されていた。また、打線も1番小野、2番南山、3番大西、4番金田秀と続く上位打線はかなり力があった。
迎えた甲子園初戦は強豪・東北と対戦。2年生の好左腕・高井(ヤクルト)との左右の大会No.1投手の激突となったが、打線が終盤に高井の制球の乱れに付け込んで8-1と快勝し、初戦をものにする。続く3回戦はこの大会で3校が出場していずれも初戦を突破した好調・茨城勢の水戸商と対戦。したたかな野球が光る2年前の選抜準優勝校であったが、打線が荒れ球の左腕・田中をうまく見極めて攻略。中盤以降に6点を挙げ、6-1と快勝でベスト8進出を決めた。

一方、尽誠学園は椎江監督が就任してから初めての甲子園出場。投打でタレントを擁し、秋の四国大会を圧倒的な形で制覇すると、神宮大会でも夏に全国制覇を果たすことになる日大三を打撃戦で圧倒するなど、準優勝を飾った。俊足巧打の1番坂口が切り込んでいき、勝負強い3番主将の坂田、長打力が光る4番原と続くラインナップは迫力満点。投手陣もスライダーが武器のエース和田と長身からのカーブを武器とする左腕・中村の2枚看板が安定しており、全国制覇を狙って選抜にドりこんできた。
甲子園では2回戦となった初戦で鳥栖と対戦。鳥栖のエース宮崎は、前年秋の九州大会でのちに21世紀枠で選抜4強入りを果たすことになる宜野座を10安打されながらも完封した打たれ強い右腕。しかし、尽誠学園打線は序盤から早々と宮崎を攻略し、17安打で14点を奪取。尽誠打線恐るべしを強烈にアピールした。続く3回戦では関西の2年生左腕・宮本(日本ハム)に対し、1番坂口、3番坂田がいきなりアベック弾をお見舞い!このリードをエース和田が守り切って1失点完投し、危なげない試合運びでベスト8進出を決めた。
延長10回、女房役の一打でサヨナラ勝ち
2001年選抜準々決勝
尽誠学園
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 4 |
| 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1× | 5 |
関西創価
尽誠学園 和田→中村
関西創価 野間口

さて、実力校同士の対決となった準々決勝第2試合。しかし、立ち上がりから思わぬ展開となる。
1回表を野間口が3者凡退で打ち取ると、その裏、尽誠の和田がいつもの出来ではない。いきなり1番南山に四球を与えると、2番小野の犠打は野選に。4番金田秀も四球で歩いて満塁となると、2アウトから当たっている6番曽田がセンターへタイムリー!地元・大阪勢寄りの大歓声の中、初回にいきなり尽誠が2点を先行する。
序盤は野間口を相手にヒットが出ながらも、なかなか得点に繋がらなかった尽誠打線。しかし、中盤から反撃に転ずる。4回表、3番坂田のヒットに相手守備のミスも絡み、1アウト3塁のチャンスを作ると、ここで5番田中にはスクイズを指示。好投手・野間口を相手に少ないチャンスは一つも逃したくないという、椎江監督の執念を感じさせる采配である。中軸でもお構いなしにバントで1点をもぎ取った。
さらに、グランド整備で切り替わった6回表、先頭の1番坂口が野間口の高めに浮いたフォークをセンターへ返し、出塁する。2番上森の犠打が野選となって、1,3塁とチャンスを広げると、3番坂田がきっちりセンターへ犠飛を放ち、同点。初回以来、試合を振り出しに戻した。投げている野間口も過去2戦と比べて、これはレベルが一段上の打線だと思っていただろう。
しかし、この日はエース和田がどうしても乗り切れない。得意のスライダーを制御しきれず、6回裏3四死球を与えて満塁のピンチを招くと、関西創価の打席には3番主将の大西。和田がスライダーでストライクを取りに行ったところを痛烈にセンターへ返すと、打球は二遊間を鋭く破る2点タイムリーに!関西創価が追いつかれたすぐ後に、勝ち越しに成功し、尽誠に主導権を渡さない構えを見せる。
すぐに突き放された尽誠学園。ただ、打線は野間口攻略の手ごたえは感じていただろう。7回表、7番山田が先頭で右中間突破の3塁打を放つと、続く二人が打ち取られて2アウトとなるが、ここで打席には好打者の1番坂口。先ほどはフォークを捉えていただけに、この打席では速球に的を絞る。インサイドをえぐってきた野間口の快速球を捉えた打球は、ライト線を破るタイムリーに!大会屈指の右腕と核弾頭のハイレベルな攻防は、尽誠の1番打者に軍配が上がった。
3-4と1点差に迫った尽誠は、8回表にも野間口を攻め立てる。1アウトから4番原がショートゴロエラーで塁に出ると、5番田中は低めのフォークを素直にセンターへ返す。これが高いバウンドで二遊間を抜け、2塁から原がホームイン!尽誠が再び同点に追いつき、4-4のまま試合は延長戦に突入した。
10回表、野間口は尽誠の攻撃を無失点でしのぐが、すでに握力は限界に近かった。女房役の近藤に「次の回で決めてくれ」と漏らすほどの疲労困憊ぶり。それだけ尽誠打線の圧力がかかっていたのだ。
迎えた10回裏、先頭は4番金田秀。先ほどの打席で死球を受け(のちに骨折と判明)、足が痛む中での打席であったが、尽誠の2番手の左腕・中村の高めの速球をとらえると、打球は右中間を破っていく。足が痛む中、懸命の走塁で3塁を陥れ、無死3塁とサヨナラの大チャンスを迎える。ここで尽誠ベンチは満塁策を選択。打席には先ほどエース野間口に懇願された7番近藤が入る。アウトコース低めの速球を意地ですくい上げた打球はセンターへ!坂田の懸命のバックホームも及ばず、3塁から金田秀がホームイン!関西創価が見事なサヨナラ勝ちを収め、強敵を下して4強入りを決めることとなった。
まとめ
その後、関西創価は準決勝で常総学院と対戦。名将・木内監督率いる関東王者を相手に、骨折の4番金田秀を欠きながらも、野間口の好投で互角に渡り合った。最後は延長10回にサヨナラ負けを喫したが、優勝校を土壇場まで追い詰めた戦いぶりは大健闘だったと言えるだろう。常連校の出場が多い大阪にあって、この年の関西創価の4強入りは、1996年選抜の大阪学院大の8強入りと並んで、今での鮮烈な印象を残している。
一方、尽誠学園は野間口から10安打を放ち、最後までよく追い詰めたが、一歩及ばなかった。ただ、椎江監督をして、「こいつらはほんまに野球が好きなんです」という選手達が、甲子園で演じた好試合は見ている観衆を虜にするものであった。その後、同年夏は習志野の好右腕・佐々木を前に初戦敗退となったが、翌年は上森らが残って春夏連続で8強入りを達成。この2年間の尽誠学園は、四国勢の強さを象徴する強豪チームであった。


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