静岡vs八頭 2003年夏

2003年

2回戦のトリを飾ったナイトゲームの名勝負

2003年夏は序盤戦は、ある程度大会前の予想通りに進んでいたが、2回戦に入ると風向きが変わり始めた。優勝候補が同ブロックに入ったこともあったが、選抜優勝の広陵、同8強の近江・智辯和歌山、前年夏の覇者・明徳義塾、王者・PL学園、春の四国王者・今治西と大会前に評価の高かったチームが次々に敗退していった。そんな波乱含みの2回戦の最後を飾ったのが、静岡と八頭という県を代表する伝統校同士の対戦であった。

静岡は左腕・川口、右腕・鶴田の強力左右2枚看板を擁する投手陣と勝負強い打線を擁し、4年ぶりに夏の甲子園に出場。県大会決勝では、選抜出場校の浜名を川口が会心の出来で4-0と完封し、弾みをつけた。迎えた甲子園初戦は長崎日大との実力校対決に。中盤まで3点のリードを許すが、2番西川の2ランで追い上げると、最終回にサヨナラ暴投が飛び出して逆転サヨナラ勝ちを収めた。

優勝候補が次々と序盤で姿を消した2003年の大会で高校野球創成期からの伝統校が存在感を現し始めていた。

一方、八頭は鳥取県勢として1994年の同校以来の初戦突破を達成。主将・山田が選手宣誓を務めるなど、この大会は八頭に風が吹いている感じがあり、初戦は栃木大会で強打を誇った小山と対戦。終盤まで0-2とリードを許していたが、8回表に集中打で一挙に3点を奪い、試合をひっくり返した。エース河野は低めを丁寧に突く粘りの投球で小山打線を封じ込め、3-2と逆転勝ちで2回戦へコマを進めてきた。

最終回、勝負を決めた主将の一撃

2003年夏2回戦

静岡

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 1 1 3
0 0 0 1 0 0 0 1 0 2

八頭

 

静岡  増井

八頭  河野

八頭2-3静岡/静岡が9回突き放す | 一ノ宮が決勝の二塁打 ...

静岡は日本ハム・オリックスで活躍したの増井の弟が先発。川口でも鶴田でもない第3の男は、兄そっくりのフォームから繰り出すストレートと落ちるボールを武器に序盤。八頭打線を完ぺきに抑え込んでいく。

対する八頭の河野は初回から再三ランナーを背負うも、静岡打線に決定打が出ず、なかなか得点が入らない。初戦の小山戦と似たような展開となり、名門校に嫌な雰囲気が流れる。

しかし、その雰囲気を突き破ったのも増井であった。4回表、四球で出たランナーを犠打で進めると、増井が自らタイムリーを放って1点を先制する。河野のウイニングショットのカーブをとらえての一打。打って投げての千両役者ぶりだ。

だが、この1点が逆に硬さになったか、4回裏に増井も先頭打者に四球を与えると、犠打で二進後に3番浅田が一塁線を破って八頭が同点に追いつく。八頭にとっては初めて出したランナーがホームを踏む理想の展開。両チームともに四球出たランナーをタイムリーで返すという、同じような形で得点を挙げ、一進一退の攻防が続く。

7回まで両チームとも4回の1点止まりだった試合は8回に再び動く。静岡はランナーを2塁において強打の1番青池が河野の低めのカーブを救い上げるようにレフト前に落として1点を勝ち越す。しかし、八頭も負けじとその裏、ランナーをサードにおいて、4番石破の打席で増井の暴投が飛び出し、再び取られた直後の得点で同点に追いつく。

この緊迫した攻防を最後に打開したのは静岡の主将のバットだった。1アウトでランナーを1塁において5番一之宮がアウトコースのボールを逆らわずに打ち返すと、打球は左中間を転々。一塁ランナーが長駆生還し、静岡が貴重な勝ち越し点を奪う。その裏、八頭はこちらも選手宣誓をした主将の山田が代打で打席に立つも出塁はかなわず。増井が粘りの投球で2失点完投し、静岡が16強最後の椅子をものにした。

まとめ

静岡はその後、3回戦で優勝した常総学院のかき回す野球の前に0-7と完敗を喫した。今度は相手が奇襲作戦で登板させた2年生左腕・仁平に完全に翻弄されてしまった。しかし、それでも接戦を次々制してベスト16入りした戦いぶりは見事。伝統校が存在感を示した大会だった。

一方、八頭は長く続いた鳥取県勢の連敗を止め、2回戦でも敗れはしたものの接戦を演じた。その後も2008年選抜、2014年夏に勝利を挙げており、苦戦の続く鳥取県勢にあって地元の選手だけで勝つ姿は地元に勇気を与えている。

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[プロ 野球 – ハイライト動画] 【熱闘甲子園】2003日ハム増井 弟 静岡VS八頭 ED – YouTube

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