北信越常連校同士のハイレベルな攻防
第100回の選手権大会は、大阪桐蔭の史上初となる2度目の春夏連覇や、金足農の旋風で大いに盛り上がった。そんな大会の2回戦で、北信越勢同士の楽しみなマッチアップが実現した。

佐久長聖は元PL学園の藤原監督が就任して、攻撃型の野球で年々力をつけてきていた。初戦は旭川大高と甲子園史上初めてとなるタイブレークの試合を演じたが、延長14回に勝ち越し点を奪取。3番手で登板した2年生右腕・北畑がストレート主体の投球で好投し、甲子園の歴史に残る1勝を記録した。

一方、高岡商は2年連続の夏の甲子園。前年夏に東海大菅生打線に打ち込まれたエース山田(巨人)が最速148キロをマークする速球派に成長した。初戦は佐賀商との商業高校対決になったが。山田が会心の内容で1失点完投。打線も筏、石黒ら昨年の経験者を軸にきっちり得点を重ね、4-1と快勝で2回戦にコマを進めた。
エースの粘投で執念の追撃かわす
2018年夏2回戦
佐久長聖
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 4 |
| 1 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | × | 5 |
高岡商
佐久長聖 林→小嶋→北畑
高岡商 山田

焦点は高岡商の好左腕・山田を佐久長聖の強力打線はとらえられるかであった。
その佐久長聖は1回裏、キーマンの1番真銅が四球をもぎ取ると、2番上田は強攻策でヒットを放つ。佐久長聖らしい攻撃でチャンスを拡大すると、1アウト満塁まで持っていき、山田を攻め立てる。しかし、ここでギアチェンジした山田は6番鈴木、7番齋藤を力のこもったストレートでねじ伏せ、得点を与えない。
大きなピンチを脱した高岡商は1回裏に佐久長聖の先発・林から四球でランナーを出すと、巧打の3番中村が高めのストレートを左中間に運んで1点を先制する。ピンチをしのいだ後の得点だけにこの1点は効果絶大であった。
さらに攻め込む高岡商は2回裏にも下位打線でチャンスメークすると、9番山田、2番鞍田にタイムリー2塁打が飛び出して2点を追加。林の力強いストレートにも全く力負けせず、全国レベルに追いつくために振り込んだ成果が現れていた。
反撃したい佐久長聖は3回に上位打線の連打を皮切りに1点を返すが、投手陣が踏ん張り切れない。4回裏には2番手の小嶋もつかまり、暴投や野選などでランナーを進めると、スクイズと併殺崩れの間に2失点。好投手・山田を相手に自分たちのミスで取られた得点はなんとも痛かった。
それでも、中盤になって山田を捕まえ始めた佐久長聖打線は6回裏に代打・樋口の2塁打などでチャンスを迎えると、6番齋藤が初回の汚名返上とばかりに2点タイムリーを放ち、差を2点に縮める。
この日の山田は初戦ほどは調子が上がらない中でも丁寧な投球を展開。2点のリードを保ったまま9回に突入したが、最終回に佐久長聖打線の猛反撃を受ける。
投球数が130球を超えて疲れの見える中で、佐久長聖は8番堀北、代打・上原がともに痛烈なセンター前ヒットで出塁。犠打失敗とショートゴロで2アウトに追い込まれるも、2番上田の叩きつけた打球がエラーとなってついに1点差に詰め寄る。さらに一打同点の場面で3番上神を迎えたが、最後は山田が渾身のストレートで三振に切って取り、ゲームセット。しびれる攻防を制した高岡商が1987年以来となる3回戦進出を決めた。
まとめ
高岡商はその後、3回戦で優勝した大阪桐蔭に敗れたが、1-3と大善戦。翌年も経験者の1番森田を中心に3回戦まで勝ち進んだ。全国で唯一夏のベスト4の経験がない富山県勢だが、その壁を破るのは高岡商になるかもしれない。
対する佐久長聖も1点及ばずに敗れたが、最後まで高岡商・山田を苦しめた攻撃は見事だった。藤原監督就任後は上田西や松商学園などライバル校に引けを取らない戦いを見せており、1994年夏のベスト4に並ぶ快進撃を期待しているファンは多いはずだ。


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