【好投手列伝】埼玉県篇記憶に残る平成の名投手　3/5

須永英輝（浦和学院→日本ハム）

浦和学院のエースとして3季連続で甲子園のマウンドを踏んだ本格派左腕。1年秋からもう一人の左腕・鈴木とともにエース格として強豪のマウンドを守り、2年選抜では8強に進出。優勝した報徳学園に準々決勝で惜敗したが、夏の1回戦では磨いてきたスクリューも使いながら、7-3と見事リベンジを果たした。

その後、2回戦で川之江に4点差をひっくり返される逆転負けを喫し、3年選抜では智辯和歌山・本田にサヨナラ弾を浴びるなど、甲子園ではなかなか勝ち進めなかった。しかし、投手としての実力は出場を重ねるごとにぐんぐん成長。3年春は力みのない理想的なフォームで、智辯和歌山戦は222球を投げながらも最後まで球威・スピードががくっと落ちる様子はなかった。プロのスカウトをして、「よくぞここまで成長した」と言わしめる投球であった。

智辯和歌山vs浦和学院　2003年選抜 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

報徳学園vs浦和学院　2002年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

第75回センバツ　浦和学院vs智辯和歌山 – YouTube

福本真史（花咲徳栄）

強気な投球が光った花咲徳栄のエース。今や泣く子も黙る埼玉の強豪となった花咲徳栄だが、2000年代初頭の花咲徳栄といえば真っ先に彼の顔が浮かぶ。秋の関東大会で4強入りして選抜切符をつかむと、甲子園では初戦で秀岳館に延長13回で4-3とサヨナラ勝ちし、3回戦ではダルビッシュを擁する東北にも10-9とまたまたサヨナラ勝ちを収めた。

球威のある速球で押す反面、投球が単調になって打ち込まれる場面もあったが、打たれながらも我慢強く試合を壊さない強さがあった。準々決勝では東洋大姫路と歴史的な延長引き分け再試合の死闘を演じ、最後はサヨナラ暴投で敗退。選抜にも関わらず、まるで最後の夏が終わったような姿を見せた花咲徳栄ナインの姿に、この試合にかける気持ちの強さが伝わってきた。

2003年春準々決勝(再試合)　東洋大姫路vs花咲徳栄　18/22 – YouTube

松村裕二（聖望学園）

聖望学園に全国大会初勝利をもたらした本格派右腕。2003年夏の埼玉県は好左腕・須永を擁する浦和学院や選抜8強の花咲徳栄など、強豪がひしめく激戦区だったが、その中を堂々と勝ち抜いて代表切符を獲得。松村は準決勝で全国的にも優勝候補に挙がった浦和学院を2安打1点に抑えて、サヨナラ勝ちを呼び込むと、決勝では春日部共栄をシャットアウトして3-0で勝利を収めた。

球威十分のストレートで押す投球で甲子園でも好投を見せると、打線も2試合連続先発全員安打の猛攻で香川西、天理と撃破。鳥谷敬（阪神）を擁して出叙するも初戦敗退に終わった4年前の借りを十二分に返した戦いぶりであった。

[プロ野球 – ハイライト動画] 【熱闘甲子園】2003聖望学園VS天理 – YouTube

今成純太郎（浦和学院）

2004年の浦和学院を支えた好右腕。1年下の今成亮（阪神）とのバッテリーは行きもピッタリで、初戦は県大会の打率が4割を超す広島商打線が相手だったが、内角を強気にシュートで攻める投球で強力打線を相手に1失点完投勝利を収めた。2回戦は中京大中京の強力打線に終盤に捕まってしまったが、この試合も7回までは相手打線を0封。目立つ球威・スピードがなくとも、度胸とコントロールで渡り合えることを証明した投手だった。

浦和学院vs中京大中京　2004年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2004　浦和学院-広島商 – YouTube

大塚椋太（聖望学園）

聖望学園を選抜準優勝に導いた本格派右腕。2008年大会は高速系の変化球を武器とする投手が活躍しだした大会だったが、大塚はその代表格であり、140キロ台の重い速球にカットボールを交えて相手打者を牛耳った。3回戦の履正社戦で中盤に集中打を浴びたが、準決勝までそれ以外の場面でまともに打たれる場面はほとんどなかった。

力投型ゆえに連戦の疲労があった決勝では沖縄尚学打線に早々とつかまったが、初戦の小松島戦ではホームランを放つなど、打って投げて大活躍を見せた大会となった。

聖望学園 2008春 – YouTube