大会ベストナイン(2003年選抜)

2003年

右投手 西村健太郎(広陵)

2年選抜から3季連続の甲子園出場で広陵に3度目の選抜制覇をもたらした右腕。もともとストレートの球威には定評のある右腕だったが、最終学年を迎えて格段に安定感が増した。ただ、初戦でいきなり中井監督の雷が落ちることとなる。

希望枠の旭川実を相手に初回から味方打線の援護があり、展開としては楽であったが、西村は大会2日目に最速147キロをマークした徳島商・平岡への対抗意識がアリアリ。ストレートでの力勝負が目立ち、ベンチで中井監督から「スピードガンコンテストじゃない!」と喝を入れられることになった。

これが功を奏したか、3回戦からはアウトコースへのコントロールを意識した投球に。遊学館・小嶋(阪神)や東洋大姫路・アンといった大会屈指の好左腕に丁寧な投球で投げ勝った。決勝では横浜打線に9安打を浴びながらも3つの併殺打を奪い、3失点で完投。15-3と圧倒的な差をつけて1991年以来12年ぶりの頂点に立った。

横浜vs広陵 2008年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2003年春決勝 広陵vs横浜 6/20 – YouTube

岩国vs広陵 2003年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

左投手 成瀬善久(横浜)

大会No.1投手(2003年選抜) 成瀬善久(横浜) – 世界一の甲子園 ...

抜群のコントロールとキレで名門・横浜を5年ぶりの決勝に導いた技巧派左腕。天性の制球力で内外、高低をほぼミスなく投げ抜き、チェンジアップで緩急もつけられるから手におえない。特に高めのボールになる速球を、少し甘く入れば一発長打のボールにも関わらず、きっちり投げ込んで空振りを奪う技術は高校生のレベルを凌駕していた。

本大会では前年覇者の明徳義塾、近畿王者の平安、四国王者の徳島商と強豪を下して決勝に進出。大会中盤に指の爪がはがれるアクシデントがあり、決勝では打ちこまれてしまったが、その実力に疑いの余地はなかった。

第75回センバツ甲子園準決勝【横浜vs徳島商】2003年4月2日 – YouTube

捕手 原康彰(平安)

2年生の好左腕・服部を好リードした女房役。球威・スピードは特筆すべきものではなかったが、コーナーに決まるストレートと低めに決まるカーブ・スライダーを巧みに配球し、相手打線を翻弄した。初戦では宇部鴻城打線を完封、3回戦では神宮王者の中京を3-2と接戦で下した。特に中京の核弾頭・城所(ソフトバンク)をアウトコースのスライダーで翻弄したリードは素晴らしく、2年生エースにとって頼れる3年生捕手であった。

東北vs平安 2003年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

一塁手 本田将章(智辯和歌山)

智弁和歌山がベスト8/大会14人目のサヨナラ弾 | サヨナラの ...

エースとしては故障の影響もあって本調子ではなかったが、そのぶん打撃で千両役者ぶりを発揮した。初戦は前年夏にも対戦した東邦の好左腕・三浦からストレートをとらえてセンターフェンス直撃の長打を放つと、3回戦の浦和学院戦ではこちらも好左腕・須永(日本ハム)から5回にインサイドの速球を詰まりながらもセンター前に落とし、試合の行方をわからなくした。

そして、クライマックスは延長12回裏。投球数が200球を超えた須永に対して1球力の抜けたスイングで空振りして餌を巻いた後、高めの速球を強振。打った瞬間にそれとわかるサヨナラホームランを放ち、試合を決めた。パワーと勝負強さを兼ね備えた好打者であった。

智辯和歌山vs浦和学院 2003年選抜 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

二塁手 末沢優典(徳島商)

徳島商2-1柳川(23日)/平岡が投打に活躍 | 徳島商-柳川 ...

優勝候補に挙がっていた四国王者・徳島商を牽引した1番キャプテン。前年に四国勢は春夏の出場校全てが8強入りし、秋季四国大会では夏の王者・明徳義塾に逆転サヨナラ勝ち。好投手・平岡(巨人)を擁することもあって、嫌がおうにも徳島商への注目度は高かった。

しかし、初戦はエース平岡が好投を見せるも、打線は柳川のエース林の前に苦戦を強いられる。そんな中でも、1番を務める末沢は初回にライト線への2塁打を放って先制のホームを踏むと、7回にはセンターオーバーの2塁打を放って2点目をたたき出し、チームの全得点に絡んだ。4試合で17打数7安打と仕事を果たし、セカンドとしても内野陣を牽引して攻守でチームを引っ張った。

第75回センバツ甲子園準決勝【横浜vs徳島商】2003年4月2日 – YouTube

三塁手 藤田真弘(広陵)

広陵を優勝に導く一発を放ったキャプテン。決勝までの4試合で16打数7安打と当たっており、そのうち3試合で初回にタイムリーを放ってチームに勢いをつけていた。特に準決勝では引き分け再試合を制した東洋大姫路の左腕・アンから先制打を放って、相手の勢いを止めた。

そして、決勝ではエース成瀬(ロッテ)が怪我の影響で先発を開始した横浜との対戦に。ここまで無失点リリーフを継続して勢いに乗る2年生右腕・涌井が大会初先発となった。

1回表、1番上本がヒットで出塁するも、捕手の好けん制でタッチアウトに。試合巧者に流れを奪われそうになったが、2番片山が3塁打で出塁すると、3番藤田は高めの速球を強振する。打球はライトスタンドへ飛び込む2ランとなり、広陵に先制点をもたらした。この初回の攻防が無得点に終わっていたら、涌井が一気に乗っていった可能性もあるだけに、非常に大きな先制点であった。

2003年春決勝 広陵vs横浜 1/20 – YouTube

遊撃手 松原史典(明徳義塾)

明徳義塾6-0斑鳩/明徳義塾、投打かみ合う | 明徳義塾・松原 ...

前年夏に悲願の全国制覇を達成した明徳義塾。3年生主体のメンバーだったこともあり、新チームは大きく若返った。その中で1番ショートのポジションをつかんだのが松原。積極的な打撃と堅実な守備で大舞台でも結果を残した。特に、初戦の斑鳩戦では頭脳派右腕の牛島から試合を決定づける3ランを放ち、エース鶴川の完封勝利を援護した。

2003年春3回戦 横浜vs明徳義塾 3/26 – YouTube

左翼手 大田篤(徳島商)

甲子園優勝校】徳島県立徳島商業高校野球部ユニフォーム XO ...

活発な徳島商打線を牽引した2番打者。背番号15ながら不動のレギュラーとして活躍した。1番末沢とともに4試合でそれぞれ7安打をはなって塁上を賑わし、準々決勝の智辯和歌山戦では4安打4安打と大暴れ。前年夏の準V校を13-0と圧倒した。末沢がプルヒッティングが多いのに比べ、大田は逆方向への打撃が得意であり、タイプの違う左打者2人が徳島商打線を活性化させた。

第75回センバツ甲子園準決勝【横浜vs徳島商】2003年4月2日 – YouTube

中堅手 大西輝弥(近江)

Fire ball(近江) – 世界一の甲子園ブログ

1年夏に5番打者として準優勝を経験した男が、最終学年に3番主将として甲子園に戻ってきた。前年秋は近畿大会準々決勝で平安に惜敗するも、好左腕・服部から5点を奪った打力が評価され、5年ぶりの選抜切符を獲得。地力は決して低くないと評価されていた。

初戦は2年前の選抜で旋風を巻き起こした宜野座が相手。エース佐久本が故障で登板できず、2年生右腕の宜野座がマウンドに上がった。その宜野座投手も2年前のエース比嘉裕と同じく宜野座カーブを持ち味としていたが、その投球がわずかに乱れたスキを逃さず、3回に一挙4得点。大西はレフト前に2点タイムリーを放ち、厄介な決め球を持つ相手を攻略した。

その後、3回戦の愛工大名電戦でも3安打を放ち、戦前の予想をかわして4-0と勝利。2年前の快進撃をフロックと思わせない戦いぶりを見せた。

激戦ブロック 2003年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

右翼手 前川直哉(東洋大姫路)

1年生で甲子園のマウンドを経験したグエン・トラン・フォク・アンを擁して3年ぶりの選抜の登場した東洋大姫路。しかし、打力不足が不安視されており、エースをどこまで援護できるかが上位進出のカギを握っていた。

その東洋大姫路打線において頼れるバットマンとして4番を務めたのが前川。左打席からシュアな打撃でヒットを量産し、つぼにはまった時の長打力も魅力であった。初戦の岡山城東戦では中国大会優勝投手の高淵から2本の長打を放って3打点を記録し、チームの勝利を大きく貢献した。

そして、準々決勝の花咲徳栄戦は引き分け再試合の激闘となったが、2試合連続で延長に突入した10回裏に先頭打者で3塁打をマーク。花咲徳栄・福本の暴投でサヨナラのホームを踏み、2試合に及んだ激闘に終止符を打った。

2003年春準々決勝(再試合) 東洋大姫路vs花咲徳栄 21/22 – YouTube

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