日大三打線に立ちはだかった好投手列伝 2/9

コラム

名将・小倉監督に率いられ、数々の名勝負を繰り広げてきた日大三。

その代名詞ともいえる強力打線は豊富な練習量に裏打ちされた技術と体力、気力によって培われてきた。これは、その強力打線と対峙した歴代の好投手たちの戦いの記録である。

2001年選抜  2回戦 日大三 8-5 姫路工

甲子園中止決定的でスカウト困惑、01年姫路工・真田裕貴のよう ...

姫路工

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 2 0 0 2 0 0 5
0 1 2 0 0 1 2 2 × 8

日大三

真田裕貴(姫路工→巨人)

2年前に春夏連続出場を果たしていたが、前年はエース栗山を擁しながらともに予選で敗退した日大三。しかし、都築(中日)、内田(ヤクルト)、原島ら主力打者の残った2001年世代は秋の東京大会を順当に勝ち抜き、選抜切符を掴んだ。投手陣も本格派右腕の近藤(近鉄)、右サイドの千葉(横浜)の両右腕が安定。投打に盤石の布陣で上位進出を狙っていた。

そして、迎えた選抜大会。初戦の相手は本格派右腕の真田を擁する、地元・兵庫の姫路工であった。そうは言っても、打力に自信を持つ小倉監督にとっては、本格派なら相性がいいと最初は考えていた。ところが、知り合いの関西の野球をよく知る人物に聞くと、「公立校のちょっといい投手と思っていたら痛い目にあうぞ」とのコメントがあった。

実際、試合前の投球練習を見ると、ストレートは140キロ台中盤で威力十分。スライダーも打者の手元で鋭く曲がり、先ほどの関係者の発言が大げさなものではないと気付く。ベンチ前で少し青ざめる小倉監督。実際、この試合での真田vs日大三打線の対決を見ると、それまでの大会での試合を比較すると、ワンランクもツーランクもハイレベルな戦いに見えた。

しかし、そこはさすがに強打の三高である。2回裏に4番原島がアウトコースのスライダーをとらえ、流して逆方向への一発。同年夏の甲子園でも同じような当たりで2発放り込んでいるが、原島のこの方向の打球は本当によく伸びた。アウトコース主体で攻める投手にとっては、悪魔のようなバッティングだ。日大三は、3回にも3安打で2点を追加。ただ、試合前に非力と思われていた姫路工打線も真田のホームランなどで取られては取り返し、同点のまま終盤戦へ突入した。

ただ、真田は序盤から自慢の速球を痛打されながらも、真っ向勝負を挑み続けた。2001年度の最高レベルの剛腕と本格派右腕の真っ向勝負は見ごたえ十分。のちに小倉監督が「甲子園で戦った中で一番いい投手は真田」と言い切るほどのボールを投げていた。この姿勢が、チームの闘志をかきたて、7回表には2本の2塁打で逆転に成功!地元近畿の中で5校目、6校目の選出だった公立校が、東京チャンピオンを相手に終盤までよく食らいついた。

ただ、1点リードの7回裏。ランナーを一人置いて、3番内田がセンターバックスクリーンへ逆転2ラン。この一打が与えたショックは大きく、結局13安打8得点の猛攻で三高に軍配が上がった。ただ、何度も言うように、この高いレベルでの投打の応酬は素晴らしいものがあり、2001年高校野球で屈指の名勝負(隠れた名勝負)だったことを強調しておきたい。

2001 春甲子園二回戦 日大三vs姫路工1

2001 春甲子園二回戦 日大三vs姫路工2

2001年選抜  3回戦 東福岡 8-5 日大三

好投手列伝】福岡県篇記憶に残る平成の名投手 2/3 | 世界一の ...

日大三

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 0 1 0 0 1 3
0 0 1 0 5 2 0 0 × 8

東福岡

下野輝章(東福岡)

剛腕・真田を打ち崩し、3回戦へコマを進めた日大三。続いて待ち構えていたのは本格派右腕・下野を擁する神宮覇者の東福岡だった。神宮では日大三が準決勝で打ち負けた尽誠学園に決勝で8-0と完勝。3試合すべてワンサイドで勝って優勝しており、頭一つ抜けた優勝候補だった。

甲子園では初戦で広陵を相手に初回にいきなり5得点を上げ、8-4と優勝経験のある強豪相手に快勝。ホームランあり、2ランスクイズありと攻撃陣の破壊力もすさまじく、俊足の1番上坂、2年生スラッガー吉村(横浜)を中心に破壊力十分であった。日大三ですらも格上と思わせるほどの豪快な戦いぶりである。

しかし、試合開始と同時にチャレンジャー精神旺盛な三高ナインはよく食らいついた。1回表、3番内田が下野のボールを鋭くとらえ、センターへタイムリー!いきなり先制点を上げ、序盤は互角の展開を見せる。

ただ、東福岡の攻撃力の方が、エース近藤と日大三守備陣に与えた圧力が大きかった。中盤、9番下野が自ら勝ち越し弾を放つと、5回裏には都築が3度の失策をしてしまい、大量5点が入った。この悔しさがのちの全国制覇につながっていくことは有名な話だが、当時は東福岡の重圧にただただ苦しむ形となった。

それでも三高ナインは、6回表に3安打で1点を返すと、9回表には5番斉藤のホームランで1点を返す。8安打で3点を返し、1番から5番までは全員ヒットを記録。ただ下野がしたたかだったのは、ランナーを背負ってからも落ち着きを失わなかったこと。微妙に間合いを変えたり、狙い球を外したりと、神宮優勝投手は試合中の冷静さも一級品であった。

また、守備陣のポジショニングも素晴らしく、内田に外角のボールを打たせ、ライト深い位置で守っていたところで捕球するなど、チーム全体の戦術でアウトを取る強さもあった。春の段階では成長途上だった日大三。スコアほどの差はなく、小倉監督も自信を深めた戦いとなったが、春の段階では「したたかさ」という点で東福岡のほうが一枚上手であった。

2001 春甲子園三回戦 東福岡vs日大三1

2001 春甲子園三回戦 東福岡vs日大三2

 

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