独断と偏見で選ぶ、2008年選抜にベスト8へ進めなかったイチオシの好チーム

2008年

北大津(滋賀)

1 河合 10 兼田
2 金田 11 浜口
3 高橋 12 岡本
4 石川 13 田村
5 橋本 14 吉田
6 浅見 15 三垣
7 保木 16 土井
8 岡田 17 徳岡
9 龍田 18 神農

強豪連破、超攻撃野球

2004年夏に甲子園初出場を果たすと、2006年の選抜からは3年連続で甲子園に姿を現した北大津。近江1強の様相を呈していた滋賀県内において強烈な対抗馬として名乗りを挙げてきていた。名将・宮崎監督の元、「1試合の攻撃が27球で終わってもいい」との精神でとにかく好球は打って出る。超攻撃型のチームであった。

しかし、前年の2007年は1回戦最終カードで希望枠の大垣日大に4-7と敗退。大垣日大はその後、同大会で準優勝を果たす実力校だったが、良くなかったのはその試合内容であった。当時2年生だった右腕・河合を筆頭に3投手で与えた四死球は15。相手の倍近い11安打を放ちながら、ミスと四死球から自滅してしまったのだ。当時を経験した主砲の龍田・石川(中日)やエース河合は、リベンジの思いを持って最終学年に臨んだ。

その秋季大会では滋賀大会を勝ち上がると、近畿大会でも準々決勝に進出。大阪1位の履正社にベスト8で8-12と打ち負けたが、三村・石井など当時からハイレベルな投手陣を誇っていた履正社投手陣を打ち込んだ実力は高く評価された。準々決勝敗退校から1番に選出され、実力校として注目される存在であった。

1回戦

北大津

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 1 2 0 3
0 0 0 1 1 0 0 0 0 2

東北

 

初戦の相手は奇しくも初出場を果たした2004年に敗れた東北高校であった。。エース・ダルビッシュ(パドレス)を擁した優勝候補筆頭のチームに全く歯が立たず、この時は0-13と完封負け。強打者・中西(ソフトバンク)を中心に8安打を放ちながらも要所を締められた。あれから4年、チーム力を高めた北大津が再び、東北の雄に挑む時がやってきた。

この年も好左腕・萩野を擁し、この代も東北大会優勝、選抜4強と実績を残していた東北。試合は序盤を河合、萩野の投げ合いでお互い無失点でしのぐも、4回・5回と東北がそつのない攻めで得点を重ねる。しかし、四死球から崩れた前年と違い、河合は決め球のスライダーを軸に無駄なランナーは出さない。結果として四死球になっても攻めた結果のものであり、宮崎監督が「魂の投球」と絶賛する内容で流れを北大津に引き寄せる。

すると、7回表に北大津が反撃開始。ボールが高めに浮き始めた萩野から9番岡田のタイムリーで1点を返すと、8回表には東北守備陣のミスも絡んで同点に追いつく。ここで、勝負強い6番橋本が、「前の2打席で抑え込まれていた」速球を迷わず振りぬくと、打球は右中間を破るタイムリー3塁打に!終盤に試合をひっくり返した北大津が、2年ぶりの初戦突破を果たした。

 

2回戦

横浜

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 1 0 2
0 0 0 4 0 1 0 1 × 6

北大津

第80回(2008年)選抜高校野球大会 2回戦 北大津 対 横浜 1/5 – YouTube

そして、続く2回戦の相手が関東王者の横浜。松坂大輔の春夏連覇以来、出場すればほとんど上位に顔を出していた、当時の「甲子園の顔」とも呼べるチームだ。この年も安定感抜群のエース左腕・土屋(ロッテ)、2年生スラッガー筒香(レンジャーズ)、ショート倉本(DeNA)ときらめくタレントを擁し、本大会でも優勝候補に挙がっていた。

しかし、その王者を相手に北大津が会心の試合をやってのける。1点を先行された直後の4回裏、4番石川のタイムリー2塁打で追いつくと、さらにランナーを3塁において打席には初戦の殊勲者・橋本。カウント0-3と打者有利のカウントとなり、本来なら待ちの場面となるが、北大津にその概念はない。アウトコース甘めのストライクを狙い打った橋本の当たりは1,2塁間を破り、北大津が逆転に成功する。

小倉コーチのもと、セオリーを叩き込まれてきた横浜の2年生捕手・小田もこの打撃には困惑。パニック状態の中、失策でランナーをためると、8番河合には右中間を破るタイムリー2塁打を浴びて、この回4点を失う。横浜としては異質な相手と戦う不気味さが増していっただろう。投げてはエース河合が強気の内角攻めで横浜打線を翻弄。捕手・金田の好リードも光り、横浜打線を2点に封じこめた。石川・龍田のホームランで2点を加えた北大津が6-2と完勝で、2試合連続地区大会王者を撃破して見せた。

 

3回戦

長野日大

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 0 0 0 1 2
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

北大津

 

さらなる上位進出を目指した3回戦。東北・萩野、横浜・土屋と好左腕を崩してきた北大津打線に立ちはだかったのは、長野日大の軟投派右腕・上村であった。初出場ながら、永年松商学園を指揮してきた中原監督の元、したたかさをまとうチームである。上村は真っ向勝負をさせず、カーブを武器に相手打線をかわす投球で北大津打線を沈黙させる。北大津もエース河合が、この日も2失点と好投したが、打線が4安打で完封負け。狙いを持って強気に攻める北大津打線に、狙いを絞らせなかった上村の投球の勝ちであった。

ただ、この戦いは北大津に大いに自信を与えることとなった。2年後の2010年には再び強打のチームを引っ提げて登場。3試合で25得点と凄まじい打力を見せ、成田の好投手・中川も大いに苦しめた。公立校ながら強打で聖地を沸かせた北大津ナインの姿は今も高校野球ファンの脳裏に焼き付いているだろう。

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