独断と偏見で選ぶ、2019年夏にベスト8へ進めなかったイチオシの好チーム 

2019年

智辯和歌山(和歌山)

1 池田陽 10 徳丸
2 東妻 11 小林
3 佐藤 12 湯浅
4 黒川 13 久保
5 綾原 14 入江
6 西川 15 上原
7 根来 16 山本
8 細川 17 矢田
9 18 中西

バランス型に生まれ変わった強豪校

1990年代から2000年代にかけて優勝3回、準優勝3回と一世を風靡した智辯和歌山。しかし、2010年代に入ってからは徐々に苦戦が目立つようになり、市立和歌山など県内のライバルが力をつけるとともに甲子園に出てくることも難しくなっていた。

そんな時代に入学してきたのが、この2019年の3年生世代。2017年に2年ぶりの出場を果たして6年ぶりの勝利を記録すると、翌年の2018年選抜では準優勝を達成する。その戦いをスタメンで経験した捕手・東妻(DeNA)、ショート西川、セカンド黒川(楽天)の3人のセンターラインが中心となった2019年も選抜8強入りし、中谷信監督の元で投攻守走のバランスの取れた「NEW CHIBEN」に生まれ変わろうとしていた。

投手陣はエース池田陽に加え、左技巧派の矢田、2年生の速球派右腕・小林(広島)と分厚い陣容を形成。打線は1年生に期待のスラッガー徳丸を置いたことで厚みをまし、選抜で3番だった主将・黒川が1番に、なんでもできる西川が2番から3番に、リード面の負担を考慮して4番だった東妻を6番に据えた。伸び盛りの2年生細川(DENA)、天才肌の左打者・根来を5番に据え、バランスの取れた打線となっていた。守備力も非常に高く、付け入るスキの見当たらない強力チームであった。

1回戦

米子東

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1
0 0 0 1 0 3 3 1 × 8

智辯和歌山

2019年選手権1回戦 智辯和歌山vs米子東(3日目第1試合) | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

【米子東VS智弁和歌山】5季連続甲子園出場の3人を中心のチームが牙をむく!!2019.8.8【2019夏 甲子園】 – YouTube

初戦は米子東と春夏連続出場校同士の対決に。中国地区屈指の技巧派左腕・森下を相手に序盤は打線がなかなかつながらず、苦戦を強いられる。しかし、エース池田陽も最後の夏を迎えて貫禄の投球を展開する。主将・黒川に最も怒られたという背番号1は140キロ台後半の速球と変化球をビシバシとコーナーに決め、付け入るスキを与えなかった。中盤以降、森下のボールにアジャストした打線が7点を勝ち越し、終わってみれば危なげなく初戦を突破した。

 

2回戦

智弁和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 7 0 0 7
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1

明徳義塾

2019年選手権2回戦 智弁和歌山vs明徳義塾(8日目第3試合) | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

≪選手権≫甲子園(2019) 2回戦 智辯和歌山-明徳義塾 7回裏 1イニング3発で大逆転!! – YouTube

続く2回戦は2002年夏、2014年選抜と2度にわたって敗れている明徳義塾が相手。この試合も明徳の2年生左腕・新地の緩急を交えた投球の前に、序盤は打線が沈黙する。5回には1点を先行され、再び苦しい試合となるが、この状況を打破したのは主将のバットだった。下位打線で作ったチャンスにそれまで7打席無安打だった主将のバットがボールをとらえると、打球はショート前の併殺打と思われた瞬間に大きく跳ね、3塁ランナーが生還。気持ちが乗り移ったような打球で同点に追いつく。

すると、ここから堰を切ったように智辯和歌山の猛打が爆発する。続く2番細川が勝ち越しの3ランを放つと、この回5番根来、6番東妻もホームランを放って一挙7点を奪取。あの2008年の夏の3回戦の駒大岩見沢戦に並ぶ、1イニング3ホームランで明徳を圧倒し、3度目の正直で初めて四国の試合巧者に勝利を収めた。

 

3回戦

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4

星稜

2019年選手権3回戦 星稜vs智辯和歌山(11日目第2試合) | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

≪選手権≫甲子園(2019) 3回戦 星稜-智辯和歌山 – YouTube

そして、伝説として語り継がれる一戦となったのが、3回戦の星稜戦。この試合は2年生右腕・小林が先発し、1点を失うものの、仕事をしっかり果たす。6回に3番西川のタイムリーで追いつき、1-1のタイに持ち込むが、とにもかくにも星稜のエース奥川(ヤクルト)の投腔が凄まじかった。150キロをマークする速球、高速スライダーを武器に、智辯打線からつぎつぎ三振を奪い、その数なんと23。全国トップクラスのだしゃから奪っただけになおのことその凄さが際立っ

ただ、その絶対的エースを相手にして、必死に守り食らいついて智辯和歌山のチーム力もまた素晴らしかった。エース池田陽はこの夏最高の投球で渡り合い、打線は3安打しか打てなくとも奥川の超高校級のボールに食らいついた。延長14回にサヨナラ3ランで散ったが、その戦いぶりは高校野球ファンの脳裏に刻まれた。準々決勝以降、星稜が圧倒的な勝ちっぷりを見せたことから言っても、智辯和歌山にも上位に勝ち残る力は十分備わっていたと言えるだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました