花巻東vs長崎日大 2009年夏

2009年

因縁の長崎vs岩手対決は花巻東に軍配

選抜優勝校清峰の今村を見事に攻略して出場した長崎日大。甲子園抽選の結果、奇しくも初戦の相手は選抜の決勝で清峰が倒した花巻東となった。抽選会場はどよめきに包まれた。

長崎日大は2年前のベスト4以来の甲子園出場。代表を勝ち取るにはとにもかくにも清峰・今村(広島)の攻略が必須であった。直接対決が実現した長崎大会準々決勝の初回に4番・本多のタイムリーなど速攻で選抜V腕を見事に攻略。試合の中でのギアチェンジが得意な今村が調子を上げる前に得点を挙げた。

打線は2年生の7番・高尾が決勝で2ホームランするなど下位まで力がある。エース大瀬良(広島)は右の本格派。今村に見劣りしないストレートを投げる。スタミナに不安があり、決勝でも後半に失点したため右サイド寺尾への継投のタイミングもカギを握る。

花巻東は選抜準優勝校で春夏連続出場。選抜では菊池雄星(マリナーズ)の好投と後半の集中打で勝ち進んだ。しかし、夏に向けて佐々木監督は雄星に頼らないチーム作りを進めた。雄星の投げない中で打線が逆転する試合をし、控え投手にも自覚を持たせて、層の厚いチームを作り上げた。

切り込み隊長・柏葉、曲者・佐藤涼平、主将・川村、4番で投手も務める猿川、チャンスに強い横倉など役者が揃う打線でエースを強力援護する。

 

長崎日大のホームラン攻勢も花巻東が全員野球で逆転勝利

2009年夏1回戦

長崎日大

×

花巻東

 

長崎日大 大瀬良→寺尾→大瀬良

花巻東  菊池

 

菊池雄星大瀬良とともに好投手を擁する両チーム。お互いの打線がどう捕らえるかといったところだが、試合は意外な展開を見せる。

 

2回表、長崎日大は県予選で打率1割台と苦しんだ7番山田が高めに甘く入った変化球をレフトスタンドへ運ぶ。選抜は5試合で3失点だった剛腕から早くも得点を挙げる。大瀬良は馬力のあるフォームから力のあるストレートをアウトローに突き刺し、序盤は花巻東に付け入るスキを与えない。

すると6回表長崎日大は四番本多菊池雄星のアウトコース高めのストレートを流してレフトポール際に運ぶツーランホームラン。菊池が2本もホームランを浴びるという信じられない展開。しかし、長崎日大も県代表を勝ち取るため、清峰・今村を想定して練習してきたチーム。スイングは鋭く、雄星のストレートにも負けない力強さを持つ。

 

試合は3-0と一方的な展開になるかと思われたが、花巻東打線も意地を見せる。6回裏、5番横倉のタイムリーなどですぐに2点を返す。春の東北大会で雄星が投げず、公立校に2-7と敗戦し、監督に雄星頼みのチームと酷評された。以降、雄星に頼らないチームを作ると野手陣が奮起して勝ち上がってきた。今村が打たれてそのまま敗れてしまった清峰とは違うところを見せる。

7回表に1点追加されるが、その裏に1番柏葉のタイムリーとダブルスチールで花巻東がついに同点に追いつく。しかし、このときホームクロスプレーで雄星がわき腹を痛めてしまい、後々このことがチームに影を落とす。

 

同点に追いつき意気揚々とマウンドに上がった雄星だが、8回表に2番小柳にインローのストレートを引っ張ってレフトスタンドへ運ばれる。選抜の雄星を知るものからすると信じられない光景。やはり夏はバッターのレベルが高くなる。

しかし、8回裏、花巻東も火のついた打線が止まらない。あっという間にノーアウト満塁のチャンスを作るとバッターは2年生佐々木大樹。選抜決勝で最後のバッターになった悔しさをばねに練習してきた。マウンドに戻ってきた大瀬良のアウトコース高めのストレートを捕らえると打球はセンターの遥か頭上を越えて走者一掃のタイムリースリーベース。さらに1点を追加し、花巻東が8-5で勝利した。

 

まとめ

清峰は夏の準々決勝で敗れ、以後甲子園出場はない。2005年夏に選抜V校の愛工大名電を破って彗星のように出現し、2009年春まで通算13勝4敗と強烈な輝きを放ったが、公立校であるため、監督・部長の異動もあったことが大きかった。また、甲子園で清峰のuniformが見れる日を待ちたい。

長崎日大は菊池雄星相手に終盤まで互角の展開を演じ、特に3本のホームランを放った打力は全国を驚かせた。1回戦で敗れてはしまったものの、レベルの高さを満点下に示したのだった。

【好投手列伝】岩手県篇記憶に残る平成の名投手 1/2 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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