2003年夏の甲子園大会前予想

2003年

優勝候補の第一集団は春夏連覇を狙う広陵、夏連覇を狙う明徳義塾、昨夏準優勝の智弁和歌山、木内監督最後の夏を迎える常総学院だろう。その後ろから剛腕ダルビッシュを擁する東北、選抜ベスト8の平安、近江などがほぼ差がなく続く。その他には春の四国チャンピオン今治西や打撃の良い光星学院、復活出場のPL学園、スラッガー吉良を擁する柳ヶ浦、堂上を中心とした強打を見せる愛工大名電、鶴田・川口の左右の2枚看板を擁する静岡、長身右腕川瀬を軸にする長崎日大なども注目された。

広陵選抜優勝校で4季連続の出場。その全てでエースとしてマウンドに上がってきた西村(巨人)と白浜(広島)のバッテリーを中心に春夏連覇を狙う。西村は重いストレートとスライダーを武器に選抜はほぼ一人で投げぬいた。広島大会でもほとんど打たれるシーンはなく、最後の夏に集大成を見せる。控えのサイド右腕北村も好投手。打線は選抜の終盤に猛威を振るった上位打線を中心に強力。トップバッターの上本(阪神)は高い出塁率を誇り、2番の片山とは盗塁、エンドランと何でもできる。3番藤田、4番白浜は長打力があり、加えて1年生の藤川(阪神)が春から加入し5番を打つ。下位の安井、伊藤も打撃がよく上位から下位まで切れ目がない。もはや広島には敵なしといった状態であった。満を持して春夏連覇を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=nE3vRhWL28c

明徳義塾昨夏の優勝校。こちらは5季連続の甲子園出場となり、夏連覇に挑む。エースはサイドスローの湯浅。内外角を丁寧に突く投球が光る。リリーフで昨夏から経験のある2年生鶴川が控える陣容。打線は1番主将の沖田と4番山口がチームを引っ張り、2番以降松原、梅田、田辺、久保田と2年生が多く並ぶ若い打線。沖田には昨夏の森岡(ヤクルト)のようにチームを引っ張る役割が期待される。春は横浜に敗れ、夏の初戦は奇しくもその横浜を倒して上がってきた横浜商大。雪辱に燃える。まずは初戦を勝って波に乗りたいところ。

https://www.youtube.com/watch?v=AnOHn0OJhIE

智弁和歌山昨夏準優勝で選抜ベスト8。4季連続の甲子園出場の常勝軍団である。打線は昨春から4季連続で出場している嶋田、堂浦、上野、本田を中心に強打を見せる。嶋田は選抜で3番を打ち、3試合ノーヒットと不振を極めたが、夏は昨年と同じ1番を打ち復活。打線を引っ張った。本田は準決勝で南部の好投手・岡本からホームラン。4番として試合を決める1打を放つ。投手陣は2年生中心。滝谷は安定感があり、選抜準々決勝で打ち込まれた坪内も成長。和歌山大会決勝で完投勝利を飾った。後はエースの本田の復調が待たれる。甲子園での勝ち方を知っている高嶋采配で3年ぶりに深紅の大優勝旗を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=3iq4WKZcEsM

常総学院3年連続の夏。木内監督はこの年限りでの勇退を決めており、花道を飾りたいところ。その名将曰く「これまでで3本の指に入るチームができた」とのこと。中心になるのは3番ショートの坂(阪神)。1年生から甲子園の土を踏んでおり、好投手攻略のカギを握る。1番の平野も昨夏甲子園でタイムリーを放っている。4番の松林は木内監督が「今まで指導した中で一番練習した」という苦労人。逆方向に打ち返すバッティングが光る。チーム打率は422と強力である。投手は技巧派左腕磯部が試合を作る。完投能力もあるが、甲子園で勝ち上がるためには昨年からの主力である右アンダースローの飯島が復活してほしいところである。

https://www.youtube.com/watch?v=rjiiNHpURew

東北春夏連続出場だが、夏は10年ぶりの出場となる。ようやく仙台育英の牙城を突き破り、決勝で5-4と逆転勝利をおさめた。エースは150キロのストレートを投げる剛腕ダルビッシュ(日本ハムレンジャーズ)。変化球も9種類ほどあり、技巧的なピッチングもできる。その他にも斉藤、高梨の3年生に真壁、采尾の2年生がおり、質量ともに豊富な投手陣を誇る。打線は1番家弓、3番大沼、4番横田が2年生、6番加藤が1年生と若い布陣だが力はある。横田はツボにはまれば1発放り込む力を持つ。3年生も負けておらず、2番宮田は何でもできる好打者で、6番主将片岡や7番捕手佐藤がチームをまとめる。ショート宮田・セカンド古川などのセンターラインを中心に守備力も高い。悲願の東北勢初優勝を狙える布陣である。

https://www.youtube.com/watch?v=xsYpxUt2W1I

平安選抜ベスト8。昨年秋の近畿大会優勝校である。好左腕服部と強力打線で全国制覇を狙う。服部は球威・球速がそこまで際立つわけではないが、ストレートのインコース・アウトコースへのコントロール、変化球の切れと低めへの制球が抜群で、三振の取れるサウスポーである。走者を3塁においても外野フライさえ打たせず得点を与えない。控えの井上も好投手で京都大会では服部の負担を軽くした。打線は昨秋に猛打で近畿大会を席巻。しかし、明治神宮大会ではダルビッシュに完封され、選抜でもベスト8入りしたとはいえ西村・西野が抑え込まれ得点は伸び悩んだ。そこから打力を再び強化。西村は「ただ甲子園に行くだけではない。最強の平安として甲子園に行く」と意気込み、京都大会では福知山成美・京都外大西との打ち合いを制した。1番松崎・2番白瀧のコンビで機動力を使って仕掛け、3番西村は長打を連発した。4番西野は不振にあえいでいたが、京都大会決勝で先制3ランを放ち、復活を果たした。5番を打ち、選抜をきっかけに伸び盛りの2年生丸木、7番打撃もいい服部、9番でセーフティバントなど俊足を武器にする西郷など攻撃のバリエーションも増えてきた。守りは捕手原・松崎、白瀧の二遊間を中心に固く、レフト西村・センター西野は強肩。守備力に関してはこの年の近畿No.1だろう。夏の甲子園では生まれ変わった打線と堅守で服部を支え勝ち進みたい。

https://www.youtube.com/watch?v=OrNriwiCPvg

近江選抜ベスト8。準優勝した2年前以来の夏の出場で、滋賀県勢初の全国制覇を狙う。

おそらく近江史上最も前評判の高いチームの1つだろう。投手はエース小原が中心。昨秋までは2001年夏のように3投手の継投で勝つスタイルだったが、選抜でエース小原が完全に一本立ち。ストレートとカーブを丁寧に外角に集める投球で宜野座、名電と撃破し、準々決勝でも優勝した広陵と8回まで互角に渡り合った。その後、勢いに乗り、春の近畿大会も制覇。決勝で天理との延長戦を制した。この大会も投げ切った小原は夏の滋賀大会も一人で投げぬき、押しも押されぬ近江のエースとなった。打線はもともと強力。昨秋は平安のエース服部を打ち込んでいる。1番2年生岡は出塁率が高く、一昨年の準優勝メンバーの3番大西、4番那須から生野、東原と下位打線まで長打力を秘める。滋賀大会では猛打爆発とまではいかなかったが、甲子園ではエース小原を強力援護したい。

https://www.youtube.com/watch?v=H8cMhN1CkJ8

今治西夏は意外にも22年ぶりの出場。しかし、95年春・2001年に選抜ベスト4入りするなど実績は十分。現チームは昨秋に四国大会準決勝で鳴門工業に悔しい逆転負けを喫したが、今年の春の四国大会では優勝。実力は十分である。トップバッター黒川や主砲秋月を中心に3割・4割バッターがずらりと並ぶ強力打線は大会でも上位に入るだろう。6番を打つ義足の球児・曽我健太も話題となっている。投手陣はエース豊島と山田の二本柱。豊島はアウトコースへのスライダーが武器の好右腕。山田も好リリーフで盛り立てる。まずは22年前のベスト8に並びたい。

https://www.youtube.com/watch?v=_3Y6sN0kc7s

光星学院2年ぶりの甲子園出場。青森山田から再び覇権を奪回した。決勝では昨年・明徳の優勝投手の田辺から2打席連続ホームランを放った金井を封じ込め、9-4で宿敵を下した。青森大会では打撃の調子がよく、特に6番日向端は20打数16安打の打率8割と絶好調。甲子園でも活躍が期待される。打線の軸は4番の田中隆彦、左打ちでのシュアなバッティングが光る。3番東原、5番森野も好打者である。投手はエース桑鶴が丁寧な投球で要所を抑える。打線の援護があるだけに最少失点で切り抜けていきたい。東北の陰に隠れているが、近年好調の青森勢であり、東北勢初優勝を狙う力は十分である。

https://www.youtube.com/watch?v=9gvaaVqWaIQ

PL学園3年ぶりの夏出場。不祥事による出場辞退を乗り越えて、名門が帰ってきた。

今年の大阪は突出したチームがなく、混戦が予想されたが、その中でPLの選手たちは見事な勝負強さを見せた。特に、準決勝の北陽戦では終盤に鮮やかな逆転を演じ、ベンチで選手たちは涙を見せた。投手は制球のいい木村から、角度のあるストレートが武器の田村、・左腕藤井などにつなぐ継投が持ち味である。打線は主将の小窪(広島)が不振で7番に下がっていたが、大阪大会で復活。本番では1番に戻り、俊足の2番鈴木との機動力でかき回す。3番谷中はセンスはチーム1。4番松本は長打力がある。守備も捕手・二葉を中心に固い。

さまざまな苦難を乗り越えて戻ってきた王者・PLが上位進出をもくろむ。

https://www.youtube.com/watch?v=2h03B0QiNo8

柳ヶ浦2年連続出場。昨夏も3番を打った吉良は大会屈指のスラッガー。逆方向にも長打が打てる。大分大会決勝では春の県大会でノーヒットノーランを達成した楊志館の左腕伊藤から高めのストレートをレフトスタンドへ流してホームランした。5番清水も伊藤からホームランを放っており、打線は強力。投手陣も大分大会5試合で失点3と盤石。昨夏甲子園のマウンドを踏んだ松延・左腕中田・1年生長身右腕山口(DeNA)など4人の投手陣を擁する。1回戦で対戦する常総・木内監督をして「柳ヶ浦は点くれねえなあ」と頭を悩ませたほど。この夏の九州代表では最も地力の高いチームだろう。1994年にベスト4入りした時以来の上位進出を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=09ctvO_oMRw

愛工大名電春夏連続出場。夏は5年ぶりの出場となるが、選抜は2年連続出場中である。選抜では2年とも打力に定評があるという前評判だったが、ふたを開けてみると不発。今年の選抜の勝利も1-0と僅差であった。2年生長身左腕丸山からエース左腕昆野につなぐリレーで夏の愛知大会でも安定感が光った。さらに、堂上がストッパーとしても控える。問題は打線で、愛知大会で3番昆野、4番堂上(巨人)を中心に強打を見せつけ、青山・長尾など下級生にもいい打者が揃うが、果たして全国で打てるかどうか。打力の名電たる意地を見せつけたい。

静岡夏は高木(巨人)を擁して優勝候補の一角に挙げられた1999年夏以来4年ぶりの出場。今回も4年前と同様、鶴田・川口の左右の2枚看板を擁して投手陣は充実。決勝では選抜出場校の浜名を川口が強気の投球で4-0と完封。3番手の2年生増井も長身からのストレートに威力がある。投手力は大会でも上位に入るだろう。打線は3番服部が軸。勝負強い打撃でチームを引っ張る。失点が計算できる分、チャンスを確実に得点に結び付けたい。

https://www.youtube.com/watch?v=P0pnLHTdCAk

長崎日大3年ぶりの夏出場。エースで4番の川瀬を中心にした大型チーム。まずは3年前のベスト8を目指す。投手陣は技巧派の先発小川から本格派の川瀬へとつなぐ。打線も4番の川瀬を中心に破壊力がある。的野監督も「今年は総合力が高い」と自信を見せる。1回戦は静岡との好カードとなった。初戦を突破して波に乗りたい。

https://www.youtube.com/watch?v=8mB7aF8KpI4

千葉屈指の好投手の木更津総合・小泉と全国的にも優勝候補だった遊学館を倒した金沢・成出の投げ合いは見もの。

https://www.youtube.com/watch?v=tJA-BL7ubBc

中国地区屈指の右腕・陶山はスライダーの切れる好投手。北海道では負けなしの駒大苫小牧と相まみえる初戦は好カードだ。

https://www.youtube.com/watch?v=GnZo-X9HshY

東東京大会決勝で二法学者大付属の好投手・小杉陽太(DeNA)を9回の集中打で攻略した都立雪谷は勢いに乗ってPL学園に挑む。

名門・天理はしばらく甲子園から遠ざかっていたが、久しぶりの出場。初戦はスラッガー佐藤の率いる秋田と激突する。

https://www.youtube.com/watch?v=kH9XXKcDZJQ

聖望学園のエース松村は浦和学院・須永との投げ合いを制した好投手。浦学の強力打線をわずか2安打に抑えた。

https://www.youtube.com/watch?v=eTmRRVrRZWo

小松島は徳島大会で鳴門工・徳島商と選抜出場校を連続撃破。谷(中日)、平岡(元巨人)と好投手を長打でねじ伏せた。エース大和は必殺のシンカーで相手を打ち取る。

https://www.youtube.com/watch?v=4jCszxyyE_I

富山商の2年生二瀬は注目のスラッガー。長身右腕・長江を援護したい。

https://www.youtube.com/watch?v=ht6VnfI8BeM

沖縄尚学の右腕・広岡は三振奪取率の高い好右腕で外角のスライダーを振らせる。上位打線が先制点を挙げて広岡を援護したい。

https://www.youtube.com/watch?v=GFVRiR4xaIU

熊本から初出場の必由館は足を使った攻めが持ち味。常連・光星学院のエース・桑鶴に挑む。

https://www.youtube.com/watch?v=DVTWs6I4V-Y

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