2005年春の選抜甲子園大会前予想

2005年

昨年春は済美の初出場初優勝、夏は駒大苫小牧の北海道勢初優勝とともにインパクトの大きい大会となった。2005年の高校野球界はどの地区が勝ち進むのか、注目が集まる。

優勝争いの中心になりそうなのは神宮王者・柳ヶ浦、昨選抜準優勝の愛工大名電、前年夏の覇者・駒大苫小牧の3校である。

神宮大会初優勝を果たした柳ヶ浦はなんといってもエース山口(DeNA-巨人)の存在が大きい。元大相撲力士・谷嵐を父に持つ剛腕は下半身の充実ぶりが光る。マウンドでも見せる四股の訓練により、股関節の柔軟な動きを手に入れた。どっしりした下半身を土台にして放たれる140キロ台中盤の真っすぐはしっかり体重の乗った重い球質のボールだ。ここに落差の大きいフォーク、キレのあるスライダーを投げ込み、イニングとほぼ同数の三振を奪った。控えには右下手投げの中村や橋田がいるが、本番は山口に託すことになりそうだ。打線はチーム打率こそ3割に満たないが、走力とつながりで勝負できる。上位の大野、工藤、柴垣は俊足ぞろい。4番の柴垣は打率は24分台ながら打点は13と勝負強い。時神宮大会では各地区王者から毎試合7得点以上と得点力は高い。失点が計算できるだけに着実に得点したいところだろう。昨年の神宮はすべてワンサイドで勝利。甲子園でも当然優勝候補の筆頭だ。

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昨選抜、神宮ともに準優勝だった愛工大名電は同校初の甲子園優勝を狙う。昨年の選抜ではバントを駆使した攻撃で一世を風靡したが、そこからさらにスケールアップ。盗塁、エンドランなども絡めていくようになり、69盗塁は出場校中断とつトップ。相手守備を混乱に陥れる。それに加えて冬場は打力自体を強化。出場校中でも屈指の攻撃力を誇る。中心になるのは、2年生の4番堂上(中日)。恵まれた体格から放たれる打球は高校生離れしており、ヒットの半数は長打。兄の剛裕(中日―巨人)を上回るかもしれない逸材だ。周りを固める上級生は昨年からの経験者。3番の小島打って走れるイチロータイプ。1番の佐々木は堂上に次ぐ長打力を秘める核弾頭だ。2番の主将・柴田(オリックス)はチャンスメークもつなぎも試合を決める一打もすべてこなせる万能タイプだ。下位にはバントの達人・花山が座るなど多士済々の面々が並ぶ。投手陣は昨年選抜の決勝でKOされた斎賀は悔しさをばねに成長。しなやかなフォームから投げ込む140キロ台の速球とスライダー、フォークで安定感抜群。新たにカットボールの習得にも努めており、さらなる成長が見込める。2番手の十亀(西武)は右サイドからテンポよく140キロ台の速球を投げ込む本格派だ。守備も1試合平均失策0.80と固い。投攻守のバランスは一番とれており、今年は優勝の大チャンスだ。

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昨夏優勝の駒大苫小牧は夏春連覇を目指す。昨夏甲子園の舞台で最後まで戦い、最も遅く新チームを始動したわけだが、優勝メンバー6人を残したチームは北海道大会を何とか制した。横浜・涌井(西武―ロッテ)からサイクルヒットを放った林をはじめ、辻・五十嵐と経験者が残り、守備は安定。雪上ノックで鍛えた守りは健在だ。打線でもこの3人が上位を打ち、チャンスを作り出す。4番を打つ2年生の本間はがっしりした体格から長打を放つ右の大砲だ。投手陣は昨夏の甲子園でも投げた速球派・松橋、技巧派右腕・吉岡に2年生の田中(楽天―ヤンキース)と3人でレベルの高い争いをしている。特に田中は遠投110メートルの強肩で捕手もこなせるセンスの持ち主。期待の逸材だ。残る課題は糸屋の抜けた捕手。小山は守備とリードは問題なしだが、打撃に課題を残す。小山の打撃が伸びればいよいよ穴のないチームになっていくだろう。まだまだ伸びしろ十分の王者が今度は北海道勢初の選抜優勝を狙う。

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この3校を追う集団は次の8校になりそうだ。

関東王者の東海大相模は優勝した2000年春以来の選抜。中心となるのはエースの小泉。184㎝の長身から繰り出すMAX144キロのストレートを武器に、スライダー・カーブを交えて打ち取る。勝負所をわきまえた投球で昨秋の関東大会は4試合完投し、防御率0.75と好投した。小泉を支える守備は「より速く正確に」を合言葉に攻める守備を心掛ける。アグレッシブベースボールの方針のもと攻撃は足を絡めて相手のスキを突く攻撃が持ち味。2つ先の塁を狙う野球で状況判断を磨いた。打線の中心になりそうなのは2年生4番の田中(巨人)と父がプロ野球選手だったサラブレッドの角。田中は長打力が魅力の期待のスラッガー。角は昨秋15試合で21打点とチーム最多を記録し、勝負強い。左打者が多い中で小林は関東大会で6割を超す打率を残し、貴重な右打者として君臨する。神宮大会では優勝した柳ヶ浦に18とまさかのコールド負け。足元を見つめなおすいい機会になったと門馬監督。

過去選抜で無類の強さを誇る強豪が再び全国の頂を目指す。

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近畿地区を練習試合含めて36試合無敗で駆け抜けた神戸国際大付属は自信の戦力で上位進出を目指す。エース左腕の大西(ソフトバンク)は躍動感のあるフォームから繰り出す140キロ台のストレートと大小2種類のカーブが持ち味。試合によってむらがあるのが玉に傷だが、調子のいい時は手が付けられない投球を披露する。右のエース有元も140キロ台の真っすぐを持つ本格派。変化球の制球に課題があったが、徐々に改善されてきた。この左右2枚看板は大会でも屈指の投手力だろう。攻撃はチーム打率は高くないが、内外野ともに調子が悪ければすぐに代えられる層の厚さが自慢。そんな中で軸となるのは2年の春から4番を打つ正木。秋は5割を超す打率でチームトップの14打点をマーク。追い込まれても柔軟に対応できる打撃を見せる。3番を打つ主将の堂本は身長は小柄だが、チーム一の努力家でチャンスの場面で頼りになる打者。1番俊足の前田が出塁して、正木・堂本で返すのがパターンだ。それ以外のメンバーの争いはし烈。春まで誰が出てくるか分からない状況だ。神宮大会の柳ヶ浦戦まで無敗を誇った戦いぶりは本物。勝ち方をよく知るチームが坂口(オリックスーヤクルト)を擁した時以来の選抜でまずは初勝利を狙う。

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初戦で大会一の好カードとして実現した東邦―育英の両者はともに優勝する力を持つチームだ。

東邦は3年連続の選抜。木下(日本ハムー中日―ヤクルト)と水野(ヤクルト)のバッテリーを中心としたバッテリ―に絶対の自信を持つ。木下は183㎝の長身から投げおろす140キロ台前半の真っすぐにブレーキ鋭いカーブ、切れ味鋭いスライダー、そしてフォークボールと決め球に使えるボールをいくつも持つ三振のとれる本格派だ。1試合平均の三振数は10個を超える。強肩でインサイドワークもいい水野とのコンビで相手打線を封じ込める。

打線も強力。チーム打率4割を超し、主力が全員35分を超す破壊力を見せる。中軸に座る末藤、西村、水野はともにシャープな振りが目立ち、チャンスに強い。末藤は広角に打ち分け穴の少ない好打者だ。盗塁、送りバント、エンドランなど機動力や小技も絡める。ホームランこそ少ないが、対戦相手にとっては実に嫌な打線だ。守備範囲の広いショート瀬戸川を中心に内外野とも堅実な守備を見せる。名将・阪口監督の後を受けて監督として初めての甲子園となる森田監督は失敗を恐れない野球を信条とする。昨秋の名電との東海大会決勝は木下が故障で投げられず敗退。実力は十分な隠れ優勝候補がまずは注目の初戦を取りに行く。

その東邦と対する育英にも大会屈指の好右腕・若竹(阪神)がいる。昨夏までは精神面の弱さがあったが、昨秋は大きく成長。県大会序盤で東洋大姫路、報徳学園と強豪と立て続けに当たる苦しい組み合わせだったが、若竹の好投で勝利。報徳の好投手・片山(楽天)に投げ勝った。足を大きく上げる独特の投法からMAX148キロの高めのストレートと緩いカーブ、スライダーで空振りを奪う。94回を投げて106三振を奪った。公式戦12試合中11試合を完投した。本番も若竹にすべてを託すことになるだろう。堅守も自慢でミーティングを重ねて連係プレーの精度を高めた。打線は強打ではないが、上位打線には勝負強い打者が並ぶ。1番ショートの近藤は打撃センスが高く、俊足を活かしてかき回す。3番の原はミート力が高く、4番の吉井は足を上げたフォームから力強くバットを振りぬく。チーム打率は高くないが、近畿大会では準決勝で前年選抜を経験した八幡商のエース上田を10得点で攻略したように相手の甘いボールを逃さない打撃を見せる。伝統の洗練された野球で過去最高の4強を超えて見せる。

近畿でもう1校、天理も昨夏の経験者を残して有力候補だ。このチームの長所はなんといっても打力。1試合平均得点は10点を超え、出場校中トップ。3番真井、4番田中克と1年生から甲子園を経験し、昨夏8強入りした時も中軸を打った2人が中心となる。ともに左右に打ち分けられ、変化球にも対応できる。田中は勝負強さも併せ持ち、県大会では智弁学園戦で逆転サヨナラ3ランを放った。1番の2年生松原は思い切りのいい打撃でレギュラーに定着。公式戦打率は5割を超える。2番高田はバント、エンドランなどつなぎの打撃に徹する。56番の橋間・東にも粘り強さがあり、特に6番の東は体格がよく1発放り込む

力を持つ。この打者を6番におけるところに今年の天理の力がうかがえる。対照的に投手陣は複数人を抱えるもエースが定まらない状況。その中で左腕の小倉は少し抜け出そうとしている。左の技巧派で緩急をつけた投球が光る。その他、右サイドで力のあるまっすぐが武器の槌谷、2年生の右の本格派・藤井など楽しみな投手が多いだけにチーム内での競争でレベルアップを図る。継投も視野に入れているだろう。昨秋は近畿大会で神国に54と接戦で敗れるも森川監督は「力の差はあった」と認める。投手陣や守備の整備を図り、優勝戦線に絡んでいく。

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昨夏8強の修徳も楽しみな存在。ベンチ入りした18人中13人が下級生だったこともあり、経験値は出場校中でもトップクラスだ。甲子園で2試合連続完封を果たした左腕・斎藤(日本ハム)は秋は故障もあって苦しんだが、しなやかなフォームから投げ込む真っすぐは球速以上に伸びがある。冬場のトレーニングで回復を見せており、本番は楽しみだ。秋にはみんなに助けられたとコメント。本番では恩返しの好投を見せるつもりだ。斎藤の不調を補ったのが、2年生右腕の磯部と佐藤寛の両右腕。磯部は大小2種類のスライダーを武器に3完投。佐藤は防御率0点台と安定感抜群だ。打線はチーム打率は3割と少しだが、長打率が高く迫力がある。つながりにかけるところはあるが、打力自体は高い。4番の磯部、5番長嶋の2人はともに打率4割台でヒットの半分近くが長打だ。3番に置いた田母神は的確な状況判断ができ、彼の果たす役割が重要になりそうだ。課題になるのは守備。13失策を記録したように内外野ともまだ穴は多い。特に内野に失策が固まっており、整備が求められる。まずは昨夏の8強に並び、そこからさらなる上位を目指したい。

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青森山田(青森)柳田将利投手 2年夏…:2000年代 「夏の球児 ...

同じく昨夏のメンバーがほとんど残る青森山田は東北大会準優勝ながらチーム力は大会でも屈指だ。新チーム結成直後の練習試合では東北、仙台育英、東海大山形を練習試合で下すなど戦力を維持している。エースは大会屈指の本格派左腕・柳田(ロッテ)。90キロを超すがっしりした体格から投げ込むストレートは140キロを超し、変化球も多彩。スタミナも問題ない。2年生右腕の野田も同じく140キロを記録し、スライダーとのコンビネーションで封じ込める。練習の大半を費やす守備も自信を持ち、8試合で失策はわずか2.堅守で両投手を盛り立てる。打線は中軸の加守田、柳田、谷川の中軸が4割を超し、下位にも東北大会で代打ホームランを放った高橋や器用な打撃の本田が並び、県大会や東北大会を通じて抑え込まれた試合はほとんどなかった。昨夏は開幕戦で天理に悔しいサヨナラ負け。その時のスタメン8人が残っており、今大会は格好のリベンジのチャンス。狙うはもちろん東北勢初優勝だ。

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柳ヶ浦の神宮大会優勝で得た神宮枠で出場した東筑紫学園だが、昨秋唯一その王者を延長15回の接戦で苦しめたチームとして期待は高まる。中学時代に全国大会で準優勝したメンバーが4人残り、潜在能力の高いチームだ。エース酒井はバランスのとれた体格からスピード、制球、変化球とも高いレベルでまとまっている。スピードで押す場面と変化球でかわす場面を使い分ける器用さもある。見た目以上に打ちにくい投手だ。控えには長身右腕の宮脇がおり、変化球主体で抑える投球を見せる。打線はしぶとく昨秋は柳ヶ浦・山口を苦しめた。3番捕手の小原は広角に打ち分け、4番黒木はユニフォームがはちきれんばかりの体格からフルスイングを見せる。5番投手の酒井は4ホームランと長打にするツボを持つ。守備も1試合平均約1個と固く、投攻守に大きな穴はない。初出場でベスト8入りした1993年の再現を狙う。

以上の8校は優勝争いに絡んでくるだろうが、その他にも上位に食い込む力を持つチームは多い。今大会は有力チームの全体に占める割合が高そうだ。

関東の常連2校はやはり侮れない。

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関東大会準優勝の浦和学院は夏春連続の出場。昨夏のメンバー4人が残り、昨秋の関東医大会では唯一チーム打率が3割を超えた。1番を打つ渡辺は公式戦打率4割を超し、チーム最多の6盗塁。打点もチームトップタイと大活躍を見せた。3番主将の今成(阪神)はシュアな打撃で勝負強く捕手としてリードでも投手陣を引っ張る。昨夏の甲子園でもマスクをかぶっており、経験豊富だ。関東大会で4番を打った都築、大型一塁手の前野も甲子園出場組。送りバントも多く、そつのない攻撃を仕掛ける。投手陣はエース井上が一本立ち。内野からの転向だが、腕の振りがよく低めにボールを集めて切れで勝負するタイプだ。引き分け再試合となった関東大会の準々決勝・慶応戦では14回を投げぬいた。失策も1試合平均092個と少ない。昨夏同様そつのない野球のできる実戦派のチーム。負けにくい野球で上位進出を狙う。

常総学院 2005春 - YouTube

2003年の全国制覇を果たした常総学院は持丸監督に代わってから初の甲子園。打力に自信を持つチームだ。秋の公式戦で打率448厘をマークした佐藤一と4番の勝田は1年時に全国制覇を経験。勝田は高校通算20ホームランをマークした長距離砲だ。練習では竹バットを用いてミートの精度を高めている。この2人を中心にチーム打率は3割4分台。昨秋は浦学投手陣を打ち込んだ。不安があるのは投手陣。右サイドの伊勢はスライダーを武器に奮闘するも防御率は3点台。シュートを習得して投球の幅を広げようと奮闘中だ。その他速球が武器の2年生小原や同じく2年生でスライダー、カーブが武器の渡辺ら潜在能力の高い投手もいるだけにチーム内競争でまだまだ伸びしろのある投手陣だ。持丸監督体制になり、紅白戦に参加できるのを監督・コーチに認められた選手に限定。練習における緊張感を増してさらなる上を目指している。2001年からの3年間で2度の全国制覇を果たした常勝軍団が再び全国の頂を目指す。

山形勢初4強 3カ国語が飛び交う個性派集団 - 「甲子園」100年物語 ...

東北大会王者の羽黒は昨秋青森山田に駒大苫小牧と前評判の高い両チームを撃破。名電にも食らいつき、地力の高さを見せた。中心となるのは片山、中島、吉田の日系ブラジル人の3人。エースの片山マウリシオは東北地区屈指の技巧派の好投手。チェンジアップを武器に大事な場面でコントロールを間違わない。冬場の走りこみで下半身が安定し、スタミナに不安はない。右横手の菅原や右本格派の長澤も控えており、継投策も問題ない。そして攻撃力も高い。秋季東北大会で4試合40得点。青森山田の自慢の2枚看板からも9得点を奪った。1番の中島ユンは今大会でも屈指の俊足の持ち主。4番の吉田はがっしりした体格で長打力を持つ。6番に4番の力を持つ佐藤を置くことができ、昨秋は5割近い打率を残した。選球眼の良さも光り、チーム全体でプレッシャーをかける。横田監督の指導方針はスパルタ厳禁。選手の自主性を活かした野球を目指す。昨春は東海大山形が山形勢初の8強入り。今東北勢に追い風が吹いている中、今度は初の4強入りを狙う。

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北信越チャンピオンの福井商は守りの野球で上位を狙う。エースの林(ロッテ)は183㎝の長身から投じる140キロ台の真っすぐを武器に押す本格派。昨秋は防御率1.55と抜群の安定感を誇った。捕手の斎藤進とは小学生からのバッテリーで気心が知れている。左腕の斎藤悠も185㎝の長身。しなやかな腕の振りから繰り出すカーブが武器。他校がうらやむ長身の左右2枚看板だ。攻撃力はチーム打率3割前半で昨秋は決定力にかけた。福井商らしくバントで進めてくるだけにチャンスで1本ほしいとこだ。3番の宮前は攻守にセンスが光るだけに彼の前にランナーをためたい。堅実な野球で伝統校の底力を見せたい。

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九州大会でそれぞれ柳ヶ浦に3点差をつけられたが、この2チームは確かな力がある。沖縄尚学と神村学園だ。

沖縄尚学はチーム打率も盗塁数も出場校中2位という攻撃野球が持ち味。岡山の関西高校を選抜ベスト42度導いた角田監督は沖縄球児の上半身の強さに驚いた。身体能力が高く、手先で打っただけで打球が飛んでいく。真っすぐにはめっぽう強いため、変化球打ちをマスターさせた。10試合で2塁打263塁打14と長打力があり、足も絡められる万能型の打線だ。1番の山内は「体さえ大きければプロ」という3拍子揃ったリードオフマン。3番比屋根(ヤクルト)は思い切りのいいスイングが魅力の好打者。5番比嘉は気持ちの弱さが課題だが、素材は一級品。小泉、赤嶺と続く下位打線はダブルクリーンアップといえる力の持ち主。4割以上が5人、投手の前嵩以外全員が34分以上という高打率を誇る。投手陣は制球力に優れる前嵩と度胸満点の左腕・赤嶺の2人。ともにストレートは速くないが、コントロールよく試合を作る。強力打線を従えて1999年以来の優勝を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=QD-myEhoFLw

初出場ながら力があるのが神村学園。創部2年での甲子園出場と昨年優勝の済美に並ぶスピード出場。エースの野上(西武)は細身ながら最速142キロの速球とキレのあるスライダーを外角に丁寧に集める好右腕。長沢監督が実は希望枠での出場を狙っていたというぐらい自身のある好投手だ。投手に必要なハートの強さを持っており、大会注目の投手だ。4番の天王寺谷は高校通算29ホームランのスラッガー。強靭な足腰とリストの強さで昨秋の九州大会では柳ヶ浦の山口から2ランホームランを放った。もう一人中軸の椎葉は中距離タイプの好打者。外野手の間をライナーで抜いていく。足の速い選手も多く、スタメン全員が50メートルを6秒前半で走る。中軸の2人以外は打順を入れ替えて相手に対応する。初出場ながら走功守投とレベルの高い野球で済美に続く初出場初優勝を目指す。

https://www.youtube.com/watch?v=ac4YCujYcAc

中国地区の2校も力のあるチームだ。

宇部商は粘り強い戦いで10年ぶりに中国大会を制覇。左腕エースの好永は公式戦をほぼ完投。球速は130キロ台前半の軟投派だが、四死球で崩れることがなくボールになるスライダーを降らせるのがうまい。かつて田上(1985年)、木村(1988年)、藤田(1998年)と実践派の好左腕を輩出してきた名門校から出てきた好投手だ。守備はやや粗く、大量失点を喫する場面もあったため、昨秋から4人をコンバート。強化を図っている。打線はチーム打率3割台前半ながらつながりだすと止まらない迫力を見せる。中国大会では8点差を逆転する粘り強さを見せる。3番の工藤は打率458厘と高打率で中国大会初戦はサヨナラホームランを放った。4番の好永はバットコントロールのいいつなぐ4番。5番の江本は11試合で14打点と勝負強く、パワーヒッターでもある1番山野は盗塁数チームトップ。2番上村は長打力があり、打ってつなぐ2番だ。9番には強打の主将・井田が座り、下位からでもチャンスを作れる。ミラクル宇部商復活を示したい。

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関西はチーム打率394厘の強打が自慢のチーム。特に24番の上位打線に5割打者が3人並び、初回から相手に圧力をかける。思い切りのいい打撃の1番安井が出塁すると2番の長尾が着実に好機を広げる。3番の舟引は安定感のある打撃が持ち味。4番松本は優れたバットコントロールを見せ、つぼにはまれば1発もある。西村ら左打者の並ぶ下位打線はまた違った顔を見せる。2年生の成長株・上田(ヤクルト)が加わって破壊力が増した。控えの椎葉は江浦監督がDHがあれば使いたいというほどの好打者で代打の切り札的存在だ。投手陣は右サイドで多彩な変化球が持ち味の西所がエース。狙ったところに投げられる制球力が武器だ。2年生の長身右腕ダース(日本ハム)は球威よりキレで勝負するタイプだ。

松本、舟引の二遊間を中心に守備も固い。得意の打力で2枚看板の投手を援護するためにも先手を取って試合を進める展開にしたい。

https://www.youtube.com/watch?v=J2fOkLKMhak

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昨夏の経験者を多く残す市立和歌山商業は打力に関しては大会上位クラスだろう。上位打線には昨夏の甲子園をスタメンで経験した打者がずらりと並ぶ。1番を打つ川端(ヤクルト)は15安打中10本が長打という恐怖の核弾頭。チームを勢いづける。2番には昨夏4番を打った梶本を置く強気の布陣。チームトップの打率を残した信下、3塁守備の成長で打撃に専念できた皆本、2年生ながら長打力のある伊藤で組むクリーンアップにいい形でつないでいく。エース左腕の田嶋は165㎝と小柄ながらチェンジアップで巧みにタイミングを外す。球速は速くないが、緩急・コントロールで打ち取れる技巧派だ。打線の力が確かなだけに最少失点でしのぎたい。昨夏は2戦目で敗れたこともあり、この選抜は2勝してのベスト8が目標になる。

2年連続の選抜出場の甲府工業はエースの三森の出来に全てがかかる。昨秋与えた四死球は6試合でわずか5と抜群のコントロールを誇る。171㎝、72㎏と投手としてはずんぐり体型だが、三森の俊敏性や体重移動の良さが活かされた投球フォームを完成。中込(阪神)、山村(近鉄―楽天)ら好投手を育て上げた原監督期待の好投手だ。攻撃の軸は4番の梅原。

主将の重責を小野に譲ったことでのびのび打つことで高打率を残した。小野、水野の俊足コンビの出塁と犠打を絡めたつなぐ攻撃で少ない好機を確実に得点に結びつける。春は投手力と言われる選抜。好投手を擁し、昨年の成績を超すベスト8を目指す。

実に45年ぶりの出場となる慶応は昨秋の関東大会準々決勝で浦和学院と延長15回引き分け再試合の熱闘を演じた。その戦いぶりが印象に残り、関東8強から選ばれた。転機になったのは神奈川大会の横浜戦。14のビハインドから代打・平川の満塁弾で見事な逆転勝利。強豪校へのコンプレックスを払しょくした。左腕の中林は再試合こそ力尽きたが、右打者へ食い込むスライダーとチェンジアップを投げ分けて好投。関東大会を一人で投げぬいた。打線は2番の漆畑以外は日替わりオーダー。左の長距離砲・湯浅を何番に置くかが重要になるだろう。慶応カラーののびのび野球で躍進する。

四国大会優勝の新田、準優勝の西条の愛媛勢はともに投手を中心とした守りの野球が持ち味。

新田は左腕エース門田の好投で四国大会優勝。真っすぐは120キロ台ながら右打者へのチェンジアップ、左打者へのスライダーで打者を泳がせる。再三のピンチを防いだ精神力もある。打者は大物うちはいないが、ミート中心の打撃でうまく流れを引き寄せる。23番の森と田中は機動力があり、多彩な攻撃ができる。1990年に2試合をサヨナラホームランで制して準優勝したミラクル新田の再現を狙う。

西条も右サイドの津島、速球派・戸田の2枚看板が自慢。津島はスライダー、カーブを中心に縦横の変化で揺さぶる。戸田はナチュラルシュートする速球が武器だ。打線は打率389厘の4番梶本の前にできるだけランナーをためたい。広角に打ち分ける技量は高い。捕手の飯田も高い打力を持ち、2人で俊足のリードオフマン野村を返すのが得点パターンだ。かつて全国制覇を果たした古豪がまずは常連・浦学に挑む。

正直このあたりのチームまでは上位進出の力を秘めていそうだ。上位争いの流れは本当に読めそうもない。

八幡商のエース上田は2年連続の選抜。昨年は明徳相手に好投。新チームでも公式戦はすべて完投した。最速142キロのストレートにスライダー、チェンジアップを混ぜて容易に連打を許さない。バックも1試合平均0.75の失策数で堅守を誇る。打線も昨年から出場している三上、門出、木村を中心に昨年より打力がある。特に三上、木村は長打力があり、昨秋の近畿大会では履正社の魚谷から2人とも満塁弾を放った。中軸がしっかりしているだけに12番の出塁が大事になる。昨年を上回るベスト8を目指す。

星稜は8年ぶりの選抜。4割打者5人を擁する打線はチーム打率が出場校中6位。特に4番の富永は高い身体能力と長打力を誇り、チームトップの14打点を上げた。練習を外された時期もあったが、精神的に成長して戻ってきた。エースの片岡は多彩な変化球が持ち味。特に秋以降フォークに磨きをかけている。初戦の相手は初出場の神村学園。名門校の意地を見せたい。

大産大付は昨秋は粘りの野球で育英に食らいついた。左横手投げのエース大西と2年生の右の速球派・内田をうまくつなぎたい。内田は4番としても打撃でも4番を打ち、高い身体能力で長打率は6割を超す。3番の島袋とともにチームの得点源だ。大阪代表の意地を見せたい。

如水館は昨秋中国4強からの選出。中心となるのはエース左腕の政岡。左腕から若干腕を下げて投げる投法で130キロ台後半の真っすぐとスライダー、カーブで89回を投げて104の三振を奪った。2年生捕手柚木の成長も大きく、上級生を強気にリードする。打線は非力ながら犠打と機動力でなんとか得点をもぎ取る。昨秋の倉敷商戦ではわずか1安打で勝利をものにした。政岡、柚木、村上とパンチ力のある3人の前にランナーをためたい。

初戦の相手は東筑紫学園と強豪相手だが、迫田監督の采配を活かしてなんとか初戦をものにしたい。

https://www.youtube.com/watch?v=Lc02pxzTvcw

戸畑は5年ぶりの選抜。送りバントを絡めたそつのない攻撃が持ち味。派手さはないが、確実に得点を刻み付ける。主将で1番の中村はセンター中心にはじき返す打撃で唯一の打率4割台。投手陣は2年生左腕の木下から右スリークオーターの矢野へつなぐ。木下はカーブ、矢野はスライダーと異なる持ち球で勝負する。開幕戦で王者・駒苫と当たるが、しぶとく食らいつきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=uHbPuD5b2Ys

21世紀枠の一迫商、高松、希望枠の三本松はともに初戦の対戦相手が地区大会の優勝校(一迫商は東京王者の修徳、高松は中国王者の宇部商、三本松は関東王者の東海大相模)と厳しい組み合わせになった。

一迫商は佐藤勇、三浦の両右腕の好投で昨秋は東北相手に善戦。3校の中では最も力があるとみていいだろう。4番照井の打撃に期待したい。部員全員が県北部出身の地元チームが旋風を巻き起こす。

https://www.youtube.com/watch?v=3BxtG4Q-h-I

高松は四国屈指の伝統校。文武両道の精神を持ち、野球では粘り強さが持ち味だ。主戦の田窪は右サイドからのシンカー、スライダー、フォークに加え、同校OB松家(横浜)から教わったチェンジアップで幅の広い投球ができる。打たれ強い投球を披露したい。

https://www.youtube.com/watch?v=pQ6jWv6SLf8

希望枠出場の三本松はもちろん守備力が武器。昨秋の四国大会では高知商、小松島と強豪校を1点差で振り切った。好左腕・宮崎は抜群のコントロールを誇り、内野陣が堅実な守備で呼応した。打線はチーム打率0.225と低打率だが、ミート中心の打法で宮崎を援護したい。

https://www.youtube.com/watch?v=LReOiQIHKUc

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