2009年夏の甲子園大会前予想

2009年

清峰高校の長崎県勢初優勝で幕を閉じた選抜大会から4か月。優勝したのは清峰だったが、その選抜において清峰以上のインパクトを残したのが、菊池雄星率いる花巻東だった。そして、清峰が予選で敗れたなか、大会はいよいよ菊池雄星を中心に回り始めた感があった。

前年は前評判では圧倒的なチームがない中、大阪桐蔭がするすると勝ちながら力をつけて優勝したが、今大会はある程度優勝候補と目されるチームが頭一つ抜け出している感がある。

第一集団は花巻東・日大三・帝京・PL学園・中京大中京・明豊・九州国際大付属の7校になるだろう。

花巻東は盤石の強さで岩手大会を勝ち抜いた。春にあと一歩で逃した優勝を夏こそは取りに行く。エースの菊池(西武)は左腕から最速152キロのストレートを武器にもはや県内では無双状態。切れのあるスライダーも駆使して、相手を圧倒した。特に右打者のインコースに投げ込むストレートは威力抜群。夏本番での強打者との対戦が楽しみだ。春以降2番手投手も成長。2年生左腕吉田や右腕・渡辺に選抜でも好投した4番の猿川も控えており、

打線も強力で選抜でも活躍を見せたのだが、春季東北大会では菊池が投げない中、1回戦で八戸西に2-7と惨敗。公立校に全く歯が立たず、選抜準Vのプライドは砕け散った。「雄星頼みのチーム」と佐々木監督に揶揄されながら奮起したナインは一層成長した。12番の柏木、佐藤涼は足が速く出塁率も高い。クリーンアップの川村、猿川、横倉は長打力もあり、特に横倉の勝負強さは特筆ものだ。選抜決勝で最後の打者となった2年生佐々木大が成長し、菊池とともに強力な下位打線を形成。走塁やカバーリングも一切手を抜かず、全くすきが見当たらない。悲願と言われ続けている東北勢初優勝を狙う陣容は整った。

https://www.youtube.com/watch?v=WHYDFpK_vb0

日大三は4年ぶりの甲子園。斎藤佑樹擁する早実に4連覇を止められて以来遠ざかっていた甲子園にたどり着いた。決勝では日大二との兄弟校対決に19-2で圧勝。圧倒的な打力で頂点を目指す。打力が取り上げられることが多いが、関谷吉田(ともにロッテ)のバッテリーには安定感がある。関谷は130キロ台のストレートとスライダーを丁寧に外角低めに集める投球に安定感があり、強豪校の勝てるエースだ。内野ゴロを打たせる投球で守備にリズムを生み出す。4番捕手の吉田は182㎝の大柄な体格で長打力がある。周りを打つ3番日下、5番山崎、6番吉沢もパンチ力がある。プロ野球選手を叔父にもつ2番の角も好打者だ。

ここ3年は続けて優勝校に敗れていたが、今大会はそのうっぷんを晴らしての出場。甲子園本番でももちろん狙うは全国制覇だ。

https://www.youtube.com/watch?v=T0D4jH-2kdc

帝京は2年ぶりの出場。決勝では都立雪谷に24-1と圧勝で甲子園行きを決めた。圧倒的なパワー野球で全国制覇を狙う。エースは3番の平原。投球フォームはごつごつした感も否めないが、がっしりした体格から放たれる速球は最速148キロ。力で相手を抑え込む。その他スライダーが武器の武内や速球派2年生右腕の鈴木、山崎(DeNA)、そして期待の1年生右腕・伊藤拓郎(元DeNA)と質量とも豊富な投手陣だ。打線も3番平原、4番主将の佐藤、5番原口(阪神)とパワーヒッターぞろい。7番を打つガーナ人の父を持つ有賀ナビルは決勝でホームランを放った。守備も捕手・原口、1年生ショート松本(日本ハム)を中心に堅い。走攻守ともに層の厚い陣容で、2年前に佐賀北に敗れて逃した栄冠をつかみに行く。

https://www.youtube.com/watch?v=tVsVZPl_0uE

PL学園は春夏連続の甲子園出場。今年のチームは秋春夏と大阪を3季連続で完全制覇。ここのところ履正社・大阪桐蔭に押され気味だったが、今大会はその両校を直接対決で破って出場を決めた。だが、選抜の時とは中身の違うチームになっている。春は絶対的左腕エース中野を中心とした守りのチームだったが、今大会はそのエース中野は怪我で不在。左腕井上と2年生右腕難波を打線が打って支えて、勝ってきた。井上は長身からの角度のある130キロ台のストレートとスローカーブを軸に投球を組み立てる。試合を作る能力があり、捕まりかけると速球派の難波にスイッチ。難波のストレートには力があり、打者のバットを押し込む。打線はホームランで試合を決める場面が目立った。大阪大会で放ったホームランは実に12本。特に1番の2年生吉川(中日巨人)は清原に並ぶ5ホームラン。決勝の北陽戦で2本放った。準決勝の履正社戦では村田の3ラン、中井の決勝2ランで好投手・橋本を沈めた。4番は春まで打っていた歓野(元楽天)にかわり、つなぎの4番村田が務める。5番大槻、6番中井もポイントゲッターとなっており、下位の石崎や安田も勝負強い。本番でも打線が先手を取って優位に進めたい。名門復活の夏となるか。

https://www.youtube.com/watch?v=VYiknXFrek0

中京大中京は春夏連続の甲子園。打力に関していえば、大会でも随一の存在だ。選抜で報徳に逆転負けを喫した悔しさをばねに優勝を狙う。エースの堂林(広島)は4月に左足の十字靭帯を痛めるアクシデントはあったが、完全復活。決勝では見事完封勝利を飾った。140キロ台の真っすぐと変化球を安定して低めに集められて安定感がある。2番手の2年生森本も140キロ近い真っすぐを持つ。打線は強力。スタメンの大半が1年秋から出場しており、下位まで力がある。8番の金山でも他チームなら4番を打つ力を持つ。そんな中でも注目は3番の河合。ミートポイントが近く、ぎりぎりまで引き付けて逆方向にも押し込める。チャンスを広げたのちに4番の堂林が返す。堂林の柔らかい打撃は怪物クラス。選抜で対戦した報徳の永田監督をして、「剛の中田翔、柔の堂林」とプロ入りした怪物を引き合いに出させるほどの打者だ。5番磯村(広島)、6番伊藤も格好のポイントゲッターだ。守備は捕手が柴田から2年生の磯村に変更し、より硬くなった。センター岩月の守備範囲には定評がある。投攻守に安定しており、最多7度目の栄冠を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=n4F51RKEBpE

https://www.youtube.com/watch?v=NEGS4qX5_-M

明豊は打倒花巻東の執念を燃やしている。前年からのメンバーが多数残り、自信満々で臨んだ選抜で菊池雄星擁する花巻東に4-0と完敗。3番の強打者・今宮(ソフトバンク)は雄星のインコース真っすぐに歯が立たなかった。悔しさをばねに成長し、春以降で30ホームランを記録。通算で62ホームランの九州の怪童である。1番平井、4番阿部、6番河野ら経験豊富な面々で組む打線は破壊力抜群。控えまで好打者が揃い、層が厚い。投手陣は右の速球派・今宮に左の技巧派・野口、伸び盛りの2年生山野と駒が揃っている。この代になって負けた相手は清峰・今村(広島)、花巻東・菊池(西武)、興南・島袋(ソフトバンク)と錚々たる顔ぶれ。特に興南・島袋に春季九州大会で3-0と完封されたのは、選抜以上に悔しかったそうで、奇しくも甲子園初戦であたる興南戦は絶好の雪辱戦となる。初戦で勢いを得て花巻東と当たるまで勝ち続けるつもりだ。

https://www.youtube.com/watch?v=Zq5GLqqc8KY

九州国際大付は春季九州大会で優勝。昨秋優勝候補に挙げられながら九州大会準々決勝で神村学園に敗れた悔しさを晴らすと、その勢いのままに夏の福岡大会でも他校を圧倒した。持ち味は左打者6人を並べた強力打線。対戦相手の監督が「社会人野球のよう」と感嘆する体格とスイングの鋭さを誇る。特にクリーンアップの国枝、榎本(楽天)、河野(巨人)の破壊力は抜群。長打力だけでなくミート力にも長けており、様々な投手に対応できる。下位にも3ホームランの天野がおり切れ目がない。1番ショートの小林は抜群のリーダーシップでチームを引っ張る。エースは左腕の納富。切れのある直球とチェンジアップで三振が取れる。福岡大会ではほとんど失点しなかった。もう一人の技巧派左腕吉岡も安定感があり、盤石の投手陣を形成する。捕手の河野は2塁まで1.9秒の強肩を誇り、相手が盗塁を企図しなくなるほどだ。若生監督就任以来初の甲子園で、若生監督らしい豪快なチームカラーを作り上げてきた。投打のポテンシャルはどことも引けを取らず、明豊と並ぶ九州の優勝候補だ。

https://www.youtube.com/watch?v=TTKqBazDITk

以上7校が優勝候補だが、もちろんその他のチームも黙ってはいない。粒ぞろいのチームが各地区に散らばっている印象だ。

四国では伊予のドカベン秋山(阪神)を擁する西条が50年ぶりの優勝を狙っている。エースの秋山は選抜で敗れはしたが、PL打線を相手に1失点に抑え込んだ。春以降体重も絞り、体にキレが出てきている。最速147キロのストレートにはますます磨きがかかっており、期待が持てる。2番手の徳永が故障がちなのが懸念材料か。打線はPL・中野に完封されたが、力はある。もともと「秋山が西条に行くなら」と集った精鋭集団。1番主将の井下が戻ってきて、本来の形を取り戻しつつある。4番も務める秋山は屈指のパワーヒッター。春季四国大会の明徳戦では好投手・石橋(楽天)からフェンス直撃のタイムリーツーベースを放った。56番の司馬・徳永がよく打つため、簡単に秋山を歩かすことはできない。選抜で不完全燃焼に終わった分、夏はリベンジに燃えている。今年の四国の旗頭ともいえるチームが夏こそは優勝を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=r0ne5aGFB0M

昨秋の近畿チャンピオン天理も有力候補だ。選抜では早実にサヨナラ負けを喫し、春季県大会も早期敗退したが、夏は見事に復活した。4番の西浦(ヤクルト)は21打数17安打と8割を超す打率を誇る。4番ながらコンパクトな振りでセンターを中心にはじき返す。まさに打ち出の小づち状態だった。5番の大西は満塁ホームランを3本放ち、チャンスに強い。その他にも徳山、西川、内野、安田、原田と上位下位満遍なく好打者が並ぶ。破壊力は大会屈指だ。9番を打つセンターの立花の俊足は攻守に大きな武器となる。投手陣はエースの中山、速球が売りの田淵、技巧派左腕・沼田の3本柱。中山は内外にコントロールよく切れのある球を投げ込む。決勝の郡山戦では14安打を浴びながら2点に抑え込むなど打たれ強い。沼田は昨秋の神宮で中京大中京の強力打線を封じている。守備ではセカンド原田の守備範囲が出色。センターに抜けそうなあたりを再三好捕した。春の悔しさをばねに夏優勝を勝ち取る。

https://www.youtube.com/watch?v=mLY739xGaDU

興南は2年生左腕島袋(ソフトバンク)を中心とした屈指のディフェンス力で上位をうかがう。島袋は選抜大会初戦で富山商に敗れはしたものの延長10回で19奪三振をマーク。小さい体ながらトルネード投法でひねりを加えて投げ込む速球は最速142キロ以上の圧を感じる。これにキレのあるスライダー、緩いカーブを交えて沖縄大会では他を圧倒した。春季九州大会でも明豊を完封。九国打線を延長102点に抑えており、難攻不落の投手だ。3年生右腕石川は2年前の夏に1年生で優勝投手となった逸材。打線でもチームを牽引する。2年生左腕砂川も安定感がある。問題は打力で甲子園でどれだけ投手陣を援護できるか。選抜では散発4安打で完封負けを喫した。スラッガー真栄平や巧打の我如古、国吉ら2年生に力のある打者が揃い、伊礼は長打力もある成長株。優勝するには3年生の力が不可欠。石川や主将・冨里川の活躍が鍵を握る。5割を超す打率を残した1番山元の出塁もカギだ。打線の援護さえあれば、上位進出が見込める。

https://www.youtube.com/watch?v=BxjB7vGC_PU

選抜優勝の清峰を下した長崎日大も当然優勝候補に挙がってくる。エースの大瀬良(広島)は186㎝の長身から馬力のあるフォームで140キロ中盤の真っすぐとスライダーを投じる力投派だ。長崎大会準々決勝では清峰の勝負強い打線を1失点完投した。後ろには右サイドの寺尾ら複数の投手が控えており、連戦にも耐えられる。打線は長打力を秘めており、4番捕手の本多は選抜V腕の今村(広島)を打ち砕いた。決勝の創成館戦では2年生の7番高尾が2ホームラン。下位打線もパワーを秘めている。県内のライバルを蹴落とした勢いで2年前の4強以上を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=zycxl0yMThA

中国地区では倉敷商業が怖い存在だ。春季中国大会で優勝し、勢いそのままに2年連続の出場を果たした。エースで4番の岡(日本ハム)は184㎝の大型右腕。切れのいいカーブに縦横のスライダーと140キロ台の真っすぐを持つ本格派だ。昨秋まで制球難に苦しんだが、冬場の走り込みで安定感を増した。4番としては前年の甲子園から活躍を見せており、長打力がある。その他3番の上森や5番の山神らも前年から出場しており、上森は中国大会の如水館戦で勝ち越し満塁弾を放つなど166㎝と小柄ながらパンチ力がある。打線全体で最後まであきらめずに食らいつく姿勢があり、粘り強い。岡という大きな柱を軸に優勝を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=ifzRv2GVIIQ

その倉敷商と初戦で対戦する東北は4年ぶりの出場。3年間ライバル東北の後塵を拝してきたが、今回は決勝で4-1と勝利を収めた。エースの佐藤は切れのいいスライダー、カットボールを外角に配する丁寧な投球が持ち味。宮城決勝では前年夏の甲子園を経験している仙台育英の穂積、木村に堂々と投げ勝った。後ろには140キロ近い速球を持つ高橋やカーブが武器の左腕・清原も控えており層が厚い。打線は昨選抜を経験している俊足巧打のリードオフマン・佐野や強打の捕手・園部ら19番まで打って走れる選手が揃っている。攻守に実力者を揃えており、侮れない存在だ。

智辯和歌山は5年連続の出場。今大会注目の左腕・岡田(中日)を擁して優勝を目指す。岡田は和歌山大会を通じて無失点と安定感抜群。140キロを超す真っすぐとスライダーはともに一級品。素質に関していえば花巻東・菊池に引けを取らない存在だ。前年までのようにカッカして真っすぐ勝負を挑み打ち込まれる姿もなくなった。甲子園の申し子が集大成の夏に挑む。例年強打で知られる智辯和歌山だが、今年の県大会の打率は24分台と低調だった。上位打線を城山、岩佐戸、山本ら2年生が占める中、左手甲を骨折して県大会をほぼ休んだ西川遥輝(日本ハム)に期待したい。抜群のセンスで柔らかさを兼ね備え左右に打ち分ける好打者。彼がいるといないとでは大違いであり、復帰が待ち望まれる。5番を打つエース岡田も打撃がいい。3年生の野手にも長打力を秘めた打者が控えており、力はある。エースを軸に守りからリズムを作っていきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=ZWYyAEcoebA

北信越に目を向けると日本文理が元気だ。今年の県大会を秋春夏と完全制覇。エースの伊藤は切れのいい真っすぐとチェンジアップを操る好投手。捕手・若林とは長い間バッテリーを組んでおり相性抜群だ。連投にも耐えられるスタミナがある。選抜では清峰のV腕・今村にシャットアウトされた打線だが、本来は力強い。特に5番を打つ高橋義人は長打力も併せ持ち、5割近い打率を誇るポイントゲッター。クリーンアップの武石、吉田、高橋は強力だ。1番の切手は俊足で相手をかき回し、出塁率が高い。7番には期待の1年生湯本が入り、チーム内の競争を活性化させた。選抜の悔しさをばねにまずは1勝を目指す。

https://www.youtube.com/watch?v=6QnmyE5NIi8

春季関東大会準優勝の常総学院も侮れない存在。茨城大会4連覇を果たし、過去3年果たせなかった初戦突破をまずは狙う。投手陣はなかなかエースが定まらなかったが、右サイドの小熊と左の長谷川が成長。両投手ともコントロールよく内外に投げ分ける。継投策で活路を見出したい。打線は強力。主砲の羽鳥は春季関東大会で2ホームラン。夏の県大会でも猛威を振るった。捕手としても巧みなリードで投手陣を援護する。俊足巧打の高野、国井らを中心に機動力を使う常総野球は健在。まずは強敵・九国相手の開幕戦で連敗ストップを目指す。

https://www.youtube.com/watch?v=-M3xcjx_Q8I

高知は投打に力強さがあり、決勝ではライバル明徳を下した。左腕エースの公文(巨人)は躍動感のあるフォームからのクロスファイヤーを武器とする本格派で三振も多く奪える。捕手の木下(中日)は公文の持ち味を引き出すリードでエースを盛り立てる。打線は昨年からの経験者の西岡、木下の中軸を中心に上位から下位までむらなく打つ。1番の2年生池知は思い切りのいい打撃を見せる切り込み隊長だ。3年連続の出場だが、過去2年は前評判が高いにも関わらず初戦敗退。今年はまず1勝を挙げて、その後上位を狙いたい。

https://www.youtube.com/watch?v=vhs7Wftmd18

今大会は好投手を擁しているチームも多い。

聖光学院のエース横山(楽天)は昨年からマウンド経験豊富な投手。140キロを超える真っすぐとスライダーで三振も取れる剛腕だ。打線でも4番の四家や小技の効く田村ら前年からのメンバーが揃う。左打者が7人並ぶ中で5番捕手の竹沢はチーム内で貴重な右打者で要となる存在だ。昨年初のベスト8入りを果たし波に乗る強豪がさらなる高みを目指す。

https://www.youtube.com/watch?v=ocklkLSVTQI

同じ東北勢の名桜も好投手・二木を擁している。身長こそ高くないが。球威のある真っすぐとチェンジアップを操り、三振奪取率の高い本格派だ。中軸の3番大塚、4番小番もパンチ力があり、好守にパワフルだ。まずは秋田勢の連敗を止めたのち、上位を狙いたい。

https://www.youtube.com/watch?v=0P0I2NRsrHs

敦賀気比の左腕山田(オリックス)は福井大会で大会最多記録の49奪三振をマークした屈指の左腕だ。すでに昨選抜で甲子園のマウンドは経験済み。140キロを超すストレートと低めへ落ちる必殺のスライダーで打者を牛耳る。打線は粘り強く、1年生ながら45番を打つ吉田(オリックス)、中尾に注目だ。

その他、今大会注目の投手では酒田南の無失点サウスポー安井、立正大湘南の剛腕・崎田、樟南の守りの野球の要のエース空地、県岐阜商の本格派・山田、東農大二の技巧派左腕・加藤、常葉橘の強気のエース庄司(広島)、旭川大高のドラフト候補左腕・柿田、昨選抜を経験した華陵の182㎝右腕安達、徳島北の大型左腕・阪本などが挙げられる。

打力が持ち味のチームも多い。

龍谷大平安は強打で京都大会を制覇した。決勝では好投手・長岡を擁して優勝候補筆頭の福知山成美と対戦。そのエースが投げられない中、2年生左腕・島本(阪神)の前に苦戦していたが、1点ビハインドの土壇場9回裏に2点を取り返して見事にサヨナラ勝ちを収めた。4番捕手の橋本はお兄さんが智辯和歌山から阪神にプロ入り。兄と同じようながっしりした体格から素晴らしい打球を放つ。青木、前田、中らで形成される上位打線は強力だ。エース左腕の縄田は球威こそないが、丁寧な投球で試合を作る。ライバルから京都の盟主の座を取り戻した名門が甲子園でも大暴れする。

https://www.youtube.com/watch?v=r1dHtNf1ZRU

横浜隼人は激戦区神奈川から念願の甲子園初出場。準々決勝では注目のスラッガー筒香(DeNA)を擁する優勝候補・横浜と大接戦。最後は延長1010-9でサヨナラ勝ちを収めた。2年生エースの今岡は強気の内角攻めを見せ、小気味いい投球を見せる。3番捕手の船木は攻守のかなめだ。打線は注目の強打者こそいないが、つながりがよく抑えるのは一苦労だ。大の阪神ファンである水谷監督が考案した阪神タイガースそっくりのユニフォームも甲子園で人気が出そうだ。

28年ぶりの出場ながら攻守に力強いのが都城商業。前任の原田監督が鍛え上げた3年生の面々がたくましく成長した。投手陣は左右2本柱。右の新西は最速140キロを超える速球にスライダー、カットボール、シュート、チェンジアップと多彩な変化球で相手を抑え込む。左腕の藤本は制球力と切れで勝負。タイプの違う頼もしい両投手だ。打線は3番の藤本、4番の内田が強力。ともにしっかり引き付けてはじき返し長打を放つ。1番吉原の俊足にも注目だ。走塁、バント、状況判断にも優れており得点力は高い。実力はかなり高そうだ。

https://www.youtube.com/watch?v=–amZRc4ePQ

如水館は3年ぶりの甲子園出場。エース幸野は右スリークオーターからの140キロ台の速球とスライダーで攻め、内角もしっかりついて抑え込む。その他エース格の右腕・西見や左腕・池内ら駒は豊富だ。打線はクリーンアップが強力。3番有山はお兄さんが昨年大阪桐蔭の優勝捕手。チャンスに強い左打者だ。4番の宮本は右の長距離砲でリードでも幸野を盛り立てる。5番の幸野も高い打率を残す。ベテランの迫田監督の采配も不気味だ。

長野日大も打力自慢のチーム。昨選抜を経験した伊藤は3番を打ち、4番の北沢とともに強打のクリーンアップを形成する。伊藤、北沢をはじめ左打者が5人並ぶ。1番の新村は中原監督曰く「長野のイチロー」。卓越したバットコントロールでチャンスメークする。投手陣は2年生エース加藤や左腕西山ら駒は豊富なだけに継投でうまくかわしていきたい。

その長野日大と初戦で当たる名門作新学院は実に31年ぶりの夏の甲子園。2000年選抜で選手として出場した若い小針監督に率いられて久しぶりの出場を決めた。4番捕手の松崎(巨人)がどっしりと中核をなす。1番浅野、3番篠崎ら上位の左打者には力がある。エース小嶋は松崎のリードにも助けられ、決勝で完封勝利を収めた。春季県大会で優勝すると夏に勝てないというジンクスを見事に打ち破った。名門復活を目指す夏はまだまだ続く。

三重は3年ぶりの出場。2年生左腕の松田、増田に3年生右腕の牧田の継投策で試合を作る。打線は4番の強打者・宮武を中心に強力。下位の茂呂、松田らの左打者も長打力があり、打ち合いには自信を持つ。三重大会では満塁弾2本を含む5ホームランを放った。三重勢として11年ぶりの勝利を狙う。

三重と初戦で当たる熊本工は投手陣が豊富。2年生エース左腕・月田が完投能力をつけ、後ろにも左腕・池田、右腕・日野と好投手が控えている。剛腕はいないが、切れと制球力で勝負できる。打線は平江、大迫、栗崎と中軸以降の打者が活躍した。甲子園本番では2年生の45番今村、糸永の活躍にも注目だ。

青森大会6連覇の青森山田は春の地区予選敗退の屈辱を夏に晴らした。井上、斉藤の両投手はともに力があり、打線も曲尾、井戸川、呉ら役者が揃っている。この力は高いものがあるだけに一度乗ると手が付けられなくなるチームだ。

関西学院は実に70年ぶりの甲子園出場。激戦区・兵庫を制した。5回戦では選抜4強の報徳学園にも競り勝っている。捕手の山崎は終盤・マウンドに登り、ストッパーとしてチームに貢献。巧みな配球で打者をかわす。関学らしい自由な校風が野球部にもいい影響を与えている。https://www.youtube.com/watch?v=p1a_bzWWUgY

https://www.youtube.com/watch?v=3TOVQcAK8bE

聖望学園は埼玉大会5回戦からなんと5戦連続の1点差勝利。昨年の選抜決勝を経験した左腕エース佐藤を軸に1枚岩となり、春季関東王者の浦和学院や前年の甲子園メンバーが多数残る本庄一を退けた。

八千代東は激戦区千葉から初出場。東海大望洋の左腕・真下(元DeNA)から9回土壇場の2ランで追いついて下すと、拓大紅陵など強豪校を次々と接戦で競り落とした。エースの村上は直球とスライダーの制球力で打たせて取る。打線は4番上條を中心に終盤の好機に強い。驚異的な勝負強さで初戦は優勝候補の西条に挑む。

山梨学院大付属は小林、鈴木、松浦ら下級生主体のチームを3年生エース山田が引っ張る。社会人野球・東芝の左のエースとして活躍した須田監督の采配にも注目だ。

https://www.youtube.com/watch?v=TcL9Lldoz14

伊万里農林は開会式で選手宣誓を吉永がエースで4番で主将とチームの柱。スライダー、チェンジアップ、シンカーと多彩な投球を見せる。12番の久重路、岩政の出塁が攻撃のカギを握っている。

札幌第一は2002年以来7年ぶりの出場。技巧派左腕・掛端を軸に守備は堅く、攻撃も松浦や畑ら上位打線は力がある。7年前に果たせなかった1勝を果たせば、次の試合ではその時に敗れた智辯和歌山との再戦があるかもしれない。

鳥取城北は甲子園初出場。能見(阪神)を擁しても出場できなかった甲子園への扉を開いた。好投手・中尾を擁して初勝利を狙う。

香川・藤井学園寒川は念願の初出場。名将・宮武監督を招聘してめきめきと力をつけた。エース左腕斎(いつき)は力の抜けたフォームから切れのあるボールを投げる。2年生右腕高橋卓も力があり、左右の強力2枚看板を擁する。3番大城戸は注目の左打者で、4番高橋卓ら長打力のある面々が揃う。

日本航空石川は粘り強い戦いで初出場。ビハインドをものともしない打線と、左腕栗本や右サイド・浜田ら多彩な投手陣でまず1勝を狙う。

南砺福野は富山大会決勝で93点差を跳ね返して福島・鍋田と好投手を擁する優勝候補の高岡商を撃破。粘りの野球で天理にどこまで食い下がれるか。

滋賀学園は滋賀から初出場。技巧派左腕・棚上を軸に守りの野球で1勝を目指す。

コメント

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