2016年春の選抜甲子園大会前予想

2016年

高校野球100周年を終えて、高校野球は新たな時代に入った。明治神宮大会は高松商業が大阪桐蔭・敦賀気比と強豪を連覇して公立校としては久しぶりの優勝を飾った。優勝争いはこの3校に東邦を加えた4チームを中心に回りそう。また、関東勢に好投手が多く、注目される。好投手同士のレベルの高い争いが見られそうだ。

選抜大会連覇を目指す敦賀気比はエース山崎が中心となる。昨秋は安定感抜群の投球で北信越優勝・神宮大会準優勝に導いた。188㎝の長身から投げ下ろすMAX144キロのストレートは力があり、打者を抑え込んだ。ただ、まだ本人の意識の中でフォームが定まっておらず未完の大器である。神宮の決勝では8,9回に高松商のバント攻撃に屈したようにフィールディングにも課題はある。まだまだこれから伸びしろのある投手だ。打線は3番ショートの林中が軸。シュアな打撃が光り、バットに合わせるのがうまい。昨選抜は2試合連続の勝利打点を挙げた。ショートの華麗な守備でもチームを支える。1番上中尾は神宮で3試合連続のタイムリー。45番の天野・橋本もパワーがあり、上位打線は力がある。

まだまだ控えのメンバーでも力のある選手は多く、これから激しい競争が予想される。チームとしての伸びしろは多く、選抜連覇へ向け成長途上だ。

https://www.youtube.com/watch?v=a7rHKR-g22g

大阪桐蔭は近畿大会を12年ぶりに制覇。エース高山は神宮のマウンドで150キロをたたき出し、注目されている。しかし、元来は球速は130キロ台で変化球を低めに集めて丁寧に抑える技巧派だ、試合の中でエンジンの出力をうまく調整していきたい。控えには岩本・香川・徳山ら枚数は豊富。この中から誰が抜けだすか。打線は1,2,3番に昨年からの経験者を並べた。1番中山は出塁率が高く、2番永廣は攻撃的2番。永廣には2014年夏の峯本のような活躍を期待したい。3番主将吉澤は勝負強さを兼ね備えた打者。45番の三井・古寺

は長打力をひめる。神宮では8番の松山にホームランが出るなど各打者のポテンシャルは高い。しかし、西谷監督の要求は高く、「このままでは選抜に出ても勝てない」と厳しい。

近畿大会では試合の中で西谷監督がしびれを切らしてエンドランのサインを出したように試合の機微を読む力などまだまだ力をつけないといけない様子。ただ、出れば必ず優勝争いをする西の横綱だけに今大会も当然優勝候補。藤浪(阪神)以来2度目の優勝を狙う。

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東邦は1年夏に甲子園を経験した藤嶋がエースで4番で帰ってきた。最速146キロの真っすぐと手元で変化するスライダーにカットボールも加わった。テイクバックが短く前でボールを放してバッターを押し込む。スタミナも問題ない。後ろに控える左腕・松山や近久も140キロを計測し、分厚い投手陣を誇る。打線の軸も藤嶋。神宮大会の秀岳館戦では2ラン2本。ともに打った瞬間それとわかる打球で、配球を読み勝った勝負だった。自分のポイントで捕らえたときの飛距離はすさまじい。俊足巧打のトップバッター鈴木光に藤嶋の脇を固める松山・松本らパワーのある打者も並ぶ。下位にも小西ら長打のある打者が並び、多士済々の陣容。守備力も高く、投好守にすきがない。見据えているのは最多5度目の優勝のみだ。

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高松商業は明治神宮大会初優勝。四日市工業以来実に16年ぶりの公立校の優勝を成し遂げた。しかし、公立校とはいえ中身は香川県のオールスター集団だ。中学野球の名将・長尾

監督の就任に伴って次々と有名選手が門戸を叩いた。屈指の俊足を誇る1番安西翼、ユニフォームがはちきれんばかりの強烈なスイングを見せる3番米麦、広角に打ち分ける打撃とセカンドの華麗な守備で見せる5番美濃、長打力を秘める植田兄弟などタレントぞろいだ。大阪桐蔭や敦賀気比といった強豪にも名前負けせず下した。下位打線の大熊や吉田にも力があり、打力はかなり高い。あとはエースの浦が先進的に一本立ちできれば。控えのサイド右腕多田は大阪桐蔭戦で好投。美濃も140キロを超すスピードボールを持つだけに枚数は豊富。1にも2にもエースの出来が鍵を握るだろう。低迷する香川勢で久しぶりに現れた優勝候補だ。

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この4校を追いかける集団で目立つのは関東勢と秀岳館だろう。

木更津総合のエース早川は今大会屈指のサウスポー。2年連続の選抜で上位進出を狙う。早川の持ち味は投手としての総合力の高さ。驚くようなスピードはないが、手元で伸びるストレートとスライダー、カーブ、チェンジアップを高低・内外にコントロールよく投げ分ける。肩関節が柔らかく球持ちの良いフォームで腕が遅れて出てくるため、切れのいいボールが投げられる。見た目以上に打ちにくい投手だ。控えには関東大会準決勝で東海大甲府を完封した武田も控える。打線が課題と言われる中、キーマンは1番峯村。体のサイズが大きく、足も速い、スケールの大きな打者だ。神宮大会では大阪桐蔭のエース高山から先頭打者弾を放った。3番主将の小池も勝負強さを兼ね備える。その他2年生から出ている鳥海も経験値は高いが、まだまだ打てるメンツは限られている感が強い。失点は計算できるだけに優勝は打力にかかっている。

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常総学院も2年連続の出場。エースの鈴木は昨年からスライダーの切れが光る好左腕だ。これに加えてツーシーム、チェンジアップなどその他の変化球も磨き上げてきた。バッターを見ながら柔軟に対応できる投手で力勝負一辺倒にはならない。2番手の樫村も関東の準決勝で桐生第一を完封しており、連戦もOKだ。打線の軸は3番宮里。長打力があり、昨秋の関東大会初戦で当たった横浜との試合では好投手・藤平から逆転2ランを放った。この横浜との試合では投手の鈴木を1番に入れて流れをつかむなど佐々木監督の采配も光った。バントやエンドランなど小技も巧みで常総の伝統は生きている。投打とも力を秘めており、15年ぶりの優勝へ向けて邁進する。

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花咲徳栄は夏春連続出場。ここにも好左腕・高橋昴がいる。前の2人とは違い、剛腕タイプだ。昨夏はリリーフとして甲子園のマウンドを踏み、優勝した東海大相模とも互角に渡り合った。140キロ台後半のストレートと鋭く落ちるフォークボールで三振の取れる投手だ。スタミナもあり、連投にも耐えられる。打線は3番主将の岡崎、4番主砲の隈本、5番の楠本ら中軸の左打者が鍵を握る。秋はエースを援護できず、木更津総合との投手戦に敗れたため、冬場に徹底した振り込みで力をつけた。足の速い選手も多く機動力も使える。関東5番目の代表ながら優勝争いに絡む力を持っている。

https://www.youtube.com/watch?v=hvMDNKEOWIQ

秀岳館は昨秋の九州大会で優勝。自慢の強打で九州を席巻した。NHKの解説者でおなじみの鍛治舎監督が就任して3年目。枚方ボーイズで育てた面々をごっそり連れてきたチームは息の合った野球を披露した。投好守にわたって層が厚く、投手は左3人、右2人の計5人。その中で右スリークオーターのエース有村の復調が大きい。右の堀江、左の中井らで試合を作って有村につなぎたい。東邦戦では藤嶋に2発浴びた以外は強打の東邦打線を封じ込んだ。打線は振りのシャープな打者が並ぶ。1番松尾はプロも注目のリードオフマン、2番原田との俊足コンビでかき回す。4番捕手の九鬼はこのチームのかなめ。強いリーダーシップで投手陣の持ち味を出し、打線の中核を担う。57番の天本、広部、堀江もパンチ力があり、息が抜けない。相手監督が社会人野球のようと評する高い技術を併せ持ち、堂々優勝戦線に殴り込みをかける。

https://www.youtube.com/watch?v=jwuL4Hewhro

創志学園は松坂2世の呼び声高いエース高田萌生を擁して甲子園初勝利からの上位進出を目指す。噂の中国No.1右腕がようやく甲子園にお目見えする。松坂そっくりの上体の強さを活かしたフォームから150キロを記録した真っすぐと高速スライダーで三振の山を気づく。松坂の高校時代と比較すると下半身もよく使えている。課題は右打者のインコースへのコントロール。神宮大会では敦賀気比相手に配球が外に偏って、林中らに攻略された。また、打線は敦賀気比の山崎に力負け。中国大会では機能したが、全国レベルの壁を感じた。

北川、、湯井、難波ら左の俊足巧打の打者はそろっており、機動力は使えるだけに打線全体でパワーをつけたい。4番の右打者の高井がキーとなる存在だ。全体的エースを据えて上位進出を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=RJA2gV3p2Eo

近畿地区の上位で敗れた面々も力は秘めている。

滋賀学園は近畿大会で準優勝。2年生バッテリーの神村後藤を4番馬越を中心とした強打で支える。神村は沖縄から滋賀にやってきた細身のエースだが、2年生とは思えない完成度を併せ持つ。MAX144キロのストレートに多彩な変化球をアウトコース低めに集め、近畿の準々決勝では報徳学園を延長14回0封。相手の好左腕・主島との投手戦を制した。捕手・後藤とのコンビもよく決勝では大阪桐蔭の強力打線をわずか4安打に抑えた。打線も強力で4番馬越はヘリコプターのようにバットをくるくる回した独特な構えから長打を放つ。3番の後藤や1番の徳留ら個々の能力は高く、大阪桐蔭戦は相手の倍以上の11安打を放った。後は残塁の多さが課題か。そのあたりを詰めていけば、十分上位に進める存在だ。

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明石商業はここ6年連続で夏の兵庫大会ベスト8以上に進んでおり、安定感では兵庫でも群を抜く存在。今回、ようやく甲子園出場にこぎつけた。エースの吉高は小柄ながら球威があり、真っすぐとスプリットで攻める本格派。低めのコントロールがよく安定感がある。吉高以外にも長身右腕の山崎や三浦・西川ら実力者の並ぶ投手陣は大会でも指折りの存在だ。

打線は送りバントを絡めて点を奪う。狭間監督就任以来最高の打線が出来上がり、下位まで打てるメンバーが揃う。送ったあと、タイムリーが出る自信があるゆえの攻撃的バントで得点を奪っていく。練習試合を含め50試合以上を戦ってわずか4敗しかしていない好守に層の厚いチーム。守備力も旧チームからのセンターラインが残っていて堅い。初出場とはいえ、侮れない存在のチームだ。

https://www.youtube.com/watch?v=YyWvmtLHNOs

龍谷大平安は4年連続の選抜で40回目の節目の出場。2年前以来の全国制覇を狙う。上位の打者はかなりのタレントぞろい。俊足の1番小川、2番久保田でかき回すと3番に攻守でセンスの光るショート西川、主砲・橋本、チャンスに強い富田と攻撃力は全国屈指。7番に2年生スラッガー岡田が座り、竹内、市岡ら下位の打者も力があり、打力は出場校中でも上位だ。問題は投手。エース市岡は球威はあるもののコントロールに難があり、滋賀学園戦ではコールド負けを食らった。2番手の大野らも不安があり、勝ち進めるかは投手次第だろう。攻撃力は優勝した2年前に匹敵するだけに守りを固めていきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=yGgNsdeehxg

近年躍進著しい東北勢は青森の常連校2校が出場を決めた。

青森山田は昨秋県3位から東北大会優勝。決勝では県で敗れた八戸学院光星に5-0とリベンジを果たした。エース堀岡、4番三森と軸がしっかりしているチームだ。堀岡は小柄ながらがっしりした体型からMAX144キロのストレートを投げ込み、重みのあるボールで打者を押し込む。低めへの制球力にも優れていて大崩れしない。4番の三森は東北大会で0.571の高打率。足を大きく上げるフォームだが、ぶれが少なくとらえる確率が高い。俊足に加えて長打力も秘め、「みちのくのイチロー」の異名を持つ。1番内山や3番村山もセンスがあり、足も絡めた攻撃が可能。八戸学院光星にここ数年後塵を拝してきたが、今回はライバルより一つでも多く勝ち、全国制覇を成し遂げたい。

https://www.youtube.com/watch?v=2LGVEQbvJYo

八戸学院光星は2年連続の選抜出場。昨夏はサヨナラ暴投で甲子園を逃した。悔しさを胸に主将・奥村を中心に成長。持ち前の強打を従えて再び全国の頂へ挑む。エースの桜井は東北大会で3試合無失点を継続。決勝の青森山田戦では崩れたが、直球・変化球ともに低めに集める投球は安定感抜群。気持ちも強く、選抜でも好投が期待できる。打線はクリーンアップの田城・益田・櫻井が強力。特に田城はヘッドスピードが速く、内角も苦にしない。益田は東北大会では不振だったが、パンチ力のある打撃は見ものだ。下位を打つ打者も粒ぞろいでさすが打撃の光星だけのことはある。昨夏の青森の決勝、昨秋の東北の決勝とともに敗れ悔しい思いをしただけに選抜では優勝を狙いたい。

https://www.youtube.com/watch?v=tLhEKe3UM9w

東海大甲府は昨夏の甲子園時から菊池・松葉と投手の2枚看板が残っており、守りは安定している。球威の菊池、制球の松葉といった感じだったが、昨秋は松葉が急成長。エース格の働きを見せた。二人のライバル関係による成長が楽しみ。福武・松岡を中心とした打線も関東大会では2試合連続コールド勝ちと力を持つ。山梨県勢初優勝を成し遂げる力はある。

https://www.youtube.com/watch?v=RJA2gV3p2Eo

関東一高は昨夏甲子園4強だったこともあり、新チームの始動はかなり遅れたが、見事に東京大会で優勝。昨年のオコエ(楽天)のようなずば抜けた選手はいないが、野球をよく知っている選手が多く、接戦で粘り強さを発揮。決勝では好左腕・大江を終盤打ち崩し、二松学舎大付を退けた。1番俊足宮本を中心に例年同様機動力がつかえる。投手陣は継投となるなかエース河合に柱として期待が集まる。粘りの野球で再び全国上位をうかがう。

https://www.youtube.com/watch?v=_EoeX_g1RHU

明徳義塾は昨夏に夏の甲子園で初めての初戦敗退を喫したが、「来年のうちは強い」との馬淵監督の予言通り、選抜に帰ってきた。エースの中野はコントロールがよく、内外角に丁寧に投げ分けて打たせて取る。本当は左腕・平石の成長を見込んで二本柱を考えていたが、どうやら選抜は中野1本になりそう。打線は123番の立花、西村、西浦の俊足トリオに期待。特に西村は昨夏の高知大会決勝で土壇場で逆転打を放った勝負強い打者。打ってつなぐ2番バッターだ。競り合いに強いチームカラーで、選抜の優勝旗を虎視眈々と狙っていいる。

https://www.youtube.com/watch?v=k1M_Ngrlabg

札幌第一はエースで4番で主将の上出が中心のチーム。長身から投げ下ろす真っすぐは角度があり、スライダーは練習試合で対戦した智辯和歌山の高嶋監督がお手上げポーズを示すほどの切れを持つ。彼の働きにチームの命運がかかるが、他のメンバーがどれだけ支えられるかが重要。神宮大会で9番ながら1試合4安打をマークした兼村の活躍に期待したい。

https://www.youtube.com/watch?v=UiXq2qApiWs

智弁学園は1年生の時に甲子園のマウンドを経験したエース村上が成長。昨夏天理・船曳に2ホームランを献上し、1球の怖さを学んだ。近畿大会では大阪桐蔭に滅多打ち。練習試合でほぼ負けなしで来ていただけにショックは大きかったが、ボールの速さより質を意識することを学んだいい経験となった。打線は2年生の太田が近畿大会で先頭打者ホームランを記録。確実性も高く、もう一人の2年生長距離砲・福元とともに今後の智弁学園を引っ張っていきそうな存在だ。核となる選手はいるが、まだ投打ともに層の薄さを感じるだけに全員がレベルアップして選抜に臨みたい。

https://www.youtube.com/watch?v=QhJalJ3MsbM

海星と鹿児島実業はともに打力が持ち味。海星は服部、鹿実は綿谷と甲子園経験者がチームを引っ張る。春田・土谷、丸山・谷村とそれぞれ2枚看板を擁しており、打線がしっかり援護したい。

https://www.youtube.com/watch?v=e-DRohvfq9E

福井工大福井は4番北村が小柄ながら秋の試合でホームラン10本の強打者。

https://www.youtube.com/watch?v=7m0CWo6NWg0

市立和歌山は赤羽・栗栖の左右2枚看板で半田監督の甲子園初勝利を狙う。

https://www.youtube.com/watch?v=13OUDMUdgbQ

桐生第一・内池は投球回数とほぼ同じ三振を奪った上州のドクターK。日南学園・森山は制球力に優れた技巧派左腕。南陽工業・重富は長身からの真っすぐに力のある本格派。それぞれ注目の存在だ。

https://www.youtube.com/watch?v=W8WycXVKoh4

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開星はMAX147キロを誇るエース吉川と破壊力のある中軸でスケールの大きな野球をする。

https://www.youtube.com/watch?v=RFWOY1DkD4k

土佐は昨秋四国4強入りを果たし、明徳義塾にも善戦。持ち前の全力疾走を見せる。

https://www.youtube.com/watch?v=W2GA7vmV5oY

21世紀枠の小豆島は昨秋の県大会で神宮王者の高松商業を撃破。杉吉監督の自分で考える野球で躍進を果たした。エース左腕長谷川の好投に期待。

https://www.youtube.com/watch?v=hZFXpmd1UOM

長田・釜石はともに被災地の代表。長田はエース園田、釜石は粘りの野球に注目だ。

https://www.youtube.com/watch?v=PeSKdPG20aM

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