2019年選手権1回戦 敦賀気比vs富島(3日目第4試合)

2019年

大会3日目第4試合

敦賀気比

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 2 1 0 1 0 5
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

富島

 

敦賀気比  笠島

富島    黒木拓→富井

敦賀気比・笠島、富島・黒木拓の好投手同士の投げ合いは敦賀気比が中盤以降に相手エースを攻略。2015年以来、4年ぶりの聖地での1勝を挙げた。

試合

敦賀気比は2年連続の夏出場。昨年は木更津総合の猛打に圧倒されてしまったが、今年は投打ともに鍛えなおして戻ってきた。投手陣は2年生右腕・笠島(巨人)が軸。右スリークオーターからキレのあるボールを内外角に配して打者を打ち取る、実戦派の好投手だ。打線は昨年までエースだった木下(広島)を4番に据え、伝統の強打は健在。県大会決勝では丹生の好投手・玉村(広島)を集中打で攻略した。

 

一方、富島は昨年の選抜に出場したが、夏は初めての甲子園。昨年の甲子園でも1番を務めた松浦は相手のスキを逃さない走塁と巧みな打撃が光る格好のリードオフマン。中軸は4番黒木剛を中心に力強く、得点力は高い。エース黒木拓は140キロ台の球威のある速球を武器に、県大会をほぼ一人で投げ抜いた。宮崎大会は完勝の連続で勝ち上がった。

 

序盤は両投手が素晴らしい立ち上がりを見せた。富島の黒木拓はナチュラルにシュートするストレートをスライダーを主体に敦賀気比打線を翻弄すれば、敦賀気比の笠島も決め球のスライダーを武器に富島打線を封じ込める。ともにストライクゾーンの横幅を広く使った似たタイプの投手であり、3回までは一人のランナーも出さないパーフェクトピッチングを展開する。また、両チームの内野守備も素晴らしく、きびきびした内容で試合は進んでいく。

 

こうなると先制点の締めるウェートは大きくなってくる。先に抜けだしたのは敦賀気比だった。1年生の1番大島がストレートをライト前にはじき返して両チーム初ヒットを記録。しかし、続く2番中川の打席でランナーが飛び出してタッチアウトとなる。流れが切れたかに見えたが、中川が3塁への内野安打と悪送球で2塁へ進塁。内野ゴロで進塁すると、4番木下の打席で暴投が飛び出し、1点を先制する。黒木拓はセットポジションになってやや投球のリズムが乱れてしまった。

 

先制点を許した富島だが、すぐに反撃に転ずる。頼りになるリードオフマンの1番松浦がファーストへの内野安打で出塁すると、盗塁で2塁へ進塁。異次元の俊足で相手守備陣に圧力をかけると、2アウト1.3塁となって重盗を敢行。松浦が三本間に挟まれるも、送球の一瞬のスキをついてホームを陥れ、同点に追いつく。これぞスピードスターと呼べる走塁で同校の夏の甲子園初得点をもたらした。

 

同点に追いついた富島だったが、敦賀気比打線が中盤に入って黒木拓を捕まえ始める。5番高原がセカンドへの内野安打で出塁すると、犠打で進塁すると、7番長濱のレフトフライが浜風に乗って捕球できずに、勝ち越し点を手にする。さらに、8番の御簗もタイムリーを放ち、この回2点目。ミスも絡んでの失点だったが、黒木拓の手元で動くボールに対して、敦賀気比が強いスイングで対応して見せた。

 

6回表にも中軸の連打で1点を追加すると、笠島がこの流れに乗って素晴らしい投球を展開する。内外角の低めを丁寧に突く投球が光り、特に左打者が7人並ぶ富島打線に対してインサイド低めをズバズバ突いていき、ヒットはおろかランナーすらほとんど許さない。7回には1アウト1,3塁のピンチは招くも注文通りの併殺で無失点。2年生とは思えない完成度の高い投球で、敦賀気比にリズムをもたらした。

 

エースの好投に打線もさらに応え、8回にも2番中川、3番杉田の連打を契機に1点を追加。腰の据わった打撃は、あの豪打を誇った2014年夏を思い出させるものだった。黒木拓はこの回で降板。好投手を攻略した敦賀気比が、昨年果たせなかった甲子園1勝をマークした。

まとめ

敦賀気比は強豪校の貫禄漂う勝利。序盤は手も足も出なくとも、試合を進めながら打線が相手投手を攻略する対応力の高さを見せた。投げても2年生エースの笠島が相手打線をわずか3安打に封じこんで完投勝利。右スリークオーターから抜群の制球力で試合を支配した。球威も申し分なく、先輩の平沼(日本ハム)とはまたタイプの違う好投手だ。また、今後が楽しみな選手が現れた。

 

一方、富島は中盤以降エース黒木拓にやや疲れが見え、守備の乱れも重なって失点してしまった。しかし、決して荒れた試合内容ではなく、経験豊富な強豪に対してチーム全体でよく食らいついた印象の試合だった。特に1番松浦は俊足とショートの守備で観衆を魅了した。何より、数年前まで県大会でも序盤で敗退していたチームがここまで来れたことが素晴らしい躍進であり、浜田監督の指導力のたまものだろう。今後も富島の野球部に注目していきたい。

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