2020年交流試合 尽誠学園vs智辯和歌山(6日目第2試合)

2020年

大会6日目第2試合

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
1 5 0 2 0 0 0 0 × 8

尽誠学園

 

智辯和歌山  大林→池田→矢田→小林樹

尽誠学園   村上→谷口→仲村

1999年夏の再戦となったカードは尽誠学園打線が序盤から智辯和歌山投手陣を攻略。リベンジを果たす形で、交流戦勝利を記録した。

試合

尽誠学園は選抜出場権獲得は4季連続出場を達成した2002年以来18年ぶりであった。椎江監督退任後は苦しい時代を過ごしてきたが、昨秋は強力打線で逆転勝ちを重ね、四国大会準優勝。長打は多くないが、主軸の仲村を中心に上位から下位まで切れ目なくつながり、終盤のここ一番で集中打が飛び出した。エース村上はカットボールが得意な好左腕で、四死球も少なく安定感がある。投打に充実した伝統校が久々の選抜で腕を撫す。

一方の智辯和歌山は前年夏を経験した細川(日本ハム)、徳丸綾原を中心に今年も打線は強力。近畿大会では智辯学園と13-17と壮絶な乱打戦を演じて見せた。細川はこれが3度目の聖地となるが、1番打者としてチームを牽引してきた。投手陣は最速150キロをマークする本格派右腕・小林樹(広島)が中心。威力ある速球にスライダー、フォークを交え、要所で三振を奪う。前年夏は星稜と延長14回の激闘を演じたが、今回も感動を呼び戦いができるか。

 

先発は尽誠学園がエース村上だったのに対し、智辯和歌山は秋メンバー外だった大林を指名した。この起用が吉と出るかどうか、立ち上がりの攻防に注目が集まった。

1回表、智辯和歌山は1アウトから2番綾原が四球で出塁。続く2年生の3番宮坂が高めに浮いたスライダーを流し打ってチャンスを拡大すると、2アウト後に5番川上がインサイドの速球を詰まりながらセンターに落とし1点を先制する。村上は初回はややボールが高めに入りがちだったが、好球をしっかりとらえた智辯和歌山打線がさすがであった。

その裏、智辯和歌山の先発マウンドには右サイドハンドの大林が上がる。その大林に対して、尽誠学園は1番菊地が真ん中寄りに抜けたスライダーをとらえてヒットで出塁。犠打で1アウト2塁とすると、3番福井はライトへのフライを放って菊地は3塁へ進む。ここで4番仲村はアウトコースの速球をきっちりライト線へ打ち返し、福井が生還。右サイド攻略のお手本のような打撃で同点に追いつく。

2回の智辯和歌山の攻撃を村上が無失点でしのぐと、その裏、尽誠学園の猛打がさく裂する。先頭の6番村上が流し打ちのヒットで出塁すると、7番川崎は強攻でサード強襲のヒットを放つ。大林はテンポのいい投球が持ち味だが、この日の尽誠打線は立ち上がりからタイミングが合っている。犠打と死球で1アウト満塁とすると、ここで1番菊地が左中間に走者一掃のタイムリーを放ち一挙に3点を勝ち越す。

継投のタイミングをうかがっていた中谷監督だったが、続く2番井脇にもヒットを許すと、たまらず投手を池田に交代。立ち上がりからほとんどの打者にジャストミートされていた印象であり、大林にとっては苦しいマウンドとなった。

昨春の選抜も経験した変則左腕・池田で流れを変えたい智辯和歌山だったが、一度火のついた尽誠打線は止まらない。盗塁で2,3塁となると3番福井は低めのスライダーをうまくレフトへ流し打って2点を追加する。左対左をものともしない巧打であった。

これで落ち着きを取り戻した尽誠のエース村上はカットボールを主体に打たせて取る投球で立ち直る。強打の智辯和歌山打線相手に再三ランナーこそ背負うものの、要所でコーナーにボールを決め、内野ゴロの山を築く。低めの丹念に突く自分の持ち味を、打線の大量リードが取り戻させてくれた。

智辯和歌山は4回から3番手でこれまた変則左腕の矢田が登板。しかし、尽誠学園打線は矢田をも飲み込む。2番井脇がアウトコース寄りの速球を流し打ってレフトオーバーの2塁打で出塁。1アウト後、4番仲村はセンターへのテキサスヒットを放って1点を追加。さらに四球で2アウト1,2塁となって7番川崎もセンターへ打ち返して8-1と大量リードを築く。各打者がセンターから逆方向への意識をしっかり持って、ライナー性の打球を打ち返し、智辯和歌山を圧倒して見せた。

大量ビハインドを背負った智辯和歌山だったが、6回から登板した小林樹の投球は別格であった。登板直後こそ2塁打を浴びたものの、MAX151キロの速球にフォーク、チェンジアップを交えた投球で勢いのついていた尽誠学園打線を鎮火。積極的に振ってくる相手に対しても臆することなく、3イニングを無失点に封じ込めた。

尽誠学園はエース村上が7回を1失点でバトンリレーし、8回を谷口、9回を仲村とつないで8-1と快勝。会心の内容で強豪を下し、久々に甲子園で勝利を挙げた。

まとめ

尽誠学園は持ち味の打線が序盤から智辯和歌山投手陣を攻略。次々とタイプの違う投手が出てきても、基本に忠実なセンター返しで攻略した様は見事の一言であった。エース村上も2回以降は落ち着きを取り戻し、持ち味のカットボールを活かして好投。過去智辯勢とは2度甲子園で対戦して敗れていたが(1999年夏 0-2智辯和歌山、2007年夏 2-12 智辯学園)、3度目の対戦で会心の勝利を挙げてみせた。

一方、智辯和歌山は投打に厚い選手層を誇っていたが、やはり「野球は守りから」であり、序盤から投手陣がこれだけ攻略されてしまっては苦しかった。ただ、3番宮坂、4番徳丸を中心に多くの下級生が甲子園を経験できたの収穫。中谷監督の元で改めてディフェンスを鍛えなおし、激戦の和歌山・近畿を勝ち抜いて、甲子園出場を目指す。

独自大会優勝、智辯和歌山に勝利。尽誠学園涙の解散式に密着 – YouTube

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