2021年選手権準々決勝 近江vs神戸国際大付(13日目第4試合)

2021年

大会13日目第4試合

神戸国際大付

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 1 1 0 0 4 6
0 2 0 1 0 0 2 1 7

近江

 

神戸国際大付  阪上→楠本→岡田→中辻

近江      山田→岩佐→山田

前年秋の近畿大会でも激突した両チームの攻防は、近江優勢で進んでいた流れが9回に一変。驚異的な追い上げを見せた神戸国際大付を近江がサヨナラで下し、準優勝した2001年以来となるベスト4進出を果たした。

試合

近江は2年生エース山田、神戸国際大付もエース阪上がマウンドに上がった。

前日の第4試合から連投となる山田は厳しい投球になるかと思われたが、スライダー・フォークを武器に神戸国際大付打線を打ち取っていく。大阪桐蔭戦あたりから投げるたびに変化球の制球が安定してきており、甲子園という場所は本当に選手を成長させる。

エースがいつも通りのリズムをもたらした近江は2回裏に先制点を手にする。先頭の4番新野阪上の初球の高めに浮いた変化球をとらえると、打球はセンターバックスクリーンに飛び込むホームランとなって1点を先制。さらに、5番島滝、7番春山のヒットで1アウト1,3塁とすると、阪上の暴投が出てもう1点を追加。縦に落ちる変化球に対して早くも2回でアジャストする。

神戸国際大付は3回から早くも、2年生左腕の楠本を投入。ここまで来ると、各監督ともに打つ手は早い。しかし、得意のストレートがやや浮きがちな楠本からも6番明石、8番横田のヒットでまた1.3塁のチャンスを作ると、1塁走者が挟まれる間に3塁走者の明石が好スタートを切ってホームを陥れる。序盤は完全に近江の流れで試合は進む。

この流れを待ったのかけたのは神戸国際大付の4番西川。5回表、3回戦でも追撃の一発を放った主砲がインサイドの速球を振り抜くと、打球はレフトスタンドに飛び込むホームランになって1点を返す。さらに、6回表にも粘って歩いた8番山里を得点圏において、2番坂本がタイムリーを放ち、ついに1点差。神戸国際大付はよく打順が変わるが、ベンチ入りまで含めて選手層が本当に厚い。

山田のボールが徐々に高くなり始めた近江は7回に入って予定通り、2番手・岩佐を投入する。神戸国際は代わり端を攻め立て、先頭の4番西川がレフト前にヒット。さらに、相手守備陣の一瞬のスキを突いて2塁を陥れると、暴投による振り逃げもあって、1アウト1,3塁のチャンスを迎える。しかし、ここは岩佐が伸びのある速球とスライダーを武器に後続を打ち取り、無失点に。近江は今大会最も継投策がはまっているチームだろう。

これで流れを引き戻した近江は7回裏、疲れの見せ始めた神戸国際大付・楠本をとらえ、9番津田のセーフティバントを足掛かりに2アウト2塁のチャンスを築くと、3番山田の打席で変化球がバウンドするのを見て津田が三盗に成功する。低めの変化球を投げづらくさせたところで、山田が再三ファウルで粘ってタイミングを合わせたストレートを強振。打球はセンターバックスクリーンに飛び込む2ランとなって近江が再び試合を3点差に開く。

この1発で楠本をKOした近江は8回にも3番手・岡田から1点を追加し、6-2。試合は決まったかと思われたが、最終回に神戸国際大付が驚異の粘りを見せる。

近江・岩佐に3番阪上、4番西川が打ち取られ2アウトを奪われるが、ここから5番武本が粘って四球を選ぶと様相が変わり始める。2回戦で同点打を放った代打・勝木、さらに代打の夜久岩佐の変化球をとらえて、6-3。岩佐の変化球の制球がままならない中で続く代打・松尾はストレートを左中間にはじき返し、タイムリー2塁打として2点差に迫る。

代打で出てきた打者の3者連続ヒット。過去の甲子園でもあったかどうかという粘りの攻撃で2点差に迫ると、もう止まらない。9番柴田が四球を選んで満塁とすると、打席には今日1番抜擢の。近江は再び山田をマウンドに戻していたが、3球目のストレートをライト前にはじき返すと、夜久松尾が次々ホームを駆け抜けてついに同点に追いつく。

2アウトランナーなしからの6人連続でアウトにならずにつないだ同点劇。2009年夏の決勝の日本文理戦を思い起こさせるような猛反撃であった。

しかし、阪上楠本と2枚看板を崩された時点で神戸国際大付も苦しい立場なのは同様であった。その裏、4番手・中辻をマウンドに送るも、1アウトから6番明石を死球で出すと、続く7番主将の春山は高めに入った変化球を右中間にはじき返す。快速の明石は2塁、3塁をあっという間に駆け抜けてホームへ。神戸国際大付も懸命の中継プレーでボールを返すが、あと一歩及ばず、近江が劇的なサヨナラ勝利で準決勝進出を決めた。

まとめ

近江は9回に怒涛の猛追を受けたが、8回までの試合運びはほぼ完ぺきであった。山田はこの日も低めの変化球と伸びのある速球で好投を見せ、岩佐への継投のタイミングもぴしゃり。攻撃陣も足で長打で得点を稼いでいき、上位から下位まで切れ目なくつながる攻撃力は、近江史上最高と言われた3年前の2018年以上かもしれない。多賀監督も大いに手ごたえを感じた試合内容であった。

近畿2府4県の中で唯一全国制覇のない滋賀県勢。その第1人者としてずっと県内の野球を引っ張ってきた近江が、いよいよ初の栄冠まであと2勝に迫っている。

一方、敗れた神戸国際大付はこれで負けたとはいえ、7試合連続で夏の甲子園で1点差ゲームを演じたことになる。9回の代打陣のつないだ攻撃は、見るものを驚嘆させた。3番阪上、4番西川と中軸の2人が打ち取られてからの攻撃だったところにチーム力の高さを感じさせた。

この日は投手陣が攻略されて敗れてしまったが、個々の能力はあるのに勝てないという昔の寸評は今大会で完全に払しょくされたと言っていいだろう。粘りに粘って勝つ兵庫のタレント軍団が来年以降も、県内の高校野球の中心的存在になりそうだ。

2021年選手権準々決勝予想 神戸国際大付vs近江 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

神戸国際大付 VS. 近江 ハイライト Full || 高校野球 全国高等学校野球選手権大会準々決勝 2021.08.26 – YouTube

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