2021年選手権1回戦
盛岡大付vs鹿島学園
53% 47%
強力打線を擁する盛岡大付と春夏通じて初出場の鹿島学園の対戦。打力に秀でる盛岡大付がやや優勢か。
鹿島学園のエース薮野はストレートとスライダーのコンビネーションで勝負するオーソドックスなタイプだが、防御率は0点台を記録。決勝では初回の3点のリードを守り切り、選抜でも強打を見せた常総学院打線を封じ込めた。捕手・高久とのバッテリーはリズムが良く、テンポのいい投球で打者に考える間を与えない。全国の強力打線相手にも自分たちの間合いで勝負したい。
対する盛岡大付の打線は今年もパワフルだ。中でも5試合で5ホームランを放った3番金子の打撃は圧巻。甘く入ったボールは逃さずスタンドに放り込む確実性と集中力は特筆ものだ。1番松本や小針、南、新井と続く中軸も長打力を秘めており、相手投手にとっては息の抜けない打線だ。2017年に甲子園を沸かせた打線と比べても双璧と言えるだろう。
一方、盛岡大付のエース渡辺は抜群のコントロールを武器とする技巧派右腕。丁寧に内外・高低を投げ分ける技術に加えて、試合中に相手打線を見ながら修正できるクレバーさも兼ね備える。例年複数投手で勝負する盛岡大付だが、今年は渡辺が絶対的な大黒柱となりそうだ。
対する鹿島学園打線は大会序盤はなかなかつながらずに苦しんだが、名将・鈴木監督による打線の組み換えで徐々に調子が上向いていった。目立った打者はいないが、選球眼がいい打者が並んでおり、相手のミスや四死球を巧みに得点につなげる。2割9分5厘というチーム打率以上に得点力の高い打線と言えるだろう。茨城大会同様に序盤で先制してリズムをつかみたい。
鹿島学園は決勝で選抜出場の常総学院を下していることもあり、億することはないだろう。盛岡大付の強力打線に対してバッテリーが自分の見失わずに勝負できれば、好試合となりそうだ。
主なOB
盛岡大付…小石澤浄孝(西武)、三浦翔太(ソフトバンク)、伊東昴大(広島)、松本裕樹(ソフトバンク)、杉山晃基(ヤクルト)
鹿島学園…山田大樹(サッカー)
岩手 茨城
春 1勝 0勝
夏 0勝 1勝
計 1勝 1勝
対戦は2019年選抜の1度。21世紀枠で出場の石岡一がエース岩本の好投で盛岡大付に善戦するも、延長10回サヨナラ負けを喫した。今回も初出場の茨城勢vs盛岡大付の対戦に。果たしてどちらが勝利するか…
思い出名勝負
2019年選抜1回戦
石岡一
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1× | 3 |
盛岡大付
石岡一 岩本
盛岡大付 阿部
2019年選抜1回戦で好投手vs強力打線の好カードが実現した。
石岡一は21世紀枠で初めての甲子園出場。エース岩本大地はストレートの最速は140キロ台中盤をマークし、伸びも球威も一級品のボールである。常総学院など強豪がひしめく茨城県でなかなか代表の座をつかめなかったが、創部105年で初となる夢舞台をつかみ取った。やや非力と言われる打線がどこまで援護できるかがカギだった。
対する盛岡大付は2年ぶりの選抜の舞台。わんこそば打線はこの年も破壊力抜群。前年秋の公式戦では12試合で90得点をマークしており、県大会では大船渡の速球派右腕・佐々木朗(ロッテ)も攻略したように、ストレートには得意意識を持つ。エース左腕・阿部も安定しており、2年前の8強入りに続く快進撃が期待された。
盛岡大付優位が予想された試合だったが、試合が始まると石岡一・岩本の投球がとにかく素晴らしい。伸びのあるストレートをコーナーに決める投球で盛岡大付打線に付け入るスキをほとんど与えない。佐々木朗のストレートでさえ対応した盛岡大付打線だったが、コーナーに決める制球力と初速・終速の差が少ないキレのあるボールの前に手が出ない。
すると、3回表に石岡一が先制点を奪う。四球で出たランナーをきっちり犠打で進めて1アウト2塁のチャンスをつかむと、内野ゴロで2アウト3塁に。ここで2番酒井のセカンドゴロをセカンド佐々木が無難にさばくも、ファースト及川の足が一瞬ベースから離れてしまい、間一髪セーフで石岡一が先制点を奪う。
先制された盛岡大付は中盤以降ランナーを出し始めるが、岩本の投球をなかなか崩すことができない。スコアリングポジションにランナーを背負ってから一段とギアの上がる岩本の投球の前に決定打を欠く。結局4回から7回まで毎回ランナーを出しながらも無得点に終わる。
ただこの試合を崩さなかった立役者は盛岡大付の軟投派左腕・阿部。不運な形で先制点は許したものの、キレのある変化球を低めに集める投球で追加点を与えない。6回には満塁のピンチを招きながらも、低めの変化球を振らせて空振り三振に切って取る。石岡一が1点のリードを保ったまま、最終回の攻防へと向かった。
9回表、阿部は簡単に2アウトを奪うが、ここから8番滑川、9番古屋に連打を許す。嫌な形でランナーを背負うと、続く1番武田には2ストライクと追い込みながら変化球が高めに入ってしまう。これを武田が素直にセンターへ返してタイムリーヒットとなり、石岡一が土壇場で貴重な追加点を奪う。
これで勝負あったかと思われた9回裏。ところが、ここから盛岡大付が底力を見せる。先頭の2番佐々木がライトへのヒットで出塁すると、2アウト後に5番小野寺が甘く入ったストレートを痛烈に引っ張り、ライト線への2塁打で2アウトながら2,3塁と同点のチャンスを演出する。ここで6番小川もインサイドのストレートを差し込まれながらもライトへ運び、2者生還。盛岡大付が土壇場で試合を振り出しに戻した。
この場面、小野寺も小川も2ストライクまで追い込まれながらもじっくりと待球して甘いボールを確実にとらえるあたりに、粘り強さとしたたかさが垣間見えた。初出場から8連敗を記録するなど、なかなか勝てない時代の続いた盛岡大付だが、今やすっかり常連校・強豪校になったと感じさせられた場面だった。
こうなると、試合は追いついた盛岡大付のペースとなる。10回表の相手の攻撃を阿部が3人で片付けると、その裏に四球2つと失策で満塁のチャンスを迎える。動揺を隠しきれない石岡一バッテリー。最後は7番島上の投手へのゴロを、岩本がホームへ悪送球して3塁ランナーが生還し、あっけない幕切れで盛岡大付がサヨナラ勝利をもぎ取った。
盛岡大付は9回2アウト2ストライクに追い込まれる場面が2度ありながらも、最後は石岡一・岩本のストレートをしっかりとらえて同点劇へつなげた。わんこそば打線の面目躍如の攻撃であった。2017年のような派手さはなかったが、土壇場での集中力を見せたこの年の戦いぶりはまた違った意味で、「強打の盛岡大付」を印象付けるものとなった。
一方、石岡一は絶対的エース岩本を中心に一枚岩で戦った、その試合運びは見事であった。前評判では上回る強力打線に対して、岩本は会心の投球で無失点ピッチングを繰り広げ、野手陣も9回まで無失策でエースを支えた。茨城県勢にまた一つ楽しみなチームが生まれたと感じさせた試合であった。
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