2021年選手権2回戦予想 智辯和歌山vs宮崎商

2021年

2021年選手権2回戦

智辯和歌山vs宮崎商

54% 46%

 

剛腕・小園(市立和歌山)を攻略して出場権をつかんだ智辯和歌山と春夏連続出場の宮崎商の対戦。好チーム同士の戦いだが、投打に智辯和歌山が上回るか。

 

智辯和歌山は147キロを誇るエース中西、速球派のサイドスロー伊藤、左腕の高橋と質量ともに豊富な陣容を誇る。中西はエースとして大きく成長を遂げ、変化球の精度も高いため、攻略はなかなか難しいだろう。捕手出身の中谷監督に鍛えられた2年生捕手・渡部もインサイドワークに長けており、和歌山大会での失点は最大でも2と盤石だ

対する宮崎商打線は選抜前はパンチ力ある打線との評だったが、この夏は3番中村、5番西原の頼みの中軸が打率1割台に低迷。日高、平松ら下位打線の活躍で県大会を勝ちぬいたが、甲子園本番では2人の復活が不可欠となる。もともとパワーのある選手であり、思い切りのいい打撃でカウント球を打っていきたい。

 

一方、宮崎商のエース日高は選抜では初戦敗退を喫したものの、中盤までは天理打線相手に踏ん張ったように、実力十分の好投手だ。球威のある速球とスライダーをコントロールよく投げ込む投球で試合を作る。2番手の速球派右腕・長友も控えており、日高頼みのチームからは脱却しつつある。智辯和歌山打線を相手に取られても最少失点で踏ん張りたいところ。

対する智辯和歌山打線は和歌山大会で小園を攻略したように、好投手相手でもじっくり狙い球を絞って捕まえられる攻撃陣だ。1番主将の宮坂と1年時から主砲を務める徳丸が軸だが、和歌山大会では2番大仲、3番角井、5番岡西の脇を固める左打者陣が活躍を見せた。例年ほどの大型打線ではないが、選球眼やしぶとさでは引けを取らない。県大会で苦しんだ分、甲子園で爆発する予感だ。

 

宮崎商としてはエース日高の好投が勝利には絶対条件となるだろう。投攻守にスキの少ない智辯和歌山だが、継投の合間に一瞬スキができることもあるだけに、序盤から球数を投げさせて反撃機を待ちたい。普通に組み合えば、智辯和歌山有利の展開は否めない。

 

主なOB

智辯和歌山…中谷仁(楽天)、岡田俊哉(中日)、西川遥輝(日本ハム)、黒川史陽(楽天)、細川凌平(日本ハム)

宮崎商…小川亨(近鉄)、西井哲夫(ヤクルト)、柿木孝哉(巨人)、島原公二(ヤクルト)、赤川克紀(ヤクルト)

 

和歌山 宮崎

春  2勝   1勝

夏  1勝   2勝

計     3勝   3勝

対戦成績は春は和歌山勢が、夏は宮崎勢がリード。1996年選抜では智辯和歌山の2年生エース高塚(近鉄)が鵬翔打線をわずか3安打で完封し、準優勝へと弾みをつけた。一方、2016年夏は日南学園と市立和歌山が激突。日南学園・森山、市立和歌山・赤羽の好投手同士の投げ合いは序盤のビハインドをひっくり返した日南学園が6-4で勝利し、ベスト16進出を果たした。

思い出名勝負

2009年夏3回戦

都城商

1 2 3 4 5 6 7 8 9
3 0 0 1 0 0 0 0 0 4
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

智辯和歌山

 

都城商    新西

智辯和歌山  岡田

 

2009年のベスト16最後の試合は好投手同士の投げ合いとなった。

都城商は名将・原田監督に鍛えられて年々力をつけていたが、公立校の異動の関係で指揮官がチームを離れることとなってしまった。しかし、残されたナインは教えを糧に着々と成長。春季九州大会を着実に勝ち上がると、夏の宮崎大会も圧倒的に制覇。新西、藤本の強力な左右2枚看板と下位まで強力な打線で28年ぶりの出場で上位をうかがっていた。

甲子園では初戦で埼玉・聖望学園と対戦。好左腕・佐藤の立ち上がりをとらえて、6番米良の満塁走者一掃の2塁打などで4点を先制し、5-1と曲者チームを相手に完勝を収めた。続く2回戦では強打の三重高校相手に新西が長打を許しながらも散発8安打の3失点で完投し、打線も着々と得点を重ねて8-3で快勝を収めた。公立校ながら投打に力強い内容で、徐々に存在感を増していた。

対する智辯和歌山はV候補だった前年から野手のレギュラーがほとんど抜け、エース左腕・岡田(中日)にかかる比重が大きくなっていた。その岡田は下級生時はマウンドで感情をあらわにすることが多かったが、最終学年を迎えてメンタル面で成長を遂げる。和歌山大会では智辯和歌山には珍しく、チーム打率は2割4分台と低調だったが、岡田が無失点投球で投げ抜き、5年連続の代表切符をつかんだ。

甲子園では初戦で岡田が県大会同様に落ち着いた投球で滋賀学園を完封する。しかし、大会期間中に発熱してしまい、本調子でなかった2回戦は札幌第一打線につかまって5点を失う。危機的な状況に陥ったが、終盤に代打で出てきた3年生が仕事を果たして1点差に攻めると、最終回に3番西川遥(日本ハム)の逆転タイムリーが飛び出して劇的な逆転勝利を飾った。エースにおんぶにだっこと言われていたチームが底力を見せた戦いぶりだった。

 

前の試合で高嶋監督の甲子園勝利が最多タイ記録に並んだ智辯和歌山。しかし、この試合でもエース岡田の体調はすぐれず、女房役の平野も不安を抱えていた。

すると、1回表に早くも都城打線が火を噴く。先頭の1番吉原のヒットなどで1,2塁のチャンスをつかむと、当たっている5番松原、6番富永が岡田の高めに浮いたボールを逃さず痛打して3点を先制する。エース新西と智辯のこの年の打力を考えると、この3点はあまりにも大きな得点であった。

だが、反撃したい智辯和歌山打線も前の試合の最終回から勢いが残っていたか、四球で出塁した1番大畑を2塁において3番西川揺の引っ張った打球がファーストを強襲し、1点を返す。取られたすぐ後の得点だけに重要な1点であった。

これで勢いが出るかと思われた智辯和歌山打線だったが、大会に入って好調な新西の投球の前に2回以降は手が出ない。140キロ台の伸びのある速球をアウトローに決める新西に対して、前半は7番北畠の2塁打1本に抑え込まれる。

対する岡田は5回まで毎回の10安打を浴びる苦しい内容。4回表には3番藤本のタイムリーで1点を追加されて4点目を失うが、感覚的にはもっと得点を取られていてもおかしくない内容であった。

反撃したい智辯和歌山は6回に1番大畑のサードゴロエラーと2番岩佐戸のヒットで無死1,2塁と千載一遇のチャンスを迎える。しかし、手首の骨折で本調子でない3番西川が三振に倒れると、後続も打ち取られて得点を挙げることはできなかった。

押されっぱなしの内容だったが、岡田の我慢の投球は非常に見ごたえがあった。7回には無死満塁のピンチを迎えるも、渾身の投球で2三振を奪い、無失点で切り抜ける。真っすぐ勝負にこだわって痛打を浴びた前年の姿ももう微塵も見られなかった。

都城商のエース新西は結局、智辯和歌山打線をわずか5安打に抑えて1失点完投。藤本との2枚看板と大会前は言われていたが、本大会ですっかりエースとして一本立ちし、堂々8強入りを果たした。

 

勝ち上がった都城商は準々決勝では疲れの見える新西が中京大中京・磯村(広島)に先制3ランを浴び、2-6で力尽きた。しかし、1~3回戦まですべて甲子園決勝進出の経験がある高校に対して投打に圧倒して完勝したことは、全国の公立校に大きな自信を与えたことだろう。

対する智辯和歌山はこの大会での高嶋監督の最多勝利記録達成はならなかった。西川揺の残った新チームは選抜の切符をつかみ取ると、本番では雨中の試合で高岡商の好投手・鍋田を攻略。6-1と完勝を収め、記念すべき59勝目を監督にプレゼントしたのだった。

⚾【平成21年】2009 3回戦 都城商 vs 智弁和歌山【高校野球】 – YouTube

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