2021年選抜準々決勝予想 仙台育英vs天理

2021年

2021年選抜準々決勝

仙台育英vs天理

51%  49%

〇1-0  明徳義塾    〇7-1  宮崎商

〇13-5  神戸国際大付   〇4-0  健大高崎

 

過去夏の甲子園で3度対戦し、一昨年の神宮大会でもあたった両校の対戦。お互いに当時のメンバーも残っており、因縁深いチーム同士のマッチアップとなる。

 

天理のエース達は2回戦で強打の健大高崎打線をわずか2安打で完封。しかも、この試合もまだ捕手の政所の話では本調子ではないとのことだ。まだ2試合を投げただけで余力は十分残っており、ストレートの威力がさらに増す可能性はある。その他の投手の登板は対戦相手を考えてもありそうになく、この試合も絶対エースと心中することになりそうだ。

対する仙台育英打線は2試合で24安打と好調。2試合で対戦した投手の多くは技巧派投手だが、機動力と巧みなミートでヒットを量産した。ただ、2回戦打対戦した神戸国際の阪上は本調子でなく、2番手の楠本もストレートがいいとはいえまだ成長途上の投手。彼らより2ランクも3ランクも上のストレートを投じる達に対して、どう対応するか。逆にストレートを攻略できれば一気の大量点もあり得る。

 

一方、仙台育英の投手陣はもはや誰が出てくるかわからず、しかも誰が出てきても計算が立つという理想的な陣容になりつつある。エースは伊藤になるだろうが、左腕・古川や2回戦で登板した松田もストレートの伸びは素晴らしく、全員が球威・球速とも問題ない。あとは相手打線との兼ね合いで継投機を見誤らなければ、失点は計算できそうだ。

対する天理打線も2試合で20安打と好調。1,2回戦を見る限り、変化球の方が相性は良さそう。もともと評価が高くなかった分、好球必打で上位から下位まで積極的に振っていくという、いい循環に入りつつある。しかし、仙台育英の投手陣のストレートの質はおそらくこれまで対戦した投手より一枚上。1番内山や4番瀬といった軸になる選手へチャンスで回したいところだ。

 

投手層の厚さ、打力ではやはり仙台育英に分があるのは間違いない。しかし、エース達の投球はそんなビハインドをひっくり返すだけの力があり、無欲で戦う天理の伸び伸び野球が出れば、試合はわからなくなる。

 

主なOB

仙台育英…松原聖弥(巨人)、上林誠知(ソフトバンク)、熊谷敬宥(阪神)、馬場皐輔(阪神)、梅津晃大(中日)

天理…門田博光(南海)、鈴木康友(巨人)、関本賢太郎(阪神)、中村奨吾(ロッテ)、太田椋(オリックス)

 

宮城  奈良

春  2勝  1勝

夏  3勝  3勝

計  5勝     4勝

強豪県同士の対戦は宮城が通算で5勝4敗とリード。特に今回対戦する天理と仙台育英はなんと平成に入ってから夏の甲子園で3度も対戦している。

平成2年は天理のエース南(日本ハム)の好投で前年準優勝の仙台育英を完封し、まず先勝。平成6年は金村(日本ハム)、昆の両右腕を擁する仙台育英が、好投手・北田を擁する天理に昆のサヨナラ打で5-4と勝ち、リベンジを果たした。

そして、3度目の対戦は新沼(横浜)、高松ら強打者を擁する仙台育英が、関本(阪神)を筆頭に奈良大会で新記録となる9ホームランを放って天理に6-2と打ち勝ち、現在は2勝1敗とリードしている。タイになるか、仙台育英の3勝1敗になるか。注目の準々決勝第1試合が幕を開ける。

思い出名勝負

2007年夏2回戦

仙台育英

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 2 2
0 0 0 0 5 0 0 0 × 5

智辯学園

 

仙台育英  佐藤由

智辯学園  内之倉→坂口

 

例年通り戦死者を弔う黙とうが行われた2007年8月15日、2回戦屈指の好カードが実現した。

仙台育英は前年夏から3季連続出場。2006年夏には宮城大会決勝で、それまで覇権を奪われていた東北との引き分け再試合を2年生エース佐藤由の快投で制し、2001年夏以来の出場を果たしていた。ただ、同年夏は山形勢初の夏のベスト8入りを果たした日大山形に、2007年選抜では優勝する常葉菊川に敗れ、なかなか勝ちきれない戦いが続いていた。

150キロ近い速球と高速スライダーを持つ佐藤由の実力はだれもが認めるところ。あとは打線がどれだけ援護できるかというところだったが、宮城大会は4番高橋巧を中心に上位打線が好調で連覇を達成、1回戦は智辯和歌山との強豪対決になったが、150キロ超えのボールを連発した佐藤由の好投と1番橋本到(巨人)の決勝打で4-2と振り切り、まずは順調に初戦を突破した。

一方、智辯学園は2002年以来4年ぶりの甲子園出場だった。不祥事があって以来元気のなかったライバル天理が復活すると、2003年から4年連続出場を達成。その間、智辯学園はずっと後塵を拝し続けていた。しかし、今年のチームは佐藤、生多、岸田を中心とした破壊力抜群の打線を擁し、春季近畿大会を制覇。投手陣も内之倉、阪口の技巧派投手2人が粘りの投球で試合を作り、手ごたえを感じていた。

奈良大会では準決勝でライバル天理に13-9と打ち勝つと、決勝は初めての出場を狙った奈良大付に岸田のホームランなどで15-2と圧勝。4年ぶりの代表切符を勝ち取ると、甲子園初戦では尽誠学園のエース藤井を攻略してこれまた12-2と大勝を収めた。7番関本に2本のホームランが飛び出し、どこからでも長打が飛び出す脅威の打線で大会No.1右腕攻略へ牙を研いでいた。

 

試合は立ち上がり、仙台育英サイドがちぐはぐとした攻撃になる。好調の1番橋本がヒットで出塁するが、2番遊佐はバント失敗で送れず。3番主将の武子は送れたかと思ったが、ランナーがオーバーランしてタッチアウトと、思うような攻撃ができない。

1回戦の智辯和歌山戦は初回の得点で波に乗ったが、この試合はミスから流れを失うと、その後も智辯学園のエース内之倉の緩急をつけた投球の前になかなかチャンスを作ることもできなくなってくる。内之倉はフォームも独特でタイミングを取りにくく、投げるボールが凄くなくとも打者にとっては嫌な投手である。

一方、仙台育英のエース佐藤由は立ち上がりから140キロ台後半の速球で飛ばしに飛ばす。さしもの智辯学園の打線も攻略に苦労していたが、それでもファウルでじっくり粘りながら攻略の糸口を探す。4回には2番稲森に対して大会最速の155キロをマークして球場を沸かせるが、それでも智辯学園ナインたちは動じない。

すると、5回裏に難攻不落のエースが突如崩れだす。先頭の6番茂山に四球を与えると送って1アウト2塁から8番土井にはインサイドをついて死球を与える。決して打力の高いわけでない下位の打者に、あえてインサイドをつきに行っての死球はもったいない感は否めない。150キロをマークする速球と高速スライダーを持っているのだから、アウトコース勝負でも良かったか。

さらに、続く9番内之倉にはストライクを取りに行った甘いボールをセンターに返されて満塁。県大会の打率1割台の打者に打たれ、下位打線でビッグチャンスを作られてしまう。なんともまずい雰囲気で1番主将の佐藤を迎えると、佐藤は高めのストレートを強振してライトオーバーの2塁打とし、2点を先制。さらに1塁ランナーの内之倉が飛び出していたにも関わらず、まずい中継プレーで刺すことができずにランナーが全員残ってしまう。

なおもランナー2,3塁となって打席には2番を打つ1年生稲森。先ほどの打席で、155キロをマークされた際も、「1年生相手に何ムキになってんだよ」と感じていたという不敵な1年生は佐藤由のストレートをキレイにセンターにはじき返して2者を迎え入れ4-0。この後、打者一巡して6番茂山にもタイムリー内野安打が飛び出し、一挙5点を奪う。なんとも重厚感のある智辯学園の攻撃だったが、仙台育英にとってはミスも絡んだ痛すぎる失点だった。

この5点差は打撃のチームではない仙台育英にとっては焦りを生む。その後も、内之倉、そして7回から登板した2年生右腕・坂口を打てず、無得点のまま試合は9回に進む。守りのチームが一度大きなビハインドを背負うと、ひっくり返すのは容易ではない。

それでも9回表、最後の反撃を見せる仙台育英は期待の4番高橋巧の右中間へのタイムリー2塁打と6番佐藤司のタイムリーで2点を返す。最終回にきてようやく坂口の球筋に慣れ始めてきたか。だが、時すでに遅く、後続が打ち取られてゲームセット。大会再注目のスピードスターが2回戦で甲子園を後にすることとなった。

 

その後、智辯学園は3回戦で中村晃(ソフトバンク)、杉谷拳(日本ハム)を擁する帝京に0-6と完敗。さすがに東の横綱には圧倒されてしまったが、復活の第一歩を示す大会となった。その後は天理と覇を競いながら出場を重ね、2016年選抜では念願の全国制覇を飾っている。

一方、敗れた仙台育英にとっては優勝を狙っていた大会だけに惜しい敗戦となった。佐藤由は謙虚すぎるがあまりに必要ない場面でもインコースをツキに行く悪い面が出てしまったか。5点の差この年の仙台育英打線にとってはデッドラインを超えた点差だっただろう。しかし、この2年間で復活を遂げた仙台育英もまたコンスタントに出場を続けており、現在に至るまで2度の神宮制覇や2015年夏の準優勝など、高校野球ファンをうならせる活躍を見せている。

2021年選抜準々決勝 天理vs仙台育英(9日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2007年熱闘甲子園 智弁学園対仙台育英 – YouTube

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