大会4日目第4試合
県岐阜商
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
1 | 4 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | × | 10 |
社
県岐阜商 山口→小林→古賀→池田→森
社 堀田
大会4日目の第4試合は県岐阜商がコロナウイルスの影響で大量にメンバーを入れ替えての試合となった。社が序盤から着実に加点し、試合は大差がついたが、県岐阜商の代わりに出たメンバーの奮闘に球場は拍手で包まれた。
試合
県岐阜商はコロナウイルスの影響で投手陣も大量に離脱。先発には県大会でほとんど登板のない2年生右腕・山口が上がることとなった。一方、社は右の2枚看板の一角・堀田が順当にマウンドに登った。
1回表、堀田は1アウトから3番三塚にヒットを許すが、4番伊藤をインハイのストレートで三振に切って取り、快調なスタートを切る。不利な状況の中で先制してリズムをつかみたかった県岐阜商だが、兵庫大会で熾烈な守り合いを勝ち抜いてきた社のエースを攻略することは容易ではない。
すると、1回裏、県岐阜商は1番大西が粘って四球を獲得。犠打は失敗に終わるも、盗塁と悪送球で1アウト3塁とし、打席に3番福谷を迎える。チーム打率2割7分台のチームに合って、25打数13安打の打率5割2分を記録し、「戦術はメッシ」ならぬ「戦術は福谷」と言わしめたキーマンだ。徹底した右打ちで粘ると、7球目のアウトコースのボールをライトにはじき返して先制の走者を迎え入れる。
それでも後続をなんとか山口が打ち取ると、2回表には併殺で2アウトとなった後に7番高橋、8番高井と代役で出た下級生が連打。名門チームの意地を見せる。堀田に後続は打ち取られたものの、2人とも将来性豊かな打者である。
2回裏、社は山口の攻略にかかる。投手中心に守り勝つ野球が多い兵庫にあって、社打線は基本に忠実にじっくり選球し、甘いボールをセンターから逆方向にはじき返すという派手さはなくとも丁寧な攻撃を見せる。四球でランナーをためると、1番大西、2番後藤、3番福谷がすべてセンター中心に逆方向への打撃で得点を重ね、この回4点。県岐阜商はこの回で山口がマウンドを降りることとなったが、突然の大役で本当によく投げていた。
社は3回裏にも下位打線の四球を足掛かりに上位打線のしぶとい打撃で得点を重ねていく。特に県大会で打率1割台だった4番笠井にこの日3安打と当たりが出たのは心強いだろう。この日、1番から5番までマルチヒットを記録。やや上位偏重の結果とはなったが、県大会で打撃に苦しんだ社にとっては上々の結果と言えるだろう。
投げては堀田が丁寧にコーナーを突く投球で県岐阜商打線を翻弄。特に右打者のインサイドを正確に突けるのは強みであり、相手打者の踏み込みを簡単に許さない。球威・スピードも十分であり、今後が楽しみな投手だ。
一方、大量リードを許した県岐阜商だが、守りでは内外野とも懸命のプレーで投手を盛り立てる。ライト高橋がダイビングキャッチを決めるなど、最後まであきらめずに一つ一つアウトを積み重ねていった。
そして、8回表にはついに堀田から得点を奪った。先頭の8番高井がストレートを叩くと、打球は浜風に乗ってレフト方向に伸び、無死2塁のチャンスを迎える。代打・磯野のファーストゴロの間に3塁へ進むと、1番加納のサードゴロの間にホームに生還。大きな大きな1点を刻み付けた。
8回裏に1番大西のタイムリーで1点を追加した社は先発の堀田が最終回もマウンドへ。最後まで球威・制球ともに衰えることなく投げ抜き、6安打1失点で完投。社が夏の甲子園初出場で初勝利を挙げた。
まとめ
社は相手の県岐阜商が不運な状況ではあったが、兵庫大会からやっていた投手を中心に守り勝つ野球を甲子園でも貫いて見せた。攻撃面では犠打の失敗という点でやや課題は残ったが、上位打線に当たりが出たことは好材料だろう。3番ショートの福谷は甲子園でも攻守でセンスあふれるプレーを見せてくれた。
この日は登板がなかった右腕・芝本も控えており、まだまだ余力は十分。自分たちの守りの野球でさらなる上位進出を目指す。
一方、県岐阜商にとってはメンバーを大幅に入れ替えるという、不利な状況に陥ってしまった。県大会決勝で4点差を跳ね返したように、本来は打力の高いチームだったが、この日は社の堀田の投球の前に力負けしてしまった。
ただ、代わりに出たメンバーが甲子園を経験できたという点でプラスにとらえることはできるだろう。ヒットを放った高木、高井をはじめとして下級生の多くが聖地の空気を味わうことができたのは新チームにとって大きな収穫だ。来年の県岐阜商の逆襲が早くも楽しみになってきた。
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