2022年選手権1回戦 聖光学院vs日大三(4日目第2試合)

2022年

大会4日目第2試合

日大三

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 1 0 0 0 0 0 2
0 0 0 1 2 0 0 1 × 4

聖光学院

 

日大三   松藤→佐藤→安田

聖光学院  小林剛→佐山

2012年以来10年ぶりとなったマッチアップは、聖光学院が一発攻勢で日大三をリード。会心の試合運びで東の横綱を下し、大きな1勝を手にした。

試合

日大三はエース左腕・松藤が先発。ところが、聖光学院サイドは大方の予想を覆して、エース佐山に代わり、左腕・小林剛がマウンドに上がった。左の好打者が並ぶ日大三打線に対し、ベテラン斎藤監督が開始からジャブを入れに来る。

しかし、そんなことはお構いなしとばかりに初回から日大三打線は聖光に襲い掛かる。1番藤巻が真ん中低めの変化球をうまくすくってライトにヒットし、犠打で二進。2アウト後に4番朝倉はアウトコースやや甘めに入ったスライダーをジャストミートして、センターのフェンス直撃のタイムリー2塁打とし、1点を先制する。聖光学院としては出鼻をくじかれる格好となった。

対する聖光学院も1回裏、1番赤堀が逆方向への打撃でライト前ヒット。こちらも犠打で二塁に進めるが、松藤は丹念にコーナーを突いて打ち取っていく。選球眼の良い聖光学院打線に対し、粘り負けしない投球を見せる。一方、聖光学院も小林剛が2回、3回とヒットを打たれるが、こちらも変化球主体に低めに丁寧に集める投球で日大三打線をかわす。

斎藤監督の狙いが当たりだしたかと思われたが、4回表に聖光のディフェンスにやや乱れが出る。先頭の5番金沢を四球で出すと、続く6番村上の犠打が野選となって1,2塁。改めて犠打で2,3塁となると、8番大川のセカンドゴロでバックホームが間に合わず、2点目が入る。

強打の日大三に対して、ミスが絡んでの失点は、聖光学院にとってはかなり嫌な失点だっただろう。ただ、さらなる大量失点の危機で、続く9番松藤の投手ライナーが併殺となり、聖光学院としては胸をなでおろす展開となる。

すると、ここ数年で最も力があるという打線が4回裏に反撃を開始する。先頭の2番高中がスライダーを完ぺきにとらえてレフトフェンス直撃の2塁打で出塁。1アウト後に暴投で三進すると、4番三好の高いバウンドのサードゴロの間に生還を果たす。固い甲子園のグラウンドを理解した打撃で、そつなく1点を返す。

ゲームが動き始めた中盤、日大三は5回表にも1番藤巻がレフトへの2塁打で出塁する。左打者が左投手から逆方向に打ち返した打撃に、斎藤監督も危機感を覚えたか、犠打で1アウト3塁となって、ついにエース佐山をマウンドに送る。ここで3番冨塚には痛烈なライトライナーを打たれるも、ライト三好が好返球でタッチアップを狙った藤巻を刺し、追加点を許さない。エースへの継投に硬い守備でも失点阻止。聖光学院としては流れを変えるきっかけとなる守りであった。

このいい流れに乗った5回裏、聖光学院は先頭の8番生田目が内野安打で出塁。盗塁失敗のダブルプレーでチャンスを逸しかけるも、当たっている1番赤堀がレフト線への2塁打で再びチャンスを作る。松藤の決め球のスライダーを各打者が確実にとらえ始める。続く2番高中も先ほどはスライダーを2塁打としている。バッテリーの直球勝負を読み切って高めのストレートをとらえると、打球は高々と舞い上がってレフト席に着弾。会心の逆転2ランで聖光学院が初めてリードを奪う。

リードをもらった聖光学院のエース佐山だが、強打の日大三を相手に毎回ピンチを背負う。7回には1アウトから代打・二宮、1番藤巻に長短打を浴びて1.3塁と大ピンチ。しかし、ここで2番寒川のとらえた打球はファースト伊藤のミットに収まり、3番冨塚もセンターフライで後一押しができない。日大三としてはツキにもやや見放されたような攻撃であった。

一方、日大三も必死の継投で7回には2アウト1,3塁のピンチを3番手の右腕・安田がしのぎ、優勝候補の意地を見せて食らいつく。しかし、1点差で迎えた8回裏、4番三好への変化球が甘く入ると、これを三好が逃さずとらえて、レフトへのホームランとなり、4-2。昨秋まではエース佐山におんぶに抱っこと言われた聖光学院だが、一冬そして春を超えて、打線に決定力がついた。

反撃したい日大三も最終回に2アウトから9番二宮がしぶとくヒットを放って出塁。一発出れば同点の場面を作って1番藤巻に回す。ここまで3安打と当たっている藤巻は低めの変化球をたたきつけるが、聖光内野陣がこれを落ち着いてさばいてゲームセット。聖光学院が10年前の対戦に続いて、日大三を接戦で下し、2回戦進出を決めた。

まとめ

聖光学院にとっては、試合前に斎藤監督が描いたプラン通りに、日大三をひっくり返し、勝利を収めた。小林剛は序盤2点を失ったが、ある程度失点をする覚悟で臨んだこともあり、落ち着いた投球ですべて最少失点に抑えた。また、打っては春以降急激に成長した打線が2ホームランを記録。日大三のような圧倒的に攻め続ける攻撃ではないが、失投を確実にとらえる確実性が光る打撃であった。

優勝候補と目された相手に対して、焦ることなく自分たちの野球を貫いての勝利。聖光学院というチームが新たな自信を得る試合となったのは間違いないだろう。

一方、敗れた日大三は各打者のスイングは間違いなく出場校中でもトップクラスだったが、流れのつかみ合いで聖光学院のうまい野球に屈した印象だった。打撃のチームだけあって、思うように点が入らない時に焦りが出てしまうのは致し方なかったかもしれない。西東京大会で東海大菅生の好投手・鈴木を打ち崩し、自信を持って臨んだ大会であったが、今年は初戦で幕を閉じる結果となった。

【第104回選手権】日大三 vs 聖光学院 ハイライト – YouTube

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