大会8日目第2試合
帝京五
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
5 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | 2 | 0 | × | 14 |
九州学院
帝京五 積田→坂本→国方
九州学院 直江→桑原→西嶋
ピンストライプのユニフォームのチーム同士の対戦は序盤から激しく打ち合う展開に。2005年の酒田南以来となる先発全員マルチ安打を記録した九州学院が帝京五を下し、2010年以来となる夏の1勝をマークした。
試合
九州学院は県大会をほとんど投げ抜いた2年生エース直江が先発。一方、帝京五は右の2枚看板の一角、積田がマウンドへ上がった。
1回表、帝京五は立ち上がり硬さのある直江から1番鈴木がストレートの四球を選ぶ。犠打で二進すると、3番岩来がアウトコースのストレートを右中間にはじき返し1点を先制する。当たっている上位打線できっちり得点し、まずは順調なスタートを切る。
ところが、その裏、先発の積田が九州学院打線につかまってしまう。緩急が持ち味の右腕だが、九州学院の各打者のレベルが高い。先頭の大城戸がカーブをきっちりためてレフトへ流し打つと、盗塁と2番馬場のセーフティバントでいきなり無死1,3塁のピンチ。ここで3番園村が低めの変化球をすくってライト前のテキサスタイムリーとし、すぐさま同点に追いつく。ここまで積田の投球数はわずか6球であり、九州学院の速い仕掛けが目立つ。
続く注目の4番村上慶のセカンドゴロをセカンドがはじいてしまい、帝京五はなかなかアウトが取れない。5番松下の犠飛で勝ち越すと、さらに7番渡辺・8番直江の連続タイムリーが飛び出してこの回一挙5点をたたき出す。各打者がセンターから逆方向への意識を持って打ち返しており、帝京五バッテリーとしてもなかなかかわすことができない。
それでも、今年の帝京五は打てるチームだ。2回表に1アウトから7番秋元がヒットを放つと、8番積田のバントが3塁線を切れずに内野安打に。四球も絡んで満塁となると、2番大井がタイムリー内野安打を放って1点を返す。さらに3回表には5番土谷のヒットを足掛かりに再び満塁のチャンスを作ると、9番灰咲、1番鈴木の連続押し出しでついに1点差まで迫る。立ち上がりからスピードは出ているが、直江はストレートのコントロールに苦しむ。
1点差に迫られた九州学院だが、こちらも自慢の打撃では一歩も譲らない。3回裏、6番後藤の豪快な3塁打でチャンスを作ると、7番渡辺の犠飛ですぐに突き放す。さらに、4回裏には今度は1番大城戸に3塁打が飛び出すと、2番馬場のセカンドゴロエラーで加点。続く5番松下にもタイムリーが飛び出し、再び点差は3点になる。積田は4番村上慶を歩かせたところで降板。緩いボールをことごとく引き付けてはじき返され、持ち味の緩急を活かした投球ができなかった。
一方、立ち上がりから3イニング連続で失点していた直江だったが、4回以降は制球力を取り戻す。躍動感のあるフォームから繰り出す140キロ超えの速球とスライダーがコーナーに決まるようになり、特に低めに決まるスライダーが効果的だ。5回には先頭打者にヒットを許すも、味方の好守備に助けられてランナーを刺してもらい、波に乗っていく。
帝京五の2番手のサイド右腕・坂本に抑えられていた九州学院だったが、6回裏に再び打線がつながる。1アウトからここまで無安打だった4番村上慶が低めのボールを救い上げると、打球はライト線ギリギリに落ちるあたりとなって、村上慶は一気に3塁を陥れる。5番松下のタイムリーで追加点を挙げると、7番渡辺の失策を挟んで9番瀬井までこの回5安打が飛び出す猛打ぶり。計4点を追加し、試合の大勢は決した。
7回裏にも7番渡辺のタイムリーで2点を追加した九州学院は7回までに4番村上慶以外の全員がW安打を達成。スライダー中心の投球で立ち直ったエース直江も好投し、終盤はすっかり九州学院ペースとなった。8回裏にはその4番村上慶にも流し打ちでレフトフェンス直撃の2塁打が飛び出し、ついに全員マルチヒットを達成。最終打席になって4番に会心の当たりが飛び出した。
8回からは直江を降板させて継投に入った九州学院は桑原、西嶋の両左腕でつないでゲームセット。持ち味の打線が威力を存分に発揮し、久々の夏の甲子園1勝を豪快につかみ取った。
まとめ
九州学院は先発全員マルチ安打の猛打で圧勝。結果を見ると、豪快なイメージだが、全員が逆方向を意識した無理のない打撃をしており、基本に忠実な打撃を続けた。自主練習で打撃練習をすることが多い九州学院だが、その打撃のレべルはさすがに全国トップレベルであった。エース直江も序盤は制球に苦しんだが、中盤以降は別人のような内容で無失点ピッチングを展開。投打に盤石の内容で、熊本の強豪が久々の勝利を飾った。
一方、帝京五は序盤は打線が応戦して互角の展開になりかけたが、投手陣が九州学院の打撃に耐えられなかった。先発の積田をはじめとして内外の揺さぶり、緩急でなんとかかわそうとしていたが、やはり緩急の「急」の部分が足りず、九州学院の各打者が詰まらされることを恐れずに引き付けて打ち返していた。
ただ、2017年の選抜に続いて、夏の大会でも初出場を達成したことは大きな財産であり、小林監督(元帝京の選抜準優勝投手)を中心にまた新たな戦いは始まっていく。
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