2022年選抜決勝
大坂桐蔭vs近江
52% 48%
〇3-1 鳴門 〇6-2 長崎日大
〇不戦勝 広島商 〇7-2 聖光学院
〇17-0 市立和歌山 〇6-1 金光大阪
〇13-4 国学院久我山 〇5-2 浦和学院
昨夏に続く両校の対戦。近江のエース山田は昨夏の試合で投げており、両チームの現在のメンバーもベンチやスタンドでこの試合を見守っていただろう。近江は昨夏の試合をきっかけに一気に4強入りして自身をつけ、大阪桐蔭はこの試合の悔しさをばねに今年度のチームが破竹の快進撃を見せた。
ともに負けられない気持ちが強いだろうが、現状では近江のエース山田が負傷していることを考えると、大阪桐蔭が有利だろう。
近江のエース山田は準決勝で左足に死球を受け、球数制限の影響で116球が決勝で投げられる球数の上限となる。明日が降雨になれば、この問題が両方とも解決に傾くが、果たしてどうなるか。持ち味の角度のある速球は威力十分だが、序盤に高めに入るケースが目立っており、大阪桐蔭打線相手では致命的となる。左腕の星野の出番がある可能性も高い。
対する大阪桐蔭打線はすべてにおいてハイレベル。高い打撃技術に加えて、相手バッテリーの狙いを感じ取る頭脳を持ち、ポジショニングの裏を突く攻撃もできるという厄介な打線だ。準々決勝まで1安打だった3番松尾も準決勝は4安打と完全に復調。多少難しいボールでもヒットにする技術を持っており、山田の低めに落ちるボールを攻略しだしたら、勝負は決まってしまう可能性はある。
一方、大阪桐蔭の投手陣は2回戦が不戦勝になったこともあって余力十分。決勝の先発が予想される2年生左腕・前田はキレのある速球と多彩な変化球をコントロールよく投げ分け、準々決勝の投球を見る限りほとんど打てるボールはない。川原、別所の本格派右腕2人も控えており、西谷監督としても完投、継投、様々な選択肢がある状況だ。豊富な投手陣をふんだんに使って優勝をつかみに行くだろう。
対する近江打線は1番津田、3番中瀬の左打者が非常に当たっており、上位でチャンスメークできる可能性は高い。ただ、4番山田が負傷している状態であり、場合によっては準決勝でタイムリーを放った5番岡崎との打順入れ替えもあり得るか。対前田対策ということで言えば、左打者にとってアウトローとなるストレートで簡単にストライクを取らせないように、しっかりカウント球は打っていきたい。また、準決勝で見られたバントミスはなくしたいところだ。
大坂桐蔭にとっては、昨年は春夏ともに近畿勢を相手に敗戦を喫しており(選抜は●6-8 智辯学園、夏は●4-6 近江)、その悔しさを晴らす最高の舞台が決勝で巡ってきた。4度目の選抜制覇、春夏通算9度目の優勝を達成して、王者復活となるか。
一方、近江にとっては勝てば代替出場からの初優勝、滋賀県勢としても初優勝となる。エース山田を中心に一枚岩となった強さは大会が進むにつれて磨きがかかってきた。これまで同じ近畿で見上げつづけてきた大阪勢との戦いを制し、34都道府県目となる優勝県になれるか。勝負の戦いが始まる。
主なOB
大坂桐蔭…中村剛也(西武)、中田翔(日本ハム)、藤浪晋太郎(阪神)、森友哉(西武)、根尾昴(中日)
近江…木谷寿己(楽天)、伊奈龍哉(ソフトバンク)、小熊凌祐(中日)、植田海(阪神)、京山将弥(DeNA)
大坂 滋賀
春 0勝 0勝
夏 4勝 2勝
計 4勝 2勝
今大会2度目の大阪vs滋賀対決。昨夏を迎えるまで大阪勢の4勝負けなしだったが、近江が昨夏、今大会と2連勝。ここにきて対戦成績を盛り返してきた。
1979年の選手権大会準々決勝では、選抜準優勝の浪商と滋賀県勢として初の8強入りを果たした比叡山が対戦。浪商は負傷を抱えているにもかかわらず、主砲・香川(南海)が史上初となる3試合連続ホームランを達成。エース牛島も貫禄の投球で比叡山打線を0封し、10-0で4強進出を決めた。ただ、この次の試合で池田のエース橋川に打線が完封され、0-2で敗退。この試合が浪商の黄金バッテリーが最後に勝利した試合となった。
一方、昨夏は近江と大阪桐蔭が2回戦で激突。近江は2回までに2年生エース山田が4失点を喫する苦しい展開だったが、中盤以降にスクイズや5番新野のホームランなどで着実に加点。同点で迎えた8回裏に代打・山口の決勝タイムリーが飛び出し、対大阪勢初勝利を手にした。この勝利を機に勢いに乗り、4強入りを果たしたのは記憶に新しいところである。
2021年選手権2回戦 近江vs大阪桐蔭(10日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
2季連続3度目の両府県の対戦は、優勝を狙う大一番となった。勝利を手にするのはどちらになるか。
思い出名勝負
2015年夏1回戦
大阪偕星学園
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 7 |
0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
比叡山
大阪偕星学園 光田
比叡山 山崎→大原→西村→中島
高校野球の歴史100年を数えた2015年の夏。その1回戦で大阪偕星学園と比叡山という近畿勢同士の顔合わせが実現した。
大阪偕星学園は元プロの山本監督が指導し、「リアルルーキーズ」のようなたたき上げの強化で強さを増してきていた。4番捕手の大黒柱・田端や天理から編入してきた長身の1番姫野、スタミナ抜群のエース左腕・光田など個性豊かで負けん気の強い面々が躍動。大阪大会準々決勝では前年夏王者の大阪桐蔭を3-2と下し、勢いに乗って代表の座を一気につかみ取った。
対する比叡山はエース村西(横浜)を擁して春夏とも優勝校に敗れた1999年以来実に16年ぶりの出場を果たした。近年は近江、滋賀学園、北大津などに押され気味だったが、この年は技巧派右腕・山崎を中心とした分厚い投手陣と切れ目のない打線で快進撃。決勝では好投手・小川を擁して3季連続の甲子園を狙う近江を5-0と圧倒し、久々の夢切符をつかんだ。
投打ともに大阪偕星にやや分がある中で、比叡山がどれだけ食いつけるかという構図。しかし、大阪偕星はエース光田が大阪大会4連投の影響で指のまめをつぶしており、スライダーのスピードがやや落ち気味なのが気がかりであった。
試合は1回表から大阪偕星の強打が火を噴く。2アウトから3番西岡が失策で出塁。4番田端が2塁打でつなぐと、5番を務める2年生岸がその迫力ある体格通りの痛烈なセンター前タイムリーで2点を先制する。王者を倒して代表切符をつかんだ自信が各打者のスイングにみなぎる。
しかし、粘って食らいつくスタイルの比叡山もすぐに反撃。2回裏にエース山崎が自らタイムリーを放って1点を先制すると、3回には上位打線の連打で同点に。大阪偕星の光田はストレートにはキレがあるが、やはりスライダーにスピードが乗らず、苦しい投球となる。
その後、比叡山・山崎はスライダー主体に針の穴を通すコントロールで大阪偕星打線をかわしていく。6回表に9番的場のタイムリーで1点を失ったものの、上位から下位までまるで穴のない打線を相手に7回3失点の投球は十分先発の役目を果たしたと言えるだろう。
なんとか反撃したい比叡山だが、1回から毎回ヒットを放ちながらも要所を締める光田の前に4回以降は得点を挙げられない。さすがに猛者ぞろいの大阪大会を勝ち抜いた優勝投手だけあって勝負所のコントロールを間違えない投球が続く。
だが、運命の9回裏、比叡山に最高の場面が訪れる。ヒットのランナーを犠打で進め、2アウト2塁となったところで打席には主将の河合を送る。これまでチームを支えてきたキャプテンがインサイドのボールを引っ張ると、打球は三遊間を抜けてレフトへと運ぶ同点タイムリーに!ナインの思いが伝わった一打にスタンドは大興奮となる。
ただこの9回裏の続くチャンスで決めきれなかったのが痛かった。8回以降苦心の継投策を見せていた比叡山投手陣がついに10回表で力尽きる。2アウトランナーなしから7番福田、8番光田の連打で1点を勝ち越すと、そこから3番西岡まで炎の6連打を見せて4点を勝ち越し。一気に試合の流れを強奪する集中打で試合を決めてしまった。
それでも10回まで毎回安打を放った攻撃陣と粘りの継投で、V候補の大阪代表に食らいついた伝統校・比叡山の戦いぶりが甲子園ファンの胸を打ったのは間違いない。近畿勢同士の死闘は接戦の多かったこの年の夏の中でも屈指の名勝負であった。
コメント
[…] 2022年選抜決勝予想 大坂桐蔭vs近江 […]