2022年選抜準々決勝予想 浦和学院vs九州国際大付

2022年

2022年選抜準々決勝

浦和学院vs九州国際大付

51% 49%

〇4-0  大分舞鶴 〇3-2  クラーク国際

〇7-0  和歌山東 〇4-1  広陵

 

ともに左腕エースと強力な左打者を擁する似たもの同士の対戦。便宜上、浦学の攻撃の精度の方が高いという観点で差をつけたが、実際のところ力は五分と五分で差がないがっぷり四つの展開となりそうだ。

 

浦和学院のエース左腕・宮城はここまで2試合で16イニングを投げて無失点、しかも打たれたヒットもわずか4本という安定ぶりである。キレのある速球とスライダーは昨夏から評価は高かったが、ここにきてようやく全国の高校野球ファンが周知するところとなった。ただ、九国の打線は1,2回戦の相手より数段レベルアップするだけに、カウントを取るアウトコースのストレートを狙われた時に、スライダーをどう有効活用するかに注目したい。

これに対して、九国の打線は1回戦で元気のなかった1番黒田、4番佐倉がぞれぞれ固め打ちを成し遂げたことで、上位から下位まで満遍なく当たりが出た状態となった。広陵戦を見ても、ストレートに対しては強さを見せており、浦学の宮城のストレートも九国打線ならとらえるかもしれない。ただ、13安打を放ちながらも4点に終わったように、走塁面も含めて攻撃の精度は上げていきたいところだ。

 

一方、九州国際大付のエース香西は、地区大会優勝校を相手に2試合を投げて失点はわずか3と安定感抜群の投球を見せている。遅いボールを早く見える術を知っており、気が付けば香西のペースに巻き込まれている。また、ストレートはスピードこそ120キロ台だが、ベース板でスピードが落ちず、しかもコーナーに決まるため、厄介なボールだ。疲れでキレが落ちない限りはそう多くの失点はしなさそうだ。

対する浦和学院は、金田・鍋倉・高山の左打者3人で得点の大半を挙げており、この3人は長打力と柔らかさを併せ持つ。ただ、過去2戦は主に右投手との対戦が多く、左の技巧派の香西を相手に、基本に忠実なセンター中心の打撃を継続できるかがカギを握る。森大監督に代わって、積極的な「超攻撃野球」を仕掛けるようになっており、序盤のペース争いで主導権を取れるかどうかも注目だ。

 

浦和学院は積極的な攻撃、九州国際大付は長打力が持ち味であり、この両者の特徴を両左腕が出させないようにするかがカギを握る。エースに疲れがたまってくる頃でもあり、浦和学院は金田、九国は野田と両右腕の出番もあるかもしれない。

 

主なOB

浦和学院…鈴木健(西武)、三浦貴(巨人)、坂元弥太郎(西武)、小島和(ロッテ)、渡邉勇太郎(西武)

九州国際大付…二保旭(阪神)、三好匠(広島)、高城俊人(DeNA)、清水優心(日本ハム)、富山凌雅(オリックス)

 

 

埼玉  福岡

春  0勝  0勝

夏  1勝  1勝

計     1勝    1勝

対戦は夏のみで1勝1敗のタイ。

1975年夏は小倉南と上尾が対戦。小倉南が4点のリードを奪っていたが、上尾が終盤に3ランなどで同点に追いつくと、最後も延長10回に劇的なサヨナラホームランが出て勝利をつかんだ。この大会で上尾は準々決勝で原辰徳(巨人)を要した選抜準優勝の東海大相模にも逆転勝ち。同校最高成績となるベスト4に進出した。

一方、2000年夏は柳川・香月(近鉄)と浦和学院・坂元(ヤクルト)の好投手対決が早くも2回戦で実現。初戦で当時の大会タイ記録となる19三振を奪った坂元だったが、初回に制球が乱れたところを柳川打線に捕まり、4失点。香月が浦和学院打線を1点に抑え、3回戦進出を果たした。

思い出名勝負

2000年夏2回戦

柳川

1 2 3 4 5 6 7 8 9
4 0 0 0 1 0 0 0 0 5
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

浦和学院

 

柳川     香月

浦和学院   坂元

 

2000年夏の甲子園は強打を誇る智辯和歌山が大会前から優勝候補筆頭に挙げられていた。その智辯和歌山を倒す可能性のあるチームとして横浜、PL学園、中京大中京、明徳義塾などが挙げられていたが、今回対戦する2校もその候補に挙げられていた。2回戦で当たるにはもったいない対決であった。

浦和学院は森士監督が就任し、平成になってからも安定して甲子園に出場。1998年の選抜ではV候補の沖縄水産を下して8強入りするなど、関東屈指の強豪校として認知されていた。しかし、この年は県内に関東3羽ガラスと呼ばれた好投手・中里(中日)を擁する春日部共栄が存在し、浦和学院としても4年ぶりの夏出場に向けて高いハードルとなっていた。

埼玉大会決勝ではこの両校が順当に勝ち上がって激突。県内の高校球史で語り継がれる熱戦となった試合は、延長10回裏に3番丸山のサヨナラタイムリーが飛び出し、浦学が久々の出場権を獲得した。甲子園では初戦で八幡商と対戦。打線が八幡商の左腕・西川(西武)から10安打を放ちながらも2点どまりだったが、坂元がスライダーを武器に19奪三振の快投を演じ、2-1の点差以上に圧倒した内容で1回戦を突破した。

一方、柳川は昨秋の九州大会を制し、選抜でも8強入りした、この世代の「九州最強チーム」である。エース香月は140キロ台をコンスタントにマークする直球とカーブを武器に選抜では3試合で33奪三振を記録。打線も松尾・永瀬・犬塚ら強打者が並び、選抜では智辯和歌山に0-1と惜敗したものの、その実力に疑いの余地はなかった。

ところが、夏を前に末次監督が不祥事で監督を辞任するアクシデントが発生。新しく就任した平田監督は選手の名前を覚えるところから始めないといけなかったが、選手たちは泰然自若としたプレーで県内を圧倒的に勝ち抜いて春夏連続出場を達成。エース香月も新球・ナックルを武器にさらなるレベルアップを果たし、初戦は旭川大を9-2と圧倒して順調なスタートを切った。

 

ともに三振を奪える球種を持った好投手同士の対戦。特に浦和学院・坂元のスライダーはストライクゾーン内で変化するため、見送っても振ってもストライクにされるという厄介なボールであった。

しかし、立ち上がり、その伝家の宝刀の制球が定まらない。1番池田を三振に取って一見順調なスタートを切ったかに見えたが、このスキを九州屈指の重量打線が見逃すはずがない。

1アウトから2番宮城が高めの速球をはじき返して右中間を破る3塁打にすると、3番松尾は高めに浮いたスライダーをライトに打ち返して1点を先制。さらに松尾が動揺する浦和学院バッテリーから盗塁を決めると、4番永瀬、6番胡子とタイムリーで畳みかけて、この回一挙4点を先制する。

好投手同士の投げあいが期待された試合は思わぬスタートとなる。1回裏、香月も球場の異様な空気に影響されたか、1番榎本のファーストゴロエラーと2番山之内の内野安打で走者をため、4番大河原のショートゴロの間に1点を失う。しかし、2回以降は落ち着きを取り戻し、ナックルを武器に三振を積み上げていく。

一方、課題の立ち上がりを突かれた坂元は2回、3回と2安打を浴びるなど、初戦ほどの調子ではない。しかし、4回以降は徐々にスライダーを決まり始めると三振を量産し始める。5回に暴投で1点を失ったものの、柳川の好打者たちがバットにボールが当たらない状態になる。1回戦で19三振を奪って周囲を驚かせたが。個人的にはこの日の柳川相手の16奪三振の方が強烈であった。

しかし、やはり4点のビハインドは香月相手ではあまりに重かったか。香月は三振数でこそ13個と坂元に及ばなかったものの、2回以降はあ浦和学院打線を4安打無失点に抑え、1失点で完投勝ち。注目の好投手対決を制し、3回戦進出を決めた。

 

柳川はその後、3回戦で瀬戸内を大差で下し、8強に進出。準々決勝で念願の智辯和歌山との対戦を引き当てた。しかし、4点のリードを奪って迎えた終盤に、エース香月のまめが敗れるアクシデントが発生。武内(ヤクルト)、山野にホームランを浴びると、延長11回についに力尽きてサヨナラ負けを喫した。柳川史上最強の戦力を誇ったチームだったが、春夏とも史上最高の打撃成績を残した智辯和歌山の前に屈することとなった。

一方、浦和学院としては初回の失点があまりに重かったか。坂元は終盤は完全に無双状態だっただけに、もったいない失点であった。しかし、浦和学院はその後も、好投手・須永(日本ハム)を輩出するなど、コンスタントに甲子園に出場。2002年から2008年まで7年連続で春夏どちらかの大会に出場しており、「3年生を大事にする」という森士監督のポリシー通り、すべての学年に最終学年で甲子園の土を踏ませることができた。

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