2022年選抜準決勝
大坂桐蔭vs国学院久我山
53% 47%
〇3-1 鳴門 〇4-2 有田工
〇不戦勝 広島商 〇6-3 高知
〇17-0 市立和歌山 〇4-2 星稜
準決勝2度目の関西vs関東対決。乗りに乗っている国学院久我山がどこまで王者・大阪桐蔭に迫れるか…
大坂桐蔭は1回戦は右腕・川原、準々決勝では2年生左腕・前田が先発して好投。特に前田は2年生ながら、今のところ付け入るスキが全く見当たらない投球で他を圧倒した。大型右腕・別所も登板を果たしており、一人一人が球威があって、持ち味の違う好投手である。2回戦が不戦勝になったことでスタミナ・球数の不安も一切なし。バックも2試合無失策と完璧なバックアップを見せる。
国学院久我山はここまで尾崎監督のタクトの元、相手のスキを逃さず攻めるしたたかさが目立つ。バント攻め、集中打によるワンチャンスでの得点と非常にいい攻めを見せているが、やはり大阪桐蔭相手に大量点は難しいだろう。ほんのわずかなスキやちょっとしたミスを逃さず、なんとか3~4点を奪いにいきたいところ。準々決勝でホームランを放った4番下川辺にランナーをためて回したい。
一方、国学院久我山のバッテリーには捕手・吉川を中心に配球の妙がある。前の試合とがらりと配球を変えたり、1試合の中で極端に同じ球を続けるという思い切りの良さが光る。右腕・成田、左腕の渡辺・松本とそれぞれいいボールを持っているが、それだけで大阪桐蔭打線を抑え込むことは不可能であり、タイミングの良い継投、相手を惑わす配球も加味しながら、「先手を取ってかわす」展開を作りたいところだ。
対する大阪桐蔭打線は2回戦が不戦勝になった影響を微塵も感じさせない猛打を披露。上位から下位までどこからでもホームランが飛び出し、1試合6ホームランという大会タイ記録を樹立。そんな中でも打撃は雑にならず、走塁も相手のちょっとしたスキを逃さないしたたかさが目立つ。キーマンの3番松尾にもヒットが飛び出し、いよいよ穴はなくなってきた。心配があるとすれば、大振りになることくらいだが、西谷監督がそんな状況は作らないだろう。
やはり、総合力の差ではどうしたって大阪桐蔭の優位は動かない。しかし、過去の甲子園では試合前の予想をかわす結果になったことが何度もあり、勝負は下駄を履くまでわからない。2019年の履正社vs関東一以来の「大阪vs東京」決戦。制するのはどちらか。
主なOB
大坂桐蔭…中村剛也(西武)、中田翔(日本ハム)、藤浪晋太郎(阪神)、森友哉(西武)、根尾昴(中日)
国学院久我山…井口資仁(ロッテ)、森笠繁(広島)、河内貴哉(広島)、矢野謙次(日本ハム)、松田進(ロッテ)
大坂 東京
春 18勝 6勝
夏 8勝 8勝
計 26勝 14勝
対戦成績は選抜は大阪勢が、夏は東京勢がリード。平成以降は大阪勢が13勝2敗と圧倒しており、昭和62年選抜のPL-帝京戦から2004年の大阪桐蔭-二松学舎大付戦までは11連勝を飾っている。
1987年夏の準決勝ではPL学園が選抜に続いて帝京と対戦。ここまで3試合連続完封中の帝京・芝草(日本ハム)に対して、PL学園は初回に3番立浪(現・中日監督)が先制2ランを放ち、大会注目の右腕を2回まででKO。その後も、得点を積み重ね、注目の東西横綱対決は12-5と一方的な展開で西の横綱に軍配が上がった。
一方、2006年の選手権大会2回戦では早稲田実が2年生スラッガー中田翔(巨人)を擁する大阪桐蔭と激突した。1回戦で選抜優勝の横浜を撃破した強力打線を相手に早実のエース斎藤佑樹(日本ハム)は12三振を奪う力投を見せ、中田翔も3三振無安打に抑え込んで圧倒。注目の好カードを11-2と圧勝した早稲田実は、勢いそのままに夏の甲子園初優勝を成し遂げた。
早稲田実vs大阪桐蔭 2006年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
思い出名勝負
2017年選抜1回戦
履正社
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 7 | 12 |
2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 5 |
日大三
履正社 竹田
日大三 櫻井→岡部→櫻井→岡部
2017年の選抜大会は大会初日の第2試合から高校野球ファン注目の好カードが実現した。
履正社は前年夏から連続出場。新エース竹田は前年のエース寺島(ヤクルト)と同じく、リリース時に力を集約できる投球でキレのある速球を持ち、秋の大阪大会、近畿大会、神宮大会とすべての大会で好投して優勝。打線も安田(ロッテ)、若林の左右の大砲を軸に、従来の犠打に頼る野球から脱皮して、様々な攻撃を仕掛けるようになってきた。2011年に4強、2014年に準優勝と結果を残していた選抜だったが、今回が最も前評判高く臨む選抜であった。
対する日大三は好左腕・桜井(DeNA)、スラッガー金成と注目選手2人を擁し、秋季東京大会で準優勝。決勝では早稲田実に6-8とサヨナラ負けを喫したが、桜井は早実の主砲・清宮幸太郎(日本ハム)から5打席連続三振を奪い、必殺のスライダーを武器に左打者にはめっぽう強かった。打線も全国トップクラスの破壊力を秘めており、選抜では46年ぶりとなる優勝に向けて期待が高まっていた。
優勝候補同士の注目の1戦。よーいどんで先手を取ったのは日大三だった。初回エース左腕櫻井の切れのあるスライダーが低めに決まり、履正社の各打者が手が出ない。注目の3番安田も空振りの三振。安田は結局3打席連続三振を喫するのだが、前年秋の東京都大会決勝で清宮が5打席連続三振を喫したリプレーを見るようだった。
エースが最高の立ち上がりを見せたその裏の攻撃。履正社の先発竹田がストライクが入らない。彼の持ち味はリリースに力を集約したストレートの切れの良さだが、体重がうまく乗らずリリースポイントをつかみきれない。力の伝わらないボールはすべてお辞儀してしまうため、強打の日大三の上位打線が逃すはずもない。2番大西が右中間を破る3塁打で1番井上を返すと、4番金成の内野ゴロでもう1点追加。まず主導権を握ったのは日大三だった。
履正社の反撃は3回。7番浜内が内角速球をきれいにセンターへはじき返すと送ってランナー2塁から9番西山が高めに浮いたボールをこれまた逆らわずにレフトオーバー。この1点は履正社に勇気を与える1点となった。上位打線が三振を多く奪われながらも下位打線が得点。9番の西山は昨秋は2番を打っていた。こういう打線の層の厚さはさすが神宮王者・履正社と思わせる攻撃だった。
履正社はその後も三振を多く奪われるが、打者が1打席ごとに細かく情報を伝達。徐々に櫻井の低めのスライダーを見極め始める。反撃は5回に再び下位打線から。8番片山四球、9番西山左中間2塁打でチャンスを作ると、1番石田がセンターバックスクリーン付近に逆転の3ランホームラン。ストライクゾーン高めへの目付と失投を1球で仕留める技術の高さ。3回に続き、さすが履正社と感じさせられた。
その後、6回付近で櫻井の球数は早くも100球前後に。昨秋から球数の多さを課題にしていたが、三振を奪うタイプの投手であることと履正社の選球眼で自然と球数は増えていった。
そして、7回に櫻井が乱調。1試合通して安定しないところはやはり投手経験の浅さからきているか。ストライク・ボールがはっきりし始め、2アウト3塁から2番の溝部にレフト前タイムリーを浴びる。その後も満塁のピンチを招くが、低めのスライダーで4番若林を三振に取ってなんとか難を逃れる。そして、この粘りが日大三の反撃を呼ぶ。
初回以降ピンチを招きながらも無失点で踏ん張っていた履正社・竹田だったが、リリースポイントは定まってコントロールは落ち着いたとはいえ、やはり速球のスピードは彼本来のものではない。緩急がつけにくい中、甘く入った変化球を日大三の井上、大西、櫻井に3連打されて1点差に。この辺りはさすが日大三と思わせる攻撃だった。
8回裏には1アウト2塁から9番捕手の津原が右中間3塁打でついに同点。この時点で日大三が確かに甲子園の空気を支配し始めていた。
だが、9回に落とし穴が待っていた。櫻井が先頭バッターに四球を与えてついに力尽き降板。2番手の右投手・岡部は外角へのスライダーの制球がいい好投手。1番石田を三振に取り、いよいよ日大三の流れか思われた、しかし、2番溝部が低めに決まったスライダーをレフト前へ強引に引っ張り履正社が勝ち越し。
日大三としては配球・コースともに間違っていなかったのだが、こういう失点はだからこそ響く。続く3番安田のところで櫻井が再びマウンドに。しかし、カウントを整えに行って甘く入ったストレートをレフトオーバーに運ばれ万事休す。その後も内野強襲のヒットをアウトにできず、満塁から走者一掃をあびるなどこの回大量7失点。勝負は決してしまった。
点差以上に紙一重の勝負だったが、試合の決め手となったのは履正社のチーム力の高さだった。3番安田、4番若林が完全に抑え込まれながら、下位打線の活躍と意識統一されたチーム戦術で難攻不落と思われた左腕・櫻井を打ち崩した。
この勝利で勢いに乗った履正社はこの大会で3年ぶり2度目の準優勝を達成。最後は、大阪桐蔭との大阪決戦に破られたが、V候補の大本命としてマークされながら勝ち上がった準優勝は3年前とは全く意味合いの違うものだった。
一方、日大三も自力の高さは十分に見せた内容だった。エース櫻井のスライダーは履正社が苦戦するわけだから、全国の強豪にも十分通用するものであったまた、。打線も履正社のエース竹田を相手に履正社を上回る13安打を浴びせて、最後まで苦しめた。
ただこれだけのチームをもってしても夏の西東京大会では甲子園で4強入りすることになる東海大菅生に0-5と完敗。一発勝負の怖さを感じさせた。才能豊かなこの年の3年生を見ていた2年生が翌年、主将・日置を中心に夏4強入りを果たすこととなる。
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