2022年選抜2回戦 木更津総合vs金光大阪(7日目第2試合)

2022年

大会7日目第2試合

木更津総合

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 2 3
0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 4

金光大阪

 

木更津総合  越井→金綱→金本→金綱

金光大阪   古川

ベスト8をかけた東西対決は終盤、もつれにもつれる波乱の展開に。タイブレークで驚異の粘り腰を見せた金光大阪が逆転サヨナラ勝ちで初の8強入りを果たした。

試合

両チームの先発は、木更津総合が越井、金光大阪が古川ともちろんエースを指名。金光大阪がいい勝負をするには古川の好投が不可欠と考えていた。やはり上位打線のポテンシャルではどうしても木更津総合に分があるように思えたのだ。

立ち上がり、木更津総合の越井はキャッチボールと見まがうほどのテンポの良さで好投を見せる。140キロ台の速球はやや抜け気味になることもあったが、コーナーに決まった時は狙っていてもとてもとらえきれないボールだ。これにカットボール、スライダーを混ぜられるとどうにもならず、空振りを繰り返す金光大阪の打者陣の姿に、序盤はノーヒットノーランも覚悟したほどだった。

この流れを押しとどめたのは金光大阪・古川の好投であった。立ち上がりからストレートが140キロ台を記録し、走っていたことで、武器のスライダーがより活きる。時にインサイドから曲げてみたり、時にスローカーブを混ぜたりと、捕手・岸本との息の合ったバッテリーで木更津総合打線を翻し、気が付けばこちらも1安打ピッチングで中盤まで抑え込む。

すると、序盤飛ばし過ぎたのか、中盤に入ってやや越井のスピードが落ち始めたところを金光大阪打線がとらえる。6回裏、先頭の1番佐々木が泳ぎながらもセンターへテキサスヒットを放つと、犠打と内野ゴロで三進。ここでエースを助けたい4番捕手の岸本がアウトコースのスライダーをとらえてセンターへタイムリーヒットを放つ。タイスコアながら内容では圧倒されかかっていた金光大阪の方が先制点を手にした。

しかし、1点のリードなどこの甲子園の舞台ではあってないようなもの。しかも、相手は百戦錬磨の五島監督が率いる木更津総合である。8回表、代打・植木がツキを呼びそうな、ラッキーな内野安打で出塁すると、五島監督はここで絶対的エースの越井に代えて、代打・朝倉を打席に送る。すると、朝倉の犠打を捕手・岸本が2塁へ送球して野選としてしまい、無死1,2塁とピンチが広がってしまう。過去何度も甲子園で繰り返されてきた「逆転の流れ」を感じさせた。

だが、続く9番のレフト前ヒットで金光大阪のレフト松沢が渾身のバックホームを見せ、ホームタッチアウト。さらに試合前から要警戒していた1番山田も打ち取り、2アウトまでこぎつける。続く2番中西の打球もセカンドへ転がり、切り抜けたかと思った矢先…甲子園の魔物が顔をのぞかせた。セカンド沢田が送球を焦ってはじいてしまい、3塁からランナーが生還。木更津総合がついに試合を振り出しに戻した。

その後は、一進一退の攻防となり、エースを降ろした木更津総合は金綱金本とつなぐ必死の継投を見せ、8回2アウト満塁、9回2アウト1,2塁とピンチをしのぎ続ける。これに対して、金光大阪内野守備陣のミスも出たものの、延長12回には途中出場でレフトへ入っていた岡治が2度にわたって好捕を見せ、苦しむエースを助ける。試合前の予想が失礼に値するほど、がっぷり四つの展開で、木更津総合にとっては2試合連続となるタイブレークへ突入した。

延長13回表、木更津総合は無死1,2塁から定石通り、2番中西が犠打でランナーを進塁させる。続く3番菊地はここまで無安打だったが、初球のスライダーを迷うことなく振り抜くと、打球はセンターの前へ痛烈に抜けていく2点タイムリーになって、木更津総合がこの試合初めてリードを奪う。前の試合でもタイブレークを経験した強みもあったか、流れるような攻めで奪った勝ち越し点だった。

その裏、金光大阪も無死1,2塁からだったが、守備で乗っている6番岡治は空振り三振に切って取られる。打順も下位に向かうこともあり、ここまでかと思われたが…

続く7番の打順で代打・小林を送ると、木更津総合の3番手金本が痛恨の死球を与え、満塁のビッグチャンスになる。ここで8番キャリー・パトリックの打球はセカンドへのおあつらえ向きの併殺打球となったが、ショートのファーストへの送球がそれて3塁ランナーが生還。金光大阪が土壇場で1点差に迫る。

嫌な流れを感じた五島監督は2番手で登板し、その後は守備についていた金綱を再びマウンドに呼び戻す。しかし、球場全体の金光大阪を後押しする雰囲気にのまれたか、9番沢田にフルカウントから四球を与えてしまう。再び満塁で一打サヨナラの場面となる。

続く1番佐々木は涙を浮かべながら打席に。先制のホームを踏みながらも、延長では2度の失策と天国も地獄も見た2年生は、それでも冷静に金綱の投球を見極める。カウント1-3からアウトコース外れるボールを見送り、ついに金光大阪がヒットなしで同点に追いつく。

ここまで来ると流れは完全に金光大阪であった。最後は2番福富への投球が背中に当たる死球となって試合終了。3塁ランナーがホームを駆け抜け、何度も流れが両チームの間を交錯した好ゲームは金光大阪の勝利で幕を閉じたのだった。

まとめ

金光大阪の勝因は何といっても古川岸本のバッテリーだろう。古川は延長13回160球を投じ、延長13回に勝ち越しは許したものの、見事な投球でしのぎ切った。特にキーマンとして警戒していた1番山田には全く仕事をさせず、無安打に抑え込み、木更津総合打線の分断に成功。試合の流れを渡さない投球を見せた。

打線は前半戦は力負けしていたが、中盤以降はセンター中心にコンパクトにはじき返す打撃で活路を見出した。履正社や大阪桐蔭のような迫力はないが、等身大のチームが、強豪を向こうに回しての勝利は何か、高校野球の原点のようなものを感じさせた。と同時に、これまで大阪府内にとどまっていた金光大阪というチームの歴史がこれから全国へと加速していくことを予感させるかのような勝利でもある。まだまだ、彼らの進撃は続いていきそうだ。

 

一方、木更津総合は上位打線が封じられて得点が伸びなかったのが痛かったが、それだけ金光大阪のバッテリーの配球、コントロールが見事であった。エース越井は威力のある速球に多彩な変化球と、全国屈指の好投手の評に違わない好投を披露。まだまだ余力を残しているように見えただけに、ここでの敗退はあまりにもったいないが、彼の投球、そして木更津総合のリベンジを見る機会は夏に残っている。

ハイライト [2022春 木更津総合vs金光大阪] – YouTube

2022年選抜2回戦予想 木更津総合vs金光大阪 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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