2022年夏の甲子園振り返りまとめ

2022年

高校野球の歴史が始まって107年、ついに優勝旗が白河の関を超える瞬間がやってきた。これまで数多くの東北の高校野球関係者が挑み、跳ね返されてきた高い壁であったが、それを打ち破ったのは、永年東北の高校野球界をリードしてきた仙台育英であった。現3年生は、コロナウイルスのあおりをもっとも食らった学年であったが、我慢強い強化が実を結んでの悲願達成であった。

一方、決勝では敗れたものの下関国際の準優勝も見事。昨年選抜を経験したメンバーが数多く残り、実力は高く評価されていたが、最終学年を迎えてなかなか表舞台に出てこれなかった。しかし、坂原監督の厳しい指導の下で着実に実力を高め、準々決勝で見事に大阪桐蔭を撃破した試合は今大会のハイライトでもあった。今後、中国地区の新たな強豪校として活躍が期待される。

その下関国際に大阪桐蔭が敗れたことで、大会の流れは一気に混とんとしたものになったのは間違いない。1回戦最終ブロックに入ったことで連戦の影響を最も受けたこともあっただろう。ただ、下関国際の勢いの前に大阪桐蔭が受けて立つような戦いになっている感はあった。あれだけのスキのない強さを見せてきたチームをもってしても、全国の頂点に立ち続けることは難しかった。

また、選抜準優勝の近江も準決勝で下関国際に完敗。エース山田の疲労が試合を重ねるごとに色濃く出たこともあったが、やはり夏の連戦はそれだけ厳しいものだ。ただ、3大会連続で4勝を挙げた戦いぶりは見事であり、滋賀県勢の歴史を塗り替えて見せた。

ベスト4の壁をついに超えた聖光学院、夏に弱かった愛工大名電、スラッガー浅野(巨人)を擁した高松商、全員W安打を記録した九州学院の戦いも非常に印象深いものであった。それぞれに自分たちのチームカラーをしっかり出し切っての戦いぶりであり、来年以降も継続して強さを発揮してくれそうな雰囲気がそれぞれにあった。

一方、智辯和歌山、京都国際の近畿の優勝候補は初戦で敗退。ここ2季連続で無双状態だった近畿地区の勢いがこの大会では少しストップした印象もあった。それだけ地区ごとのレベルは拮抗しており、他の地区の意地を見た思いであった。

印象に残る好ゲームとしては、仙台育英-明秀日立、愛工大名電-八戸学院光星、一関学院-京都国際、高松商-近江、明徳義塾-九州国際大付、天理-山梨学院、大阪桐蔭-下関国際、大阪桐蔭-旭川大、二松学舎大付-札幌大谷、聖光学院-横浜、市立船橋-興南などが挙げられた。特に愛工大名電-八戸学院光星や市立船橋-興南など終盤に一気に試合の局面が変わる試合が多く、まさに高校野球の醍醐味と言えた。

近年各行の投手のレベル向上は素晴らしいものがあるが、今年も多くの好投手が甲子園を沸かせた。ハイレベルな投手を複数擁した仙台育英、大阪桐蔭の投手陣はもちろんのこと、その大阪桐蔭を下した下関国際の古賀・仲井の両輪、近江の絶対的エース山田、名電の好左腕・有馬、九州学院の2年生エース直江、聖光学院の技巧派右腕・佐山など様々なタイプの投手がそれぞれ持ち味を発揮した。強豪を連破した海星、左右の両輪を擁した明秀日立、巧みな投手リレーを見せた明豊もレベルが高かった。

一方、打者に関しては高松商の浅野が図抜けた存在であった。特に近江のエース山田のすべての球種をヒットした打撃内容は圧巻の一言。試合には敗れたものの、終了後のインタビューで選抜準優勝投手に「完敗です」と白旗を上げさせるほど圧倒的な打撃であった。プロの世界での活躍が今から非常に楽しみである。

仙台育英がついに東北の悲願を成し遂げた。昨年は選抜で8強入りし、充実した戦力を誇りながら夏の宮城大会では仙台商に足元をすくわれたが、その痛い経験も糧にして一気に頂点まで駆け抜けた。

投手陣は140キロ越えの速球を持つ投手がずらり。エース左腕・古川を筆頭に2年生の速球派右腕・高橋、決勝戦で好投を見せた左腕・斎藤蓉、準決勝で好投した湯田・仁田の2年生コンビと多士済々の顔ぶれで戦うことができた。エース古川の調子が上がり切らなかったことは少し悩みの種になった可能性はあるが、そんな憂いを吹き飛ばすほどの投手層の厚さであった。

また、打線も橋本、山田の1,2番コンビや4番齋藤陽など2年生が非常に元気。須江監督になってから鍛え上げられてきた機動力が存分に威力を発揮し、主導権を握り続けた。特に唯一苦しい試合となった3回戦の明秀日立戦では、塁上からじわじわと相手に圧力をかけ、四死球を誘発。単に打つだけではない、総合的な攻撃力の高さで逆転勝利をおさめることができた。

準々決勝からは愛工大名電・有馬、聖光学院・佐山、下関国際・古賀と好投手を次々に攻略。エースへの依存度が高いチームと対照的に豊富な投手層を擁し、なおかつ質の高い攻撃で相手を攻めつける打撃陣がかみ合い、最終的にはすべてワンサイドの展開に持ち込んで見せた。投攻守走全てにおいて完成された野球は王者にふさわしいものであった。

また、投打に充実した戦力を有し、優勝候補の一角ではあったが、今年の仙台育英は最後までどこか伸び伸びと戦えている節があった。菊池雄星のいた花巻東、ダルビッシュ有のいた東北のように、「東北の悲願」を一身に背負うような雰囲気に呑まれることはなく、最後まで自分たちの野球を貫けたことが勝因になったのは間違いないだろう。これも近年の東北勢の躍進で、「上位に東北勢がいる」という下地がしっかり作られていたからである。

第1回大会の秋田中に始まり、春夏通算12回目の決勝戦で初めてもぎ取った全国制覇。高校野球は2023年から新たな時代に突入する。もはや気後れする要素は一切なくなった仙台育英をはじめとする東北勢が、どんな戦いを見せるのか、楽しみでならない。

【悲願】仙台育英 “東北勢”甲子園初V 「白河の関」越え凱旋(2022年8月24日) – YouTube

2022年選手権決勝 仙台育英vs下関国際(14日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権準決勝 仙台育英vs聖光学院(13日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権準々決勝 仙台育英vs愛工大名電(12日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権3回戦 仙台育英vs明秀日立(10日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権2回戦 仙台育英vs鳥取商(6日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

下関国際は選抜ファイナリストの2校を下しての見事な準優勝。2018年にも8強入りしていたが、この大会で一気にスターダムに上り詰めた。

2021年の選抜を経験したメンバーが多く残り、新チームも躍進が期待されていたが秋季中国大会準々決勝で優勝した広陵に0-3と惜敗。8回裏に決勝の3点を奪われた左腕エース古賀(楽天)は涙にくれた。しかし、この雪辱を晴らさんと球威・制球を磨いたエースとそのエースを支えんと総合力を高めた野手陣がかみ合い、夏の山口大会はしぶとい試合運びで4年ぶりの優勝を達成。自信を持って大会に臨んだ。

初戦は好投手・日高(オリックス)を擁する富島との対戦となったが、下関国際打線は巧みなミート力と機動力でこの剛腕を攻略。6番赤瀬は4打数4安打を記録し、甲子園を勝ち上がるうえで欠かせないラッキーボーイも手にした。3回戦はその赤瀬を1番に据え、2番松本とのコンビを結成。浜田との中国勢対決に完勝し、まずは4年前に並ぶベスト8進出を決める。

そして、迎えた準々決勝。王者・大阪桐蔭との大一番で投打にその真価を発揮する。

先発・古賀は立ち上がりスライダーが甘く入り、2点を先行されるが、カーブ・チェンジアップを駆使してすぐに立ち直りを見せる。すると、打線もバットを短く持って大阪桐蔭の先発・別所に食らいつき、2年生エース前田をマウンドに引きずりだす。試合は大阪桐蔭が常に先行するものの、突き放すことはできず、どこかムードは下関国際寄りであった。

7回には2番手・仲井がトリプルプレーを完成させて、流れをいよいよ下関国際に呼び込むと、最終回に赤瀬・松本の1,2番コンビがまたしてもチャンスメーク。特に松本の打撃はよくぞあのボールをとらえたと思わせる打撃であった。犠打で1アウト2,3塁とすると、ここで4番賀谷が難攻不落の左腕・前田から逆転タイムリーを放ち、ついに試合をひっくり返す。強者を倒す理想的な試合運びを見せた下関国際がこの日、一躍全国注目の存在になった。

続く準決勝では、今大会選手として注目度No.1の山田を擁する近江と対戦。大阪桐蔭戦で速球投手を打ち崩した自信が下関国際打線に宿っていた。高めにのびる山田の速球に対して、ファウルで粘り、球数は中盤で100球に達する。同点で迎えた6回表、7番森が高めの速球をライト線に落として勝ち越すと、近江の絶対的エースをKO。右腕・仲井のロングリリーフも決まって初の決勝進出を果たし、山口県勢としても1985年の宇部商以来の快挙を成し遂げた。

決勝は仙台育英の猛打の前に力尽きたが、若き指揮官・坂原監督のもとで魅力的なチームを作り上げた下関国際は、今後中国地区にて非常に楽しみな存在になってくるだろう。遠くない将来、また全国の舞台でVロードが鳴り響く時がやってきそうだ。

2022年選手権準決勝 下関国際vs近江(13日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権準々決勝 下関国際vs大阪桐蔭(12日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権3回戦 下関国際vs浜田(11日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権2回戦 下関国際vs富島(6日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

V-ROAD(Vロード)ロングバージョン 下関国際・応援歌 2022夏甲子園 第104回全国高校野球選手権大会 – YouTube

近江は昨年に続き4強へ進出。滋賀県勢初の全国制覇こそならなかったものの、エース山田を中心に総合力の高さを見せつけた。

初戦は鳴門との1回戦屈指の好カード。初回に山田が相手の主砲・前田に先制タイムリーを許し、2回には味方守備陣のミスで再び勝ち越し点を許す苦しい展開となる。だが、ここで山田は勝負所でのギアチェンジを駆使して三振を奪い、流れを引き寄せると、中盤に5番横田の逆転タイムリーが飛び出して試合をひっくり返す。選抜で大阪桐蔭打線を3点に抑えた好左腕・冨田に対して、緩急に惑わされずに引き付ける打法で攻略し、終わってみれば8-2と大差で初戦をものにした。

続く2回戦は、初戦で3本のホームランが飛び出した鶴岡東と激突。1点を先制して迎えた3回表、鶴岡東が誇る強力打線に山田が捕まり、9番渡辺に同点ホームランを浴びると、1番武田のヒットを挟んで初戦2発の2番土屋に勝ち越し2ランを打たれる。しかし、ここからが大舞台を踏んできた山田の真骨頂。中盤から投球パターンを変えて、鶴岡東打線のつながりを分断すると、打線も直後の攻撃で山田自身がタイムリーを放つなど、4得点を挙げて逆転勝ち。改めて総合力の高さを見せつけた。

3回戦では海星のエース宮原との投げ合いとなり、投手戦で試合は進んだが、ここでも山田は好投手を打ち砕いてきた海星打線を封じ込める。ピンチで一段と増す球威の前にさすがの海星打線も決定打が出ず、1点リードで迎えた7回裏には山田のグランドスラムが飛び出して、完全に試合を決めた。選抜以降、山田の負担を減らすべく経験を積んできた左腕・星野も8,9回を抑えて無失点リリーフ。投打に盤石の内容で3季連続の8強入りを決めた。

しかし、準々決勝では高松商のスラッガー浅野の前にエース山田が捕まる。初回にスライダーをヒットされると、3回には速球をバックスクリーンへ運ばれ、同点2ラン。5回にもツーシームを打たれ、中盤までにほとんどの球種を攻略された。浅野だけではない高松商打線の層の厚い攻撃の前に、7回にはついに試合をひっくり返される。直後の攻撃で再び打線が意地を見せて、3番中瀬のタイムリーで逆転勝ちを収めたが、途中降板した山田の状態が不安視される結果となった。

そして、2年連続で進んだ準決勝の舞台。2-2と中盤まで互角で推移していたが、6回についに大黒柱が力尽きた。下関国際打線の粘りの前に球数がかさみ、高めの速球で空振りが取れない。ライト線へポトリと落ちる2点タイムリーを打たれ、7回にも犠飛で追加点を許すと、ついにマウンドを降りることとなった。ビハインドの展開でエースが降板した後、劣勢を跳ね返す力は残っていなかった。

ただ、3季連続で甲子園4勝を挙げた活躍は見事の一言。昨夏の大阪桐蔭撃破に始まり、代替出場からの選抜準優勝、そしてこの夏の4強といずれも近江が甲子園の中心となって輝いていた。エース山田はもちろんのこと、打力・守備力・機動力とすべてにおいて高いレベルを見せ、全国制覇が現実的に狙えるチームであることを実証して見せた。多賀監督の作った湖国のブルー軍団の挑戦はこれからも続いていくだろう。

2022年選手権準々決勝 近江vs高松商(12日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権3回戦 近江vs海星(10日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権2回戦 近江vs鶴岡東(7日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権1回戦 近江vs鳴門(2日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

近江高校 ベスト4進出‼️ [夏の甲子園2022年8月18日] – YouTube

聖光学院は1大会初の4勝と初の4強入りを同時に達成。聖光学院というチームの歴史を大きく塗り替える大会となった。

初戦はいきなり優勝候補の日大三と激突。2012年夏にも対戦があり、その時は聖光学院が勝利していたが、今回は地力では向こうが上回るかと思われた。しかし、ここ15年間、常に全国の舞台で戦ってきた聖光学院には、チームとしてのしたたかさが染みついていた。左腕・小林を先発させて、日大三打線の狙いを狂わせると、2点ビハインドで迎えた中盤に反撃開始。2番高中の逆転2ランで試合をひっくり返し、エース佐山への継投でV候補を撃破した。

続く2回戦は、かつて福島勢が一度も勝利したことがない神奈川勢の横浜高校。聖光学院自身もこれまで横浜に2度敗れており、天敵と言える存在であった。しかし、この試合で聖光学院は攻守に攻めの姿勢で常に先手を取っていく。2度にわたって同点に追いつかれるが、直後の攻撃で勝ち越し、流れを渡さず、終盤は堅守でエース佐山を盛り立てた。3-2と僅差のゲームだったが、聖光学院がこれまで磨いてきたものがすべて出た試合であった。これで2017年以来のベスト16進出だ。

関東の強豪2校を撃破した自信は大きな自信を宿す。3回戦はこれまた、2013年の選抜で対戦していた敦賀気比が相手だったが、同点で迎えた中盤に3番安田が2ランを放って勝ち越し。前回の対戦時は力の差をみせつけられた相手(3-9で敗戦)に8-1と大差で勝利を収めて見せた。そして、準々決勝は相手エースが先発できない状況で打線が果敢に攻め込み、中盤までに9得点。春夏通じて6度目の挑戦でついに準決勝への扉を開いた。

迎えた初めての準決勝の舞台、奇しくも仙台育英との隣県対決となった。1点リードで迎えた2回表、仙台育英打線を止めることができず、まさかの11失点。エースを中心に守りから試合を組み立ててきた聖光学院としては、跳ね返すのが難しい試合になった。しかし、それでも攻守に最後まで食らいつく姿勢を見せ続け、センター安田の攻守など随所に今年の聖光学院らしさを見せた試合でもあった。

これまで何度も全国の壁にぶち当たって跳ね返されてきた聖光学院。そのたびに課題を解消し、結果を残してきたが、今年はまた大きな一歩を踏み出せた年になったのは間違いない。仙台育英が優勝への扉を開いた今、聖光学院にも無限の可能性が広がっている。これからの戦いがさらに楽しみになる、今年の躍進であった。

2022年選手権準々決勝 聖光学院vs九州学院(12日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権3回戦 聖光学院vs敦賀気比(11日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権2回戦 聖光学院vs横浜(9日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権1回戦 聖光学院vs日大三(4日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

“甲子園大会2022夏” 【聖光学院の堅実な守備】 (横浜VS聖光学院) – YouTube

大坂桐蔭は秋春夏3連覇を狙った大会であったが、準々決勝で下関国際とのシーソーゲームに敗退。改めて勝ち続ける難しさを感じさせられた。

初戦は旭川大との対戦。チャレンジャー精神で向かってくる相手に序盤、先発・川原が捕まって3点を先行される苦しい展開となる。しかし、3回裏に3番松尾(DeNA)のタイムリーで2点を返すと、6回裏に5番海老根、7回裏に1番伊藤がホームランを放って試合をひっくり返す。旭川大バッテリーの攻めの配球に苦しんでいたが、甘いボールを一発で仕留める打撃はさすが大阪桐蔭であった。このリードをリリーフした右腕・別所が守り切り、波乱が起こりがちな初戦を無事に突破した。

続く2回戦は王者らしい力強い野球を披露。埼玉大会決勝で選抜4強の浦和学院を完封した聖望学園のエース岡部に対して、「ボール半個でも甘く入れば打たれる」というプレッシャーを与え続けた。好投手を早々と降板させると、松尾に2本のホームランが飛び出すなど、自慢の長打力で相手を圧倒した。投げては、すでに全国区の2年生左腕・前田が緩急自在の投球で付け入るスキを与えず。19-0と大差で勝利を手にした。

3回戦は再び、右腕・川原がマウンドへ。序盤に先制点を許した初戦と違い、適度にボールは荒れるものの、要所で力のある速球が決まり、二松学舎大付打線に得点を許さない。打線も相手守備陣のミスに付け込んで、4点を挙げると、しり上がりに調子を上げた川原が最後までホームを踏ませることなく、甲子園初の完封勝利を達成。2年生エース前田も温存できており、盤石の8強入りと誰もが思っていた。

迎えた準々決勝。初回から下関国際の左腕・古賀のスライダーをとらえ、2点を先制するも、2回以降、下関バッテリーの巧みな配球の前になかなか集中打が出せない。投手陣も先発・別所の速球がコンパクトな打撃でとらえられ、相手ムードの中でマウンドに上がった前田も、嫌な雰囲気の中での投球になった。7回にはトリプルプレーでチャンスを失うと、甲子園の女神は下関国際へ。9回表、巧みな逆方向への打撃でチャンスを作られると、最後は4番賀谷にセンターへはじき返されて万事休した。

最後の守りでは球場全体が下関国際寄りの中で、苦しい雰囲気に苦しんだ。いくら大阪桐蔭とはいえ、高校生なのだ。しかし、昨年からのレギュラーが松尾一人という状況の中で、主将・星子を中心に攻守ともハイレベルなチームを作り上げたのは立派の一言。後輩たちの手本となるチームだったことは間違いなく、今後の大阪桐蔭に計り知れない財産を残した。

2022年選手権3回戦 大坂桐蔭vs二松学舎大付(11日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権2回戦 大阪桐蔭vs聖望学園(9日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権1回戦 大阪桐蔭vs旭川大高(5日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

爽やかすぎるドラフト候補松尾君(大阪桐蔭)のコミュ力がヤバすぎて相手まで笑顔に!当チャンネルでも職場の後輩にしたいとのコメント殺到!! – YouTube

愛工大名電はあの工藤公康(西武)を擁した1981年以来、41年ぶりの8強進出。「夏に勝てない名電」を完全に払拭した大会となった。

初戦は星稜との名門校対決。選抜で8強入りした強豪との注目の好カードとなったが、名電打線が序盤から爆発する。速球派右腕・マーガードの調子も上がらなかったとはいえ、上位から犠打を使わずに打ってつなぐ攻撃は迫力満点。1,2回で10点を挙げて早くも試合を決めると、投げてはエース左腕・有馬が酷暑の中で星稜の強力打線を2点に抑え、4年ぶりとなる夏の甲子園1勝を手にした。

続く2回戦は、これまた八戸学院光星との名門対決。2012年世代は神宮決勝、選抜準々決勝でともに敗れており、因縁の相手だ。

7回表にエース有馬が光星の強力打線に捕まり、1-5と4点のビハインドを負うが、ここからが今年の名電の違うところであった。光星の継投策に惑わされることなく、センター中心の打撃で追い上げると、サクラサクラのメロディーの中、1番加藤のタイムリーでついに同点に追いつく。継投した岩瀬、山田が力投を見せ、迎えた延長10回裏に6番美濃の一打でサヨナラ勝ち。因縁の相手に雪辱を晴らした。

準々決勝は昨春の選抜準優勝校の明豊と対戦。またしても強豪との対戦となったが、序盤から名電打線がコンパクトなスイングで明豊投手陣を打ち崩していく。継投が基本線の相手に対し、その継投を後手に回して主導権を奪った。投げては、エース有馬が力強い速球とスライダーを武器に、明豊打線を2点に抑える力投。投打に相手を圧倒し、5-2というスコア以上の差を感じる内容で久々の8強入りを果たした。

準々決勝は優勝した仙台育英の機動力野球の前に有馬が崩されて敗れたが、常連校3校をなぎ倒しての8強入りは痛快な快進撃であった。亡きチームメイトに捧げた3勝は、今後の名電の歴史にも大きく影響しそうな勝利となった。

2022年選手権3回戦 愛工大名電vs明豊(10日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権2回戦 愛工大名電vs八戸学院光星(7日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権1回戦 愛工大名電vs星稜(2日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

【岩瀬jrも】二遊間やプロ注目の147キロ左腕・有馬 伽久など!今年の愛工大名電も投打に逸材 – YouTube

高松商はスラッガー浅野を中心に全員野球で8強入り。コロナウイルスの影響でメンバーが欠ける中、底力で2勝をつかみ取った。

初戦は佐久長聖との強打対決。中盤以降、激しく点を奪い合う展開となったが、大会No.1スラッガーがその実力を存分に発揮した。佐久長聖の右腕・広田に対し、5回に右中間、7回にはレフトへそれぞれ特大の一発をお見舞い。このホームランで勢いづいた打線は、上位から下位までむらなくつながり、終わってみれば14得点を記録した。エース渡辺和を支える守備陣にややミスが出てしまったが、それを補って余りある打力を見せつけた。

ところが、続く3回戦で4番本田、6番林がコロナウイルスで離脱するアクシデントが発生する。チームの得点源を欠いた状態で、昨秋の九州王者の九州国際大付と対戦することとなった。この緊急事態に、しかし、チームは一層まとまりを見せる。エース渡辺和が九国の強力打線を相手に強気に内角を攻めると、初戦で乱れた守備陣もこの試合は無失策でエースを盛り立てた。自慢の打線は2点どまりだったが、結果は2-1で高松商の勝ち。久々の夏8強入りを果たした。

52年ぶりとなった夏の準々決勝の舞台。相手は選抜準優勝投手の山田を擁する近江だった。相手にとって不足なし。ここで浅野のリミッターが一気に外れた。3回の同点2ランを含む、3安打を山田から記録。しかも、すべて違う球種をとらえたものであり、完全に好投手を脱帽させた。敗れはしたものの、終盤には一度試合をひっくり返し、近江ベンチをたじろかせた戦いは見事だった。

21世紀に入ってから苦しい時代が続いた香川勢だが、2016年の高松商の選抜準優勝以来、着実に実績を積み重ねている。今年の高松商の戦いぶりもまた、全国上位レベルにあることを示すものであった。

2022年選手権3回戦 高松商vs九州国際大付(10日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権2回戦 高松商vs佐久長聖(6日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年ドラフト1位候補 浅野翔吾選手(高松商)が山田陽翔投手(近江)から2ランホームラン!! – YouTube

九州学院は2010年以来12年ぶりの8強入り。直江-渡辺の2年生バッテリーを強力打線が支え、力強い勝ち上がりを見せた。

その打棒が初戦の帝京五戦でいきなり火を噴いた。上位から下位まで満遍なくつながる打線が相手投手陣を飲み込み、4回までに8得点を記録。センター中心に無理のない打撃でヒットを連ねる打撃技術の高さを見せつけた。8回には4番村上にヒットが出て、ついに先発全員W安打を達成。57回大会の習志野、87回大会の酒田南に並ぶ快挙を成し遂げ、改めて「打の九州学院」の真髄を見せつけた。

一方、初戦は不完全燃焼の投球に終わった2年生エース直江だが、3回戦の国学院栃木戦では躍動した。2000年の選抜で悔しい逆転負けを喫した相手に対し、カーブ・スライダーを絶妙なコースに投げ分けて翻弄。前の試合で前年王者の智辯和歌山を下して勢いに乗る打線を、4安打1四球に封じ込め、まさに付け入るスキを与えない投球で完封してみせた。打線も国学院栃木の継投策に惑わされることなく4点を奪取。会心の試合運びで8強入りを決めた。

準々決勝はエース直江が先発できなかったこともあり、序盤の大量失点で敗れたが、この夏は久々に九州学院らしい力強い野球で勝利をつかんで見せた。直江-渡辺のバッテリーをはじめとしてセンターラインがほとんど残る新チームにも大きな期待がかかる。

2022年選手権3回戦 九州学院vs国学院栃木(11日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権2回戦 九州学院vs帝京五(8日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

国学院栃木vs九州学院 2000年選抜 | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

九州学院『甲子園メンバー』紹介(出身都道府県・打率・HR数 等)2022年夏 – YouTube

ベスト16で敗退したチームもそれぞれ投打に魅力的なチームが多かった。

 

明豊は昨夏、V候補に挙げられながら初戦で完封負けに終わったが、今年は明豊らしい守備と強打、継投策で2勝をもぎ取った。

初戦は、強豪ひしめく群馬大会を制した好右腕・亀井を擁する樹徳と対戦。初回に亀井の立ち上がりを突いて、4番竹下、5番嶽下の連打などで3点を先制すると、追いつかれた直後の7回表には8番牧野のタイムリー3塁打で勝ち越しに成功。守っては、技巧派右腕・野村から左腕・坂本を挟んで速球派右腕・森山へとつなぎ、内外野が堅守で支えて、リードを守り切った。2021年選抜でも見せた強力打線の奪ったリードを堅守と継投策で守り切る野球でまずは昨年果たせなかった初戦突破を成し遂げた。

続く2回戦は、初戦でV候補の京都国際にサヨナラ勝ちした一関学院と対戦。勢いに乗る相手に対して、序盤先行を許すが、明豊打線もじっくりと反撃開始。相手の技巧派右腕に対して、しっかり引き付けてはじき返す打撃で追い上げを見せる。すると、女房役の鈴木が好守とホームランで試合を振り出しに戻し、同点で迎えた9回には牧野のタイムリーと鈴木の犠飛で2点を勝ち越す。シーソーゲームはお手の物とばかりに流れをうまく手繰り寄せ、打撃戦を制して2勝目を挙げた。

3回戦は愛工大名電の強打と相手エース有馬の好投の前に力負けしたが、この試合でも持ち味の堅守でリードを大きく広げられることはなかった。明豊カラーとも言えるこの野球は現在の時代にも非常にマッチしており、来年以降も甲子園を沸かせてくれそうだ。

2022年選手権2回戦 明豊vs一関学院(7日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権1回戦 明豊vs樹徳(1日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

明豊高 校歌(2022年 第104回大会ver) – YouTube

海星は好投手を擁する2チームを撃破し、ベスト16に進出。2019年に続いて3回戦までコマを進めた。

1回戦は大会注目の好投手である日本文理・田中(ロッテ)と激突。最速150キロを計測する右腕だったが、この日はやや本調子ではなかった。とはいえ、140キロ台後半の速球に対して、海星打線がシャープな振りがことごとくヒットを連ねたのは圧巻の一言。低く、そして強い打球を打ち続け、6回までに8安打7点を奪ってKO。投げては大型右腕・宮原が器用に変化球を投げ分け、8安打を浴びながら完封勝ちを収めた。2002年夏に続く対戦だったが、またしても海星の大勝に終わった。

続く2回戦は、これまた好右腕・南沢を擁する天理と対戦。名門校対決に注目が集まったが、この試合でも海星打線が好投手をとらえる。長身のサイド右腕に対して、センターから逆方向を意識した打撃を見せ、1番河内・3番丸本・6番平尾と右打者がきっちり打点を挙げていった。投げては右腕・向井が8回途中までを2点にまとめる力投。8回の満塁のピンチでは途中出場でセカンドに入った峯が超ファインプレーを見せ、ピンチを脱した。投攻守で相手を上回り、4-2と接戦を制した。

3回戦は選抜準優勝校・近江に敗れたが、この試合も終盤までは1-2と接戦であった。2000年代は苦しい時代を経験した海星だったが、今や全国レベルの強豪に返り咲いたと言えるだろう。

2022年選手権2回戦 海星vs天理(7日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権1回戦 海星vs日本文理(3日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

【甲子園23度出場】プロ注目・宮原明弥の唸る直球が凄い!!長崎の強豪・海星に密着 – YouTube

九州国際大付は春夏連続の甲子園出場。選抜に続く8強入りはならなかったが、2試合とも好ゲームを演じた。

初戦は明徳義塾との強豪対決。県大会はコロナの影響で出番の少なかったエース左腕・香西が躍動した。選抜でも見せた緩急、コントロール、内外の出し入れを活かした投球で明徳打線を翻弄。味方打線の得点は2点だったが、この日の香西には十分な援護点であった。その打線は明徳のエース吉村の前に5安打に抑え込まれたが、少ないチャンスを確実に活かし、得点を連ねた。

続く3回戦はまたしても四国勢の高松商と対戦。この試合でもエース香西が好投を見せ、スラッガー浅野を乗せないようにしながら2点で抑えたが、肝心の強力打線がなかなか火を噴かない。高松商バッテリーのうまい配球にも翻弄され、後半は一人のランナーを出すこともできずに2-1と接戦を落とした。大会注目のスラッガー佐倉もこの夏は2試合で1安打であった。

ただ、ショート尾崎を中心とした堅守は素晴らしく、ディフェンス面は選抜に続いて堅いところを見せた。打線は水物の言葉通り、やはり計算が立つのは投手を中心とした守りなんだと再確認した、この夏の九国の戦いぶりであった。

2022年選手権2回戦 九州国際大付vs明徳義塾(6日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

【第104回選手権】明徳義塾 vs 九州国際大付 ハイライト – YouTube

明秀日立は春夏連続出場で選抜に続き、夏も1勝をマーク。しかし、3回戦で仙台育英との接戦に敗れ、惜しくも8強入りはならなかった。

初戦は選抜に続いて鹿児島勢の鹿児島実と対戦。左腕・赤嵜の好投に自慢の強力打線が沈黙し、1点を先制される苦しい展開となったが、2番手で登板したエース猪俣が流れを変えた。県大会では調子が上がらなかったが、この日は持ち味のスライダーを武器に鹿児島実打線を翻弄。打線が終盤に相手の守備ミスに付け込んで試合をひっくり返すと、猪俣は最後まで鹿実打線に付け入るスキを与えず、無四死球のリリーフピッチングで春に続き初戦をものにした。

続く3回戦は仙台育英との強豪対決。金沢監督にとっては光星学院時代に何度もやり合った相手だ。序盤から7番武田のホームランなどで常に先手を取るも、仙台育英の機動力を絡めた攻撃の前に徐々に「圧力負け」していく。左腕・石川と猪俣の小刻みな継投で逃げ切りを図ったが、7回についにつかまり、連続押し出しと犠飛で逆転を許した。打線は7回から登板した2年生右腕・高橋に対し、2塁打2本を放つも、得点を挙げるには至らず。4-5と接戦を落とした。

この代は初めて関東大会を制覇するなど、明秀日立史上でも最強のチームだっただろう。優勝も十分狙える戦力だったが、みちのくの強豪に行く手を阻まれた。

2022年選手権2回戦 明秀日立vs鹿児島実(5日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

明秀日立・応援歌メドレー13曲♪この木なんの木、See off他 2022夏甲子園 第104回全国高校野球選手権大会 – YouTube

国学院栃木は王者・作新学院の連覇を11でストップし、37年ぶりの出場を達成。本大会でも快進撃を見せた。

開幕戦は春夏連続出場の日大三島と対戦。2年生エース盛永が4回までに3点を失う苦しい展開となったが、打線が中盤以降に猛反撃を見せた。4回裏に5番鈴木、6番長田の連打でチャンスをつかむと、相手守備のミスも絡んで一気に同点の追いつく。5回以降はお家芸の機動力も絡めて着々と得点を重ね、終わってみれば10-3と大勝。夏の甲子園初勝利を成し遂げた。

そして、2回戦の相手が前年王者・智辯和歌山だった。柄目監督の選手時代の2000年、監督として初めて出場した2018年とともに敗れているチームである。因縁の相手への挑戦が始まった。

国学院栃木は初回にいきなり速球派右腕・武元をとらえて2点を先行。直後の攻撃で追いつかれるも、小刻みな継投で強力打線をかわしていく。打者ごとに打球の傾向を研究して極端な守備位置を取るなど、試合前の準備でも一歩前へ出ていた。

すると、1点ビハインドの6回裏に武元をとらえ、3番槙本からの4連打で一気に逆転に成功する。ここぞとばかりに2年生エース盛永を投入すると、8回には4番平井の一発が飛び出して点差は2点に。最終回に智辯の反撃を盛永が封じ込め、会心の試合内容でジャイアントキリングを果たした。

3回戦では九州学院に、今度は逆に2000年選抜のリベンジを果たされる結果となったが、県内の王者と前年夏の王者を倒した戦いぶりは鮮烈の一言。栃木県内での存在感が来年以降ぐっとアップするのは間違いないだろう。

2022年選手権2回戦 国学院栃木vs智辯和歌山(8日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権1回戦 国学院栃木vs日大三島(1日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年 第104回全国高等学校野球選手権栃木大会 準決勝 作新学院 対 國學院栃木 國栃10回裏サヨナラホームランで決勝進出! 作新連覇止まる! – YouTube

二松学舎大付はこれまで4大会出場してすべて1勝止まりだったが、この夏初めて1大会2勝をマーク。学校の歴史を塗り替えてみせた。

初戦は大型左腕・森谷を擁する札幌大谷と対戦。エース左腕の辻と森谷の投げ合いとなった試合は、序盤から二松学舎大付ペースで進む。初回に1番親富祖の2塁打を足掛かりに犠飛で先制点を奪うと、3回裏には5番大矢のタイムリー2塁打で加点。先手を取られた選抜と違い、先行してしっかり試合の流れをつかんだ。

終盤に先発・辻が捕まって1点を返されると、9回表には2番手重川もタイムリーを浴びて同点に追いつかれるが、9回裏に再び打線が森谷を攻略する。疲れの見える左腕に対し、ヒットと死球でランナーをためると、最後は1番親富祖がレフトへはじき返してサヨナラ勝ち。選抜の雪辱を晴らす1勝を手にした。

続く2回戦は地元・兵庫の社と対戦。3回裏に9番菊池からの怒涛の5連打が飛び出し、締めは1年生4番片井のホームランで4点を先行する。5回裏にも相手守備陣のミスに付け込んで3点を追加し、7-0と大量リードを奪うと、終盤の社打線の反撃をまたも辻→重川の継投でしのぎ切り、初の1大会2勝目を記録。二松学舎大付らしい粘りの野球で、地元びいきの空気の中を勝ち抜いて見せた。

3回戦では選抜優勝校の大阪桐蔭の前に0-4と完敗を喫したが、継投した左腕・布施が大坂桐蔭打線を無失点に抑える好投を見せ、選抜でKOされたところから成長した姿を見せた。また、打線も右腕・川原に完封こそされたが、終盤はスコアリングポジションに走者を進め、粘り強い攻撃で相手を苦しめた。5度目の挑戦でまたも8強入りはならなかったが、一歩一歩階段を上がる東東京の強豪がいつかその壁をクリアしていくのは間違いないだろう。

2022年選手権2回戦 二松学舎大付vs社(9日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2022年選手権1回戦 二松学舎大付vs札幌大谷(4日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

二松学舎大付『地方大会』ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

敦賀気比は4季連続の甲子園出場で2勝を記録。上加世田―渡辺のバッテリーを中心に常連校の強さを見せつけ、選抜の悔しさを晴らした。

初戦は高岡商との北信越対決。初回、2番河合がエラーで出塁すると、3番春山からの5連打でいきなり4点を先制する。敦賀気比らしい強烈なダウンスイングでヒットを積み重ねた。エース上加世田が中盤に相手打線に捕まって追い上げられるが、2番手で登板した左腕・清野が見事な火消し役を務め、無失点に封じ込めた。後半は再び敦賀気比ペースとなり、終わってみれば13-3で大勝。選抜で広陵の前に一方的に敗れたところからチームとして大きく成長したところを見せた。

2回戦は初戦のサヨナラ勝ちで勢いに乗る市立船橋と激突。序盤から相手に先行を許す苦しい展開となるが、自慢の強力打線が市立船橋の好左腕・森本哲星(巨人)を中盤に打ち崩す。厳しいコースをしっかり見極め、甘く入ったボールを積極果敢に打ちに行く。打撃の基本だが、できそうでなかなかできないことを敦賀気比打線は実行し、終わってみればドラフト指名される投手から7点をたたき出した。投げてはエース上加世田が我慢の投球で9回途中まで4点でしのぎ、最後は清野への継投で逃げ切り勝ち。乱戦を制し、2勝目を挙げた。

続く3回戦は上加世田が序盤からつかまり、2013年選抜のリベンジを食らう形となったが、敦賀気比らしい攻撃野球を存分に見せつけることはできた。不完全燃焼に終わった選抜と違い、達成感のある夏になっただろう。

2022年選手権2回戦 敦賀気比vs市立船橋(8日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

敦賀気比『地方大会』ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

浜田は2004年以来18年ぶりの出場。当時1番打者として出場していた家田監督が指揮し、伝統校が復活を遂げた。

初戦は選抜出場の有田工と対戦。クレバーな好投手・塚本が相手だったが、浜田もまたクレバーな野球で相手の配球も読みながら対応する。2-2の同点で迎えた機動力も絡めて3点を勝ち越し、左腕・波田から右腕・森井への継投も決まって、5-3と会心の勝利を手にした。決して、目立つ選手はいなくとも、一つ先の塁を狙う意識の高さと目的意識を持った打撃で活路を開いた。

3回戦は下関国際との中国勢対決に力負けしたが、新チームには左腕・波田など甲子園を経験した選手が残る。復活の足掛かりをつかんだ伝統校が、来夏どういう戦いをするか楽しみだ。

2022年選手権2回戦 浜田vs有田工(8日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

浜田高 校歌(2022年 第104回大会ver) – YouTube

 

 

今大会も好投手を擁して勝ち進んだチームは多かった。2回戦で惜しくも敗退したが、甲子園の戦いを彩った好投手の戦いを振り返る。

天理は春夏連続の甲子園。初戦は同じく春夏連続出場の山梨学院との対戦となった。

選抜では星稜との延長戦の激闘で敗れたが、この日はエース南沢が丁寧な投球で山梨学院の強力打線を封じ込めていく。天理打線も相手投手の好投の前になかなかチャンスを作れなかったが、4回裏に4番戸井(阪神)、6番内藤の長短打で加点すると、6回裏にも4番戸井・5番山村の連続2塁打で2点目を奪った。最終回に山梨学院の反撃にあって1点差に詰め寄られたが、最後は南沢が踏ん張りを見せ、2-1と逃げ切り勝ち。守備の乱れで敗れた選抜の教訓をしっかり活かした守りがちであった。

続く2回戦は、海星打線が序盤から南沢を攻略し、苦しい展開に。終盤に粘りを見せたが、4番戸井の打球が相手に好捕され、追撃及ばなかった。投打のキーマンが封じられては致し方ない面もあったが、それでも互いの堅守は素晴らしく、大会屈指の好ゲームであった。

2022年選手権1回戦 天理vs山梨学院(3日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

天理(奈良) vs 山梨学院(山梨)熱闘甲子園【第2試合】8月8日 2022年 – YouTube

聖望学園は埼玉大会決勝でエース岡部が選抜4強の浦和学院を完封し、2009年以来の出場を決めた。

初戦は能代松陽を相手に岡部が完ぺきな投球を展開する。内外角に正確に投げ分けるコントロールに加え、球威・キレも申し分なく、浦学を抑えたのも納得の投球を見せた。打っては、打線がほとんど単打ながら正確にミートする打撃で16安打を放ち、8-2と完勝。中盤に反撃を許しても落ち着いて後続を断つなど、激戦の埼玉を勝ち抜いた自信が垣間見えた。

続く2回戦はV候補筆頭の大阪桐蔭と対戦。さしもの岡部も大阪桐蔭打線の圧力を感じたか、ボール半個分の制球ミスも許されないプレッシャーが、かえってコントロールを甘くしてしまった。打線も相手先発の左腕・前田に翻弄され、0-19と敗戦。悔しい結果に終わったが、大舞台に来たからこその課題と収穫を持ち帰る夏になった。

2022年選手権1回戦 聖望学園vs能代松陽(5日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

聖望学園 ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

横浜は県大会決勝で東海大相模との決勝を劇的なサヨナラ勝ちで制し、連続出場を達成。初戦は同じく連続出場の三重と対戦となったが、横浜らしいしたたかな戦いを見せた。

前年夏に完封勝利を挙げた三重のエース上山が相手だったが、横浜は少ないチャンスを活かす。3回表に四球のランナーを盗塁で進めると、昨年の広島新庄戦で逆転サヨナラ3ランを放った1番緒方が右方向への2塁打を放って先制。さらに2番板倉も右打ちでタイムリーを放ち、この回2点を先制する。1点差で迎えた8回裏には四死球のランナー2人を3番岸本はこれまた右方向への長打で返し、計4得点。このリードを2年生左腕・杉山が守り切り、2年連続で初戦突破を果たした。

しかし、続く2回戦では福島県勢として対神奈川県勢への初勝利に燃える聖光学院に苦戦。中盤に2度同点に追いつくが、追いつくたびにすぐに勝ち越されてしまう。点差は1点だったが、聖光学院の見せる気迫あふれる攻めの守備と、エース佐山の好投の前になかなかチャンスを作れない。8,9回はランナーの出塁も許してもらえず、5安打2失点で佐山が完投勝ち。聖光学院に3度目の対戦で初めて勝利を許した。点差以上に大きな差を感じた敗戦でもあった。

ただ、新チームは1番緒方、エース杉山と投打の柱が残る。新チームへの期待を残し、横浜が甲子園を後にした。

2022年選手権1回戦 横浜vs三重(4日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

横浜高校『地方大会』ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

社は兵庫大会決勝で神戸国際大付との激闘を制し、念願の夏初出場。初めての甲子園で躍動して見せた。

初戦はコロナの影響でベストメンバーを組めなかった県岐阜商と対戦。相手が気の毒な一面もあったが、打力にやや課題を残すという評をかわす猛打を見せた。1番大西、3番福谷と上位打線のキーマンが巧みな流し打ちできっちりヒットを積み重ねると、四死球も絡めて3回までに大量8得点。投げては右腕・堀田が強気の内角攻めで1失点完投し、2004年選抜に続いて夏も初出場で1勝を刻み付けた。

続く2回戦は二松学舎大付と対戦。序盤から内野守備の乱れが響き、相手の長打攻勢もあって7点を失う。ディフェンス型の社としては致命的な点差に思えたが、7回から勝股の2ランで反撃開始。8回には1番大西、2番後藤の連続長打などでさらに2点を返すと、地元を応援する甲子園球場は異様な空気に包まれた。最終回に2点差に詰め寄り、一打同点の場面まで追い詰めたが、最後は2番後藤がレフトフライに打ち取られ、一歩及ばなかった。

しかし、初めての夏の甲子園で初勝利と痛快な追い上げを見せ、今年の社は大きく歴史を更新して見せた。来年以降の戦いにも弾みがつく大会となった。

2022年選手権1回戦 社vs県岐阜商(4日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

社(やしろ)高校『甲子園メンバー』紹介(出身都道府県・打率・HR数 等)2022年夏 – YouTube

 

夏は打力がものを言う傾向が強いが、今年も強力打線で大会を沸かせたチームは多かった。

鶴岡東は3年ぶりの夏出場。前回大会に続き、強打で聖地を沸かせた。

初戦は盈進と対戦。初回から打線が火を噴き、甘いボールを積極果敢にたたいていく。1回表に4点を先行すると、その後も相手守備陣のミスや四死球も絡めてうまく得点に結びつけていく。3点差に追い上げられた7回には2番土屋、4番前田のホームランで加点と、したたかさと力強さのある攻撃で計12点をたたき出した。守備面でややミスはあったものの、豪快な勝ちっぷりであった。

続く2回戦は近江のエース山田に挑戦。1点ビハインドの3回表に9番渡辺、2番土屋の一発で一度は試合をひっくり返す。直後の攻撃で逆転を許して敗退したが、この大会3発を放った2番土屋をはじめ、チームとして計5本のホームランを記録した。鶴岡東打線のパンチ力が全国を席巻した夏となった。

2022年選手権1回戦 鶴岡東vs盈進(2日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

甲子園2試合5HRと負けはしたが全国にインパクトを残して甲子園を去る鶴岡東高校 – YouTube

市立船橋は2007年以来実に15年ぶりの出場。「市船ソウル」のリズムに乗ってナインが聖地で躍動した。

初戦は硬軟相手に3回に一挙5点のビハインドを背負う苦しい展開となる。しかし、県大会決勝で木更津総合投手陣から13得点を挙げた打力は本物だった。興南・生盛の伸びのある速球にも力負けすることなく打ち返し、中盤で2点差に詰め寄ると、8回裏には4番片野のホームランとリリーフで好投していた森本哲星(巨人)のタイムリーでついに同点に追いつく。その森本哲星は登板直後こそ、失点したが、スライダーを武器に興南打線を4回以降は完ぺきに封じて見せた。

こうなると、最終回か完全に市船ペースとなる。満塁のチャンスを作って相手を追い詰めると、最後は押し出し死球でサヨナラ勝ち。1997年以来実に25年ぶりとなる1勝を聖地に刻み付けた。

続く2回戦の敦賀気比戦は森本哲星が相手打線に捕まり、逆転を許してしまうが、最終回にまたしても打線がつながる。敦賀気比・上加世田を打ち込んで9回途中でノックアウト。最後は2点差にまで詰め寄り、まさかと思わせるところまで持っていった。久しぶりの出場であったが、千葉代表の底力を見せた戦いだった。

2022年選手権1回戦 市立船橋vs興南(3日目第4試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

市船橋 9回の熱い応援団【神曲】市船ソウル ロングバージョン 2022年夏甲子園高校野球 – YouTube

一関学院は2010年以来となる甲子園出場。花巻東、盛岡大付以外ではその2010年の一関学院以来の出場であったが、岩手勢の力がついたことを証明する戦いを見せた。

初戦は大会初日の第3試合でいきなり優勝候補の京都国際と激突。注目左腕の森下(DeNA)が相手だったが、打線はひるむことなく好投手を打ち崩していく。

初回に6番小松のタイムリー3塁打などで3点を挙げると、3回裏にも1点を挙げて早々と森下をKO。終盤に相手打線の反撃にあって同点に追いつかれるが、軟投派右腕・小野から寺尾への継投で前には出させない。すると、延長11回裏にそのリリーフした寺尾がセンターへタイムリーを放ち、この日3安打の小松がホームイン。劇的な幕切れでV候補を下し、2002年以来となる甲子園1勝を手にした。

続く2回戦の明豊戦も敗れはしたものの、打線は8安打5点を挙げて明豊投手陣を攻略した。最終回に勝ち越しを許して打ち負けてしまったが、その打力が全国レベルであるとともに、岩手は花巻東と盛岡大付だけではないことを実証した戦いぶりであった。

2022年選手権1回戦 一関学院vs京都国際(1日目第3試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

【第104回選手権】京都国際 vs 一関学院 ハイライト – YouTube

八戸学院光星は強打を武器に今年も青森の夏を制して甲子園へ乗り込んできた。2回戦で愛工大名電に敗れたものの、改めてさすが光星と思わせる戦いを見せた。

初戦は創志学園のエース岡村と激突。変則ながら速球に力のあるサイド右腕だったが、磨いてきた強打はやはり健在だった。3番中澤、4番野呂を中心にしっかりミートポイントまで引き付けて打ち返す打撃で打者2巡目には早々と攻略。近距離バッティングで鍛えたシャープかつ力強いスイングで好投手を飲み込んで見せた。投手陣は今年も絶対的エースは不在だが、それぞれが持ち味を出す継投策で相手の反撃をかわし、7-3と完勝。まずは1回戦を力強く突破した。

続く2回戦は愛工大名電との強豪対決。2012年世代では2度にわたって破っている相手だ。好左腕・有馬に対し、光星打線は5回に7番佐藤のランニングホームランで勝ち越すと、7回には1番井坂のからの3連打などで3点を追加する。これで勝ったかと思われたのだが、その裏名電打線も集中打を放って同点に追いつくと、試合は延長戦へ。最後は名電の7番美濃にサヨナラ打が飛び出し、惜しくも敗れてしまった。

しかし、光星打線vs名電・有馬の勝負は光星打線の勝ちだったと言えるだろう。来年以降も再び強打で甲子園を沸かせてくれづはずだ。

2022年選手権1回戦 八戸学院光星vs創志学園(2日目第1試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

だいじょうぶ 八戸学院光星応援歌 2022夏甲子園 – YouTube

 

夏の初戦とはかくも難しいものか。大会前に優勝候補にあげられていたチームが次々と初戦で散っていった。

日大三は初戦で聖光学院と対戦。西東京大会決勝で東海大菅生の好投手・鈴木を打ち崩した自信を胸に挑んだ。

しかし、聖光学院の先発は予想に反してエース佐山ではなく、左腕・小林。4回までに2点を先制するが、どうも乗り切れない展開が続く。すると、1点差に詰め寄られた5回裏に聖光学院の2番高中の逆転2ランが飛び出し、試合をひっくり返されてしまう。反撃したい日大三打線だが、5回途中から継投した佐山の目いっぱい飛ばす投球の前に、4安打無得点。力では決して劣っていなかったが、ペース争いで相手に敗れてしまった感があり、2012年に続いて聖光学院の軍門に下った。

小倉監督にとっては、これが最後の夏の指揮となった。選手とともに生活し、人間力で引っ張り上げて日大三を強くした稀代の名将が、長い長い戦に幕を閉じることとなった。

日大三 ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

智辯和歌山は2004,2005年の駒大苫小牧以来となる連覇を狙って出場。しかし、大会の大トリでの出場は、経験豊富なチームと言えども難しいものがあった。

武元、塩路の力のある2投手と強力打線を引っ提げ、自信を持って挑んだが、過去2度甲子園で勝利していた対戦相手の国学院栃木はしたたかだった。初回に武元が捕まって2点を先行されると、2回に追いついたものの、自慢の強力打線がなかなか機能しない。2年生エース盛永を温存して継投策に出た国学院栃木はタイプの違う3投手を5回までに次々とつないでいき、智辯和歌山打線にペースを与えなかった。

また、相手守備陣の思い切りのいいシフトの前にいい当たりがヒットにならず、波に乗り切れない。6回表に1点を勝ち越したが、直後の攻撃で武元が連打を浴びて逆転を許す。8回裏には相手4番平井の1発で点差は2点となり、万事休した。最終回にようやく1番山口に当たりが出て走者2人をためるも、「ジョックロック」の神通力は通じず、敗戦。中谷監督就任後は初めてとなる初戦敗退を喫した。

高嶋監督時代も何度もこういう戦いを経験したことはあっただろうが、やはり追われる立場の戦いは非常に難しいものがある。昨年は21年ぶりの歓喜に沸いたが、今年は大きな宿題を持ち帰ることになった。

【昨夏全国制覇】超名門・智辯和歌山の練習に密着!木製バットでも難なく飛ばす! – YouTube

京都国際は選抜をコロナウイルス感染で出場辞退となっていたが、夏は地力でしっかり勝ち上がり、2年連続の出場をつかんだ。

しかし、注目左腕・森下(DeNA)は肘の故障の影響があったか、なかなか本調子とはいかず。持ち味のストレートの伸びが本来の物ではなく、一関学院打線に捕まって4失点で降板となった。打線は終盤に驚異的な粘りを見せ、4点差を追いついたが、最後は2年生右腕・松岡がサヨナラタイムリーを浴びて終戦した。

ただ、逆境を跳ねのけての今回の出場はチームの底力を感じさせるものであった。この2年間トップを京都府内でトップを走り続けてきた京都国際。来年以降も京都を沸かせる存在となるだろう。

【2022年】京都国際 対 龍谷大平安 京都大会 決勝 第104回全国高校野球選手権大会 – YouTube

明徳義塾は2年連続の出場。高知大会決勝では選抜出場のライバル高知との死闘を8-7で制し、出場にこぎつけた。初戦は選抜8強の九州国際大付との強豪対決になった。

昨夏8強の原動力となったエース左腕・吉村は角度のついたクロスファイヤーを武器に、九州随一の強力打線を5安打2点に封じ込め、先発の役目を果たす。しかし、課題とされていた攻撃力が九国のエース香西の前に歯が立たなかった。なかなか自分たちのスイングをさせてもらえずに、こちらも5安打で1点のみ。このタイプの投手がある意味攻略が最も難しいが、常連校の明徳としてはそんなことも言っていられないだろう。課題を克服し、来年につなげる戦いはすでに始まっている。

明徳義塾『甲子園メンバー』紹介(出身都道府県・打率・HR数 等)2022年夏 – YouTube

鳴門は近江との1回戦屈指の好カード。選抜で大阪桐蔭の強力打線を封じ込めた左腕・冨田の投球に期待がかかった。

初回、選抜準優勝投手の山田に対して、4番前田がアウトコース高めの速球を右中間にはじき返し、いきなり1点を先制。さらに、2回には相手の失策で再び勝ち越しと序盤は主導権を握った。しかし、中盤以降、得意のスライダーを徐々に見極められるようになり、5回に5番横田の逆転タイムリーなどで3失点。堀を埋めるように投球の選択肢を奪っていった近江打線のしたたかさが光った。森脇監督不在というハンデも背負っての戦いだったが、力及ばず。強豪が初戦で姿を消した。

ミックスナッツ 鳴門高校最終回の応援♪2022年夏甲子園高校野球 – YouTube

星稜は愛工大名電との強豪対決。松井秀喜、イチローという屈指のメジャーリーガーを輩出した高校同士の対戦でもあった。

しかし、選抜8強の原動力となった右腕・マーガードがこの日は不調。選抜で見せた球威十分のストレートが見られず、わずか2回で9得点を奪われ、早々と試合は決まってしまった。上位打線を中心に破壊力のある打線も、ビハインドが大きく、攻撃の選択肢が狭まってしまったのは否めないだろう。監督交代もあり、節目の年となった星稜の夏は今年は1回戦で幕を閉じることとなったが、来年以降の捲土重来は必ずあるはずだ。

星稜高校 ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

 

北海道勢の2校はともに初戦で敗退したものの、東西の強豪校を相手に大善戦。全国に大きなインパクトを残した。

旭川大は初戦でいきなり選抜優勝の大阪桐蔭と激突。しかし、果敢な攻守で王者に挑んでいった。

初回にいきなり大型右腕・川原の立ち上がりをとらえて1点を先制すると、3回には3番藤田が弾丸ライナーの2ランを放って3点のリードを奪う。球場が異様なムードに包まれる中、先発の池田も強気のインコース攻めで5回までリードを保って見せた。終盤に大阪桐蔭のホームラン攻勢で試合をひっくり返されたが、最終回には2番手の速球派右腕・別所もとらえて満塁のチャンスを作った。最後は一歩及ばなかったが、旭川大の校名での最後の出場で痛快な試合を演じて見せた。

旭川大高(北北海道)が大阪桐蔭(大阪)を脅かすくらいねばった。!!熱闘甲子園【第1試合】8月10日 2022年 – YouTube

札幌大谷は2018年度の神宮大会を制し、選抜出場の経験があったが、夏は初めての出場であった。

速球派左腕・森谷は今大会でも注目の投手。序盤に2点を失うものの、持ち味の球威ある速球を武器に粘りの投球で二松学舎大付を封じていく。再三ランナーを背負いながら決定打打線も8回に1点を返すと、9回には代打・森、1番飯田の連打でつかんだチャンスに相手の暴投が飛び出して同点に追いつく。直後の9回裏に森谷がついに限界を迎えてサヨナラ負けを喫したが、東東京王者を相手に互角の戦いを見せた。

【2022夏 高校野球 甲子園応援】札幌大谷 応援 – YouTube

 

惜しくも初戦で敗退してしまった中にも好投手を擁するチームは多く存在した。

山梨学院は選抜に続いての出場。天理との春夏連続出場対決となった。

選抜ではエース榎谷が好投を見せたが、夏はもう一人の右腕・山田が台頭。丁寧な投球で天理打線に2点を失ったものの、先発としての役割は十分に果たした。しかし、打線がなかなか天理・南沢の投球をとらえきれずに8回まで5安打無得点。9回に7番岳原のタイムリー2塁打で1点差に詰め寄る粘りを見せたが、一歩及ばず、勝利はならなかった。

選抜の木更津総合戦に続き、1-2での敗戦。春夏ともに非常に中身の濃い試合であり、惜しいしあいであったが、やはり全国クラスの投手を打ち崩さないと甲子園では勝てないのだと感じさせられた。

山梨学院 ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

樹徳は県大会で前橋育英・桐生第一・健大高崎と県内3強を下して出場。好投手・亀井の投球が原動力であった。

初戦は常連校の明豊が相手。甲子園慣れしている相手は、初回に亀井の立ち上がりを捕まえ、3点を先行する。樹徳打線も5回裏に4安打を集中して3点差を追いつくが、グラウンド整備後の6回表に再び勝ち越しを許す。亀井の投球も決して悪くなかったが、流れの変わりやすいイニングできっちり得点を挙げてくる明豊打線がさすがであった。樹徳打線も10安打を放って塁上を賑わせたが、相手の継投策にうまくかわされた印象だった。

樹徳として30年ぶりの甲子園で勝利はならず。ただ、投打に力のあるところは見せ、群馬代表としての意地は見せた。

『樹徳高校 2022年夏 甲子園ノック』明豊高校戦 第104回全国高等学校野球選手権大会 2022年8月6日 – YouTube

日本文理は最速150キロ右腕の田中(ロッテ)を中心に2年連続出場。2002年夏に続き、長崎・海星との対戦となった。

しかし、リベンジを狙った試合は田中が序盤から海星打線につかまってしまう。故障の影響でストレートの出来がやはり本来のものではなかったか。シャープなスイングの海星の各打者に打ち返されてしまい、6回までに7失点を喫してしまった。打線も8安打を放ったが、海星・宮原の変化球をとらえきれずに完封負け。昨夏の敦賀気比戦以上に悔しい敗戦となってしまった。日本文理としての意地を胸に、来年以降捲土重来を期す。

日本文理 ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

三重は2年連続の甲子園出場。昨夏、樟南打線を7安打完封したエース上山を中心に堅守の野球で再び帰ってきた。

初戦はいきなり名門・横浜と激突。上山らしい伸びのある速球を武器に挑んだが、横浜は数少ないチャンスをしたたかに活かしてくる。アウトコース中心の配球にもしっかり対応され、1番緒方、2番板倉、3番岸本の上位打線3人で3安打4打点をたたき出された。打線は最終回に粘りを見せて1点を返すも及ばず。決して力の差のある相手ではなかったが、ペース争いに敗れた感のある試合であった。

三重高校 ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】 甲子園出場決定! – YouTube

創志学園は変則サイド右腕・岡村を軸に、名将・長澤監督の最後の夏に挑んだ。

しかし、相手はこれまで強打で数々の好投手を打ち崩してきた八戸学院光星。序盤3回は無失点で封じていたが、中盤以降3番中澤、4番野呂の中軸を中心に岡村を打ち込んでいく。左打者にとってはやや見やすい軌道だったのもあったかもしれないが、光星打線の破壊力が一枚上だったと言わざるをえない。打線も11安打を放って再三塁上を賑わせたが、走塁ミスもあって3点どまりだった。常連校の厚い壁に阻まれた一戦だったと言えるだろう。

そして、2005年の神村学園の初出場での選抜準優勝に始まり、何度も甲子園に選手を導いた長沢監督の戦いも終わった。選手の持ち味を把握し、巧みな起用法で活かす野球で岡山の、そして全国の高校野球ファンを魅了した。来年からは東海大相模で全国制覇4回を誇る門馬監督が就任するが、長沢野球を継承しつつ、創志学園の野球がここからどう変わっていくか、今から楽しみでならない。

【前編】それぞれの夢かなえた創志学園3年生 長澤監督も最後の夏 – YouTube

有田工は春夏連続の甲子園出場。エース塚本を中心とした守りの野球で佐賀の夏を勝ち抜いた。

選抜でエースを援護できなかった打線は、初回に1番塚本、2番松尾の連打を足掛かりに先制点を奪うと、1点ビハインドの5回表には2年生4番角田のタイムリー内野安打で同点に追いつく。ただ、3回裏に投手ゴロエラーで失点したように肝心の守りが乱れてしまったのが痛かった。塚本は打席では2安打4出塁と奮闘したが、6回に集中打を浴びて3失点。相手の巧みな機動力とうまい打撃が上回った印象だった。

ただ、激戦の九州・佐賀を勝ち抜いて連続出場を果たしたことは大きな財産になる。4番門田をはじめとした後輩たちが、今年成しえなかった甲子園の勝利を目指していくことになる。

第104回全国高校野球選手権 佐賀県決勝 有田工-神埼清明 – YouTube

富島は好投手・日高(オリックス)を擁し、3年ぶりの夏出場であった。

春夏通じ初勝利を目指してマウンドに上がったが、下関国際打線のコツコツとミートしてくる打撃に、着実に点を奪われていく。速球は最速148キロを計測したように走っていたが、甲子園クラスの打線となるとさすがに対応力が高かった。富島打線も下関国際の左腕・古賀のスライダーをなかなか捕まえきれず、自慢の機動力を活かせない。最後までホームは遠く、0-5で下関国際に軍配が上がった。

ただ、現3年生は2019年の戦いを見て入ってきた世代であり、この2022年の戦いを見てまた富島を目指すヤングプレーヤーも必ずいるはずだ。「TOMIKO」の歴史はこうして紡がれていく。

2022年 富島高校3年 日高暖己投手 – YouTube

鹿児島実は県大会決勝で選抜出場の大島に3-2と勝利。エース赤嵜が好左腕・大野(ソフトバンク)に投げ勝ち、伝統校の意地を見せた。

甲子園初戦は奇しくも、大島が選抜で敗れた明秀日立が相手。3回表に押し出しで先制すると、赤嵜が老獪な投球でこれを守り抜く。しかし、勝負強い桜島打線がリリーフした相手エース猪俣を打てずにいると、徐々に流れは明秀日立に。7回、8回と立て続けに内野守備のミスが出て失点し、1-2と僅差で敗れることとなった。センター筏のファインプレーなど随所にいい守備の見られていただけに惜しまれる終盤の守りであった。

鹿児島実業 ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】 甲子園出場決定! – YouTube

興南はエース生盛の好投と勝負強い打線がかみ合い、4年ぶりの出場を勝ち取った。

初戦は市立船橋と激突。3回に相手先発の坂本、2番手の左腕・森本哲星をとらえ、4安打を集中して一挙5点を先制する。このリードをエースが守り抜くだけと思ったが、中盤以降市立船橋の反撃にあう。相手の応援の雰囲気にも徐々に飲まれた感があり、8回に相手4番片野のホームランと7番森本哲星のタイムリーでついに同点に追いつかれる。そして、最終回、2番手の右腕・安座間が満塁のピンチを背負うと、最後は押し出しの死球を与えてサヨナラ負け。あっけない幕切れとなった。

興南としては勝ちパターンに持ち込めた試合になったが、生盛-盛島のバッテリーが市船打線の圧力に持ちこたえられなかった。伸びのある速球は素晴らしいボールであったが、終盤やや球威が落ちたところをとらえられてしまった。

【魂知和】沖縄代表 興南高校 甲子園 球場入り 2022年 夏 – YouTube

 

初戦突破こそならなかったものの、以下の3校は打力を武器に相手校に食い下がった。

盈進は地元選手オンリーで久々の甲子園出場となった。

試合は、先発の向井が初回から鶴岡東の強力打線につかまり、2回には相手2番土屋の2ランも飛び出して6点のビハインドを背負う。しかし、広島大会をしぶとく勝ち抜いた打線が徐々に反撃を開始。4安打を放た6番中島など、6本の長打を放ち、一時は3点差に詰め寄る粘りを見せた。最後は再び相手のホームラン攻勢に飲み込まれる形となったが、最後まであきらめない姿勢を見せたナインの姿に観衆は万雷の拍手を送った。

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佐久長聖は初戦で高松商との強打対決となった。

攻撃野球を標榜する藤原監督(元PL学園監督)のもと、中盤までは高松商打線の守備の乱れにも付け込んで着実に得点を挙げていった。エース右腕・広田も強気のインコース攻めで高松商打線に挑んだが、如何せん相手の主砲・浅野が凄すぎた。慎重かつ大胆に攻めていたが、甘く入った失投を逃してはくれず、2発を被弾。キーマンが輝きを放つと、終盤は打線のつながりを許して大量失点を食らった。ある程度狙い通りの戦いを進められていたが、最後は相手が一枚上であった。

佐久長聖 ベンチ入りメンバー紹介 2022年夏 【出身都道府県も紹介】甲子園出場決定! – YouTube

高岡商は昨年の松商学園戦に続き、またしても北信越対決となった。

敦賀気比打線に5点を先行されるが、好投手・上加世田を攻めつけ、4回までに9安打で3点をもぎ取った。最後は大差をつけられたが、3番川尻、4番近藤を中心にシャープなスイングを見せた。2018年は大阪桐蔭、2019年は履正社と優勝校に敗れており、全国トップレベルを見てきたことで、やはり打力に関しては全国クラス仕様になっていると言えるだろう。あとは2018年のエース山田(巨人)のような好投手が育てられれば、再びの上位進出も十分ありえる。

高岡商 , 2022 07 29 – YouTube

 

東海地区が誇る強豪2校はともに思うような戦いはできなかったが、ナインはしっかりと聖地を踏みしめた。

日大三島は開幕戦で国学院栃木と対戦。選抜では初回に3失点したエース松永が無難に立ち上がると、自慢の強力打線も4回に3本の長打が飛び出すなど、3点を先制した。理想的な試合運びに思えたが、4回裏に急転。内野守備の乱れに付け込まれて同点に追いつかれると、5回からリリーフした右腕・京井も流れを止められず、国学院栃木の機動力にも翻弄されて、3-10と敗退した。

選抜と異なり、今回は流れをうまくつかんだように見えただけに惜しまれる守備の乱れだった。

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県岐阜商はコロナウイルスの影響でベンチ入りメンバー10人を入れ替える苦しい状況となった。序盤から社に大量点を許す苦しい状況となったが、終盤には意地の1点を返し、反撃態勢を見せた。唯一の長打となる2塁打を放った高井や捕手を務めた加納など、多くの下級生が甲子園の土を踏んだのも大きな収穫だった。今年の悔しさを晴らす機会はこの試合の出場メンバーの多くに残されている。

夏の甲子園 10人入れ替え😂県立岐阜商 難聴の投手が先発⚾好投🙆 – YouTube

 

初戦で力負けを喫したものの、以下の3校は大会に確かな足跡を残した。

帝京五は序盤から投手陣が捕まる苦しい展開となったが、打線が九州学院のエース直江によく食い下がった。小林昭(ロッテ)監督の指導の下、選球眼を磨いてきたチームは3回までに5四球を奪取医、一時は4点差から1点差に迫る粘りを見せた。中盤異教は相手ペースになってしまったが、12安打を放って食い下がった姿勢は、新チームへの財産となった。

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能代松陽は旋風を巻き起こした2011年夏以来11年ぶりの出場。序盤から相手打線に小刻みに得点を許す苦しい展開となったが、6回に反撃開始。好投手・岡部から1番大高・2番紀本・4番齋藤がヒットを連ね、2点を返して球場を沸かせた。試合は2-8で敗れたが、多くの下級生が出場し、貴重な経験を積むことができた。リリーフで登板した森岡をはじめ、新チームへの期待は大きい。

スポーツの力 能代松陽高校硬式野球部 2022年8月2日放送分 – YouTube

鳥取商は初戦で優勝校の仙台育英と激突。中盤まで2年生右腕・山根が好投を見せ、強豪と互角に渡り合った。打線が相手の140キロクインテットの前に2安打と沈黙したが、やはり力が上の相手に対してアップセットを起こすには、投手が0点に抑えて踏ん張っていくしかないだろう。結果は敗れてしまったが、勝利へのアプローチは決して間違えてはいなかった。山根をはじめとして大舞台を経験し、そして優勝校の強さを知ったメンバーがこの敗戦を糧にさらに成長していくだろう。

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