2022年選抜1回戦 和歌山東vs倉敷工(1日目第2試合)

2022年

大会1日目第2試合

和歌山東

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 7 8
0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 2

倉敷工

 

和歌山東  麻田

倉敷工   高山

強打の倉敷工と試合巧者・和歌山東の対決は両エースの踏ん張りで投手戦に。延長11回に相手エースを攻略した和歌山東が初出場で初勝利を挙げて見せた。

試合

立ち上がり、自慢の機動力で揺さぶりをかけたい和歌山東は1番山田がサードの悪送球で出塁。盗塁で二進すると、2番森岡の二遊間への当たりがラッキーな内野安打となって1,3塁のチャンスを迎える。試合前から米原監督が作りたかったシチュエーションが出来上がったが、3番野別が浅いライトフライ、4番中川がショートゴロ併殺打になって無得点に終わる。

これに対して、和歌山東の麻田は手元で動く変化球を主体に打たせて取る投球を展開。不利と言われる左打者に対して、果敢に内角を攻め、立ち上がり強打の倉敷工打線を3者凡退に抑える。まさに技巧派の真骨頂と呼べる投球である。

エースの好調な立ち上がりに応えたい和歌山東打線は、2回表にも5番此上が四球で歩くとすかさずスチールを敢行。米原監督の言う「魂の野球」で攻め立てる。犠打で1アウト3塁となり、7番尾花の打球でカウント1-1から「スクイズ」のカードを切る。しかし、ここは倉敷工のエース高山がアウトコース低めにスライダーを外し、尾花のバットは空振り。3塁ランナーが挟殺され、チャンスを逃す。

これで落ち着きを取り戻した高山はカーブを主体に立ち直り、和歌山東のしつこい打線に対して空振りを奪えるようになる。長身から腕が少し遅れて出てくる独特のフォームも奏功し、和歌山東打線の勢いを止めることに成功する。

この流れに乗りたい倉敷工打線。2回までは一人のランナーも出せなかったが、3回裏に麻田の制球の乱れに付け込む。この回はやや変化球で指が引っ掛かり気味になり、カウントを悪くする。死球で出た7番近江を犠打と外野フライで三進させると、ここで期待の1番藤井がアウトコース低めのスライダーをうまくミートしてセンター前タイムリー。押され気味だった倉敷工に先制点が入る。

しかし、ここで簡単に崩れないのが近畿準優勝の実力か。4回以降、再び麻田が制球力を取り戻すと、グラウンド整備を終えた6回表に上位打線がつながる。先頭の1番山田がヒットで出塁すると、2番森岡もセンターへヒットを放って山田が3塁へ進む。再びほしかった「1.3塁」のチャンスを得ると、3番野別の併殺打の間に山田がホームを踏み、和歌山東としての甲子園初得点で同点に追いつく。

勝ち越し点を上げたい両チームだが、和歌山東の積極的な攻撃はこの日3本の併殺打に代表されるようになかなかつながっていかない。一方、コントロールの良い麻田に対して好球必打を心掛けた倉敷工打線は早いカウントから打って出るが、これまた飛球を打たされる結果となり、凡打の山を築くこととなる。

この膠着状態を先に打開しかけたのは倉敷工だった。8回裏、先頭の7番近江が粘ってフルカウントから四球を選ぶと、犠打と四球で1アウト1,2塁となって先制タイムリーの1番藤井を迎える。ここで米原監督はエース麻田を下げて2番手に左腕・田村を送る。田村は左スリークオーターから繰り出すスライダーを武器に藤井と2番松嶋を打ち取り、倉敷工のスコアボードに「0」を刻む。和歌山東としては大きなピンチを継投でしのいだ。

試合は両チーム無得点で延長戦に突入。10回裏には再び倉敷工がヒットと四球でランナー1,2塁とサヨナラのチャンスを作るが、9番難波のいい当たりのライトフライで1塁ランナーの高山が飛び出してしまい、併殺になってしまう。和歌山東としてはこの場面も左腕・山田にスイッチしており、継投がことごとくはまっていた。

試合が決着したのは延長11回だった。和歌山東は先頭の9番瀬村がヒットで出塁すると、続く1番山田にはカウント2-1と追い込まれた状況でエンドランを敢行。これがサード後方に落ちるラッキーな人ととなり、ランナーがたまる。ここで2番森岡がインサイドやや甘めのストレートを引っ張ってライトへのタイムリーとし、ついに和歌山東が1点を勝ち越す。

続く3番野別のサードゴロで3塁ランナーが挟殺されるが、流れは変わらない。和歌山東の打者が高山の変化球にバットが止まるようになり、果敢に仕掛ける走塁がバッテリーの集中力をかき乱す。この回、此上橋本のタイムリーに、ランナー3塁からのエンドラン、1,3塁からの重盗と和歌山東にとってはまさに「やりたい放題」状態に。大量7点を挙げてついに高山をノックアウトした。

その裏、倉敷工も2アウトから粘りを見せて1点を返すが、最後は再びマウンドに戻ってきた麻田が後続を断って試合終了。延長11回に及んだ好ゲームを制し、甲子園初勝利をつかんだ。

まとめ

和歌山東にとっては、1,2回と先制のチャンスを逃して逆に先手を取られる嫌な流れだったが、試合を通して常に先手先手を打って試合の流れを渡さなかった。相手の主軸に自分の打撃を刺せなかった麻田の投球、試合の流れが変わる6回表にすかさず得点をたたき出した上位打線、終盤のピンチをことごとく継投でしのいだ米原監督のタクト、そして延長11回の一気呵成の攻撃と、攻める姿勢を失わない「魂の野球」で勝利を手繰り寄せた。

選手個々の能力で言えば、目立つ選手はいないものの、チーム力で近畿準優勝に輝き、選抜でも1勝を記録。野球の面白さを存分に見せてくれた和歌山東の快進撃から目が離せなくなりそうだ。

一方、倉敷工はエース高山が終盤までよく踏ん張ったが、自慢の中軸が麻田の動くボールをとらえきれなかったという点では「完敗」だったといえるかもしれない。スコアどうこうというよりも、自分たちの長所を押し出すことの多い高校野球でその長所を「出させてもらえなかった」時点でなかなか勝利をたぐりよせるのは難しかっただろう。

それでも延長11回裏に最後まであきらめずに攻めた姿勢は称賛されるべきであり、エースを中心とした堅守を武器に好ゲームを演じたことは、今後のチームにとって糧になるのは間違いないだろう。夏の岡山大会を勝ち抜いて再び戻ってきてほしいチームである。

94回センバツ 和歌山東vs倉敷工業 今大会初の延長戦 – YouTube

2022年選抜1回戦予想 和歌山東vs倉敷工 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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