大会7日目第1試合
聖光学院
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | × | 7 |
近江
聖光学院 佐山
近江 山田
2014年夏の再戦となった試合は、近江が序盤の集中打とエース山田の力投で試合をリード。聖光学院打線に終盤は付け入るスキを与えず、盤石の内容でベスト8進出を決めた。
試合
近江は山田、聖光学院は佐山が先発。ともにエース投手をマウンドに送った。
1回表、聖光学院はこの日も立ち上がりに制球が定まらない相手先発を巧みに攻める。1番赤堀が四球で歩くと、犠打と暴投などで1アウト1，3塁とチャンスを迎える。ここで、この日4番に昇格した安田がきっちり犠飛を打ち上げ、1点を先制。今日も選球眼を武器に得点を奪う。しかし、続く2アウト1，2塁のチャンスで6番高中にヒットが飛び出すも、近江のライト清谷の好返球で2塁ランナーはホームタッチアウトに。不安定な立ち上がりのエースをバックが盛り立てる。
一方、聖光学院の佐山は初回に3番中瀬のヒットなどで1アウト1，3塁のピンチを招くが、4番山田をインサイドで詰まらせて5-4-3の併殺に切って取る。しかし、こちらも初戦ほどコントロールは安定していない。
すると、2回裏、代替出場で初戦は調整不足気味だった近江打線が本来の姿を見せ始める。もともと昨秋は絶対的エース山田を欠く中で勝ち上がってきたチームであり、打力がなければここまで来れてはいないのだ。先頭の5番岡崎が四球を選ぶと、多賀監督は後続に強攻策を指示。1アウト後に7番川元がレフト前ヒットでつなぐと、8番大橋は死球で満塁とチャンスが広がる。
ここで打席には初回に好返球を見せた9番清谷。カウント1-2から佐山がカウントを整えにきたアウトコースのストレートをとらえると、打球は左中間を破るタイムリー2塁打となって2者生還。さらに、1番津田、2番横田と連続タイムリーで続き、3番中瀬の犠飛も合わせてこの回一挙5点のビッグイニングとなる。佐山の制球がやや甘かったこともあるが、近江の各打者のミート力の高さは素晴らしい。
逆転を許した聖光学院も直後の3回表に1番赤堀の2塁打を足掛かりに3番三好の犠飛で1点を返すが、この日は各打者の打席での勝負がどうも早い感じがする。1回戦であれだけ際どいコースを見極めて苦しめていたのに、この日は1，2球目から打って出てアウトになるケースが多く、山田の球数は5回までで51球しかなかった。
点差が大きかったことと、追い込まれると落ちるボールを振らされる心配があったからだとは思うが、山田は淡々と打たせて取る投球でリズムに乗る。聖光学院としてはランナーをためて仕掛ける展開に持ち込みたかったが、集中打が飛び出した初戦のような攻撃にはならなかった。
エースの投球が安定すると、近江打線は中盤以降、着実に追加点を重ねる。2回以降無失点ではあったが、こちらは各打者が再三ファウルで粘り、聖光のエース佐山に5回で100球近くの球数を投じさせていた。6回裏には7番川元のヒットなどで得た1アウト2，3塁のチャンスにこの日の立役者・清谷がまたしてもタイムリーを放って1点を追加。さらに8回裏には、同じくこの日4安打と大当たりの3番中瀬のタイムリーで差を5点に広げる。
聖光学院も6回には盗塁でチャンスを広げるなど、仕掛けようとする意図は感じられたが、経験豊富な近江のエースに序盤で5点を与えては厳しかったか。終盤は完全にゲームの情勢を見て打たせて取り始めた山田の前に反撃は及ばず。近江が会心の内容で、2003年以来19年ぶりとなるベスト8進出を決めた。
まとめ
近江は2回の5得点の猛攻が大きくものを言い、試合の流れを掌握。左打者が逆方向へのつなぐ意識を感じさせる連打を見せ、近江らしい攻撃で得点を重ねた。山田は課題の立ち上がりに苦しんだが、中盤以降リズムに乗ってからは全く危なげなし。昨夏に数々の強力打線と対戦した「経験」というエキスが彼に根付いている感じが伝わってきた。
代替出場ながら、ここにきて投打に仕上がりの良さを見せてきた近江が、一気に滋賀県勢初優勝の夢をつかみ取るのか。これから先も近江の戦いから目が離せない。
一方、聖光学院は初戦と同様に先制点を奪ったが、この日はエース佐山が勝負所で制球が甘くなり、早い段階で大量リードを許してしまった。初戦は相手の制球難に付け込んで大量点を奪ったが、リードされた状況で好投手を相手にひっくり返すだけの力はまだなかったか。それでも、連続出場が止まった昨夏からすぐに復活し、1勝を挙げたことは大きく、2年ぶりの夏出場へ向けて収穫を得た戦いとなった。
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