2023年選手権1回戦 土浦日大vs上田西(1日目第1試合)

2023年

大会1日目第1試合

土浦日大

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 1 1 0 0 0 0 0 0 6 8
0 0 0 2 0 0 0 0 0 1 3

上田西

 

土浦日大   藤本→伊藤→藤本

上田西    権田→服部→滝沢→瀬山

2023年選手権のオープニングゲームは、今夏からの大会規定によりいきなり延長10回からのタイブレークに突入。代打・飯田のタイムリーで勝ち越した土浦日大が大量6点の猛攻で勝負を決め、1986年以来実に37年ぶりの勝利を手にした。

試合

土浦日大は藤本、上田西は権田が先発。ともに県大会でエース格の投手がマウンドに上がった。

まだ開幕戦の緊張感が残る中、上田西の権田は先頭打者に四球を与えるも、続く打者の犠打を自らの好フィールディングでセカンド封殺。後続も打ち取って無失点で立ち上がる。対する藤本も先頭打者にヒットを許すが、上田西打線のキーマンである3番横山を抑え、初回は両者無失点でスタートを切る。

ところが、2回に入って試合は一発長打で動く。5番松田が初球のアウトコース高めの真っすぐをとらえると、打球はセンターバックスクリーンへ飛び込む先制ホームラン!まさに好球必打の鉄則通りの一打だった。これで勢いを得た土浦日大は、3回表にも1アウトから2番太刀川のヒットと盗塁、そして3番後藤のライトへの巧打でチャンスを広げる。ここで4番香取の打席に暴投が飛び出し、土浦日大が2点目を加える。権田の低めへのスプリットに対し、各打者がよく食らいついて上田西バッテリーにプレッシャーをかけた成果が出たように見えた。

土浦日大の先発左腕・藤本に対し、3回まではリズムよく投げられた上田西打線。しかし、打者一巡した4回に反撃を開始する。2番黒岩の四球と盗塁でチャンスを広げると、4番小林が左投手を攻略する理想的な右打ちでタイムリーを放ち、まず1点。さらに5番片平もヒットで続くと、6番木次はカウント1-1からの3球目で見事スクイズを成功させ、上田西が同点に追いつく。この回、藤本のボールがやや高めに浮くところを逃さなかった。

攻撃力でやや分がある土浦日大に対し、上田西はワンチャンスを生かした攻撃で試合を振り出しに戻した。先に流れをつかみたい上田西は6回から継投策に入って左腕・服部をマウンドに送る。権田も4,5回と3者凡退で立ち直ってきていただけに、これは思い切った継投に見えた。服部は代わりっぱな、いきなり死球でランナーを出すなど、1,2塁のピンチを招くが、土浦日大の犠打失敗にも助けられて無失点でしのぐ。目立ったボールはないが、1球1球少しずつタイミングを外すなど、工夫の光る左腕だ。流れの変わりやすい「6回」をうまく無失点で切り抜けた。

こうなると、後半疲れの見える藤本をとらえたい上田西打線だが、失点した4回以外は藤本も制球が安定し、落ち着いて打たせて取っていく。やや変則的なリズムでテークバックも短い投球フォームのため、上田西の各打者も勝負所で差し込まれる打球になった。後半、上田西も毎回ランナーを出し、積極的な走塁もみられたが、要所で踏ん張った藤本に軍配が上がった。

そして、試合後半に入って両チームとも足がつって交代するケースが目立つようになる。酷暑のなか、水分補給の時間を設けるなど、大会運営も工夫を施しているが、いかんせん、気温上昇がその上を行っているのが現状だ。

試合は同点のまま終盤戦へ。次に手を打ったのは土浦日大だった。8回裏、藤本が先頭打者にヒットを許すも、後続を打ち取って2アウトを取る。ここで小菅監督は思い切って右腕・伊藤をマウンドに送る。恩師の木内監督ばりの思い切った継投だったが、これに伊藤が三球三振で応え、上田西に傾きかけた流れを断ち切る。この三振がなにか土浦日大に非常に勢いを与えたように見えた。

タイブレークが目前に迫ってきた最終回、土浦日大は9番大井がセカンド後方へふらふらっと上がって落ちるラッキーな内野安打で出塁。犠打で2塁へ進めると、2番太刀川がうまい右打ちでライトへのヒットを放つ。大井は果敢にホームを狙ったが、上田西はライト木次が素晴らしいバックホームを見せて、大井の生還を阻止。地方大会無失策の上田西がさすがの守備で勝ちこしを許さなかった。

互いに2番手投手が踏ん張り、試合はタイブレークへ突入。そう、この夏幾多のドラマを地方大会で生んできた、あのタイブレークへ10回から入っていった。

先行の土浦日大としては2点以上は取って安心したいところ。これに対し、上田西は3番手で右腕・滝沢をマウンドへ送った。土浦日大は3番後藤が犠打を失敗し、1アウトとなるも、続く4番伊藤の打席で痛恨の暴投が飛び出す。伊藤が四球で歩いて満塁となると、ここで土浦日大は代打の飯田を送る。飯田は粘って粘って9球目のインハイ速球をたたくと、これがレフト前へのテキサスヒットとなって土浦日大に待望の勝ち越し点が入った。振り切る姿勢が呼び込んだ貴重な一打であった。

これが大量点への呼び水になる。土浦日大は7番塚原から2番太刀川までなんと5連打で6点を勝ち越し。いずれも2球目までの浅いカウントから打って出た積極打法であった。茨城大会決勝で霞ケ浦の好投手・木村を呑み込んだ集中打が甲子園でもその威力を発揮した。上田西にとってはランナーと野手の交錯による生還などもあり、土浦日大に傾いた流れを止めることができなかった。

リードを奪った土浦日大は10回から再びエース藤本がマウンドへ。暴投で1点を許したものの、最後は好打者の3番横山を打ち取ってゲームセット。流れを激しく双方を行き来した試合をものにし、土浦日大が久々の甲子園勝利を手にした。

まとめ

土浦日大は10回表に見事な連打が飛び出しての勝利。かさにかかった時の集中力の高さは見事で有り、このあたりは取手二や常総学院にも通じる、茨城県勢らしい、乗った時の攻撃の速さ、テンポのつかみ方のうまさが出た印象だった。藤本も終盤は苦しい場面が続いたが、要所を締める投球が光り、2番手の伊藤も速球主体に素晴らしいピッチングを見せた。

長らく甲子園勝利から遠ざかっていた土浦日大だが、これでその呪縛からも解放されたといえる。茨城県内の各学校に散った、小菅監督をはじめとする「木内チルドレン」が全国で結果を残し、茨城の新時代を築いていくか、これからの戦いに注目だ。

一方、上田西も敗れはしたものの、堅守や好走塁で「らしさ」は十分に発揮した印象だった。惜しむらくは終盤の勝負所で一本が出なかったことだが、そこは土浦日大投手陣をほめるべきだろう。両チーム無失策で、非常にしまった内容の好ゲームであり、試合後は上田西ナインに観衆から大きな拍手が送られた。また、近いうちに甲子園でその姿が見られる日が来るだろう。

【高校野球 甲子園】開幕戦から延長突入の大熱戦に! タイブレーク10回に大量6得点の猛攻で決着!【1回戦 土浦日大 vs 上田西 】2023.8.6 – YouTube

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