2023年選手権2回戦 専大松戸vs東海大甲府(7日目第2試合)

2023年

大会7日目第2試合

東海大甲府

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 3 1 0 0 5
0 0 1 3 0 0 3 0 × 7

専大松戸

 

東海大甲府   長崎→山本

専大松戸    渡辺→青野

関東の強豪同士のマッチアップとなった試合は、互いに取っては取られの打撃戦に。終盤に再び東海大甲府投手陣を捕まえた専大松戸が2年前に続き、初戦突破を果たした。

試合

専大松戸は、選抜で好投を見せた右腕・平野が不調な中、投手陣全体でカバーして甲子園に戻ってきた。そんな中、先発には左腕の渡辺を指名。総力戦の構えであった。一方、東海大甲府は「打」が看板のチーム。選抜優勝校の山梨学院がいる中、好投手・を打つべく磨き上げてきた攻撃力が爆発した。5試合で上げた得点は実に55点。多少の失点は覚悟で打っていくスタイルを貫いていた。

渡辺は序盤、スライダー・カーブを武器に高打率の打者の居並ぶ東海大甲府打線を封じ込んでいく。後ろに頼れる投手が多くいるためか、初回からしっかり腕を振って、フルスロットルで投球していく。一方、東海大甲府の右腕・長崎も縦のスライダーを武器に、低めを丹念につく投球。勝負強い専大松戸打線に対し、1,2回と無難な立ち上がりを見せる。

ともに打力には自信を持つ両チーム。ただ、打激戦を持ち味とする東海大甲府に対し、専大松戸としては荒れた展開は避けたいところだっただろう。そういう意味では、0-0での試合の入りは理想的だっただろう。そんな中、3回裏に先に先制点を手にしたのは専大松戸だった。

この回、千葉大会で打率5割以上を記録した9番宮尾がフルカウントから縦の変化球をうまく拾い、ライトへヒット。長崎にとっては実に嫌な打撃だ。続く1番大森には強攻策で、これも変化球をとらえてレフトへ痛打。さらに2番清水友の四球で満塁となると、3番中山の犠飛で宮尾が生還!センター窪田も好返球を見せたが、一瞬宮尾が速かった。

先制を許した東海大甲府。しかし、リードを許す展開は山梨大会でいくらでもあった。直後の4回表、3番兼松が綺麗なセンター返しで出塁。続く4番岡田は甘く入ったストレートをライト前に打ち返すと、打球は1,2塁間を破って、無死1,3塁とチャンスを広げる。ここで5番立石はたたきつける打撃で高いバウンドのセカンドゴロを放ち、3塁ランナーが生還。すぐに同点に追いつく。

追いつかれた専大松戸。打力の高い東海大甲府に対し、リードを保って試合を進めたい。4回裏、相手の乱れにつけこんでいく。

1アウトから6番太田がセカンドのエラーで出塁すると、7番上迫田は変化球を引き付けて綺麗にセンターへ返す。打者二巡目に入り、さすがに長崎の変化球に慣れてきた印象だ。犠打でランナーがそれぞれ進塁すると、9番宮尾が三振に倒れるものの、投球がワンバウンド。捕手・中俣が慌てて1塁へ送球するも、これが悪送球となってしまい、2者が生還して、専大松戸が勝ち越しに成功する。動揺したか、長崎は後続に連続四死球を与えて満塁となると、3番中山の打席で暴投。この回、3点を許す。

前半は、専大松戸のペースで進んだ試合。選抜8強のディフェンス型チームが、自分たちのリズムで試合を進めていた。しかし、後半に入ると、選抜王者のいる地区を勝ち上がった強豪が底力を見せ始める。

6回表、3巡目に入り、東海大甲府打線が目を覚ます。先頭の2番小日向がストレートをセンター返し。3番兼松は打ち取られるが、4番岡田はインサイド高めの変化球にうまく反応し、1,2塁間を破る。ここで5番立石はカウントを整えに来たストレートを見事な流し打ち!2塁ランナーがホームに生還し、1点を返す。ここで持丸監督は、渡辺から青野にスイッチ。右サイドのリリーバーをマウンドに送る。

ここまでは、専大松戸としても想定の範囲内だっただろう。しかし、甲府の勢いが止まらない。6番益岡のサードへの当たりが幸運な内野安打となり、満塁に。さらに7番中俣の叩きつけた打球が、これまた1塁方向への内野安打となり、オールセーフとなる!

1点差に迫ると、8番窪田のショートゴロは前進守備のショート中山を強襲。併殺にはならず、その間に3塁ランナーが生還し、ついに同点に追いつく。甲府の攻撃陣としては、青野が出てくることは想定していたのだろう。迷いのないスイングが続いた。

流れに乗った甲府は、7回表、1アウトから2番小日向がエラーで出塁。続く3番兼松の打球がピッチャー青野の足元を強襲し、かろうじて1塁アウトにするが、青野の足を直撃してしまう。この影響が4番あったか、4番岡田はインサイドにやや力なく入ったボールを逃さない。打球はライトへ痛烈に抜けるタイムリーとなり、ついに東海大甲府が一歩前へ出る。

逆転を許した専大松戸。しかし、こちらも千葉大会で拓大紅陵や習志野をサヨナラで下してきており、接戦には強い。ここまでなんとか踏ん張ってきた甲府・長崎だが、変化球が甘くなり始めていた。そこを専大松戸打線がとらえ始める。

7回裏、先頭の3番中山が四球で出塁。4番吉田はバスターの構えから低めの変化球をしっかりとらえ、レフトへの軽打でつなぐと、甲府バッテリーは投球の軸である縦スラが攻略され、苦しくなってくる。5番広川の打席で暴投が飛び出し、さらにピンチが広がると、広川の打球は痛烈な当たりでショートを強襲!先ほどの甲府の攻撃と同じような形になり、オールセーフで、専大松戸が追いつく。

甲府・村中監督としては、継投のタイミングを見定めようとはしていたと思うが、長崎は続投。1アウト後、7番上迫田のスクイズが内野安打となって、再び専大松戸がリードを奪う。さらに8番青野の四球で満塁となると、ついに甲府ベンチは長崎から左腕・山本にスイッチする。しかし、ここで代わり端、なんと9番宮尾もスクイズを敢行!このイニング2つ目のスクイズが決まり、専大松戸がリードを2点に広げる。

リードをもらった専大松戸・青野だが、足に打球を受けた影響か、本調子ではない。荒れたシーソーゲームは、最終回までもつれる。9回表、甲府は代打・高梨が内野安打で出塁すると、1アウト後に代走で出場していた2番堀内もサード強襲の内野安打で続く。ここで打席には期待の中軸の3番兼松、4番岡田

しかし、青野は低めを丁寧に突く投球で3番兼松をまずは痛烈なセカンドゴロに打ち取り、1アウト。最後はこの日3安打を許していた4番岡田を当たり損ねの投手ゴロに打ちとり、ゲームセット!シーソーゲームを制した専大松戸が、選抜に続いて初戦突破を果たした。

まとめ

専大松戸としては、チームの底力が試されるような試合だったが、投手層の厚さと打線の粘りで再逆転を果たした。特に、7回裏のつなぐ攻撃は見事の一言。2つのスクイズを成功させ、ベンチワークに選手がしっかり応えて見せた。相手の失策や四死球をきっちり得点に結びつける試合巧者ぶりは、さすが激戦区・千葉を勝ち抜いただけはある。

また、投げては先発・渡辺がしっかり試合を作り、リリーフの青野が打球を受けながらも、丁寧な投球で最後はリードを守り切った。エース平野への依存度が高かった選抜から、投打ともに大きく成長して戻ってきた専大松戸。チームとしての成長が現れた一戦となった。

また、東海大甲府も敗れはしたものの、中盤の逆転劇はさすがと思わせるものがあった。中軸を中心に、甘く入ったボールは逃さずとらえ、6回には4連打を含む5安打を集中。下位打線も強く叩きつける打撃で内野安打を連ね、専大松戸投手陣を慌てさせた。先発・長崎も終盤に捕まったものの、スライダーを武器に、試合を作る役割は十分に果たしたと言えるだろう。

ライバル山梨学院に県勢初優勝の夢を先に達成された東海大甲府だったが、投打でその力は十分に示伝わってきた。ベテラン村中監督の最後の夏に、伝統校の意地を見せるような戦いを示し、聖地を去った。

【ダイジェスト】夏の甲子園 東海大甲府 vs 専大松戸 – YouTube

コメント

タイトルとURLをコピーしました