2023年選手権2回戦 智辯学園vs徳島商(8日目第2試合)

2023年

大会8日目第2試合

智辯学園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 3 0 2 4 0 1 2 12
3 0 0 0 0 0 0 2 1 6

徳島商

 

智辯学園    青山→中山

徳島商     森煌

徳島商の剛腕・森煌と智辯学園の強力打線の対決が注目された試合は、智辯打線が打者二巡目で森煌の投球を攻略。18安打の猛攻で相手エースを呑み込み、3回戦進出を決めた。

試合

徳島商の先発はもちろん森煌。一方、智辯学園は県大会でも先発経験のない2年生右腕の青山を先発のマウンドに送った。智辯学園としては、リリーフに回したエース中山にリードを得た状態で繋ぎたいところ。しかし、初回からその思惑を徳島商打線が崩していく。

1回表、徳島商・森煌は注目の1番松本に内野安打を許したものの、ストレート主体の強気の投球で後続を打ち取る。1回戦ほどの勢いは感じられないものの、強打・智辯学園の中軸を球威で封じ込めるあたりは流石である。

その裏、智辯のマウンドには今大会初登板の青山。180㎝の長身から勢いのあるボールを投じるも、先頭打者の1番高木をセカンドゴロエラーで出塁させてしまう。続く2番横手に対し、森影監督はエンドランを指示。これが、センターへのヒットとなって、1,3塁にチャンス拡大。かつて小松島を幾度も甲子園に導いた熟練監督が、若い右腕を揺さぶる。ここで、3番森口がシュート回転した速球をうまくとらえ、犠飛で先制。先手を奪う。

さらに攻撃の手を緩めない徳島商は、4番吉川の打席で1塁ランナーの横手が盗塁を敢行すると、これが悪送球を誘って一気に3塁へ!吉川が四球でチャンスを広げると、5番下川・6番真鍋がいずれもストレートをきれいにセンターへはじき返し、連続タイムリーで2点を追加。コンパクトなスイングで結果を残し、早くも智辯のリリーフエース中山を引きずりだすことに成功する。

これで試合の行く末は、徳島商の森煌が智辯打線相手にこのリードを守り切れるかにかかってきたが、2回表も無失点に封じたものの、どこか初戦の愛工大名電戦よりはコントロールが甘いように感じた。その懸念が3回表、現実となる。

先頭の9番西川がカウントを取りに来た速球を引っ張ってレフトへのヒット。続く1番松本は浮いたカーブを逃さず、ライトへ引っ張り、チャンスを広げる。ここで2番山家の犠打は浮いた当たりになって、森煌が好捕するも、3塁手が飛び出してしまい、フォースアウトは取れず。無死満塁と智辯が大きなチャンスをつかむ。この徳島商守備陣の動揺を見透かしたように、3番中山は初球のスプリットを見事なセンター返し。4人連続の初球攻撃という流れるような攻めで1点差に迫る。

続く4番山崎はショートゴロに打ち取られるも、5番池下がインサイドの難しい速球をライトへ打ち上げ、犠飛で同点。剛腕・森煌を相手に、打者2巡目で早くも3点差を追いついて見せた。

追いついてもらった智辯学園の右腕・中山は、3回裏に2本のヒットを浴びるなど1アウト満塁とピンチを招くものの、1回戦の英明戦と同様に、内外を丁寧に突く投球でしのいでいく。体格に恵まれているわけではないが、相手打者に粘られても崩れない辛抱強さが際立つ。4回のピンチもしのぎ、自チームにリズムをもたらしていく。

一方、徳島商・森煌に対し、4回にも、得点にはつながらなかったものの2安打を放った智辯打線。剛速球に対し、振りまけている感じがなく、アウトになった打球も鋭さを伴う。すると、打者3巡目の5回表、いよいよ完全攻略にかかる。1アウトから4番山崎が左中間へのテキサス性の当たりで2塁打とすると、5番池下は四球でつなぐ。2アウト後、7番川原崎がアウトコースの速球を流し打った打球は、ライナーで左中間を破る見事な一撃。左打者の理想とも呼べる打撃で、勝ち越しの2点を奪った。

徳島商も5回裏、2人のランナーを出すが、ここも中山が後続を抑え込む。互いにランナーを出しながらも、智辯が少しずつ少しずつ堀を埋めるように流れを自分のものにしていく。

6回表、先頭の9番西川が死球で出塁すると、無安打の1回戦から完全に立ち直った1番松本が、この日3本目となる内野安打で繋ぐ。犠打で1アウト2,3塁とし、打席には先ほど2塁打を放っている3番中山、4番山崎。圧力を受けた森煌が連続四球を出し、押し出しで1点を追加。さらに、2アウト後に6番知花がアウトコース高めのカーブをとらえて、左中間を破り、走者一掃のタイムリー3塁打となって9-3。この一打でほぼ勝負あったか。速球のコントロールが突かない中で、カウントを取りに来た変化球を、強打の智辯打線は逃してくれなかった。

試合はそのまま終盤に進み、智辯は8回表にも知花がうまい打撃で変化球をとらえ、タイムリーとなって10-3。しかし、再三ランナーを出していた徳島商打線も、その裏、ようやく反撃が実る。1回かロングリリーフで、しかもピンチの連続だった中山にもさすがに疲れが見える。1アウトから四球と9番岸本のヒットでランナーをためると、1番高木の内野ゴロが併殺崩れで悪送球を誘ってまず1点。さらに、2番横手のセーフティバントも悪送球を誘い、もう1点を加えて、10-5と追い上げを見せる。続く3番森口もヒットで繋ぎ、2,3塁と一打2点の状況に。しかし、ここは中山が踏ん張り、5点差のまま、最終回に突入した。

最終回、1アウトから森煌が迎えるは、1番の松本。強打・智辯の象徴とも呼べるスラッガーは、この日すでに3安打を放っていた。完全復調した男が、真ん中高めの速球をとらえた打球はバックスクリーンに悠々飛び込むホームランとなって1点を追加。打たれた瞬間に森煌も覚悟したような、完ぺきな一撃だった。さらに2アウト後、3番中山から6番知花まで4連打で1点を追加。剛腕・森煌にたっぷり18安打を浴びせ、その打力を存分に見せつけた。

中山は、最終回にも暴投が絡んで1点を失うが、1回途中からのリリーフで136球の熱投。粘り強い徳島商打線に根負けすることなく投げぬき、12-6で智辯学園が3回戦進出を決めた。

まとめ

智辯学園は、初回の失点でゲームプランが崩れかけながらも、持ち前の強力打線で剛腕・森煌を打ち崩し、流れを取り戻した。森煌のボールがやや高かったとはいえ、そのボールを確実にとらえ、しかも長打にするあたり、相手投手にとっては実に怖い打線である。特に1番松本はホームランを含む4安打と爆発。打線の核となる選手が復活したのはチームとして非常に大きかった。また、リリーフしたエース中山も実に辛抱強い投球で、8回3分の2を3失点。小阪監督の期待に応える投球を見せた。伝統校を相手に、確かな実力を示した一戦だった。

一方、徳島商はエース森煌が、こちらもねばり強く投げたが、酷暑が影響したか、1回戦よりはコントロールが甘くなってしまった。勝負所で長打の飛び出す智辯学園打線が、そこを逃すはずもなく、2回戦で敗れる結果となった。しかし、持っているポテンシャルの高さは誰もが認めるところであり、上のステージでの活躍が楽しみな投手だ。また、打線もコンパクトなスイングで2桁安打を浴びせ、6点を奪取。徳島商らしい繋ぐ攻撃が終盤見られた。惜しむらくは、序盤・中盤であと一本が出なかったことだが、そこは相手投手を褒めるしかないだろう。

地元・近畿の強豪校を相手に最後までファイティングポーズを取り続け、伝統校の意地を見せた戦いであった。

【好投手対破壊力抜群の打線!!】智辯学園対徳島商業 – YouTube

コメント

タイトルとURLをコピーしました