大会11日目第4試合
神村学園
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 4 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 10 |
| 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
北海
神村学園 松永→黒木
北海 岡田→熊谷→橋本

ベスト8最後の椅子を争う、南北対決となった試合は、好調・神村学園打線が北海投手陣を序盤から攻略。12安打11四死球を奪って、大量10得点をたたき出し、豪快に準々決勝進出を決めた。
試合
神村学園は、エース右腕・松永が初戦以来となる先発。一方、北海は2回戦の浜松開誠館戦で先発して好投を見せた岡田がこの日もスターターに指名された。
1回表、速球に威力のある岡田は神村学園打線に立ち向かうが、シャープな振りから飛び出す鋭い打球が襲う。1アウトから2番増田のサードゴロを関が悪送球してしまい、ランナーが出塁。3番秋元が四球でつなぐと、2アウトから打線が繋がる。4番正林のセンターフライによるタッチアップで2アウト1,3塁とすると、5番岩下の打席でカウント1-1からエンドランを敢行!これが1,2塁間を破るタイムリーとなり、神村学園が早くも1点を先制する。
岡田にとってみれば、過去2戦の対戦相手より明らかな振りが鋭い。続く6番上川床には変化球を引っ張られて、再び1,2塁間を破られ2点目。1,3塁の状況を作られ続け、さらにピンチを背負うと、8番松尾龍はアウトコースのストレートを左中間へはじき返して、塁上のランナーを一掃!5,6,7番の3人がいずれもタイムリーを放ち、初回からその破壊力を見せつける。
ただ、北海打線も1,2回戦と高い攻撃力を見せてきたチーム。立ち上がり、神村のエース松永に対し、1番片岡が内野安打で出塁すると、犠打で2塁へ。ここで3番熊谷がインサイドを狙った速球が甘く入ったところを逃さず、ライトオーバーの2塁打を放つ。バットが内側から出ており、パワーがありながらも大振りはしない、怖い打者である。
北海・岡田は2回にも先頭打者に2塁打を浴びてピンチを招くが、後続をなんとか封じて無失点。すると、2回裏、今度は北海の下位打線が活躍を見せる。
1回戦はホームラン、2回戦は貴重な同点タイムリーと活躍を続け、この日ついにスタメン起用となった7番小保内が先頭でヒットを放ち、出塁。アウトコースやや甘めに入ったスライダーを逃さず、とらえた。犠打で2塁へ進むと、8番岡田がこれもアウトコースのスライダーを引っ張ってレフトへタイムリーを放つ。右スリークオーターから外角のスライダー中心の配球をする神村バッテリーに対し、明らかに北海打線が狙い打った印象の攻撃だった。
追いあげ体勢に入り、3回も岡田が無失点に抑えた北海。松永攻略の糸口をつかみかけていただけに、あとは投手陣が追加点を防げればというところだった。しかし、4回に入って3巡目に入った神村打線に再び捕まる。
4回表、先頭の1番今岡歩、2番増田と打ち取って2アウトになるが、ここから繋がっていくのが神村打線の特徴だ。3番秋元が3打席連続の四球をもぎ取ると、4番正林がたたきつけた打球はショートがバウンドを合わし切れず、二遊間を抜けていく。ランナーをためると、ここで鹿児島決勝でサヨナラ弾の5番岩下が逆球になった速球を逃さない。インサイドを突こうとしてシュート開始したところを、逆らわずにとらえると、打球はレフト線は弾む2点タイムリー!相手の失投を逃さない見事な打撃であった。
これで再び得点を4点差に広げると。続く6番上川床も流し打ちでのレフトへのタイムリー。今度は、4,5,6番の3連打で3点をたたき出した。この3人がいずれも2年生なのだから、また恐れ入る。
差を広げられた北海は、4回に先頭の6番小保内が四球を選ぶが、続く7番堀田は強攻策で併殺に。点差が空いたことでどうしても、攻撃の選択肢が狭められた感はあった。この直後に、岡田に代えた代打・金澤が2塁打を放っており、どうにも攻撃が繋がらない。
しかし、そんな状況でも頼れるのはやはりこの男だ。5回途中から岡田の後を引き継いで2番手で登板した熊谷が、神村打線の攻撃を無失点でしのぐと、裏の攻撃でその長打力を発揮する。
1アウトから2番谷川がインサイドのスライダーをうまく振りぬいて、ライトへのヒットで出塁。すると、熊谷はバットを二回り短く持ち、右方向への意識を持ちながら松永のアウトコースへのボールを待つ。すると、捕手・品川はその狙いをかわそうとインサイドに構えたのだが、これがど真ん中に入ってしまう。熊谷からしてみれば願ってもいないボール。思い切り叩いた打球は左中間スタンドに弾み、北海が4-7と3点差に迫って前半戦を折り返す。
すると、ここで神村の小田監督はついに松永をあきらめ、2番手で左腕・黒木をマウンドへ上げる。代わりばな、4番今北にいい当たりのライトフライは打たれるが、左腕から繰り出すスライダーを武器に後続の5番関も封じ、追加点は与えない。
この投手交代が、両者の流れを再び逆転させることとなる。6回表、神村学園はまたも2アウトランナーなしから猛攻を開始した。
ここまで2安打と当たっている5番岩下が四球を選ぶと、捕逸で2塁へ進む。ここで、この試合すでに猛打賞を記録している6番上川床がアウトコースの速球を叩きつけた打球は、サード横を破るレフト前にタイムリーに!決していい当たりではなく、3塁ゴロでもおかしくなかったが、当たっているときはこういうものだろう。
さらに、その上川床が盗塁で2塁を奪うと、7番松尾龍のライト前ヒットで、またも1,3塁とチャンスメーク。この試合、何回目の1,3塁かわからないほどの猛攻ぶりだ。ここで重盗をしかけると、北海野手陣もホームへ送球したが、間に合わずに上川床が生還。やることなすことすべてうまくいく感があり、再び得点差を5点に広げた。
この5点差を、2番手で登板した黒木ががっちり守る。6回は6番小保内、代打・長内、同じく代打の宮下と3者連続三振を奪取。キレのあるスライダーは、カウント球にも決め球にもなり、見送ってストライク、振れば空振りと、北海にしてみれば悪魔のようなボールだ。7回の先頭打者まで4者連続三振を取り、北海打線を完全に沈黙させる。
北海としては軸となる3番熊谷の前にランナーを出して回したかったが、8回の先頭打者になってしまう。その熊谷は、スライダーをうまくとらえるも、いい当たりのセンターフライ。5回途中から元気いっぱいで出てきた左腕の前に突破口を開くのは難しかった。
北海も2番手の熊谷が、7回、8回と神村学園の走塁ミスにも助けられ、なんとか無失点でしのいだが、9回に先頭から連続四球を出し、ついに降板。投打でチームを牽引してきたが、終盤にきてやはり疲労度も濃かっただろう。3番手の橋本から代打・入木田がタイムリーを放ち、決定的な10点目を上げた。
9回裏、黒木は代打で出てきた好打者・幌村には四球を与えたが、後続を打ち取って0封。結局、5回からのリリーフで強打の北海打線に1本のヒットも許すことなく投げぬいた。南北の強豪対決を制した神村学園は、夏は初めてとなる8強入りを果たし、また一つ新しい歴史を刻んだ試合になった。
まとめ
神村学園打線は、1回、4回、6回と2アウトランナーなしから計9得点をあげるという、粘り強い攻撃をみせた。特に5番岩下、6番上川床、7番松尾龍の3人は大当たり。このトリオで8安打8打点を挙げるという猛爆ぶりであり、この打順で再び上位打線が巡ってきたかのような錯覚を覚えさせられた。1試合通して、この3人はほとんど塁上にいたのではないか、そう思うほどの攻撃であった。
また、投げてが2番手で登板した黒木が好投。先発・松永はアウトコースへのスライダーを軸に試合は作っていたが、北海打線が途中からその傾向を見て攻略しかかっており、おそらくあのまま投げていればもう何点かは入っていただろう。その流れをスパッと止め、後半の神村ペースを導いたのは、間違いなく黒木の左腕であった。投打で高い実力を見せる南国の雄が、これまで2回戦どまりだった夏の舞台で大きな飛躍を遂げたゲームであった。
一方、北海も自慢の打線が序盤・中盤とその実力を発揮してきていたが、やはり黒木のあのスライダーは初見で、かつイニング数も少ない中、攻略するのは困難であった。3番熊谷のホームランなど見せ場は作ったのだが、2アウトからの神村打線の粘りの前に屈した印象だった。
ただ、1,2回戦と劣勢を跳ね返しての連続サヨナラ勝ちは見事であり、代打で出てきた選手も低めて投打でチーム力の高さを感じさせたのが、2023年の北海であった。準優勝以来なかなか勝利が遠かった北の名門校だが、復活を印象付けた夏となった。


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