2023年選抜準々決勝予想 山梨学院vs作新学院

2023年

2023年選抜準々決勝

山梨学院vs作新学院

52%   48%

〇3-1 東北  〇8-6    大分商

〇4-1   氷見  〇9-8    英明

〇7-1 光

ともに強力打線を擁する関東の強豪の対戦。互いをよく知る両チームだが、エース林の疲労を考慮しても、やはり投手力の差で山梨学院が有利だろう。

 

林は低めに伸びる速球を内外角低めに集め、3試合とも1失点しかしていない。目立ったスピードがあるわけではないが、ベース板でボールが伸びるため、打者は差し込まれてしまう。このタイプの投手は大崩れする心配は少なく、吉田監督も安心して試合を任せられるだろう。また、2回戦では2番手で中田も登板させており、場合によっては林を後ろに回すパターンも考えられる。昨秋活躍した左腕・星野もおり、1試合多いハンデも、山梨学院にはそう不利に働かなさそうだ。

対する作新学院打線は、1,2戦といずれも大量点を上げて打ち勝ってきた。高森、斎藤、武藤と強打を誇る右打者を中心に相手を打ち砕き、勝利をつかんでいる。特に相手の制球が乱れ始めたり、狙い球を絞れたイニングでの攻略が早いこと早いこと。好走塁も絡めて、あっという間にダイヤモンドを駆け巡っていく。小針監督が作り上げてきた強攻野球は今や作新の伝統だ。山梨学院の投手陣から多くのチャンスを作るのは難しいかもしれないが、一点突破で大量点に結びつける破壊力が彼らにはある。

 

一方、作新学院の投手陣はここまでを見ると、不安をぬぐえないのが正直なところ。野手兼任のリリーフエース磯が速球とカーブを武器に、奮闘しているが、やはり長いイニングになると、後半は相手に完全に見極められている印象だ。2試合連続で先発のマウンドを務めている左腕・川又を準々決勝ではできるだけ長いイニングを投げさせた方が良いのでは?と感じている。速球に威力のある市川、昨秋エース格だった小川、3回戦でストッパーを含めた福冨と数は揃っており、総力を結集してなんとか5点付近にとどめたい。

対する山梨学院打線は、3回戦で高橋に当たりが出たことで、全員がほぼ調子と取り戻したと言っていいだろう。進藤、高橋、佐仲、岳原と、昨年からの経験を武器にする実力者が並ぶラインアップは壮観であり、甘いボールは確実に長打にする。ここに3回戦で見せたスクイズに代表されるように機動力も絡め始めており、これまで勝ちきれなかった過去の脆さはもう微塵も感じさせない打線だ。速球主体でも変化球主体でも打者二巡目には特徴をつかんで攻略するしたたかさも兼ね備えており、いよいよ吉田監督のかかげる攻撃野球が日の目を浴びる時が近づいてきたと言えそうだ。

 

作新が勝つとしたら打ち勝つ展開、それ以外の展開なら山梨学院のペースとなりそうだ。互いに機動力に長けているだけに、序盤から激しい仕掛け合いが予想される。投手力に不安のある作新としてはできれば、先行して逃げ切る展開に持ち込みたい。

主なOB

山梨学院…玉山健太(広島)、大島崇行(広島)、松本哲也(巨人)、明石健志(ソフトバンク)、垣越建伸(中日)

作新学院…江川卓(巨人)、岡田幸文(ロッテ)、石井一成(日本ハム)、今井達也(西武)、入江大生(DeNA)

 

山梨   栃木

春   1勝    0勝

夏   1勝    0勝

計   2勝      0勝

春夏いずれも山梨勢が1勝ずつを挙げている。

1991年春はミラクル市川がエース樋渡の好投と勝負強い打撃で快進撃。2回戦は名将・上野監督率いる宇都宮学園に9回まで2点のビハインドを背負うが、最終回に市川打線が猛反撃を見せる。

先頭の4番樋渡がヒットを放つと、死球と犠打で1アウト2,3塁。一打同点の場面で打席にはこの大会のラッキーボーイとなる7番古屋が入る。宇都宮学園・戸山の高めの速球をとらえた打球はライトの伸ばしたグラブの先を抜け、2者が生還。土壇場で同点に追いつくと、最後は9番今村の犠飛でサヨナラ勝ちを収め、劇的な勝利を挙げた。その後、準々決勝では桐生第一との延長戦も逆転サヨナラ勝ちで制し、初出場で4強入りを達成。「ICHIKAWA」の名が一躍全国に広まった。

市川が宇都宮学園に逆転サヨナラ勝ち 1991年高校野球 – YouTube

市川vs桐生第一 1991年選抜 | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2012年夏は作新学院と東海大甲府の強力打線対決が実現。東海大甲府のエース神原が粘りの投球で作新学院打線を4点に抑え、8年ぶりの4強進出を決めた。

思い出名勝負

2012年夏準々決勝

作新学院

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 2 0 0 2 0 0 4
1 1 0 0 2 1 1 2 × 8

東海大甲府

 

作新学院   筒井→水沼→大谷

東海大甲府  神原

2012年夏、大会が進むにつれて、大阪桐蔭と光星学院の2強の様相を呈してきたが、そんな中、準々決勝第3試合で大物食いを狙う関東の強豪がぶつかった。

東海大甲府はエース神原、速球派右腕・本多の2枚看板を強力打線が支え、8年ぶりに全国の舞台へ戻ってきた。打線は、1番渡辺(阪神)・3番山本の好調な2年生コンビが出塁し、石井・秋谷・相原の好調な右打者トリオが返す。各打者が低く強い打球を放ち、相手投手にじわじわと圧力をかけていく。また、守備でも渡辺-新海の二遊間コンビを中心に堅い守りでエース神原を援護。投攻守にバランスの取れた強さを見せた。

大会では成立学園・谷岡(巨人)、龍谷大平安・田村と好投手を攻略。神原は力のある速球とシンカーを武器に、左打者も苦にしない投球で相手にリズムを与えなかった。3回戦では宇部鴻城と接戦になったが、終盤に1,3塁からエンドランをかけるという、驚きの機動力を発揮し、勝ち越しに成功。東海大甲府のアグレッシブベースボールの流れを組む系列校がしたたかに8強に勝ち進んできた。

一方、作新学院は3季連続で甲子園に出場。前年夏に大谷-山下の下級生バッテリーを強力打線が援護し、一気に4強まで勝ち上がって名門復活を遂げた。その後、秋季関東大会で準優勝し、選抜では鳴門に逆転サヨナラ負けを喫したものの、強力バッテリーを中心に力強い戦ぶりを見せていた。

ところが、夏に向けての戦いの中、エース大谷が不調に陥り、1年生から捕手だった山下も打撃を買ってファーストへコンバートとなった。苦悩の末、小針監督は、技巧派左腕・筒井とシュートが武器の右腕・水沼の2投手でつなぎ、捕手に抜擢した高山が支えるという新しいスタイルに転換。甲子園では、佐久長聖・立正大湘南と強打で打ち崩すと、3回戦では仙台育英との強打対決も3-2と接戦でものにした。3番篠原、4番高山の強打はとどまるところをしらず、投げては水沼が右打者のインサイドを強気に攻める投球で試合を締めくくった。

 

強打を誇る両チーム。どちらがさきに攻撃のリズムを作るかが注目された。

初回、神原が作新学院の攻撃を無失点でしのぐと、1回裏、東海大甲府打線が作新学院の左腕・筒井をとらえる。変化球主体に打たせて取る投球が持ち味で、先発としてイニングを稼いできたが、東海大甲府打線はそれを許さない。2番齋藤、3番山本といずれも変化球をとらえ、連続長打で1点を先制する。

2回裏には、下位打線ながら中軸を打つ力のある6番相原が2塁打で出ると、送ってランナー3塁から8番神原の内野ゴロで2点目。ここまで先発として仕事を果たしてきた筒井が2回でマウンドを降りた。

しかし、強打の作新も後にひくことはない。4回表、3番篠原・4番高山の最強コンビが連打で出塁。神原の球威にもこの2人は力負けしない。ここで5番山下は犠打で1アウト2,3塁とすると、6番吉田が巧みな流し打ちで3塁線を破り、同点に追いつく。

ただ、これまではこういった場面で強打の多かった作新学院がこの日は犠打を選択したことに若干の違和感はあった。序盤からエンドランを多用する東海大甲府とは対照的。少し「らしさ」がないように思えた高校野球ファンも多かっただろう。5回表にはチャンスで3塁ランナーがオーバーランし、刺されて得点を挙げられない。

これが試合の流れに影響したのかはわからないが、5回裏に作新の守備が乱れる。2番齋藤、4番石井と2番手・水沼からヒットを放つ。ここで5番秋谷の打ち上げた打球はセカンドが取り切れずに、満塁となると、6番相原のサードゴロをサードがはじく間に、斎藤が勝ち越しのホームイン。さらに7番田中もタイムリーで続き、この回2点を勝ち越す。

これまで効果絶大だった水沼のシュートだったが、この日はロングリリーフとなる中で、徐々に見極められ始める。6回にも1点どまりとはいえ、4安打を浴びせ、水沼をこの回でマウンドから降ろす。

しかし、2年連続の4強をあきらめない作新は7回表、またも中軸が意地を見せる。9番水沼、2番鶴田のヒットでチャンスをつかむと、3番篠原・4番高山がいずれもストレートを完ぺきにとらえてタイムリー。これまで神原のボールにここまで対応できる打線はなく、作新打線のレベルの高さを見せつける。

1点差に迫り、ここで作新はついにエース大谷をマウンドに送る。エースの復活で逆転という流れを小針監督も期待したが、しかし、東海大甲府打線を止めるほどには、状態が戻っていなかった。7回裏にバント処理ミスが出て、またも守備の乱れから追加点を許すと、8回には4番石井にホームランが飛びだして万事休す。昨年から続く作新の快進撃の象徴だったエースが打たれ、試合へ決した。

神原は13安打を浴びる苦しい投球だったが、要所を締めて4失点完投。東海大甲府が前回出場に並ぶ4強進出を決めた。

 

東海大甲府は3回戦まで10得点を挙げるも、すべて各イニング1点とまりともう一つ攻撃がつながりを欠いた(調べてないが、これは甲子園史上初めてかも)。しかし、この日はなお積極的なエンドラン攻撃をかけてついに複数等く点を記録。18安打で8点はまだ効率が悪く思えたが、それでも強打で作新学院に堂々打ち勝って見せた。準決勝は光星学院の田村(ロッテ)・北條(阪神)のホームラン攻勢に散ったが、東海大甲府らしさを存分に見せた夏となった。

一方、作新学院は選抜までとバッテリーを総入れ替えしながら、強打をバックに底力で8強まで勝ち上がったが、最後は力尽きた印象だった。個人的には、大谷-山下のバッテリーで順調に進んでいれば、打倒・大阪桐蔭、打倒・光星学院の有力候補になりうると思っていただけに惜しまれる結果であった。

しかし、エースの窮地を救った筒井、水沼の力投は讃えられるべきであり、打線も17打数13安打の3番篠原を中心に驚異的な力を見せた。これも個人的感想だが、作新学院の技巧派左腕系列(2013年、2018年など)はこの筒井から始まったような気がする。2年連続の上位進出で作新復活の流れを確固たるものにした2012年の戦いであった。

作新学院vs東海大甲府 ダイジェスト(第94回選手権・準々決勝) – YouTube

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