2024年選手権準々決勝
滋賀学園vs青森山田
48% 52%
〇10-6 有田工 〇9-1 長野日大
〇5-0 花巻東 〇5-0 石橋
〇6-2 霞ケ浦
春夏連続で8強入りした青森山田と開幕戦を制して勢いに乗る滋賀学園の対戦。投手力の差で青森山田が優位か。
青森山田はエース関がこの夏は好調を維持。140キロ台後半の重い速球を長身から投げ下ろし、縦に割れる変化球で空振りも取れる。本調子ならば取られても3点前後だろ。3回戦ではその関を温存することに成功しており、日程面でも有利だ。あわよくば、選抜で2枚看板だった右腕・桜田が復調してくれれば、さらに戦いやすくなる。2試合を戦って無失策とバックも内外野ともに堅守で投手陣を盛り立てる。
対する滋賀学園打線は3試合連続で2桁安打と好調を維持。これまで左の技巧派との対戦が多かったが、センターから逆方向に打ち返す意識が徹底されており、上位から下位まで切れ目なくつながる。3回戦で4番岡田が4安打と大当たりだったのも心強い。ただ、関を相手にそう多くの得点は望めないため、縦の変化球を見極め、いかに甘く入った速球をとらえられるかが重要となる。機動力も駆使し、揺さぶりをかけたい。
一方、滋賀学園はエース脇本が甲子園に来て成長を見せており、2回戦では花巻東を完封。140キロ台の速球に加え、変化球の制球力がどんどん増している印象だ。ただ、青森山田と比較して1試合多く、疲労度に関してはやや不利か。また、中盤以降に時折乱れる場面があり、そこを青森山田打線につかれると一気の大量点もあり得るので、うまく修正していきたい。1回戦で好救援を見せた高橋俠の出番もあるかもしれない。
対する青森山田打線は2試合で14得点とこちらもよく当たっている。特に4番原田は3回戦でバックスクリーンにホームランを放っており、青森県大会から好調を維持している。下位の6番橋場、7番蛯名が当たっているのも心強い。打線全体で対応能力が高い印象もあり、試合の中で相手投手攻略の糸口を見出してくる。懸念点があるとすれば、木製バットの使い手の5番吉川にまだヒットがでていないことくらいか。彼に当たりが出始めると、いよいよ止めるところがなくなりそうな打線である。
総合力ではやはり青森山田が上回るだろう。滋賀学園としてはこれまでと同様に打線が先取点を奪って、投手陣が投げやすい状況を作りたい。
主なOB
青森山田…京田陽太(DeNA)、三森大貴(ソフトバンク)、山崎晃大郎(ヤクルト)、吉田一将(オリックス)、木浪聖也(阪神)
滋賀学園…鈴木蓮(DeNA)、宮城滝太(DeNA)
青森 滋賀
春 1勝 0勝
夏 1勝 2勝
計 2勝 2勝
対戦成績は春は青森勢が、夏は滋賀勢がリードしている。
選抜では2012年に光星学院と近江が2回戦で対戦した。前年夏の準優勝時から主力だった田村(ロッテ)、北條(阪神)を中心に強打を誇る光星学院が、近江のエース村田を攻略。右腕2枚看板の一人の金沢も好投し、13-1で危なげなく準々決勝へ進出した。
その後、光星学院は決勝で大坂桐蔭に敗れるも、準優勝を達成。同年夏も決勝まで勝ち進み、3季連続準優勝という金字塔を打ち立てた。
一方、1985年の準々決勝では東北と甲西が対戦。エース佐々木(横浜-マリナーズ)を擁し、3季連続出場で悲願の全国制覇を狙っていた東北に対し、甲西は創部わずか3年目のミラクル快進撃で勝ち上がってきていた。東北有利の下馬評をかわし、試合は一進一退の攻防に。東北のもう一人の右腕・葛西(阪神)を攻略した甲西打線が、最後は佐々木も打ち崩し、9回逆転サヨナラでベスト4進出を決めた。
この大会はKKコンビ擁するPL学園が圧倒的な強さで優勝したが、甲西の快進撃は高校野球ファンの関心を引き付け、ある意味大会の主役と言ってもいい存在感を放った。
思い出名勝負
2001年夏準々決勝
近江
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 1 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 8 |
2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 6 |
光星学院
近江 竹内→島脇
光星学院 松崎→御船
2001年の選手権の準々決勝第2試合は、春夏通じて初のベスト8入りを果たした近江と昨夏ベスト4入りし、今年で青森勢3年連続の8強入りを達成した光星学院の顔合わせとなった。甲子園も21世紀に突入し、新時代を予感させる顔ぶれとなった。
近江は春夏7回目の出場で初の8強入り。先発・竹内(西武)、中継ぎ・島脇(オリックス)、抑え・清水の3投手による「3本の矢」で相手打線を抑え込む投手力が売り。失点が計算できる中で打線は確実に加点して勝つパターンが生まれた。
初戦は盛岡大付の投手陣を中盤に攻略して4-1と夏7年ぶりの白星を挙げた。3回戦では塚原星雲の先発・長谷川を攻略し、四死球も絡めてビッグイニングを築き、11-1と大勝で夏初めての2勝目を手にした。
一方の光星学院は昨年青森勢として31年ぶりの4強入り。前年は打撃が売りのチームだったが、今年はエース左腕・松崎(楽天)を中心に守りがいい印象。主戦投手が故障する中で、松崎が粘り強い投球でマウンドを守った。
初戦は昨年の智辯和歌山に続いて、初戦で和歌山勢の初芝橋本と対戦。初回から1番主将の池田が相手2年生左腕・若松から長打を放つなど打線が大量援護し、9-2で快勝。3回戦では春夏連続出場の佐賀・神崎と対戦。神崎の左腕・納富に苦しんだが、終盤リリーフした左腕黒田から主将・池田が会心の逆転2ラン。2年連続の8強を決めた。
ともにディフェンスの安定したチーム同士の対戦。経験値で光星学院に少し分がありそうだったが、チーム力に大きな差はなかった。
試合は序盤から両チームが攻め合う展開。初回四球で出た1番池田を3番樋口がこの大会5本目となるヒットで返す。さらに5番大谷も3塁打で2点目。いきなり近江の先発・竹内のボールをとらえる。
だが、近江も打線好調ですぐに反撃。2回に3塁打の橋本を9番戸田のタイムリーで返すと、3回には失策がらみで同点に追いつく。だが、光星学院はその裏当たっている1番池田の2塁打から3番樋口の犠飛で同点。前半常にペースを握っていたのは光星学院だった。
しかし、5回に試合が動く。3番・岡の四球などから築いたチャンスに、好調な6番・橋本がタイムリーを放って同点に追いつくと、さらにランナー1,2塁からなんとダブルスチール。動揺した松崎から7番小森が粘ってセンター前に勝ち越しタイムリー。初めて近江がリードを奪う。
だが、光星学院も譲らない。樋口がこの試合3打点目となるタイムリーを放ち、すぐに1点差にせまる。
その後は近江・島脇、光星学院・御船の両投手が好投、特に島脇は大きく縦に割れるカーブを武器に光星学院打線を6,7回と沈黙させる。
すると、8回表近江はまたしても足で突破口を開く。四球で出た9番戸田を1番木村のエンドランで進めると、ここで2番笹嶋、3番岡、4番松村が3者連続のタイムリー。一気に光星学院を引き離す。
この日は取っては取られての展開。その裏、4番松崎・5番大谷の連打をきっかけに2点を返したが、反撃もここまで。9回は1番池田を打ち取り、島脇が見事試合を締めくくって近江が初の4強入りを果たした。
近江はその後、準決勝では守備のいい松山商のスキをついて後半に逆転勝ち。3人の投手リレーを活かして決勝に進み、決勝では敗れたとはいえ強打の日大三を単打のみの10安打に抑えて好勝負を演じた。
一方、光星学院も自分たちの持ち味を発揮して8強入り。この2年後にもベスト8まで進み、この時期を境に青森勢は一気に強豪県へとのし上がった。悲願の白河の関越えを果たせるか注目が集まる。
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