2024年選手権2回戦 京都国際vs新潟産大付(8日目第3試合)

2024年

大会8日目第3試合

新潟産大付

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
0 0 0 0 0 0 1 3 × 4

京都国際

 

新潟産大付  宮田→田中

京都国際   西村

両先発投手の好投で息詰まる投手戦となった第3試合は、京都国際打線が終盤に新潟産大付の2番手・田中を攻略。2年生左腕・西村の好投もあり、投打ががっちりかみ合って3回戦進出を決めた。

試合

新潟産大付は初戦同様に、右腕・宮田が先発。一方、京都国際はW左腕エースの一角である2年生・西村をマウンドに送った。

京都国際のマウンドには今大会初先発の左腕・西村。京都府大会でイニング数を上回る奪三振を奪った実力派左腕だ。1回表、初戦で花咲徳栄の速球派右腕・上原を攻略した新潟産大付属の上位打線に対し、伸びのあるストレートを主体に攻め、先頭の1番戸嶋にカウント0-3になりながら打ち取る。やや制球がばらつき、2四球はあたえるが、決めるところでは力強いボールを投げ込み、無失点で切り抜ける。

対する新潟産大付属の右腕・宮田は初戦に続いての登板。初戦で1回に4得点を挙げた京都国際打線に対し、変化球とストレートのコンビネーションを活かした投球で打たせて取っていく。特に変化球の制球力が優れており、カウント球にも勝負球にも使えるため、ストライク先行の投球ができる。初回は上位打線を3者凡退に切って取る。

2回に入り、京都国際・西村は制球が徐々に安定し始める。ストレートがコーナーに決まり、スライダー・チェンジアップは低めに落とす。バックの堅い守備にも支えられ、リズムよく投げていく。この守りで作った流れに乗って、京都国際は2回裏、3回裏といずれも1,3塁のチャンスを作る。しぶとくミートしていく京都国際打線が、宮田の変化球に狙いを絞った打撃を見せる。しかし、いずれもバックの堅守で得点は与えず。3回裏には二遊間の見事な連携で併殺を奪い、ピンチを脱した。

その後も、両チーム得点は入らずに進むが、西村が立ち直って調子を取り戻してきた京都国際に対し、新潟産大付・宮田は徐々に京都国際打線につかまり始める。5回裏、2アウトから1番金本に死球を与えると、2番三谷・3番沢田が連打。コンパクトなスイングで決して振り回してこない京都国際打線にコツコツとつながれていく。2アウトながら満塁となったところで、ついに吉野監督が決断。2番手の田中にスイッチした。

田中は京都国際で最も信頼を置かれている4番藤本に対し、右サイドから落ち着いた投球を展開。インハイ寄りに少しシュート回転したボールをうまく打たせ、レフトフライに打ち取る。狙ったコースではなかったが、向かっていく気持ちが出たからこそのボールであった。

うまく相手に行きかけた流れを引き戻した新潟産大付だが、自慢の打線が京都国際・西村をとらえられない。特に試合中盤からコントロールの付き始めたチェンジアップの前に苦戦。6回には四球で出たランナーを盗塁させる、同校らしい積極的な攻撃を見せたが、京都国際の捕手・奥井の好送球でタッチアウト。相手ディフェンス陣の牙城を崩すことができない。

すると、7回裏、ついに京都国際打線が先制点を奪う。アウトコース主体の田中に対し、8番清水がうまい右打ちでライト前に落とす。犠打で二進後、1番金本はセンターフライに倒れるが、2番三谷がセカンドへのぼてぼての当たりを俊足で内野安打にし、1,3塁とチャンスを広げる。ここで打席には3番沢田。右方向への意識を持って打席に立つと、カウント1-3から取りにきたアウトコースのストレートを素直にはじき返し、打球はライト線に落ちるタイムリーに!均衡した試合における貴重な先制打だった。

直後の8回表、新潟産大付は1番戸嶋がこの日2本目となるヒットを放ち、犠打で二塁へ。期待の3番高橋に託す。さすがに西村も力が入ったか、カウント1-3とボール先行になるが、ここで伝家の宝刀・チェンジアップを高橋がとらえた打球はレフトへのフライに。高橋も狙いは当たっていたが、それでもヒットにはできないほどの難しい球種であった。

なんとか1点差で踏みとどまりたい新潟産大付。しかし、1アウトから四球のランナーを出すと、続く7番長谷川の犠打がエラーになってしまい、1アウト2,3塁とピンチが広がる。ここで8番清水は初球を3塁線に絶妙なセーフティスクイズとし、1点を追加。さらに9番西村、1番金本と甘く入ったボールを連続でタイムリー2塁打とし、一気に点差を広げた。このあたりは少し緊張の糸も切れてしまったか、打たれ強い投球が持ち味の田中だったが、少しコースが甘くなったボールをとらえられてしまった。

点差は4点となり、最終回へ。しかし、新潟産大付打線がここから驚異的な粘りを見せる。1アウトから5番川口がサードゴロエラーで出塁。続く6番中村はストレートを逆らわずにレフトへ打ち返し、見事な流し打ちでチャンスをつなぐ。7番千野はセンターフライに倒れるも、8番堀田は振り逃げで出塁。2アウトながら満塁と、一発出れば同点の場面を作る。

ここで打席には代打・鈴木。カウント2-2となり、打者の脳裏にはチェンジアップもよぎる場面となる。しかし、最後にバッテリーが選んだのは渾身のインハイ速球。鈴木のバットが空を切り、試合時間わずか1時間45分のスピーディーな試合を制して、京都国際が甲子園2勝目を手にした。

まとめ

京都国際は守り合い、しのぎ合いを制し、3回戦進出。1失策はあったものの、バックが堅い守備で2年生左腕・西村を盛り立て、主導権を渡さなかった。その西村は立ち上がりは緊張で制球を乱す場面もあったが、中盤以降はチェンジアップを活かした緩急で強打の新潟産大付打線を翻弄した。打線もコンパクトに逆方向へ打ち返す打撃で相手の技巧派右腕を攻略。投打に強さを見せつけ、4強入りした2021年以来のベスト16進出を果たした。

一方、新潟産大付は終盤までよく守ってしのいでいたが、終盤に力尽きた。もったいなかったのは、8回裏の守備の乱れだったが、それまでは本当に右腕2人を中心に一歩も譲らない投手戦を展開した。打線も完封負けこそ喫したが、最終回は満塁まで詰め寄り、一打同点の場面を演出。敗れはしたものの、できることはほぼやり尽くした試合だっただろう。初戦でV経験校の花咲徳栄を撃破し、2回戦も好ゲームを展開と、初出場で大きな収穫を得た大会になった。

京都国際―新潟産大付 8回裏【第106回全国高校野球選手権大会】 (youtube.com)

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