大会6日目第3試合
鳥取城北
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 1 | 1 | 0 | × | 7 |
明徳義塾
鳥取城北 田中→鈴木
明徳義塾 池崎
2020年の交流試合以来となった両校の対戦は、明徳がエース池崎を中心とした堅守をベースに試合を支配。小刻みな得点でリードを広げ、7-0と快勝で3回戦進出を決めた。
試合
明徳義塾は2年生ながらチームの絶対的エースの左腕・池崎が先発。一方、鳥取城北は複数の投手の中から右腕・田中を指名した。この2チームは練習試合でも対戦しており、ある程度手の内のわかったもの同士の対戦である。
立ち上がり、池崎はバランスのいいフォームから繰り出すキレのある真っすぐとカーブでストライク先行の投球を見せる。鳥取城北打線も四死球で崩れるタイプではないことをわかっているため、積極的にスイングをかけていくが、コーナーに決まるボールを打たされ、初回は3者凡退に終わる。
これに対し、鳥取城北の右腕・田中はサイド気味の腕の振りから勢いのあるボールを投じていく。やや荒れ球であり、これがどう生きるかというところだったが、明徳は1アウトから2番山畑がアウトコース低めのストレートを右に狙う。これがライト線に落ちる当たりとなり、飛び込んだライトが届かずにボールは転々。山畑は一気に3塁を陥れる。続く3番藤森がきっちりとレフトに打ち上げ、明徳がまずは1点をリードする。
ただ、鳥取城北も鳥取大会決勝で3点差をひっくり返してきたチーム。粘り強さが持ち味だ。2回表、先頭の4番石黒が初球をとらえてセンターへのクリーンヒットで出塁。犠打は失敗するが、盗塁で二塁へ進塁させる。しかし、後続に期待がかかるも、池崎の変化球をとらえきれず、得点を挙げるには至らない。
すると、2回裏、明徳は先頭の5番長谷川が死球で出塁。犠打で二進すると、7番平尾がアウトコースのスライダーをしっかり呼び込んでとらえ、左中間への2塁打で2点目を奪う。この打球は、センターへの意識があってこそのものである。
2点のリードをもらった明徳・池崎は3回以降も非常にテンポのいい投球で鳥取城北打線を打ち取っていく。130キロ台でもキレのある真っすぐを速く見せる投球術が出来ており、ストレートには差し込まれて、変化球は打たされる。2年生の池崎と1年生の里山の若いバッテリーが、鳥取城北打線を自分たちの「球速帯」に誘い込み、打たせていくという大人の投球で序盤5回を無失点にしのぐ。5回を終わって47球という球数の少なさがその翻弄具合を物語っていた。
速いテンポで進む試合。試合前のリミットは3点までと思っていた鳥取城北サイドだったが、5回裏に明徳打線に捕まる。
この回、先頭の7番里山がアウトコース低めのスライダーをうまくすくい、レフト線へのヒットで出塁。明徳打線はサイド右腕の打ち方が非常にうまい。犠打と四球でランナーをためると、2アウト後、3番藤森、5番長谷川がタイムリーを放って3点を追加する。各打者が振り回さずにバットを一握り短く持ち、センター中心の意識で打ち返す。馬淵監督の指導が徹底されている証拠だろう。ここで鳥取城北は2番手の鈴木にスイッチする。
5点リードで試合は後半戦へ。6回表、鳥取城北打線も狙い球をしぼり、セーフティなど揺さぶる工夫をみせるが、いかんせん明徳守備陣が実に堅い。微妙な当たりも鍛えられた守りで次々アウトにし、テンポよくアウトを積み重ねていく。攻撃しているのは鳥取城北なのだが、どこか守っている明徳が圧力をかけているような、そんな堅牢な守りである。
明徳打線は、2番手の鈴木もとらえ、6回裏には3番藤森、7回裏には8番里山がタイムリー。点差を突けたことで、様々なバリエーションの攻撃も混ぜはじめ、鳥取城北にプレッシャーをかけていった。このあたりはさすが名将・馬淵監督である。
点差は7点に広がり、試合は8回表、鳥取城北が代打・北中のピッチャー強襲のヒットと7番東野の初球打ちのライト前ヒットでチャンスを作る。終盤にきて池崎攻略のヒントとなる打撃を右打者2人が見せる。しかし、点差が7点あるため、城北打線としては打って繋ぐしかない。8番鈴木は7球粘ったが、サードへの併殺打となって、この日3つ目のダブルプレーに。選択肢が少ない状況のなかではやむを得なかったか。後続も三振に打ち取られ、この回も無得点に終わる。
池崎は結局、9回を投げ切ってわずか95球でマダックス(100球以内のでの完封勝利)を達成。与えた四死球はわずか1という安定感抜群の投球で鳥取城北打線を封じ込み、明徳義塾に3年ぶりとなる夏の甲子園の勝利をもたらした。
まとめ
明徳義塾は鍛え上げられた堅守をベースに2年生エース池崎が完封勝利を達成。7-0と点差は空いたが、守りの勝利と言えるだろう。その池崎は安定したコントロールを武器に打たせて取っていき、2年生とは思えない冷静なマウンドさばきが光った。今後、体が出来てくれば、さらに難攻不落の存在になりそうだ。
また、打線はサイド右腕を攻略するお手本のような打撃を見せ、このあたりも打線全体で意思統一がしっかりなされていることを感じさせた。2年ぶりに帰ってきた甲子園で、明徳野球を存分に見せつけた試合であった。
一方、鳥取城北は粘りが持ち味のチームだったが、この日はうまく打たされる格好になってしまったか。あわよくば先制したかったところだが、じりじりと話される展開になった。終盤に池崎をとらえかけたように、個々の力では大きな差はなかったが、守備・走塁などのきめ細かさではやはり明徳が一枚上手。甲子園での敗戦を学びに変え、来年以降に鳥取勢の連敗ストップを目指す。
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