2024年選手権2回戦 神村学園vs中京大中京(9日目第1試合)

2024年

大会9日目第1試合

神村学園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 3 0 0 1 4
0 0 1 1 0 0 0 0 1 3

中京大中京

 

神村学園    今村

中京大中京   中井→田中→宮内→飯島

強豪同士、2回戦屈指の好カードとなった試合は、期待に違わぬクロスゲームに。中盤に試合をひっくり返した神村学園が、エース今村の好投で逃げ切り、初戦に続いて強豪対決を制した。

試合

先発は神村学園が今村、中京大中京が中井と初戦と同じサウスポーがそれぞれ指名された。

1回表、神村学園は2アウトランナーなしから、スタメン唯一の右打者である3番今岡が左中間への2塁打で出塁する。中井の得意とするスライダーが高めに浮いたところを逃さずとらえた一打。スコアリングポジションにランナーを置き、初戦無安打の4番正林に打席を回す。しかし、ここは中京バッテリーも細心の注意を払い、外寄りのボールでカウントを稼いで、最後は低めのスライダーで空振り三振。最も注意すべき打者を封じ込めた。

対する神村学園・今村は角度のある速球とタイミングを外すチェンジアップを武器に初回は中京打線を3者凡退で封じ込める。2回には両チームランナーを出すと盗塁を仕掛け、積極的な攻撃を見せるが、両左腕投手が踏ん張り、互いに得点は与えない。

0-0の緊迫した展開。先に得点の門に手をかけたのは中京だった。3回裏、先頭の8番中井が自らレフトへの流し打ちのヒットで出塁。犠打と内野ゴロで2アウトながら3塁まで進むと、2番岡部がストレートをとらえて三遊間を流し打ちで破り、先制点を挙げる。投球の軸となるストレートをとらえた素晴らしいバッティングだった。

先制された神村は初回から毎回ランナーを出すが、なかなか得点にはつながらない。4回表には1塁ランナーがけん制で刺されるなど、捕手・杉浦を中心として中京の守備網にかかってしまう。

流れを得た中京は4回裏にも、その杉浦がストレートを叩くと、打球は内外野の間にぽとりと落ちるラッキーな2塁打に。2打席連続のヒットであり、初戦の宮崎商戦から乗っている選手だ。このチャンスで5番には強攻策。これにしっかり応え、はライトへのフライでランナーをきっちり進める。6番村上はストレートの四球で1.3塁となると、7番福田は1塁線に見事なセーフティスクイズを決め、2点目を奪う。実に中京らしいそつの無い攻め。相手守備陣のちょっとしたスキから得たチャンスを進塁打と小技で得点に結びつけた。

試合は、2-0と中京のリードで後半戦へ。パワーでは上をいく神村をうまくいなした印象の前半戦だった。しかし、試合の流れが変わりやすいのが、グランド整備明けの6回である。このイニング、神村打線が中京のエース中井を一気に捕まえる。

先頭の4番正林がストレートの四球で出塁。5番岩下が三振の間に、正林が盗塁を決めると、ここで6番上川床がアウトコースへ逃げるスライダーをうまくとらえてセンターへ返し、1点を返す。前のボールより1個分高く入ったため、上川床がうまく対応した。続く7番木下は捕手らしく狙い球を絞り、ストレートをうまく流し打ってレフト線への2塁打とすると、8番藤田の内野ゴロの間に同点に追いつく。木下藤田の打席でともにランナーはスタートを切っており、走者と連動した攻撃で中京の守備を突き崩していく。

同点に追いついた神村学園。続く9番今村は打撃もいい投手である。ここもアウトコース低めへ逃げていくスライダーを捕まえると、打球はセンターの前に弾むタイムリーとなってついに勝ち越しに成功する。上位打線にまわしたくない心理を突き、ストライクを取りにきたボールを逃さなかった。中京バッテリーとしては前半決め球に使っていたスライダーをとらえられ、イニングの間に修正したかったが、神村学園打線の攻撃のスピード感がそれを上回った。続く打者に四球を出したところで中京は2番手で右腕・田中に継投する。

自ら逆転打を放った今村は、直後の中京のクリーンアップから始まる攻撃を無失点に抑える。5番に不運なテキサス性の2塁打は打たれたものの、後半からスライダーを多く配し、中京打線の狙いを外す。1回戦の木更津総合戦もそうだったが、打たれても、その後を踏ん張れる投手であり、我慢強く試合を作れるのが強みだ。

一方、中京も2番手の右腕・田中、3番手・宮内がランナーを出しながらも7回、8回と踏ん張っていく。左打者の多い神村学園打線に対して強気にインコースを攻め、両投手とも、スコアリングポジションにランナーを進められながらも得点を与えない。特に宮内は1年生時から注目されていた本格派右腕であり、140キロ台後半の速球は来年に期待を抱かせるボールであった。バックの堅守にも支えられて踏ん張り、3-2と神村学園1点リードで試合は最終回に突入する。

追加点の欲しい神村学園の攻撃は2番入木田から。選抜では1番を打っていた俊足が武器の選手だが、宮内の真ん中高めの速球をとらえた打球はなんとライトスタンドへ飛び込むソロホームランに!迷いのないスイングで貴重な追加点をたたき出した。続くチャンスは中京の継投策の前にしのがれたが、leadを2点に広げ、9回裏の守りについた。

追いつきたい中京は、先頭の打順で代打・寺島を送る。その寺島が初球のストレートが甘く入るところを逃さずとらえ、センターへのヒットで出塁。8番羽尻、9番松山の連続内野ゴロの間に3塁へ進むと、1番神谷が高めの速球を見事な流し打ちでライトへはじき返し、1点差に迫る。春夏11度の優勝を誇る名門の意地を感じさせる一打だった。

ここで神村ベンチはtimeを取り、状況をきっちり把握する。2番岡部に対し、神村バッテリーは3ボールと苦しいカウントになるが、最後は後半の投球の軸となっていたスライダーを打たせ、レフトフライでゲームセット。2回戦屈指の好カードを制した神村学園が2年連続で3回戦進出を決めた。

まとめ

神村学園は初戦に続く逆転勝利で昨年に続きベスト16に進出した。エース今村の粘り強い投球と後半に相手投手の特徴を把握して一気呵成に攻略した攻撃がかみ合った印象だった。4番正林は2試合連続でヒットが出なかったものの、上位から下位までずらりと並んだ左打者陣が、好左腕を攻略したところに、このチームの底力を感じさせた。また、前半にチェンジアップ、後半にスライダーと配球をうまく変えて相手に主導権を渡さなかったバッテリーのしたたかさも光ったと言えるだろう。

3季連続の甲子園出場で、強豪を連続撃破しての3回戦進出。今、九州でも最も勢いに乗る強豪が、その強さを証明した一戦だった。

一方、中京大中京も打線が粘り強く今村を攻め、機動力も絡めてうまく先行したが、相手の粘り強い戦いの前に屈した。投手陣はエース中井をはじめ、4投手の継投で対抗していったが、先頭打者を四球で出すイニングが多く、もう一つ守りの面でリズムを作れなかったのが痛かったか。ただ、久々の出場で中京らしいしたたかな戦いは存分に見せられたと言えるだろう。投打に鍛え上げられた名門が存在感を出した大会となった。

中京大中京―神村学園 6回表【第106回全国高校野球選手権大会】 (youtube.com)

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