2024年選抜2回戦 健大高崎vs明豊(7日目第1試合)

2024年

大会7日目第1試合

明豊

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
2 0 0 0 0 1 1 0 × 4

健大高崎

 

明豊    一ノ瀬→野田

健大高崎  佐藤→石垣

強豪同士のベスト8をかけた戦いは、健大高崎の2年生左腕・佐藤が1回戦に続いて快投を披露。強打の明豊打線を寄せ付けず、2試合連続の継投による完封でベスト8進出を果たした。

試合

健大高崎は2年生左腕・佐藤が、明豊は長身右腕の一ノ瀬が先発に指名された。

1回表、佐藤はこの日も抜群の切れ味を誇るスライダーを武器に明豊の1番・木村を見逃し三振。2番高木には粘られてヒットを浴び、盗塁で2塁へ進まれるが、動揺する様子もない。4番石田に対し、クロスステップからスライダーを投じて見逃し三振に切ってとる。背中から曲がってくるようなボールに、思わず石田はよけるそぶりを見せたが、投球はストライク。この三振は両者の、その後の力関係を現す予兆になったか。

1回裏、明豊の先発は、大型右腕の一ノ瀬。2021年選抜では力で上回る相手に堅守と継投でしのいで勝ち上がってきた。そのためにも、まずは一ノ瀬の働きがカギだったが、1番斎藤にインサイドの速球を詰まりながらもセンターへ運ばれる。続く2番田中に対し、青柳監督はバスターを指示。田中が見事に応え、逆方向への打撃で三遊間を破る。「機動破壊」の文字が意識しなくとも相手の脳裏によみがえる。

犠打で1アウト2,3塁となると、打席には注目の主砲・箱山。明豊バッテリーも警戒する中、カウント2-1からひっかけた打球はピッチャーの前へ。打ち取ったと思いきや、なんと3塁ランナーの斉藤は猛然とスタート。一ノ瀬のグラブトスも間に合わず、あっという間にホームを駆け抜けて1点を奪う。さらに5番森山は粘って10球目を打ち上げ、2-0。スピードの1点と粘りの2点、相手にとっては重圧とショックを受ける点の取り方で、健大高崎が主導権を奪った。

2点を追う明豊は早い時間帯に追いつきたいところだが、攻撃がかみ合わない。3回表、先頭の9番江藤が四球を選ぶと、続く1番木村のピッチャーのグラブをはじく当たりの間で健大高崎守備陣が乱れ、3塁ががら空きに。江藤は好走塁で3塁を狙うが、バックアップした佐藤のカバーが一瞬早く、アウトになってしまう。セーフなら大ファインプレーだったが、紙一重で明豊に神様は微笑まなかったその後も、高木船見と上位打線が連続四球を選ぶが、得点にはつながらない。

一方、初回に2点を取られた一ノ瀬だが、2回からは落ち着きを取り戻す。長身から繰り出すスライダーを武器に、2回、4回と併殺を奪い、打たせて取る投球でリズムを作る。4回2失点と先発の役目はきっちり果たしたと言えるだろう。

ただ、3回の乱れを突けなかったことで、中盤以降、健大高崎・佐藤のピッチングを乗せてしまう。選球眼とミート力を兼ね備えた明豊打線をもってしても、いかんともしがたく、4回から3者凡退が続く。5回表にはセカンド高山の好守備も飛び出すなど、バックも堅守で佐藤を盛り立てる。

明豊は5回裏から2番手にエース右腕・野田を投入。流れを変えにかかるが、6回裏に痛いミスが出る。

この回、健大高崎の9番佐々木の三遊間深い位置のゴロをショート江藤が捕球。しかし、ファーストへの送球が高くそれてしまい、無死2塁となってしまう。ここは健大高崎が手堅く犠打でランナーを進め、1アウト3塁。2番田中の当たりは前進守備のセカンドへの当たりとなる。これを船見が無駄なくさばいたが、3塁ランナー佐々木が素晴らしいスタートでホームへ突入。悠々セーフとなり、1点を追加する。例年より打力が注目されていたが、やはり機動力の伝統がしっかり生きていることを感じさせる攻撃であった。

こうなると、流れは完全に健大高崎に。7回裏、ライト前ヒットの5番森山を犠打で進めると、7番岸野もセンターへのヒットで続き、1,3塁となる。明豊バッテリーのアウトサイドへの攻めに対し、逆方向への意識で攻略にかかる。続く8番佐藤の打席でスクイズは空振りに終わるが、なお2アウト3塁からショートへゴロを、江藤が悪送球。明豊らしくない形で4点目が入り、試合の体勢は決した。

健大高崎・佐藤は、結局4回からは一人のランナーも出さないパーフェクトピッチングを展開。変化球の精度は最後まで崩れず、ストレートも低めにコーナーに決まり始めると、いかに明豊打線をもってしても、攻略のしようがなかった。8回からは本格派右腕の石垣にかわり、反撃を試みるが、ランナーこそ出したものの、得点には至らず。140キロ台中盤を記録する速球で要所を締められ、8回、9回と無得点に終わった。健大高崎が、4-0のスコア以上の差を感じさせる内容で8強に進出。貫禄の強さで次への切符を掴んだ。

まとめ

健大高崎は投打に明豊を圧倒して完勝。まったくつけ入るスキを与えない試合運びであった。佐藤は、3回に一時制球が乱れたが、そこをしのぐと後は全く打たれる気配なし。好打者ぞろいの明豊打線が当てるのがやっとの打撃で次々凡退した。スライダー、カーブの切れ味は今大会出場投手の中でも1,2を争うものであり、ここに先輩捕手・箱山の好リードも加わるのだから、相手にしてみればたまったものではないだろう。2番手の右腕・石垣も徐々に緊張がほぐれたか、実力を発揮し始めており、この2年生の両輪はやはり末恐ろしい存在だ。

また、打線はこの日、タイムリー0ながら好走塁を絡めて着実に加点。打力が目立つと言われつつも、永年チームに浸透していた機動力野球は、今も生きていることを感じさせた。また、高山箱山森山の中軸3人にも今日で全員甲子園でヒットが出たことになり、次戦以降、持ち前の打力も発揮されそうな予感がする。上位進出しながらも、これまではなかなか上まで勝ちきれなかった健大高崎だが、今年はブレイクスルーの予感がぷんぷん漂っている。

一方、明豊はこの日は投攻守、すべてにおいて相手に上回られた、まさに完敗であった。特に守りで3失策が出たのは、川崎監督にとっても悔しいところだろう。相手の機動力を感じてプレッシャーがかかった部分もあっただろうが、想定以上のスピードで次の塁を奪ってくる健大高崎の野球は、今まで体感したことのないレベルのものだったかもしれない。収穫があるとすれば、そういう相手との試合を全国にきて経験できたことだろう。まだ、春が終わったばかりであり、この悔しさを晴らす機会は残っている。

【センバツ高校野球 明豊 vs 健大高崎 全打席完全ハイライト】 天候不良で午後1時半開始!健大高崎、最強2年生コンビ・佐藤龍月&石垣元気vs明豊打線! 2024.3.26 阪神甲子園球場 (youtube.com)

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