Aブロック
勝ち抜き予想:花巻東
個性ある4チームが集結したブロック。大きな力の差はないが、経験値の高さで花巻東を推したい。昨夏を経験したメンバーが複数残り、頭半分ほど抜けているか。
開幕戦は柳ヶ浦と二松学舎大付の対戦。柳ヶ浦は1991年夏、二松学舎大付は2002年の選抜でそれぞれ開幕カードを経験している。試合の行方は柳ヶ浦がけが人が戻ってきていかに戦力が整備されているかにかかっていそう。二松学舎大付は投打ともにパワフルな陣容で、河内・及川の剛腕コンビと一発のある打線で試合を優位に進めてくる。柳ヶ浦としては秋に急成長を見せた2年生左腕・宮城がまずは試合を作りたいところ。打線は二松学舎投手陣の速球に負けないようにしたい。
2カード目は花巻東と米子松陰の対戦。この試合は花巻東の足も絡めた多彩な攻めを米子松陰のエース新里がどうしのぐかにかかっているだろう。攻撃力では花巻東に分があるだけに、4点以上の勝負に花巻東が優位だ。新里はバッテリーで工夫して機動力を封じながら、なんとか3点以内に相手を抑え込みたい。米子松陰打線も犠打を絡めた細かい攻撃は得意。花巻東の先発が右腕・金野か左腕・萬谷かは読みにくいが、どちらが来ても対応できるようにしておきたい。
Bブロック
勝ち抜き予想:明徳義塾
昨春の王者・健大高崎が入り、初戦の相手がなんと明徳義塾。初日からBIG CARDとなったが、敢えて明徳義塾を推したい。
健大高崎は昨春の選抜制覇の力となった剛腕・石垣が成長。左腕・佐藤龍がTJ手術で登板不可となったが、その不安を感じさせない「エース」の投球を見せる。ただ、過去に幾多の剛腕を苦しめてきた明徳義塾の老練な攻撃は、ヒット数が少なくとも相手を苦しめる得点を積み重ねてくる。また、池崎-里山の昨夏からのバッテリーがそのまま残った守りは鉄壁。終盤のしびれる1点差勝負でも微動だにしないだろう。打力では健大高崎に分があり、戦力的にはやや健大高崎が上だが、メンタル的には挑む明徳義塾の方がやりやすい印象がある。接戦になれば、明徳が持っていきそうな予感。
敦賀気比と滋賀短大付は常連校と初出場という対照的な顔あわせに。敦賀気比はこれで5年連続での出場だが、過去4大会はいずれも初戦で強豪と対戦して敗れる結果になっている。菅田・五十子の左右2枚看板と強力打線で今年こそ勝利を掴みたい。対する滋賀短大付はエース左腕・櫻本の好投が勝利への絶対条件。軟投派左腕が、その持ち味を発揮し、ロースコアの勝負に持ち込めれば勝機が出てくる。4番で捕手の大窪の攻守両面での活躍がカギになりそうだ。
Cブロック
勝ち抜き予想:横浜
全国でも名を知られた強豪・常連が顔を合わせた、今大会でも最も厳しいブロックと言える。そんな中でも、やはり神宮王者・横浜が頭一つ抜け出ているか。
横浜は全国屈指のタレント軍団。左腕・奥村頼と新2年生右腕・織田という大会でも屈指の左右の両投手を擁し、ディフェンス力には絶対の自信を持つ。秋の公式戦でもすべての試合で相手を3点以内に封じており、特に織田のストレートは本調子ならばとらえるのは容易ではない。打線も、往年の横浜らしい勝負強さが戻ってきており、勝負所で相手の狙いを見透かしたように抜け目なく得点を奪う。対する市立和歌山はエース土井がキレのあるボールを武器にゴロを打たせる投球で活路を見出す。3点以内の勝負で、なおかつ先行する展開に持ち込めれば、勝機が見えてきそうだ。
もう1カードは沖縄尚学と青森山田の強豪対決。2005年選抜でも対戦しており、その時は青森山田の剛腕・柳田(ロッテ)を沖縄尚学の強力打線が打ち砕いた。ただ、今回は沖縄尚学の好左腕・末吉を青森山田の強力打線がどう攻略するという、20年前とは全く逆の構図になりそう。1番佐藤洸を筆頭にタレントが揃っており、末吉としては低めを丁寧について長打はなるだけ避けたいところ。青森山田の投手陣は3人の投手による継投が基本線であり、沖縄尚学は後手に回らないように攻撃していきたい。5点前後を奪い合う接戦になりそう。
Dブロック
勝ち抜き予想:大垣日大
全チーム甲子園決勝を経験したことのある、常連・伝統校勢ぞろいのブロック。ここも4チームに大きな差はないが、投打のバランスで少し大垣日大に分があるか。
大垣日大投手陣は谷之口・中野の左右2枚看板が安定しており、いずれも制球・キレとも素晴らしい投手だ。打線も機動力を駆使して、足元から相手バッテリーを崩していくことができる。戦いぶりを見ていると、投手戦にも打撃戦にも対応でき、しぶとさのあるチームだ。西日本短大付としては経験豊かな捕手・山下がまずは大垣日大の足を封じ込めたい。そのうえで持ち味の強力打線が相手の守りのミスに付け込んで一気呵成の攻めが出来れば、ペースを握れそうだ。ただ、ディフェンス面で大垣日大に少し分がありそうか。
天理と山梨学院は3年前にも夏の初戦で対戦。その時は、南沢の好投と少ないチャンスを活かす効率のいい攻めで、天理が2-1と競り勝った。そこから、山梨学院は県勢初優勝を果たし、天理は監督交代と両校とも違った経緯を経て再度顔を合わせる。ともに投打ともバランスが取れたチームで有り、複数の右腕投手を擁する投手陣を強力打線が支える構図。天理はトップバッターの赤埴が、山梨学院の長身右腕・菰田に対して、まずは第一打席でどういったアプローチを見せるか。今回も1点にしのぎを削る戦いが見られそうだ。
Eブロック
勝ち抜き予想:東洋大姫路
西の横綱・東洋大姫路を、同じく神宮4強の広島商が追随する構図になりそうだ。この両者に21世紀枠の両校が初戦で挑む。
東洋大姫路は大会屈指の好投手・阪口がいよいよ全国でそのベールを脱ぐ。140キロ台後半の速球と多彩な変化球を操り、相手の狙いをかわす洞察力にも長けている。押すところは押し、引くところは引く投球ができるため、球数を抑えられるのも強みだ。左腕・末永も安定しており、守りに不安はない。打線も岡田監督のイズムが注入され、見村・木村の中軸を中心に好機を逃さない。壱岐としてはエースの浦上がコントロールを武器に、相手打線を粘り強くかわしていきたい。東洋大姫路投手陣から大量点は望み薄であり、3点以内の接戦に持ち込みたいところだ。
もう1カードは広島商と横浜清陵の対戦。広島商はタフネス右腕・大宗、本格派左腕・徳永と強力な左右2枚看板がおり、2人共大崩れしないで試合を作れる。攻撃陣も犠打を駆使した往年の手堅さに加えて、長打力も見せており、新基準バットに対応してきている。西村・三田、名越と強打の期待できる面々が上位に揃う。横浜清陵は右サイドのエース内藤と高山のバッテリーが広島商の機動力野球に翻弄されないようにしたい。失点を最少にとどめ、ワンチャンスにかけられるか。
Fブロック
勝ち抜き予想:智辯和歌山
投打のタレント力では智辯和歌山に一日の長があるが、近年その実力を発揮しきれずに初戦で敗退するケースが多い。実力を出し切れれば、ベスト8に一番近い位置にいるのは間違いないが…
エナジックスポーツと至学館の対戦は投手戦濃厚だろう。エナジックスポーツは左腕・久高が、至学館は右腕・尾崎が先発の可能性が高い。2人共本調子ならばそう多くの失点はしないはずであり、エナジックは右腕・福本、至学館は加藤、磯村とバックアップの投手陣も安定している。機動力を活かした揺さぶりという面では少しエナジックに分があるか。至学館としては立ち上がりから粘っこい攻撃を仕掛けて、久高の球数を多くしていきたいところだ。
智辯和歌山と千葉黎明は今大会の1回戦屈指の好カードの一つだろう。智辯和歌山は1番藤田、2番福元の2人からいきなり長打力のある攻撃が始まり、相手投手にとっては息の抜けない攻撃となる。しかし、ここ数年は軟投派の投手に苦戦する傾向があり、多彩な陣容を擁する千葉黎明投手陣から誰が先発に指名されるか。智辯和歌山は宮口、渡邉の両右腕が安定しており、彼らが試合を作っている間に先制してリズムをつかみたい。逆に、昨夏のように序盤からフライを上げて凡打が続くと、相手のペースにはまる可能性がある。序盤の智辯和歌山の攻撃内容が試合の趨勢を決めそうだ。
Gブロック
勝ち抜き予想:高松商
ここも、4校とも全国常連校が顔をそろえたブロック。勝ち上がるのには骨が折れそうなゾーンだ。投打のポテンシャルで高松商が少し優位か。
高松商は明徳・馬淵監督をして、「うちより全然強い」と言わしめた総合力を持ち、特に打線の破壊力は全国でも屈指。足もあり、長打もある、バランスの取れた攻撃ができ、特に3番橘は一発の魅力を秘める好打者だ。対する早稲田実も中軸を中心に攻撃力には自信を持つ。カギは両エースの出来だが、投手層の厚さという点では、末包旬・行梅と2本の柱がいる高松商に分がありそう。早稲田実としてはエース中村が投げ切って勝つのが理想だが、終盤に疲れが出た時に踏ん張り切れるか。
聖光学院と常葉大菊川は堅守vs強攻の勝負になりそう。聖光学院投手陣は左腕・大嶋→右腕・菅野の投手リレーが安定。大嶋がのらりくらりとかわしながら試合を作り、菅野が終盤のイニングを球威で抑えるパターンで、東北の強豪校との対決を制した。また、攻撃陣は派手さはないが、相手のミスや四死球に付け込むうまさがある。対する常葉大菊川は打って打って相手を攻略しに行く強気の姿勢が光る。聖光学院の堅守に対して、思い切った攻撃で風穴を開けたい。また、投手陣はエース左腕・大村が安定しており、持ち味のコントロールを活かした投球で聖光学院にスキを与えないようにしたい。
Hブロック
勝ち抜き予想:東海大札幌
最終ブロックはディフェンス力の高い4校が揃った。その中でも投手力で一日の長がある東海大札幌が8強に最も近そうだ。
滋賀学園と浦和実もともに投手陣が安定したチーム同士の激突。浦和実は変則左腕・石戸がスピードは遅くともキレのあるボールで相手打者のバットの芯を外し、凡打の山を築く。滋賀学園打線のコツコツとつなぐ攻撃をどうかわすか。対する滋賀学園の投手陣は長崎、土屋悠の本格派2枚が球威のあるボールで相手打者を封じ込める。浦和実としては先制点が欲しいところ。できれば打者一巡目でランナーをためて三島、野本に繋ぎ、石戸に得点をもたらしたい。
東海大札幌と日本航空石川の2校はともに分厚い投手層を持ち、失点が計算できる。東海大札幌は矢吹、高橋の左右の両輪を擁し、公式戦での失点は神宮での広島商戦の3点が最多。北海道大会ではすべての試合を2点以内に抑えている。2人共コントロールが良く、三振が奪えるのが強みだ。一方、日本航空石川もエース蜂谷が最速145キロの速球と多彩な変化球を擁する完成度の高い右腕だ。
ただ、打線に関しては少し日本航空石川の方が上な感はあるものの、東海大札幌のこの2枚看板を打ち崩す絵はそう簡単には浮かんでこない。準優勝した2015年の選抜の再現も十分可能な陣容だ。日本航空石川としては攻撃的2番の菅野が突破口になりたいところだ。
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