大会3日目第3試合
叡明
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 |
| 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1× | 5 |
津田学園
叡明 増渕→田口
津田学園 桑山

両チームの持ち味が出た試合は、互いに譲らずに延長タイブレークの大激闘となった。最後はミスが出て津田学園に軍配が上がったが、今大会でも屈指の好ゲームとなった。
試合
先発は津田学園が絶対的エース左腕の桑山をマウンドに送ったのに対し、叡明は右の2枚看板の一人、増渕を指名した。
序盤、叡明の先発・増渕に対し、津田学園打線が激しく攻め立てる。1回表、津田学園・桑山が左腕から140キロ台の速球とスライダーで圧倒し、3者凡退に封じると、直後の攻撃で叡明の右腕・増渕を攻略。1アウトから2番石井がストレートをとらえてセンターへヒットを放つと、3番田北がエンドランに見事応えて、1,2塁間を破り、1,3塁と理想的な状況を作る。4番恵土は三振に倒れるも、5番犬飼のファーストゴロがエラーを誘って1点を先制。立ち上がり、増渕の投球の軸であるストレートを積極的にたたく。
ただ、増渕を相手に攻勢をかける津田学園だが、どうもうまくつながらない。1回裏も先制後に2アウト満塁としながら追加点はならず。さらに2回裏もヒットで出た8番本田を送ると、1番田中がセンターへ返すが、叡明のセンター根本の好返球でタッチアウトとなり、この回も3安打しながら得点を奪えない。3回裏に、代わった2番手・田口から5番犬飼、6番桑山の連打で作ったチャンスにスクイズで2点目を上げるが、再三塁上をにぎわせながら7安打で2得点の結果は、どこか相手につけ入るスキを与えてしまっているように見えた。
すると、この流れの変わり目を初出場の叡明が逃さない。1アウトからリリーフ登板の3番田口が自らヒットを放ち、チャンスメーク。左打者の左腕投手に対する理想的な流し打ちだ。捕逸と四球でチャンスを拡大すると、6番高野が右打者のインサイドに入ってくるスライダーをうまい流し打ち!これがライトへのタイムリーとなり、記念すべき同校初得点をたたき出す。打者一巡して、早くも桑山の速球とスライダーに対応し始めるあたりは、さすが激戦の埼玉大会を勝ち上がったチームだ。
この得点が津田学園が押し気味だった試合の流れを変える。4回裏に、津田学園はヒットで出た1番田中を犠打で送ると、3番田北がセンターへ痛烈にスライダーをはじき返し、1点を追加する。ただ、2番手で登板した田口は、重心の低いフォームからボールを低めに集められており、投球内容はそう悪い印象は受けない。4番恵土を三振に取り、これ以上の傷口は広げなかった。
もともと攻撃力には自信を持つ叡明。ここから本格派左腕・桑山に牙をむいてくる。先頭の8番細沼がスライダーをとらえてレフトへのヒットで出塁。同校オリジナルの応援曲に乗って新鋭校が踊りだす。犠打で二塁へ進むと、1番根本は高めの速球を完ぺきにとらえる。初回から飛ばしに飛ばしていた桑山の勢いが少し落ちてきたのもあったが、好球を逃さない打撃は見事だ。さらに暴投と2番青木の四球でつなぐと、3番田口がきっちり犠飛を放ってついに同点に追いつく。
初回からほとんどのイニングでランナーが出る展開。しかし、野球ではよくあることで3-3の同点になると、小休止したようにいったん試合が落ち着きだす。叡明・田口が前述した独特のフォームから低めにボールを集めて津田学園を封じ込めれば、桑山は同点にされてことでかえって力が抜けたか、キレのあるボールで、中盤の乱調が嘘のように自分の投球を取り戻す。後半に入って両チームともランナーが出たとしても一人のみ。試合は最終盤に突入していく。
クーリングtimeを終えても、両投手の安定感は変わらず。叡明は2アウトから5番苫がスライダーをうまくライト線に運ぶ2塁打とするが、4回にタイムリーを放った6番高野を痛烈なサードゴロで封じ、無失点。サード井上の堅守がこの回は光る。対する津田学園も8回裏に7番正木のヒットを足掛かりに2アウト2塁とするが、得点はならず。互いに決め手を欠き、9回もお互いに得点は上げられずに、試合は延長戦に突入する。
すると、ここから試合が再び白熱する。10回表の叡明の攻撃を内野ゴロ併殺と三振で桑山が渾身のガッツポーズを見せれば、裏の攻撃で今度は津田学園のファーストライナーが併殺となり、両チームとも似たような攻撃で10回は無得点。
先に一歩前に出たい叡明。今度は先頭の打者が3番田口だ。チームのキーマンを信じ、中村監督は強攻策を指示。これがライトへのテキサス性のタイムリーとなり、この試合初めてリードを奪う。さらに4番赤城が送って1アウト2,3塁となるが、ここは桑山が踏ん張り、1点差のまま11回裏に。
津田学園としてはまずは1点を取って追いつきたい。しかし、佐川監督は犠打ではなく、勝負をかけて先頭の6番桑山に打たせる。セカンド細沼が好捕し、併殺かと思われたが、桑山が必死に走って1,3塁。続く7番正木はファウルで粘り、ベンチも再三スタートをかける。すでに9イニング目となった田口プレッシャーをかけると、9球目の速球を痛打。ショートへのいい当たりでまたも併殺かという打球だったが、正木が懸命のヘッドスライディングでセーフ。泥臭い攻撃で同点に追いつく。
どこまでも続く両者の譲らない戦い。しかし、結末はあっけなく訪れた。12回表、叡明は犠打が失敗に終わり、後続も併殺で無得点。桑山のボールの勢いは最後まで落ちなかった。すると、12回裏、先頭の9番伊藤は3塁方向へ絶妙な犠打。これを処理した田口の送球が高く浮き、2塁から正木がホームへ。最後は投打でチームを牽引してきた田口の高投で勝負がつくという残酷な結末になったが、大接戦を演じた両チームのナインに対し、観衆から万雷の拍手が贈られたのだった。
まとめ
津田学園は、序盤の拙攻で流れを失いかけたが、同点にされてからはエース桑山を中心に落ち着いた守りで、自分たちの野球を取り戻した。桑山は中盤に少し乱れたが、140キロ台の速球とスライダーの威力は最後まで衰えず。さすが東海屈指の本格派左腕である。2017年にも藤枝明誠とのナイターでの延長戦をサヨナラで制している津田学園。ナイトゲームの甲子園が似合うグリーンのユニフォームが今年も聖地で躍動した、そんな一戦であった。
一方、叡明は序盤に再三攻め込まれながらも中盤に追いついた粘りは見事。激戦の埼玉大会を勝ち抜いた底力を感じる試合であった。特にリリーフに、3番にと投打でチームを牽引した田口は、野球センス抜群の動き。最後は彼のミスで試合は決してしまったが、何ら恥じることのない戦いぶりだ。この夏の叡明の戦いを見て同校に入ってくる中学生も間違いなくいるだろう。この先、叡明がどんな成績を残すかはわからないが、まごうことなき甲子園出場第1号という記録は、いつまでも彼らの功績となるのだ。
【高校野球 甲子園】 津田学園 vs 叡明 甲子園の死闘!タイブレークで決着! 【全国高等学校野球選手権大会 1回戦 全打席ハイライト】 2025甲子園 8.7


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