2025年選抜準々決勝予想 横浜vs西日本短大付

2025年

2025年選抜準々決勝

横浜vs西日本短大付

52%  48%

〇4-2  市立和歌山  〇6-0     大垣日大

〇8-7  沖縄尚学     〇11-5   山梨学院

2回戦はともに打線が好調だった両チームの対戦。一方、投手陣についてはお互いにやや不安を抱えるが、層の厚さの面で横浜が有利か。

 

横浜は絶対の自信を持っていた投手陣が13安打7失点と打ち込まれ、特に指の故障があったという2年生右腕・織田の状態は気がかりだ。ただ、エース左腕・奥村頼は失点こそしたものの、持ち味のキレのある投球は健在で有り、その他にも計3人の投手がマウンドを経験できたのは大きいだろう。準々決勝は誰が先発になるかは全く読めないが、次も総力戦で挑むことにはなりそうだ。理想は、最も安定感のある奥村頼を一番後ろに回し、その他の投手で試合を作ることだ。

対する西日本短大付打線は、2試合で17得点と絶好調。1番奥をはじめとしてスピードのある選手が得点圏に進み、3番斉藤、4番佐藤、5番安田の好調なクリーンアップで返すのがパターンだ。この3人は2試合連続でタイムリーを放っており、特に佐藤の長打力は今大会出場選手中でもトップクラスだろう。横浜投手陣といえども、ボールが甘く入ると一発の餌食に会う。2試合とも先制点を挙げて試合を優位に進めており、次も序盤から横浜に襲い掛かる構えだ。

 

一方、西日本短大付は昨秋から大事な試合はエース中野がほとんど一人で投げぬいてきており、2番手投手との間に力の差があることは否めない。その中野は2回戦で157球を投じており、疲労の影響が心配だ。もともと球威があるタイプではなく、コントロールよく内外角に投げ分けるのが持ち味なため、その生命線の制球力がままならないと苦しい。中1日でどこまで回復するか。昨夏から正捕手の山下のインサイドワークも重要となる。横浜が仕掛けてくる予想外の作戦にも対応できるようにしたい。

対する横浜打線も上位陣が好調。2回戦は1番に奥村淩、3番に阿部葉の打順変更が見事にはまり、先制3ランという最高の結果を生み出した。中野はオーソドックスな右投手であり、横浜としてもある程度攻略のイメージは立てやすそう。中野が課題とする立ち上がりをしっかり捕まえられれば、勢いに乗ってワンサイドという展開も見えてくる。相手捕手の山下が好捕手なだけに、2回戦で見せたバスターなど、横浜ベンチとの勝負も見ものだ。中野の決め球のスライダー攻略と相手捕手との駆け引き、このあたりが大きく影響してくるだろう。

 

西日本短大付としては、序盤での大量失点は避けたく、リードして逃げ切る展開を作りたい。ある程度の失点は覚悟の上だろう。横浜としては、相手エースの中野を攻略できれば、勝利へぐっと近づけそうだ。総力戦になりそうな準々決勝。制するのはどちらか。

 

主なOB

横浜…松坂大輔(西武)、涌井秀章(中日)、近藤健介(ソフトバンク)、万波中正(日本ハム)、伊藤将司(阪神)

西日本短大付…新庄剛志(日本ハム)、小島大作(ロッテ)、石貫宏臣(広島)、財前貴男(巨人)、大曲錬(西武)

 

神奈川  福岡

春  6勝  1勝

夏  2勝  1勝

計  8勝     2勝

対戦成績は神奈川が春夏ともに勝ち越しており、8勝2敗と大きくリード。印象深い対戦ではやはり1998年選抜。エース松坂大輔(西武)の横浜が、強打者・村田(巨人)や田中賢(日本ハム)を擁した東福岡に3-0と完封勝ちした。この試合で村田が投手としての道をあきらめて打者に専念したのは有名なエピソードだ。

対して福岡勢の勝利で思い出されるのは2010年の選抜。エース一二三(阪神)を中心に関東大会を制し、神宮でも準優勝していた東海大相模に初出場の自由ヶ丘が挑んだ。かつて柳川を何度も甲子園に導いた名将・末次監督が率いる福岡の新星は東海大相模と互角に渡り合うと、8回に満塁から6番外野の走者一掃のタイムリーで勝ち越し。そのまま4-2で逃げ切って痛快なジャイアントキリングを演じた。

激戦区同士の対戦。準決勝への切符を掴むのはどちらか。

思い出名勝負

2011年選抜決勝

東海大相模

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 2 1 2 0 1 0 0 6
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1

九州国際大付

 

東海大相模   長田→近藤

九州国際大付  三好

 

3月11日に未曽有の大災害が東北を襲った2011年。それからひと月も経たないうちに開催された選抜大会は阪神淡路大震災のあった1995年と同様に鳴り物の応援は控えての大会となった。そんな大会の決勝を戦ったのは、ともに強力打線を誇る東西の強豪であった。

東海大相模は前年夏にエース一二三を擁して準優勝。そのチームから1番渡辺(中日)、2番臼田、3番田中俊(DeNA)と打線の主力は残っていたが、一二三に頼り切りだった投手陣は再構築を余儀なくされた。しかし、秋は打線の援護で投手陣を育てながら関東大会準優勝に輝くと、本大会でも関西・堅田、大垣日大・葛西と好左腕を攻略。特に渡辺、臼田の1,2番コンビは試合開始と同時に相手投手をかき乱し、相模に流れを呼び込んだ。

打線の派手な打ちっぷりに隠れがちだったが、投手陣も技巧派左腕の長田、庄司がともに変化球を低めに集めて好投。準々決勝では長身右腕の近藤がこれまた交左腕・野田(西武)を擁した九州王者の鹿児島実を完封し、4強進出。さらに準決勝ではエースが故障を抱えていた履正社の投手陣を滅多打ちして16-2と大勝し、2000年以来11年ぶりに決勝へコマを進めた。

対する九州国際大付は東北高校でダルビッシュ(パドレス)など多くの好選手を育てた若生監督が就任し、着々と力をつけてきていた。2009年夏に八幡大付時代以来、久々の出場を果たすと小林、国枝らの強打で3回戦に進出。その大会に1年生で出場した三好(楽天)が最終学年でエースになったチームは、捕手・高城(DeNA)とのバッテリーを中心に、「九州の銀河系軍団」と評されるタレントが集まった最強チームに仕上がっていた。

初戦は初出場の前橋育英を相手に高城、安藤、三好、龍と4人がホームランを放って7-1と圧勝。スコア以上に相手に脅威を与える戦いぶりだった。その後も日本文理、北海と下すと、準決勝では神宮優勝で本大会の大本命だった日大三に三好のホームランなどで9-2と大勝。エース三好は球速以上に伸びのあるストレートを武器に、夏に全国制覇を果たす日大三の強力打線を押し込み、会心の投球内容で決勝に進出した。

 

ともに強力打線を誇るが、足でかき回してリズムを作る東海大相模に対して、九州国際大付は5試合で6ホームランと勝負所でホームランが飛び出す長打は魅力。アグレッシブベースボールvsスケールの大きな打線という構図であった。ただ、3投手を使い分けて勝ち上がった東海大相模に対して、九国は三好が一人で投げ抜いてきており、連投による疲労が心配された。

三好は1,2回と東海大相模の攻撃を無失点に抑え、無難な立ち上がりを見せるが、前日までと比べるとややボールは走っていない印象。いい当たりの打球も目立ち、さすがに疲れが感じられる。一方、相模の先発・長田は初回に4番高城に大会タイ記録となる8打席連続ヒットを許すも、バックの好守備に助けられて無失点。九国としては絶好の先制機を逃してしまう。

すると、打者一巡して迎えた3回表、相模は先頭の1番渡辺が左中間を破る当たりを放つ。中継プレーの乱れをみて一気に3塁を陥れると、1アウト後に3番田中俊もすかさず初球のストレートをとらえて強烈に右中間を破る2塁打を放ち、1点を先制する。やはり相模打撃陣のスピード感のある攻撃は、日大三や九国の破壊力とは違った怖さを持つ。さらに4番佐藤は捕手らしく、ストレートを打たれた後のカーブを狙い打ち、連続タイムリーでもう1点を追加する。

4回にも1点を加えた東海大相模は5回表、完全に三好を飲み込んでいく。3番田中俊がスライダーをとらえてライトへのヒットで出ると、4番佐藤は犠打の構えで揺さぶりをかける。カウント0-2となったところでカウント球のストレートを振り抜くと、打球はあっという間に左中間スタンドに飛び込む2ランホームランとなり、5-0。気づいたら点差を離されている相模の野球で主導権を奪い去った。

リードをもらった相模の先発・長田は得意のスライダーを低めに集める投球で、一発のある九国打線を封じ込める。自らホームランを放った佐藤も配球が冴え、狙い球を絞らせない投球でアウトを積み重ねていった。

すると、7回にはこの大会不振にあえいでいて蚊帳の外だった5番菅野にも一発が飛びだし、6-0。やはり、1回戦から投げ続けていただけあって三好のボールにいつもの打者を押し込む威力は残っていなかったか。高城も苦心のリードが続いたが、記録的な豪打を誇る東海大相模の打線の前には通用しなかった。

なんとか意地を見せたい九国は9回裏、2番手の近藤に対して2アウトランナーなしから6番花田、7番加藤の長短打で1点を返し、意地を見せる。九国らしい豪快な反撃だったが、後続が続くことはできず。近藤が最後の打者の代打・内川を三振にとってゲームセット。11年ぶり2度目となる全国制覇を達成した。

 

東海大相模は一二三を擁した前年と比べると前評判はそこまで高くはなかったが、強力打線が投手陣を育てる形で勝ち上がっての優勝だった。特に渡辺、臼田、田中俊の3人の破壊力は圧巻。中でも臼田は柔らかい打撃でコースに関係なく打ち分け、門馬監督の強攻策に応えた(この年のU-18にも夏出場していないが選出されている)。走攻守で相手をかき回して圧倒する、アグレッシブベースボールがさく裂し、驚異的な強さで勝ち取った栄冠だった。

一方、九州国際大付も福岡県勢として久々の決勝進出。名将・若生監督のもと、個の力を活かしたスケールの大きな野球で選手を伸び伸びと戦わせた。5試合で6本のホームランを放った打線は、2番から6番まで全員一発を記録している驚異のラインナップであった。三好ー高城のバッテリーも決勝こそ打ち込まれたが、質の高い真っすぐとチェンジアップの緩急で相手打線を翻弄。この大会全出場校が初戦を突破した九州勢のレベルの高さを示した戦いぶりであった。

 

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