2025年選抜準決勝 横浜vs健大高崎(10日目第1試合)

2025年

大会10日目第1試合

健大高崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
1 0 1 0 3 0 0 0 × 5

横浜

 

健大高崎  下重→石垣

横浜    織田→奥村頼

昨秋の関東大会決勝の再戦となった注目のカードは、横浜打線が健大高崎の2枚看板、下重石垣とともに攻略。織田奥村頼の継投も決まり、会心の試合運びで2006年以来の決勝進出を決めた。

試合

横浜は4試合連続で織田が、健大高崎は下重が2回戦以来の先発のマウンドに上がった。

1回表、立ち上がりにややボールが浮きがちな織田に対し、1アウトから好調な2番加藤、3番秋山の連打で1,3塁とチャンスを広げる。2番加藤の盗塁も生きた形で、健大高崎としては理想的な先制点のチャンス。しかし、ここで4番小堀、5番栗原を高めの速球で空振り三振に打ち取る。一歩間違えて捉えられると、長打にもなりかねない高さだったが、ボールの力で押し切った勝負だった。

これに対し、1回裏、健大高崎の先発・下重は先頭の1番奥村淩に不運な内野安打を打たれて出塁を許すと、2番為永には死球。3番阿部葉、4番奥村頼には力で押し勝って2アウトまでこぎつけるが、5番小野に真ん中低めの速球をきれいにセンター返しされ、先制点を許す。ただ、1塁ランナーの進塁はセンター石田の好送球で刺し、さらなるピンチは未然に防ぐ。V候補同士のハイレベルな攻防だ。

ただ、そうは言っても、立ち上がりの織田もボールは浮きがちだ。2回表、こちらも先頭の6番杉山がストレートを痛烈なセンター返しでチャンスメーク。しかし、続く7番向井の犠打が決まらず、いつもの健大高崎の流れるような攻撃にならない。その後、四球などで2アウト1,3塁とチャンスを拡大するも、1番石田はストレートに差し込まれてレフトフライに。健大高崎としては、まだ織田が不安定だった立ち上がりに得点をしておきたかっただろう。

すると、3回裏、打者二巡目に入って横浜打線が下重をとらえだす。1アウトから1番奥村淩がインハイの速球をとらえて右中間を破ると、2番為永、3番阿部葉と立て続けにストレートを今度は逆方向へ。上位の左打者陣の3連打で追加点を上げる。下重は、この日は、1,2回戦ほどは速球が走ってなかったか。4回裏にも先頭の6番池田にヒットを浴び。犠打で進塁を許したところで、青柳監督は早くも2番手でエース石垣をマウンドに送った。

というのも、1,2回のピンチを乗り越えて、横浜の先発・織田の状態がどんどん上がってきていたからだ。本来なら、下重にもう少しイニングを投げてもらいたいところだっただろうが、今日の状態を見ると、2点でdeadlineと感じたのだろう。早めの継投策で勝負に出る。

ついに大会最注目の右腕とV候補筆頭の打線の対決に。4回裏には150キロ台を連発し、石垣の調子も問題なさそうだ。大観衆が固唾を飲んで、その行方を見守る、最高レベルの勝負。しかし、横浜打線の対応力は想像以上だった。

5回裏、またも上位3人衆が切り崩しにかかる。まずは、先頭の1番奥村淩が高めに浮いた変化球をセンター前へ。続く2番為永はフルカウントになったところで、横浜ベンチの指示はエンドラン。これに為永が応え、詰まりながらもライト前に落とすヒットで1,3塁とチャンスを拡大する。このあたりの仕事ぶりは、本当に抜け目がない。為永は2塁への盗塁も決め、最高のおぜん立てで主将・阿部葉に回すと、150キロ台のストレートを完ぺきにとらえてライトへタイムリー!剛腕から貴重な追加点を上げる。

健大高崎としては満を持して登板したエースの失点に動揺は隠せない。バッテリーとしても投球の生命線のストレートが打ち込まれたことで、簡単にストライクを取りに行けなくなった。さらに走れるところでは逃さず、盗塁を決めてくる機動力も相まって、二重三重に圧力がかかっていた。続く4番奥村頼に四球を与えて満塁となると、5番小野は四球後の初球狙いの鉄則通り、ストレートをセンターへタイムリー。さらに6番池田の押し出しもあり、計3点を追加した。

いくら健大高崎とはいえ、5点のビハインドは厳しい。さらに、この日は織田がしり上がりに調子を上げ、3回以降は高めに浮いていたストレートもコーナーに決まり始めた。大会序盤は二巡目から捕まることが多かったが、この日は後半になるにしたがっていい力感で投げられ始めていた。結局、この日は7回を投げて、6安打1四死球で無失点。大一番で先発の役割を十分に果たした。

一方、リードを広げられた石垣だが、こちらも6回からは粘り強い投球で追加点を許さない。大会前は投げることができるかもわからないと思われたが、エースナンバーを背負った投手として、最後まで役割を全うした。

反撃したい健大高崎は、9回表、2番手の奥村頼から6番杉山が速球をとらえ、左中間最深部まで届く2塁打を放つ。さすがのパワーを見せると、続く代打・田上もストレートをとらえ、レフト前へ。ここで8番伊藤が犠飛を放ち、意地の1点を刻んだ。しかし、セーフティリードをもらっていた奥村頼の冷静さを崩すには至らず。最後は、キーマンの1番石田をショートゴロに打ちとり、ゲームセット。横浜が4度目の選抜制覇に向け、ファイナルへの切符をつかみ取った。

まとめ

横浜は、健大高崎の下重石垣の2枚看板を打ち崩しての堂々の勝利。特に5回に石垣を打ちこんだ攻撃は素晴らしかった。他チームは前に飛ばすのも苦労していたボールを、ことごとく正確にミートし、ヒットゾーンへと運んでいく。光るのは、3回は下重の、そして、この5回は石垣の攻略のきっかけとなった奥村淩為永阿部葉の1~3番!彼らの打力、走力、判断力、正確な作戦実行力は他のチームの追随を許さないだろう。まさに横浜野球の復活を印象付ける3人だ。

そして、投手陣も1回戦からもう一つ波に乗れなかった右腕・織田がこの日は会心の投球を披露。爪の影響は相変わらず心配だが、力が抜けたことでかえってコントロールが安定したか、コースに決まる速球に健大高崎打線も手が出なかった。2イニングの投球で済んだ奥村頼の疲労をおさえられたのも大きいだろう。投攻守走、すべてで充実する今年の横浜。無敗での選抜優勝というGOALまであと一勝だ。

一方、健大高崎は、大会前は投手陣にけが人が出て不安視されたが、見事な投手層の厚さでここまで勝ち抜いてきた。特に1,2回戦と試合を作った下重は、今大会のチームMVPと言っても差し支えないだろう。また、リリーフで150キロ台を連発した石垣のポテンシャルも底知れないものを感じさせた。

攻撃陣は好左腕との対戦が続いたが、高い対応力でヒットを量産。機動力も含めて、さすが前年優勝校と思わせる戦いであった。この日は横浜に力負けした感はあったが、V候補同士の緊迫した試合を演じたナインに大観衆からは称賛の拍手が贈られた。きっと夏も甲子園にさらに大きくなって帰ってきてくれるだろう。

健大高崎 vs 横浜 【選抜 高校 野球 準決勝 全打席ハイライト】 🔥死闘を演じた秋の関東決勝と同カード! 再び聖地の大舞台で激突! 2025.3.28 甲子園 高校野球 選抜高校野球

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