大会1日目第1試合
柳ヶ浦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 |
0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | × | 3 |
二松学舎大付
柳ヶ浦 宮原→杉本
二松学舎大付 河内→及川
記念すべきオープニングゲームは、ともに開幕戦の経験を持つ伝統校同士の顔合わせとなった。中盤から先手を取って試合を進めた二松学舎大付が柳ヶ浦を1点差で振り切り、2025年選抜の最初の勝者に名乗りを上げた。
試合
先発は二松学舎が2枚看板の一人、河内を指名。一方、柳ヶ浦は昨秋最も多いイニング数を投げた右腕・宮原にスターターを託した。
序盤は両投手とも安定した投球を展開。河内はやや短めのテークバックからテンポのいい投球で柳ヶ浦打線を料理していく。カーブ、スライダーを低めに配し、丁寧な投球を心がけている印象だ。一方、宮原も縦に落ちるカーブを多めに使い、緩急でフルスイングが信条の二松学舎の目先をかわす。四球でランナーこそ出すものの、厳しいコースをついた結果であり、投球の内容が荒れた感じは全くない。
3回まで両投手とも無失点でバックもノーエラーと締まった展開。開幕戦の緊張感があるにも関わらず、見事な守り合いとなる。先取点が重要度を増してくる中、打力でやや優位に立つ二松学舎が先に得点の門をこじ開ける。
4回裏、先頭の5番永尾が高めに浮いたカーブを詰まりながらもレフトへ打ち返す。二巡目に入り、カーブに狙いを絞る。続く6番花沢に対し、最初は犠打の指示だったが、追い込まれると、市原監督は指示を変更。カウント2-2からアウトコースの変化球にうまくあわせると、打球はセンターとライトのちょうど中間に飛ぶ2塁打となって無死2,3塁とチャンスを拡大する。ここで7番土屋がきっちり犠飛を打ち上げ、1点を先制する。監督の狙いに最高の形で答えた花沢の打撃が素晴らしかった。
しかし、続く1アウト1,3塁のピンチで柳ヶ浦は左腕・杉本にスイッチ。センターとキャッチャーの守備も切り替え、思い切ったシフトチェンジを見せる。このピンチで二松学舎のスクイズを柳ヶ浦バッテリーが落ち着いた守備で封じ、追加点を与えない。さらに続く満塁のピンチも三振で防ぎ、二松学舎に傾きかけた流れを食い止める。
守りで作ったリズム。こうなると、試合は一気に動き出すものだ。5回表、今度は思わぬ形で柳ヶ浦に得点が入る。投球も期待されていた全島の4番宮城が河内のフォークをうまく合わせ、チーム初ヒットで出塁。犠打で二進後、6番渋谷のピッチャーゴロでランナーが飛び出してしまい、チャンスが潰えかける。しかし、続く7番桜木が見事な右打ちでチャンスを広げると、8番田原のショートゴロが悪送球を誘い、2塁ランナーが生還!初めてランナーの出た回に、得点に結びつけた。
二松学舎としては前半押し気味で進め、先制点を取ったにも関わらず、守備ミスでワンチャンスを活かされるという、嫌な展開になる。ただ、後半のスタートとなる6回表を河内がランナー一人を出しながらも、きっちり無失点で切り抜ける。
すると、6回裏、二松学舎は1アウトから8番河内がこの日3個目となる四球で出塁。内野ゴロで2塁へ進むと、ここで打席には注目の1番入山。左腕・杉本のクロスファイヤーの狙いを絞る。これが真ん中高めに入るのを逃さずとらえると、打球はレフトのはるか頭上を越えるタイムリー2塁打に!新基準のバットをものともしない素晴らしい打球だった。さらに、暴投の間に3塁へ進むが、ここなショート亀安が後方への打球をスーパーキャッチ!この日、再三の好守を見せる亀安がぎりぎりのところでチームの流れをつなぎとめる。
追いかける柳ヶ浦は後半に入って打線活発。1アウトから6番渋谷が真ん中寄りの速球をレフトへきれいに流し打ち。2アウト後に盗塁が悪送球を誘って3塁へ進むと、8番田原は四球で逆転のランナーも出す。盗塁で2,3塁となり、一打逆転の場面へ。しかし、9番真子はショートフライに打ち取られ、得点はならず。河内がランナーを背負いながらもコースを突く丁寧な投球で粘りぬいた。
試合巧者の二松学舎は、この機微を逃さない。7回裏、3番及川が巧みな流し打ちで出塁。犠打と暴投で3塁へ進むと、6番花沢の叩きつけた打球はサードへの高いバウンドの当たりに。これをサード桜木が捕球し、懸命の送球を見せるも、ファーストが捕球かなわず、タイムリー内野安打に。二松学舎が大きな追加点をあげる。
二松学舎は8回表、先頭の1番島袋にヒットを浴びたところで、2番手の及川にスイッチ。河内と同じくスリークオーター気味の右腕は、代わり端、守備で乗っている2番亀安にヒットを浴びる。しかし、続く3番岡田の犠打がフライとなり、ランナーを進めることに失敗。さらに4番宮城をショートへの併殺打に仕留め、見事な火消し役で無失点に封じる。柳ヶ浦としては何とも惜しい逸機だった。
試合は2点差のまま最終回へ。柳ヶ浦は先頭の5番杉本が四球を選ぶと、内野ゴロ2つの間に三塁へ。ここで8番田原がインサイドやや甘めの速球をとらえ、センターへのタイムリーとする。1点差に迫り、柳ヶ浦は代打・今村を送る。しかし、最後は及川の力のある速球の前に空振り三振!二松学舎大付が白熱の攻防を制し、2回戦へコマを進めた。
まとめ
二松学舎としては、先制して2枚看板の好投で逃げ切るという、ある程度思い描いた試合はできたのではないだろうか。打線はもう一つ爆発力には欠けたかもしれないが、大事なところでベンチの意図や相手投手の傾向を理解した打撃ができたのは、さすが東京王者であった。河内、及川の二人も力のある速球を軸に、安定感のある投球を展開。守りで2失策は少し課題が残るが、次戦までには修正してきそうだ。
久々の選抜勝利を上げた二松学舎大付。だが、目標はもちろん、もっと先にあることだろう。
一方、柳ヶ浦は、投打ともに力のあるところは見せたが、後手に回ってしまったことと犠打を始めとした細かいミスが痛かったか。ショート亀安を中心に堅守では相手を上回っていただけに、8回表に代表されるような拙攻が少し痛かった。
それでも、けが人続出だった昨秋と比較すると、戦力も整備され、東京チャンピオンとほぼ互角の試合内容ができるところまで持ち直したのはさすが伝統校といったところ。夏は明豊をはじめとする強豪が待ち受けるが、連続出場の可能性も十分あると感じさせるチームであった。
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