大会4日目第1試合
横浜清陵
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 |
2 | 0 | 2 | 3 | 1 | 1 | 0 | 1 | × | 10 |
広島商
横浜清陵 小原→西田→内藤
広島商 大宗→山田→徳永
地区大会優勝校vs21世紀枠の第二ラウンドは、伝統校・広商野球が横浜清陵ディフェンス陣を翻弄。犠打を駆使して着実にランナーを進め、強打も織り交ぜる野球で、大勝を飾った。
試合
広島商はエースナンバーを背負うタフネス右腕・大宗が先発。一方、横浜清陵はエース格の内藤ではなく、秋の公式戦で登板のない小原をマウンドに送った。
1回表、大宗は先頭の1番山本に粘られながらも9球でショートライナーに打ち取ると、後続も封じ込め、三者凡退。腕が長いため、より打者寄りのポイントでボールを離すことができ、相手打者にとっては差し込まれる当たりが多い。また、右打者のインコースをしっかり投げ込めるため、相手の踏み込みも簡単に許さない投球ができる。
その裏、横浜清陵は本来はセンターが正ポジションの右腕・小原が登板。広商としてはデータが少ないため、戸惑った感はあっただろう。それでも1番西村が高めの速球をセンターへのテキサス性のヒットにして出塁すると、ここからHIROSHO野球全開。2番小田の犠打が失策を呼ぶと、続く3番三田もきっちり犠打を決め、1アウト2,3塁とする。ここで4番名越のセカンドゴロが悪送球を誘って1点を先制すると、5番藤田はすかさず2球目をスクイズ。実にそつのない攻撃で主導権を握る。
しかし、横浜清陵としてもある程度の失点は想定内だろう。2回裏に満塁のピンチを小原がしのぐと、直後の3回表に待望の瞬間が訪れる。先頭の8番秦野が四球を選ぶと、犠打で二進。1番山本はバスターの構えから右打ちで1,2塁間を破ると、2番長谷川はこちらも2球目をスクイズ!横浜清陵が欲しかった欲しかった甲子園初得点を手にする。
これで乗っていきたい横浜清陵だが、伝統校は簡単には流れを与えてくれない。その裏。1アウトから6番片岡の死球と7番田部のヒットでチャンスを広げると、ここで横浜清陵は小原から左腕・西田にスイッチ。まだエースの内藤の登板はない。しかし、西田は8番大宗に粘られて四球を与えると、満塁から9番中本はアウトコースの速球をコンパクトなスイングでセンター前へ。3点目をもたらすと、続く1番西村は冷静に選球して押し出しの四球を獲得。取られたらすぐ取り返す野球でリードを広げる。
流れを引き戻したい横浜清陵だが、4回表にショートライナーでランナーが飛び出してしまい、併殺に。惜しいプレーでチャンスを逸すると、その裏、再び広商打線がつながる。1アウトからヒットで出た5番藤田は盗塁失敗で2アウトとなるが、ここから下位打線が粘っこい。6番片岡の四球、7番田部の軽打、8番大宗の四球と3回裏のリプレーを見るかのような流れで満塁とすると、9番中本のセンターへ打ち上げた打球に秦野が追いつきながらも捕球できず。満塁の走者一掃の一打となり、一気にリードが広がった。
ただ、点差は開きながらも、横浜清陵ははつらつとプレー。広商・大宗を相手に粘り強い打撃で、簡単にアウトにはならない。さすが激戦区の代表と言うべきか、劣勢になっても、自分たちの野球を見失わない。強豪との対戦経験がある強味なのだろう。6回表には、3番内藤のショートへの内野安打と4番大和地のテキサス性のライト前でランナーをためると、犠打と内野ゴロの間に2点目。最後まで食らいつく姿勢を見せた。
広島商は先発・大宗が6回を2失点でまとめた。球数は100球を超えたが、これが大宗の持ち味なのだろう。多少、数が多くなっても、丹念にキレのあるボールでコーナーを突き、打たせて取っていく。昨秋の神宮で、寒さの中で180球以上を投げても故障しなかったのは、体のやわらかさと無理のないフォームの成せる業だ。
7回からは右サイドの山田、そして最後は左腕・徳永に継投。徳永は腕の出どころの見にくいフォームから繰り出す速球に威力があり、次戦以降の先発もあり得そうだ。
広島商が終始試合をリードし、横浜清陵に多少ミスは出たものの、きびきびした雰囲気の好ゲーム。最後は10-2で広島商が勝利し、3年前に続いて初戦突破を決めた。
まとめ
広島商は持ち味のそつのない攻撃を見せ、犠打も含めて進塁させるところは進塁させ、下位打線までコンパクトな打撃で、つながりの良さを見せた。神宮大会では長打力も光る攻撃だったが、この日の試合では、原点回帰のHIROSHO野球といった印象。攻撃面で様々な顔を持つことは、相手にとってやりにくいだろう。
また、投げては大宗、山田、徳永とそれぞれ持ち味を発揮し、6安打で2失点。バックも堅守で盛り立て、危ない場面は少なかった。投打でらしさを見せての初戦突破で、次戦は近畿王者の東洋大姫路。奇しくも3年前の選抜では2回戦で近畿王者の大阪桐蔭と当たるはずだったが、コロナ感染で無念の出場辞退となった。3年前の先輩の悔しさも胸に秘めつつ、上位進出へ向けての大一番に挑む。
一方、横浜清陵としては、内藤を後ろに持ってきたことで相手をかく乱したかったが、守りのミスや四死球が重なり、失点につながってしまった。結果論であり、内藤を頭に持ってきても結果は同じだったかもしれないが、少し緊張もあって自分たちの守りができない場面もあった。
ただ、それでも好判断でアウトをもぎ取るシーンもあり、攻撃面でも大宗に6回で100球以上を投げさせたようによく粘っていた。敗れはしたものの、甲子園に来たからこそ得られた課題と収穫を持ち帰り、夏の神奈川大会に挑んでいく。
広島商 vs 横浜清陵 【センバツ 1回戦 全打席ハイライト】 甲子園春夏7度の優勝の名門に21世紀枠が挑む!伝統の力と初出場の全員野球が激突🔥 2024.3.21 甲子園 高校野球 選抜高校野球
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