大会2日目第1試合
滋賀短大付
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2 | 1 | 0 | 1 | 2 | 4 | 5 | 0 | × | 15 |
敦賀気比
滋賀短大付 櫻本→中井
敦賀気比 五十子→東川→山本
常連校と初出場校の顔合わせとなった試合は、敦賀気比打線が序盤から滋賀短大付の投手陣を攻略。5年連続の選抜で、ついに令和の選抜での初勝利を上げた。
試合
敦賀気比は左右2枚看板の一角の右腕・五十子を指名。一方、滋賀短大付は昨秋の近畿大会で強豪・履正社の強打を封じた軟投派左腕・櫻本をマウンドに上げた。
敦賀気比の五十子は2年生ながら安定感はチーム1の右腕。1回表、1番森に1塁方向への不運な内野安打を打たれると、その森がスチールを敢行する。続く2番加藤の犠打は失敗に終わるが、3番岡がバスターの構えからセンターへのヒットで続き、1アウト1,3塁と絶好のチャンスを迎える。滋賀短大付はここで4番大窪にもバスターの指示。チームで徹底して崩そうという姿勢を見せるが、五十子も徹底して低めを突き、4番大窪、5番北嶋を連続三振に切って取る。
滋賀短大付としては何としても先制点が欲しい場面だったが、敦賀気比はさすが強豪というか、場慣れしており、2年生エースがランナーを背負っても乱れる素振りがなかった。
一方、滋賀短大付の注目の技巧派左腕・櫻本は独特のテークバックから繰り出す癖球が持ち味。120キロ台ながら手元で微妙に動くボールで打者のタイミングを惑わしてくる。しかし、立ち上がり、1番岡部が死球を受けると、こちらもすかさず二盗。犠打と連続四死球で満塁と、櫻本らしくない制球の乱れを見せる。このチャンスを5年連続出場の常連が逃すはずもなく、5番岩崎がスライダーをしっかり呼び込んでとらえ、1,2塁間を破るタイムリーとして、2点を先行する。
この初回の攻防が両者の分水嶺を大きく分ける。2回から五十子はアウトコース低めをスライダーで丁寧に突く投球で完全に立ち直る。よほどボールの切れとコントロールに自信があるのだろう。相手の右打者が狙っているとわかっていても、お構いなしでバッテリーは徹底して同じコースを攻める。
滋賀短大付打線もチャンスがないわけではなかった。3回表に2四球でランナーをため、3番岡のこの日2本目となるヒットでホームを突くが、櫻本がホーム生還を躊躇してしまい、ランダンプレーでタッチアウト。さらに続く4番大窪が三振に倒れ、惜しいプレーで得点機を逃す。序盤、敦賀気比にもつけ入るスキはあっただけに、滋賀短大付としてはボーンヘッドと、チャンスでの攻守の要である4番大窪の2三振が悔やまれた。
この流れに乗った打線は、2回裏、先頭の8番清水がショートのグラブをかすめるヒットで、打球がセンターへ抜けると、清水は好判断で2塁へ。犠打で3塁へ進むと、2番河村の犠飛できっちり追加点をあげる。強豪校らしい抜け目のない得点だ。さらに、4回裏にはまたしても8番清水のヒットを足掛かりにランナーを2塁へ進めると、2番河村のタイムリーで4点目。下位打線がチャンスを作り、上位に回って返すという理想の流れで試合を優位に進める。
櫻本も3回を三人で退けるなど、波に乗りそうなタイミングはあったが、敦賀気比打線の強いスイングの前に、芯を外しても痛烈な打球が飛んでしまう。さらに、ボール球を決して振らない選球眼も滋賀短大付バッテリーの選択肢を狭めていた。
5回裏、1アウトから4番小林が四球を選ぶと、5番岩崎は第1打席と同じようにスライダーをとらえて、ライトへのヒット。ここで敦賀気比ベンチは代打・小西を送ると、小西の打球はセカンドへのゴロへ。詰まらされたようにも見えたが、振り切った分、打球が速く、セカンドが後逸する間に小林が5点目のホームを踏んだ。ここで滋賀短大付ベンチはついに櫻本をあきらめ、右腕・中井にスイッチ。昨秋からチームの快進撃を支えてきた左腕エースがマウンドを去った段階で、滋賀短大付の勝機は実質上、潰えたと言えた。
大量点をもらった五十子は徐々に調子を上げていき、6回、7回を3人でピシャリ。打線も固さが取れたか、終盤に持ち味の低く強い打球が続き、滋賀短大付守備陣のエラーにも乗じて大量点を上げた。結局15安打で上げた得点は15点。相手の四死球やミスも得点に絡める効率のいい攻めで、初出場校を圧倒し、2016年以来となる選抜での勝利を手にした。
まとめ
敦賀気比は、序盤、五十子が滋賀短大付打線に先行されそうな場面があったが、ここを徹底して低めを突くコントロールで乗り切り、味方打線にリズムをもたらした。打線も大物うちが多いわけではないが、低く強い打球を打ち続け、抜け目ない走塁も相まって、効果的な得点を上げていった。ここ数年は選抜での勝利に縁がなかったが、いずれも強豪校との試合で有り、そのほとんどが接戦であった。常に全国上位の実力を見せる北信越の強豪が、まずは順当に初戦を突破。昨年王者への挑戦権を手にした。
一方、滋賀短大付としては序盤に絶好の先制機があっただけに、決めきれなかったのが悔やまれるが、相手投手の低めを突くコントロールを褒めるしかないだろう。惜しまれるとすれば、3回の3番岡のヒットが出た場面での走塁ミスか。やはり、力が上の相手に挑む際に、守備や走塁などの「繋ぎ」の部分でミスが出ると、アップセットの可能性は低くなる。逆に敦賀気比の守備や走塁から学ぶ部分は、この試合で多くあったことだろう。甲子園でしかできない経験というものは確実に存在しており、今日は敗退したものの、この日の経験が未来への糧となるはずだ。
敦賀気比 vs 滋賀短大付 【センバツ 1回戦 全打席ハイライト】 センバツ常連5年連続出場に挑む初出場! 2024.3.19 甲子園 高校野球 第97回選抜高校野球 高校野球ニュース
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